博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『古文字学論稿』

2008年12月31日 | 中国学書籍
張光裕・黄徳寛主編『古文字学論稿』(安徽大学出版社、2008年4月)

日本にいたら今日は朝から大掃除をして、今頃はこたつに入りながら数の子の皮でもむいている頃合いですが、こちらにいると困ったことにまるで感慨が湧いてきません(^^;)

で、北京で買って来た表題の本をつらつらと読んでいたわけですが、この本、何か新出金文が4つか5つぐらい紹介されているんですけど…… この本、第5届国際中国古文字研討会に発表されたものをまとめたようですが、この時の学会は新出金文の品評会だったんでしょうか(^^;) ただ、そのすべてが考古学的な発掘によるものではなく、出所が知れないのが困ったところなんですが。

最近発表される新出金文がほとんどこの手の盗掘を経て世に出た(あるいは偽物)と思しき物で、しかも昔なら『文物』『考古』など有名所の雑誌で紹介されていたのが、こういう書籍とかマイナーな雑誌で紹介されたりするので、色々と困ります……
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今学期受けた講義 【漢語編】

2008年12月29日 | 留学
漢語課の方は中級クラスを受講。漢語精読・漢語聴力・漢語口語・漢語閲読・漢語写作の5科目が必修科目となっていましたが、古文字の講義の方と時間が重なっていたため、このうち漢語閲読・漢語写作については受講していません。

○漢語精読
長文読解が中心ですが、語法解説のほか作文や会話練習なども一通り盛り込まれている総合科目。1課につき70前後の生詞(新出単語)が出て来るのですが、4課分いっぺんに単語テストをすると言われて悶絶しそうになったことも……

○漢語聴力
ヒアリングの科目。テープで会話文や長文を聞き取って正誤判断などの設問に答えていくという形式。ヒアリングが苦手な自分には一番難儀な授業でしたが、段々慣れてきました。LL教室での授業でしたが、機械がよく故障してました。

○漢語口語
会話文の読解と2人1組の会話練習が中心の授業。「3人以上の人に結婚時の愛情と金銭の関係についてインタビューしてこい」とか、「商店の老板に経済危機が商売にどう影響しているかインタビューしてこい」という難儀な宿題が出たのもこの科目。

それぞれ中間・期末と2回試験があります。(そして期末試験は年明けの1月5日から……)漢語口語の試験についてはペーパーテストではなく、任意のテーマについて教員と数分間会話するという内容で、ある意味徹底してます……
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今学期受けた講義 【古文字編】

2008年12月28日 | 留学
早いもので今年も残す所あとわずか……と言いたい所ですが、中国にいるとあまりそんな感慨が湧いてきません(^^;) 一応元旦から3日間は祝日ということなんですが…… 取り敢えず忘れないうちに今学期受けた講義の内容をメモしておきます。まずは古文字関係の講義から。

○金文研究
修士課程の講義。馬承源の『商周青銅器銘文選』第3巻を講読。教授に指名された学生が金文の拓本だけを見て文字を隷定していき、銘文の内容を現代語に翻訳していく。その後で教授が問題となる文字や詞語について解説。

○博士課程演習
2週間に1度開講され、教授が各人の博士論文の進み具合を確認したうえで毎回2~3人ずつ院生が中間発表を行っていくという形式。

○『説文』与古文字字型
修士の講義。最初は『金文編』をテキストとしていたが、途中から『古文字類編』増訂本に変更。これらのテキストを1文字ずつ確認していき、各文字の成り立ちや解釈の変化、またテキストの錯誤(隷定の間違い、文字の重複など)を教授が指摘していくというスタイル。2~3回に1度のペースで古文字を隷定していく漢字テストがある。こういう辞書を1頁目から見ていくという講義形式は、中国では割と一般的であるらしい。

○商周青銅器
これは私の所属先の古籍研究所ではなく、考古系の修士課程の講義。教授がパワーポイントで図版を映し出し、夏・商・西周・東周各時期の青銅器の特徴(器形・紋様など)を解説。毎回終わりに指名された学生がモニターに映し出された青銅器の時期区分とその根拠を述べる「鑑定練習」がある。

それぞれ1回の講義時間は3時間程度、出席人数は20人前後で、博士課程演習以外は学期末に試験がありますが、私は単位は必要ないので受けていません(^^;) しかしどれを取っても日本の大学院よりハードな内容だよなあ……
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『少林僧兵』その2

2008年12月27日 | 武侠ドラマ
『少林僧兵』第8~14話まで見ました。

戚継光の陣営で月空・月文は兵士達に少林功夫を指導することに。当初は兵士が言うことを聞かず手を焼きますが、次第に月空が兵士達の信望を得て出家を希望する兵士が続出し、「少林僧兵」を結成。

