博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

最近見てるドラマ(2022年12月)

2022年12月01日 | 中華時代劇
『天下長河』
久々の本格歴史物です。それも治水という地味なテーマながら、なかなかに見せてきます。舞台は清朝康煕年間、『康熙王朝』と『天下糧倉』を足して二で割ったようなドラマだなと思ったら、中国でもそういう評価がなされている模様w 清朝考証学者の徐乾学と高士奇がメインキャラクターとして出ているので、清朝考証学ドラマとしても期待がかかります。

『卿卿日常』
現在一番人気のコメディ。架空中華世界の九川が舞台。男女平等の気風の国から、とにかく食い意地の張ったヒロインが最有力国の病弱で目立たない六番目の王子の側室となり……という所から話が始まります。ヒロインは面倒くさい宮廷からおさらばしてとっとと実家に帰りたい一心から、あの手この手で夫から嫌われようとしますが…… 話のテンポがいいですし、毎回毎回いろんなネタやら趣向をぶち込んできて飽きさせません。
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2022年11月に読んだ本

2022年12月01日 | 読書メーター
平家物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)平家物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)感想
「現代文の祖」とも評される『平家物語』の片鱗ぐらいは味わいたいと思って手に取ったが、中国の古典シリーズと違い、特に前半部の原文とその翻訳が少なく、肩透かしを食らったような気分。その分各章の要約は充実しているので、全体の内容の把握には便利。時折挿入されるコラムも良い。
読了日:11月01日 著者:

台湾で日本人を祀る:鬼(クイ)から神(シン)への現代人類学 (慶應義塾大学東アジア研究所叢書)台湾で日本人を祀る:鬼(クイ)から神(シン)への現代人類学 (慶應義塾大学東アジア研究所叢書)感想
台湾の廟で祀られる植民地統治時代の軍人など「日本神」に関する論集。彼らの多くが何らかの怪奇原書をきっかけとして神として認知され、神としては格の低い陰神であり、廟の主神ではなく、ギャンブルに霊験を発揮し、中には信仰が廃れつつあるものも存在するなど、そのあり方は日本側の認識とかなり齟齬があるようである。一方で日台友好、観光誘致などの思惑から台湾側かせ日本側の認識に合わせる動きもあるようで、信仰として現在進行形で推移しているのが面白い。
読了日:11月01日 著者:三尾 裕子,藤野 陽平,原 英子,林 美容,劉 智豪,山田 明広,陳 梅卿,遠藤 協

神獣たちのふしぎな力 (紫禁城の秘密のともだち)神獣たちのふしぎな力 (紫禁城の秘密のともだち)感想
母親の仕事の関係で北京故宮を庭のようにして過ごす少女は不思議なイヤリングを拾ったことで、故宮に暮らす猫や神獣たちとコミュニケーションが取れるようになり……という筋。連作短編という形だが、中国の神話、故事や紫禁城にまつわる伝説が盛り込まれている(思わぬ所で実在の人物も登場する)。これを読めば、故宮を観光する際に建物の屋根の装飾や敷地内の猫、鳩などが気になるようになるだろう。続巻の予定もあるということで楽しみ。
読了日:11月03日 著者:常怡

雨月物語 (ちくま学芸文庫)雨月物語 (ちくま学芸文庫)感想
語釈のほか、段落ごとに和漢の出典の指摘を中心とした詳細な評注が付いており、読みごたえのある校注・全訳本となっている。原典について特に予備知識のない読者にとっても有用。
読了日:11月06日 著者:上田 秋成

子宮子宮感想
湖南省の農村の五姉妹を中心とする、初家の四世代の女性たちの物語。時代的には改革開放以後の話となるが、街は発展し、国家の制度は変わっても人々の意識はなかなか変わらない。姉妹は故郷に残った者もおれば、出稼ぎ的に都会に出て行く者、都会で高等教育を受け、そのまま都会で暮らし続け者といった具合に立場は様々で、それぞれ男性関係と「生育」をめぐって苦しむことになる。目を惹くような伏線や謎解きがあるわけではないが、彼女たちの生き様はとにかく読ませる。
読了日:11月12日 著者:盛 可以

