博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『人民的名義』その6

2017年05月30日 | 中国近現代ドラマ
『人民的名義』第26~30話まで見ました。

大風集団の株権が山水集団に譲渡された件への関与が疑われる京州市人民法印副院長の陳清泉が、夜な夜な「外国語の学習」と称して高小琴の山水荘園に出入りし、金髪美女と淫行に及んでいるとの情報を得た侯亮平は、京州市公安局局長の趙東来と連携して淫行の現場を押さえ、陳の身柄を確保。事の次第を知った李達康は京州市の幹部を集めて粛々と陳の党籍の除去と免職を決定。しかしここから株権の譲渡について取り調べが開始されるとしたら、いわゆる別件逮捕ということになりませんかね……?

ここで季昌明の配慮により、侯亮平が北京に一時帰還して家族と団欒の時をすごし、息子が入学しようとしていた算数塾の塾長が詐欺師であることを突き止めたりしています。その間に京州では前任の漢東省省委書記の息子・趙瑞龍が登場。


高小琴からゴルフ接待を受けていますが、やはり山水集団の株主になっていたりとズブズブの様子。陳清泉の一件が侯亮平の主導で進められたことを耳にした彼は、「そいつ邪魔だな」みたいなことをつぶやいていますが、『大宋提刑官』だとスキャンダルがでっち上げられたりするところですよね。

その頃、現任の省書記沙瑞金は、省幹部の田国富、呂州市高新区党委書記の易学習とともに、月牙湖の開発プロジェクトの進行を確認。プロジェクトのため開発区に当たっている建築物の撤去を順次進めているのですが、趙瑞龍が経営する美食城だけが撤去に応じずそのままとなっており、開発がストップしてしまっているとのことです。沙瑞金は当然のごとく撤去を進めようとします。状況を察知した趙瑞龍は、父の元子分にあたる李達康と高育良に取りなしを求めますが、二人とも拒絶。しかし趙がこのまま大人しく引き下がるとも思えず……

今回初登場した易学習は、現大路集団の会長王大路とともに若き日の李達康とともに、当時貧しい農村であった金山県の開発に尽くした同僚同士ですが、手腕があるものの強引な振る舞いがめだった李達康のとばっちりを食らうような形でなかなか出世できなかった模様。王大路の方は早々と官界から手を引いて起業し、ビジネス界で成功を収めているようです。

そして今回、夫婦仲の悪さが修復されない祁同偉・梁璐夫妻を、高育良・呉恵芬夫妻がそれぞれをたしなめるという場面が挿入されます。年下の学生であった祁が10歳年上の同じ大学の教員であった梁に跪いてプロポーズしたということで、祁が結婚に乗り気だったのかと思いきやそんな単純な話ではなかった模様…… 妻の梁璐の方に当時別に相手がいたものの相手の子を妊娠した状態で捨てられてしまい、陳海の姉の陳陽を思っていた祁同偉に、実家(梁の父親は当時の漢東省省委書記)の権勢をちらつかせつつ、相手に「自分は若い子に好かれているんだ」と見せつけるかのようにプロポーズさせ、堕胎して祁と結婚したが、以後流産しやすい体質になって夫妻の間に子供がいないとか知りたくなかった情報が続々と(´Д`;)


二人をたしなめる高育良夫妻も理想的な夫婦と見せかけて、寝る前にはお互いよそよそしく別々の寝室へと向かうなど闇を抱えているようですが?
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『人民的名義』その5

2017年05月22日 | 中国近現代ドラマ
『人民的名義』第21~25話まで見ました。

李達康と欧陽菁は市の担当係員の立ち会いのもと自宅で離婚書類に署名し、李達康は公用車で彼女を空港に送ろうとしますが、その動きを察知していた侯亮平らが高速道路の出口で待ち伏せして欧陽菁の身柄を確保。