そんな中、倭寇が戚継光軍の駐留する寧波を急襲しますが、戚継光や月文と親しい李若蘭が軍の機密を倭寇側に漏洩し、戚継光軍は倭寇に追い詰められ……

この若蘭というキャラ、幼い頃に倭寇に父親を攫われ、以来寧波の女老板孫海清の経営する酒場で働きながら父親を捜しているという設定。ところが汪直の義子の少船主毛海峰と取り引きし、父親の行方を教えてもらうのと引き替えにスパイ行為を働いた次第。その父親は寧波に攻め寄せた倭寇に現在も囚われの身となっています。元々朝廷の欽犯で娘とともに漁村に身を隠していたということですが、どうやらそれ以上に大きな秘密がある様子…… その若蘭自身もお尋ね者となってしまいます。

一方、月文も少林寺に預けられて以来消息不明となっていた両親の居所を探り当て、15年ぶりに再会しますが、なぜかすげない態度で接され、追い返されてしまいます。どうやら月文の出生にも大きな謎がある様子。

以下、今回のツッコミ所。

○秀子の護衛風語は柳生新陰流の使い手。

○秀子の実家と対立する山口家の家臣として羽柴秀吉(中文字幕では豊臣秀吉)と織田次郎なる武士が登場。二人ともなぜか公家の姿。

○汪直はこの羽柴秀吉・織田次郎に対して日本語で話をしますが、なぜかその日本語が文末に「~アルね」とか「~アルよ」がつく典型的なアルアル言葉。日本語担当スタッフは中国人のようですが、出来すぎです(^^;)

○ひたすらトラブルばかり起こし、しかも倭寇との戦争をほったらかしにして両親に会いに行く月文はどうよと思いきや、演じているのは『大旗英雄伝』でアホの雲錚を演じている俳優さんと言うことで何か納得。(顔写真は新浪網の紹介サイトを参照)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『絶代双驕』第7巻

2008年12月26日 | 小説
古龍著・川合章子訳『マーベラス・ツインズ契 第4巻 貴公子の涙』(コーエーGAMECITY文庫、2008年12月)

こちらは昨日のクリスマスの日に韓国人の同学が金庸ファンであることが判明し、大いに盛り上がってましたが、皆様はどんなクリスマスを過ごされたのでしょうか(^^;) その同学曰く、韓国では『射英雄伝』が『英雄門』となっているなどタイトルが異なっているものがあり、また現在は翻訳本が手に入らないということです。(何か権利上の問題があったのでしょうか)

その同学に手元に届いたばかりの日本語版の『鹿鼎記』を見せたのですが、さすがに『マーベラス・ツインズ』は恥ずかしすぎて見せられませんでした(^^;)

で、その『マーベラス・ツインズ』であります。

ようやく正ヒロインの片割れの蘇桜が登場。ドラマ版『プライド』でも登場したキャラですが、原作では十二星相の魏無牙の養女という設定だったんですね。同じく新登場の白夫人もいかにも古龍キャラという感じです。

で、最後に花無欠が行方不明となって続きが気になるところですが、次回刊行予告を見ますと、何か続きは来年2月以降にケータイで配信とか書いてあるんですけど。しかもタイトルは『マーベラス・ツインズ絆』とますます恥ずかしいものに変更されてます。

今までCDドラマ化、タイトル変更、コミック化と、まさに古龍作品の展開のごとく常に我々の想像の斜め上を行っていたこのシリーズですが、ケータイ小説化という展開はさすがに予想できませんでした…… さすがにそこまで付き合いきれないよ!これはもう大人の読者は中文版を読めという天のお達しでしょうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今後の予定

2008年12月24日 | 留学
先日の漢語節目比賽ですが、今日になって自分のクラスの出し物が3位入賞していたことが判明(^^;) 当日の表彰式はクラス代表しか出席していなかったので知らなかったんですね……

新年の予定ですが、1月10日から14日まで上海・杭州を旅行し、1月20日に一時帰国、2月19日に長春に戻って来る予定です。日本に1ヶ月もいなくていいじゃないかと思われるかもしれませんが、私もチケットを予約した後でそう思いました……

上海・杭州旅行については上海・杭州それぞれ2日半ずつ見て回る予定ですが、航空券の都合で1日目の夕方に長春を発って最終日5日目の午前中に杭州を発つため、上海・杭州それぞれ実質1日~1日半しか滞在できない見通しです。

ということで見て回る所を絞る必要がありますが、上海は取り敢えず上海博物館と書店を見て回り、時間の余り具合を見て豫園・外灘に立ち寄ることになるかと。杭州は西湖十景をいくつか冷やかしているうちに時間切れになりそうです。六和塔も見たいけど西湖からだいぶ離れてますね。

しかし瀋陽旅行の時から思ってることなんですが、どうして私が旅行を計画すると時間との戦いみたいな余裕の無い状態になってしまうのでしょうか(^^;) 宿代をケチろうとするのが良くないのかもしれません……
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『少林僧兵』その1