漢詩の名句・名吟 (講談社学術文庫)漢詩の名句・名吟 (講談社学術文庫)感想
要するに唐詩漫談。取り上げた詩の日本での評価や、関連する日本の詩歌、はたまた著者の体験も織り交ぜていて、唐詩入門と言うほどでもないが気軽に読める。
読了日:11月14日 著者:村上 哲見

ジェンダーレスの日本史-古典で知る驚きの性 (中公新書ラクレ 779)ジェンダーレスの日本史-古典で知る驚きの性 (中公新書ラクレ 779)感想
最初の男神の子生みを自然に受けとめいたという話など「それは日本に限った話ではないのでは?」と疑問に思うところもあるが、女性の財産権と女性の政治的地位の関係、男性が妊婦の世話をするのは当然だった話など、日本の性をめぐる話は面白い。その一方で宣教師がドン引きするほど子殺しが横行していたとか、性被害の横行と罪の軽さ、目上の者による虐待だった男色など、性におおらかだった日本の裏面にもちゃんと触れており、「日本スゴイ」に落とし込まない点がこの著者らしくて評価できる。
読了日:11月16日 著者:大塚 ひかり

ケルトの世界 ――神話と歴史のあいだ (ちくま新書 1692)ケルトの世界 ――神話と歴史のあいだ (ちくま新書 1692)感想
ケルトの神話伝説と他地域の印欧語族のそれとの比較や、古典文献、出土資料を駆使したケルト人の生活習慣、宗教思想の解説が面白い。本書によると「ケルト人」という括りは自己認識というよりは他者認識の側面が強いようで、この点は中国古代の蛮夷戎狄との比較もできそうで興味深い。
読了日:11月18日 著者:疋田 隆康

孫子―「兵法の真髄」を読む (中公新書 2728)孫子―「兵法の真髄」を読む (中公新書 2728)感想
『孫子』そのものとともに、『孫子』に注釈した曹操の『孫子』理解、ひいては曹操の軍事思想、『老子』なども含めた曹操の思想をも考察するつくりになっているのが面白い。魏武注以前の『孫子』の形態やテキストの校勘について触れている点もよい。
読了日:11月20日 著者:渡邉 義浩

病気と治療の文化人類学 (ちくま学芸文庫 ナ-34-1)病気と治療の文化人類学 (ちくま学芸文庫 ナ-34-1)感想
文化人類学の下位分野としての医療人類学の入門書ということだが、「病気と信仰」は文化人類学自体の中心ともなり得るテーマではないかと感じた。紹介されている事例は日本のものが中心だが、祈禱による治療は現代医療を必ずしも排除せず、むしろ二人三脚のような態勢をとることが多いというのは面白い。また明治政府による科学的・合理的なコレラ対策が、その種の知識な乏しい人に患者への差別行動を促したというのは、新型コロナウィルス対策の良い教訓となるだろうと感じた。
読了日:11月23日 著者:波平 恵美子

言語学を学ぶ (ちくま学芸文庫 チ-6-1)言語学を学ぶ (ちくま学芸文庫 チ-6-1)感想
音声学、音韻論、比較言語学、言語類型論、文字論等々言語学の諸方向に関するブックガイド、そして著名な研究者の評伝を通して見ていく言語学の概要。ブックガイドの前半と比べて評伝から成る後半は少し取っつきにくい。所々で荒唐無稽な日本語の起源論や、日本語が特殊な言語であるという考え方に苦言を呈しているのと、河野六郎の転注に関する議論を高く評価しているのが印象的。
読了日:11月25日 著者:千野 栄一

中国語は不思議中国語は不思議感想
9月刊行の同氏の『中国語はどのような言語か』の一般向けバージョンにして補足的な本。内容も重複している部分が多い。前著で触れられていないネタ(オビにある「なぜアメリカは美国なのか?」など)や随所に差し挟まれる余談に興味があればというところ。序盤に2、3箇所出てくるマルクス主義、中国共産党disが鼻につく。(著者としては冗談のつもりなりだろうけど)
読了日:11月27日 著者:橋本 陽介

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