反貪局に狙われているのを察し、娘が暮らすロスへと逃亡を図った欧陽菁。李達康は車内から侯亮平を目線で威圧。しかし内心では侯の力量と自分の公用車で欧陽と同行した誤りを認めており、空港内で身柄を抑えられていたら自分もただでは済まなかったと、空港の手前で処理してくれたことに感謝すらしています。敵が敵の力量を評価するというあたりで何となくBL的なものが感じられるのですが (^_^;)

で、役者は揃ったと、大風集団が突然京州城市銀行から貸し渋りにあった件と、大風集団の株権が山水集団の手に渡った経緯を追及すべく、侯亮平は蔡成功・欧陽菁・高小琴への同時三元尋問を実行に移します。欧陽菁が蔡成功から銀行カードの形で50万元の賄賂を受け取っていたことは立証されたものの、その他は蔡成功が高利貸しに手を出していてそれが原因で欧陽菁の銀行から融資を断られたことや、蔡成功が丁義珍と共同で炭坑の開発を計画し、丁の仲介で山水集団に大風集団の株を譲渡して資金提供を受けたことなど、蔡成功に不利な供述しか引き出せません。

失意の侯亮平ですが、陳海の見舞いに出向いて病室で果物ナイフを手にとってオレンジを剥こうとした瞬間に、陳海殺害を謀ったということで警備をしていた京州市公安局員に捕縛されるという珍事が発生w すぐに誤解は解けましたが、市公安局長趙東来から、入院中に何者かが陳の注入チューブを切断したりと彼を謀殺しようとする動きがあったことが知らされます。陳の交通事故はやはり偶然のものではなく陰謀だということで、反貪局は趙東来ら市公安局と共同捜査を進めることに。

その頃、反貪局局員の周正はサンフランシスコの中華料理屋で皿洗いをさせられていた丁義珍との接見に成功しますが、そこで丁の世話役に怪しまれたのか、丁は再び行方をくらませます。

また、鄭西坡らの大風公司再建計画も、光明区区長孫連城に適当にはぐらかされて工場の移転地の確保が思うようにいきません。孫連城と言えば、前回李達康から吊し上げを食らって改善を求められていた区役所の窓口があのままほったらかしになっていたことが判明……


放置の原因は光明区側の予算不足と孫のやる気不足の模様。孫連城は出世コースから外れていることでやや厭世的になってるようです。日々の区民からの陳情も定時で打ち切り、居残って残務の処理をするわけでもなくそのまま帰り支度をして退勤したり、自宅で趣味の天体観測に打ち込み、ナレーションで沙瑞金・高育良・李達康も大宇宙に比べれば何ほどのものであろうか、彼は心に宇宙を抱いているのだなどと評されたりしています。しかし再度李達観にどやされ、「なら背の低い椅子を用意したらどうか」などと部下と相談したりして碌でもない対応策を練っていますが……
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『人民的名義』その4

2017年05月18日 | 中国近現代ドラマ
『人民的名義』第16~20話まで見ました。

蔡成功の取り調べは京州市公安局にて継続中ですが、警察に不信感を抱く蔡成功は侯亮平とその関係者以外まともに取り合おうとしません。そして取り調べ室から留置所に戻される時に、一一六事件で暗躍して同じく公安局に拘束されていた偽警察常成虎とすれ違いざまに暴行されるという事件が発生。不慮の事故ということで問題ないように見えますが、侯亮平は陳海の交通事故と同じく何者かの陰謀ではないかと疑ってる様子。この仕事は陰謀脳じゃないと務まらないのでしょうか (^_^;)

一方、一一六事件の舞台となった大風服飾厰では、京州市当局から工場の移転費用が保証されたということで、工会首席(労働組合長)の鄭西坡を董事長(会長)として新生大風公司を組織し、従業員たちから新たに出資金を募ります。鄭は陳岩石とともに市側でこの案件を担当することになった京州市光明区区長の孫連城の自宅を訪問して折衝に当たり、「今度オフィスに来て下さいよ」と色よい返事を貰いますが、実際にオフィスを訪ねてみると陳情者の列の最後尾に並ばされ、微妙に不穏な雰囲気に…… その孫連城ですが、京州市市委書記の李達康から区役所の受付窓口の件で吊し上げを食らっていました。


画像のように、窓口の位置をわざと低くして腰をかがめないと係員と話ができないような設計になっていたのです。これはロサンゼルスに逃亡した当時の副市長・丁義珍の発案で導入されたもので、この態勢では区民が長話をできず、おまけに役所に人が寄りつかなくなって業務が減らせるという魂胆で、区民から不評を買っていたとのことです。日本の市役所の生活保護申請の水際対策とどっちが悪質なんでしょうか?日本でも市役所業務を丸ごと民間企業に請け負わせたりしたら、こういうことになりそうな気がします。

事の発端となった丁義珍と言えば、逃亡先のロスで悠々自適の余生を送れるかと思いきや色々当てが外れ、現地のバーの掃除係にまで転落しておりました。


しかもうっかり現地に住む妹に電話したことから足が付いてしまい、ロスにも居られなくなって世話役の何阿三に今度はサンフランシスコに行くよう要求されますが、「もうイヤだ!オレはもうどこにも行かない。捕まってもいい!」とゴネだして、普段は粗暴な何阿三になだめられているのがなかなかおかしいです (^_^;)

その間侯亮平は、陸亦可とともに保護者がわりをつとめている陳海の息子「小皮球」こと陳東が、校長室のガラスを割ったということで学校から呼び出されていますが、ここで陳東からグラウンドでサッカーをするには係の生徒に賄賂を払わなければならず、お金がないのでしかたなく校舎内でボールを蹴っていたという思わぬ告白を聞き、自分の仕事をこういう不正を取り締まることだということで、校長に自分の名刺を見せて改善を要求します。大人の世界と同じことが子供の世界でもおこっているという描写がなかなかうまいですね。


孫連城を締め上げた李達康ですが、漢東省省委書記沙瑞金からは、過去に関わった林城市の開発区のプロジェクトを激賞され、離婚を拒絶していた妻の欧陽菁も大学時代の同級生・王大路の説得もあって態度を軟化させと順風満帆。

しかし欧陽菁は蔡成功との収賄の件で反貪局にマークされており、デパートでの買い物で蔡成功から贈られた銀行カード(当世は現金ではなく数十万元単位の大金が預金されたATMカードを賄賂として贈るのが流行の様子)を支払いに使用したことから足が付き、そのことを察した彼女は急ぎ李達康との離婚を成立させ、娘が暮らすロスへと高飛びしようとしますが……

今回陸亦可の母親呉心儀が初登場するのですが、彼女と漢東省検察院検察長の季昌明が大学の同級生で、そして呉心儀は漢東省省委副書記高育良の元妻呉恵芬の姉妹となります。つまり陸亦可は高育良の姪に当たります。更に陸の部下の一人林華華は彼女の従妹(おそらく母親は呉恵芬・呉心儀の姉妹)、反貪局局長の陳海・侯亮平、漢東省公安庁庁長祁同偉は高育良が漢東大学政法系の教授であった時の教え子、ついでに祁同偉の妻は祁らが学生であった頃の大学の教員(つまりフランスのマクロン大統領で話題になった女性教員と教え子との結婚。ただし両方とも初婚だと思いますが)ということで、漢東省主要官庁のコネのあり方が見えてきましたねw

作中では高育良を中心とする漢大幇(漢東大学政法系卒業生を中心とするグループ)と、李達康を中心とする秘書幇(前漢東省省委書記趙立春の秘書であった李達康ら趙の関係者によるグループ)とが対立し合うという構図のようですが。
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『人民的名義』その3

2017年05月12日 | 中国近現代ドラマ
『人民的名義』第11~15話まで見ました。

一一六事件の晩より警察から逃げ回っていた蔡成功ですが、結局京州市公安局に拘束され、侯亮平は反貪局側で引き取って彼の関わった収賄について尋問しようとしますが、市公安局側が拒絶し、反貪局側が市公安局の招待所に出向いて24時間限定で尋問を行うことで折り合います。尋問の結果、蔡成功が京州城市銀行副銀行長の欧陽菁に賄賂を送っていたという証言を引き出します。その欧陽菁は共産党京州市書記・李達康の妻ということで、「達康書記」こと李達康にも疑惑が及びかねない状況となってきました。

もともと蔡成功は京州城市銀行から定期的に運転資金を借り入れて大風服飾厰を経営していましたが、いわゆる貸し渋りに遭い、工場の従業員に無断で抵当に入れていた会社の株が高小琴の経営する山水集団の手に渡り、工場の経営権と用地が取り上げられようとしているという状況の模様。しかし工場の株は従業員が持つという制度になっていたため(現役の頃の陳岩石がそういう改革を指導したとのこと)、職場を失ううえに株式の権利まで取り上げられるということで工員たちが激怒し、一一六事件につながったということのようです。蔡成功はその貸し渋りも山水集団と銀行が結託して仕組んだことではないかと疑っています。(このあたり誤解があるかもしれません……)

京州市では市側が大風厰への補償金を用意することとし(会議の席上で本来山水集団が支払うべき補償をなぜ市側で負担するのかというもっともなツッコミが入ってます)、一方で工場の労働組合長・鄭西坡が密かに蔡成功から託された資金で、一一六事件の炎上事故で重軽傷を負った工員たちに見舞金を分配します。

その鄭西坡ですが、突然警察官が自宅にやって来て一一六事件の参考人として拘束。鄭西坡が連行されたのは、彼を一一六事件の黒幕に仕立てたいという京州市公安局光明区分局長の程度の意志によるものでした。実は一一六事件で暗躍した偽警察の親玉・常成虎が彼の従弟にあたり、この常成虎が摘発された意趣返しを図ったようです。しかし息子の鄭勝利改め鄭乾が警官の顔やら持参した文書やらをスマホでパシャパシャ撮影し、「無実の父親が連行された。官憲の横暴だ!」とネットに拡散。この鄭乾、以前も一一六事件絡みで現場の写真やらデマをネットに拡散して警察に目をつけられてるんですが、こういう「前科」があっても日本のようにいちいちお上を忖度せず、自分の都合を優先させるのが中国人民のいいところですw

で、ネット経由で事情を知った李達康が激怒し、即刻釈放を命じます。ここで「20分以内に大風厰まで鄭西坡を送り届けろ」と李達康に厳命された市公安局側が、信号待ちに引っかかると間に合わないということで、信号を操作する描写が挿入されます。ここらへんは実際にネットや新聞などで話題になったゴシップなんかがモデルになってるんでしょうか。


鄭西坡は公安局分局での取調中、容疑者ということで画像のようなオレンジのベストを着せられていましたが、釈放されてパトカーで工場まで送り届けられる際に脱ぐように言われても脱ごうとせず、李達康らお偉方に「何の罪もないのに不当な扱いを受けた」と訴えかけるようにベストを見せつけ、程度の面子を容赦なく潰しにかかりますw

鄭西坡や陳岩石も臨席して工場で今後の説明会が開かれ、李達康が京州市で工場の移転・再建費を負担し、従業員たちの雇用も保証すると明言し、ようやく一一六事件以来の従業員たちの不満が収まります。

左遷は免れないと思われた分局長の程度ですが、漢東省公安庁のトップ祁同偉に「あの御方」の指示で李達康の電話等を盗聴していると告白し、彼の庇護を得ることに成功。その祁同偉ですが、高小琴とも深いつながりがあるようで(彼女と接待ゴルフに興じている場面があったりする)、大学の後輩にあたる侯亮平を彼女主催のパーティーに招待します。


ここらへんから本格的に出番が増えてくる高小琴。胡静が演じています。

一方、李達康は妻の欧陽菁が反貪局に目を付けられていると察し、前々から夫婦仲が冷え切っていた彼女と離婚協議を始めることを決意。というあたりで次回へ。反貪局のメンバー周正と林華華が毎回残業を嫌がって定時退勤にこだわるあたりが微笑ましいです (^_^;)
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『人民的名義』その2

2017年05月07日 | 中国近現代ドラマ
『人民的名義』第6~10話まで見ました。

大風服飾厰の炎上騒ぎを知り、陳海の父親の陳岩石が現場に駆けつけます。


この陳岩石さん、抗日戦争以来の古株の共産党員で、長く漢東省の人民検察院副検察長を務め、高育良ら省の幹部にも顔が利くということで、現在でも検察院で門前払いをするような地元民の訴えを取り次いでやったりして、「第二検察院」のあだ名を頂戴しています。昔大風服飾厰の改革を指導したということで、工員らとも顔なじみです。

で、この陳老が現場の混乱を鎮めて消火活動を円滑に進められるようにし、更に新任の省委書記・沙瑞金とのコネをちらつかせ、李達康らがこの機に乗じて工場を更地にしようとするのを阻止。やだ、普通にデキる人じゃないですか///

こうして「一一六事件」(炎上騒ぎがおこった日付を取った)はひとまず幕を閉じましたが、工場の経営者・蔡成功は事件の前後に行方をくらませてしまいます。北京の侯亮平とは幼馴染みで、海外逃亡した丁義珍や李達康の妻で地元の銀行の副頭取の欧陽菁ときな臭い関係があるようですが…… 

そして逃亡中の蔡成功が侯亮平の同級生ということで情報提供をしたいとコンタクトを取ろうとした陳海が、翌日1月17日の朝に侯亮平と通話しながら横断歩道を渡ろうとした時に、飲酒運転のトラックに轢かれてしまい、植物状態となるという悲劇がおこります…… ながらスマホと飲酒運転ということで、通常の交通事故として済まされるかと思いきや、陰謀の可能性があるということになり、侯亮平が陳海に替わって漢東省反貪局局長代理として派遣されることに。


ここらへんで張豊毅演じる沙瑞金がいよいよ漢東省に着任。陳岩石とは家族ぐるみの付き合いのようで、それを知った祁同偉(この人も高育良の教え子。侯亮平・陳海の先輩に当たるようです)ら省の幹部が一斉に陳老に贈り物をしたりご機嫌伺いをしたりしておりますw 

この沙瑞金の招聘により陳岩石が省幹部の面々を前に涙ながらに抗日戦争に従軍した経験(1945年に15歳で2歳年を誤魔化して入党・従軍したそうな)を語り、熱い拍手を受ける一方で、京州市に到着した侯亮平は沙瑞金からは激励を受けるものの、陸亦可ら反貪局現場のメンバーからはよそよそしい態度を取られ……というあたりで次回へ。

「一一六事件」に絡んで、大風服飾厰の工会首席(労働組合長)・鄭西坡の息子である鄭勝利が、事件に関する画像やフェイクニュース的なデマをネットに転送しまくったということで、自宅に警官がやって来て尋問を受けるという今時のネタが盛り込まれていますが、この警官が鄭父子とは顔なじみということで、父親の方も「どうぞどうぞw このバカ息子を遠慮なくお灸を据えてやって下さいw」という感じのゆるいノリになってますね (^_^;)
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2017年4月に読んだ本

2017年05月01日 | 読書メーター
儒家思想と中国歴史思惟儒家思想と中国歴史思惟感想中国の歴史理論と言えば「正統論」や「天人相関論」について論じられ、史学史的研究と一体化しているというのが相場だが、そういった要素がほとんど絡んでこない。本書では西洋の歴史思想と比較のうえ、中国人が歴史を「博物館に陳列されたミイラ」とせず、古人と対話することができる図書館の書籍のように扱っていたことを論じるが、それにも却って得とともに失があるようにも思う。また、第一部で議論されている歴史思想と時間の概念との関係については、関係書籍を当たって理解を深めたい。読了日:04月01日 著者:黄 俊傑

赤い星は如何にして昇ったか――知られざる毛沢東の初期イメージ (京大人文研東方学叢書)赤い星は如何にして昇ったか――知られざる毛沢東の初期イメージ (京大人文研東方学叢書)感想前半は『中国の赤い星』以前の毛沢東の写真等図像イメージと情報イメージの変遷について、後半は『中国の赤い星』の成立事情と同書がどう読まれてきたかについて述べる。「天の時、地の利、人の和」を得て成立したという『中国の赤い星』の画期性を示すとともに、戦前・戦中の日本の「支那通」と呼ばれる人々の限界をも示す。ユン・チアンの『マオ』についてはかなり否定的な評価を下しているが、当時の日本の「支那通」のあり方とともに、反中を前提にした中国論の限界を示しているように思う。読了日:04月03日 著者:石川 禎浩

帝国大学―近代日本のエリート育成装置 (中公新書)
帝国大学―近代日本のエリート育成装置 (中公新書)感想戦前の帝国大学に関する制度の変遷を事細かに追っているが、大学改革に翻弄されるのは今も昔も変わらないようだ。個人的に興味深く読んだのは、法学士は幅広い教養を持つべき、文学部は兎角超越主義に陥り、世情に適さないという趣旨により各大学で法文学部が設置されたということと、秋入学から春入学に切り替えられた経緯、学校推薦と一括・定期採用による就職活動に先立ち、現在の形に近い自由な就活が行われていた時期があったという話など。読了日:04月06日 著者:天野 郁夫

中国の時空論―甲骨文字から相対性理論まで中国の時空論―甲骨文字から相対性理論まで感想甲骨文字から元・明の頃までを範囲として、西洋哲学的な観点から中国の時空のとらえ方を読み解く。解説にある通り、当時中国で主流であった「弁証法的唯物主義」(要するにマルクス・レーニン的な哲学思想)を「正解」と位置づけている点が足枷になっている感があるが、本書での議論が先日読んだ池田知久の講談社学術文庫の『老子』で提示していた、中国では古来西洋的な意味での哲学が存在したかという問いに対する答えにはなっていると思う。読了日:04月08日 著者:劉 文英

フシギなくらい見えてくる! 本当にわかる倫理学フシギなくらい見えてくる! 本当にわかる倫理学感想「表現の自由はどこまで認められるか?」「行きすぎた環境保護運動をどう考えるか?」「死刑は絶対に必要なものなのか?」など、議論の俎上に上がりやすいテーマによって倫理学の考え方を見ていく。個人的には、序盤の倫理学と哲学・宗教との区分や違い、哲学は存在論・認識論・価値論の三領域から成るということがわかっただけでも充分本書を読んだ価値があると思った。読了日:04月11日 著者:田上 孝一

アメリカ人の物語 第1巻 青年将校ジョージ・ワシントンアメリカ人の物語 第1巻 青年将校ジョージ・ワシントン感想アメリカ独立革命から南北戦争まで全3期13巻を予定した
シリーズということだが、今回はフレンチ・アンド・インディアン戦争からレキシントン・コンコードの戦いの勃発まで。この時期はワシントンはまだ頭角を現しつつも我の強い若者というイメージで、植民地人は「アメリカ人」というよりはイギリス人としてのアイデンティティが強く、インディアンとの力関係も五分五分といったところ。これらが次巻以降どう変わっていくのだろうか。読了日:04月15日 著者:西川秀和

夢みる教養:文系女性のための知的生き方史 (河出ブックス)夢みる教養:文系女性のための知的生き方史 (河出ブックス)感想日本女性の学びの近現代史。相応の教養や社会的地位を求める女性たちが、当時の社会の構造や、川端康成であるとか太宰治といった彼女たちのメンターとなる男性作家によって、望ましい枠に嵌められていくさまが描かれる。そしてその枠は、21世紀の現在も違った形で存在しているのではないかという問題提起がなされている。暗示的な議論が多く、必ずしも明確な語り口ではないが、終盤で、最近何かと物議を醸している曾野綾子夫妻が取り上げられているのは、やはり何かの暗示なのだろうか。読了日:04月17日 著者:小平 麻衣子

謎の漢字 - 由来と変遷を調べてみれば (中公新書)謎の漢字 - 由来と変遷を調べてみれば (中公新書)感想変わった漢字のトリビア本かと思いきや、その手の話は第一部で終わり、第二部で市川鰕蔵の名乗りについて、第三部では中国の科挙で用いられた用字・筆法についてと話題が移る。特に第三部では、日本でもありがちな「正しい漢字の書き方」にこだわることのバカバカしさが示されていて面白く読んだ。読了日:04月21日 著者:笹原宏之 著

社会学入門 〈多元化する時代〉をどう捉えるか (NHKブックス)社会学入門 〈多元化する時代〉をどう捉えるか (NHKブックス)感想特に理論社会学の入門書ということになると思う。基礎理論・一般理論があるようでないのではないかという問いは、歴史学でもある程度あてはまるように思う。マックス・ウェーバーに関して、「なぜ日本だけが西欧に追いつけたのか?」という問い掛けが、中国などの経済成長により土台ごと無意味化し、「なぜ西欧が最初に近代化できたのか?」という問いをも陳腐化させかねないという指摘が印象的。読了日:04月22日 著者:稲葉 振一郎

文部省の研究 「理想の日本人像」を求めた百五十年 (文春新書)文部省の研究 「理想の日本人像」を求めた百五十年 (文春新書)感想文部省及び文部省が推進した「理想の日本人像」の歴史。早い段階から内務省・陸軍省・CIE・文教族など、その時々の実力者によって文部省と文部行政が牛耳られていたさまが描かれる。今は差し詰め「財務省文科局」といったところだろうか。ただ、1890年教育勅語発布当初の日本が極東の弱小国だったというのは一面的な評価ではないかと思う。欧米に対してはその通りだが、他の東アジア諸国に対しては既に台湾出兵・琉球処分・江華島事件等々をおこしており、現在の北朝鮮と同様に「軍事大国」という面もあったのではないか。読了日:04月25日 著者:辻田 真佐憲

歴史を哲学する――七日間の集中講義 (岩波現代文庫)歴史を哲学する――七日間の集中講義 (岩波現代文庫)感想歴史はよく言われるような「物語」ではなく「探究」であるという観点から論じられる歴史哲学論(だと思う)。過去の出来事はそれを確認する方法に応じて姿を現すものであり、「探究」の手続きと不可分であるであるという主張自体には納得できるものの、こういう方向で本書の「第2日」で議論されている歴史認識の問題に対処できるのかという不安も残る。読了日:04月27日 著者:野家 啓一

現代中国経営者列伝 (星海社新書)現代中国経営者列伝 (星海社新書)感想レノボ・ハイアール・アリババなど中国有名企業の創業者の事績から読み解く中国経済。レノボやハイアールの行き詰まりを見ていると、やはり電機製品中心の「ものづくり」にこだわるのはもう無理なんだなと感じる。そして所有するサッカークラブの八百長疑惑に嫌気がさしたと思ったら中国サッカー協会とスポンサー契約を結び、青少年の育成に資金を投じた王健林など、彼らのある種の意識の高さが印象に残った。20~30年後、日本は意識の高さでも中国の後塵を拝することになるのかもしれない。読了日:04月28日 著者:高口 康太

征夷大将軍・護良親王 (シリーズ・実像に迫る7)征夷大将軍・護良親王 (シリーズ・実像に迫る7)感想書店で手に取ってよくあるムック形式の歴史本ではないかと一瞬不安になったが、文章部分の内容もちゃんと濃い。その事績が喧伝される割には護良親王の活躍した期間は存外に短かったのだなと。そのあたりは義経の生涯とも通じるように思う。末尾でその遺児興良親王の生涯もまとめられているが、やはり父親のコピーのようである。読了日:04月30日 著者:亀田俊和
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