2008年12月22日 | 武侠ドラマ
『少林僧兵』第1~7話まで見ました。

オープニングテーマが映画『少林寺』のテーマソングのアレンジ、そしてアクションシーンに関しては少林寺が全面的にバックアップということで、てっきり『少林寺伝奇』の第2部だと思い込んでましたが、どうやら両作品は関係がないようです……

舞台は倭寇が跋扈する明朝嘉靖年間。母親を倭寇に殺された月空少年はサモ・ハン・キンポー演じる少林寺の大脚僧の弟子となり、兄弟弟子の月文とともに修行に励むことに。十数年後、2人は明軍による倭寇討伐に協力するため下山を命じられ、戚継光将軍のもとに赴きますが…… ということで少林寺の僧兵が戚継光と協力して倭寇と戦うというストーリーになっていくようです。

戚継光は一応実在の人物ですが、第1話から倭寇と結託する上官の命令を無視して敵軍に突撃し、命令違反のかどで処刑されかかったり、顕官の親戚で何かと兵士の訓練を妨げる隊長格を「これではまともな仕事が出来ないから」と後先顧みず処刑したりと、かなり熱いキャラになってます(^^;) 

この作品の実質的な主役と言ってしまっても良いと思いますが、髪型は下の画像のごとくなぜか桃太郎侍みたいになってます。



このほかの実在の人物としては厳世蕃・胡宗憲・汪直(王直)などが登場。同じ時期の話ということで以前鑑賞した『大明王朝1566』とメンバーがかなりかぶってますが、作品の雰囲気はまるで違います(^^;) 汪直は著名な海商で後期倭寇の頭目ですが、本作では倭寇の黒幕として登場します。

サモ・ハン・キンポーは坊主のくせになぜか長髪です。



しかし他のキャラもサモ・ハンが太っていることにはツッコんでも髪のことには一切触れず、月空・月文も当たり前のようにサモ・ハンの髪を洗うのを手伝ったりしてます……

この作品の見所のひとつは日本人キャラの日本語がやたらうまいということでしょうか。特に月空に絡む日本の大名のお姫様秀子とその護衛風語に関しては日本語の発音がうまいというだけに留まらず、日本語の台詞自体がかなり自然な表現になっています。中文字幕と照らし合わせてみると元々の中文の台詞を直訳しているのではなく、意訳気味ですね。

ただこの秀子というキャラ、月空を運命の人と信じ、達者な語学能力を生かして風語と少林寺との間に遺恨を生じさせ、邪魔な風語を追っ払おうとしたり、なかなかの困り者です(^^;) そもそも彼女らが明にやって来たのは隣国に責められて困っている父親のもとに明から援軍を送ってもらうためということですが、発想が邪馬台国の時代から変わってないよ……
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

漢語節目比賽

2008年12月19日 | 留学
本日漢語課の方で「漢語節目比賽」なるイベントがあり、それに参加してました。要するに漢語課のクラス対抗の学芸会ですが、「全員参加」の名の下に当然のごとく私も参加するハメに……

私のクラスは十二支の順番が決まる話(どうして猫が十二支に入ってないかを説明する話)を演劇で上演しました。私は辰年ということで龍の役になりましたが、化粧で目の隈取りや髭をペインティングされてえらい状態に…… (他の動物の役も鼻やら髭をペインティングされてました)しかもペインティングされた状態でウロチョロしてたら、大学院の方の知り合い(しかも女性)に遭遇して思いっ切り笑われました(-_-;)

ここ一週間ぐらい午後はずっとこの劇の準備や練習に駆り出されてましたが、明日からはようやっと通常モードに戻ってまったり出来そうです……
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『李小龍伝奇』その7(完)

2008年12月17日 | 武侠ドラマ
『李小龍伝奇』第44~最終50話まで鑑賞。

『唐山大兄』(『ドラゴン危機一発』)、『精武門』(『ドラゴン怒りの鉄拳』)と大ヒットを飛ばす小龍。ついで『猛龍過江』(『ドラゴンへの道』)では監督兼脚本兼主演としてイタリアロケを敢行。『龍争虎闘』(『燃えよドラゴン』)では念願のハリウッド進出を果たしますが、この頃から謎の頭痛や昏倒に悩まされるようになり、更に因縁の黄皮小子から再度決闘を求められ……

ということで長かった『李小龍伝奇』もいよいよ最終ラウンド。しかし『唐山大兄』・『精武門』の監督に対してあからさまに「俺の方がアクションを分かっている」と偉そうな態度を取ってブチ切られたり、緊急入院した病院から「もう治ったから」と脱走したりと、やってることは高校時代と変わりません(^^;)
 
これに対してライバルの黄皮小子は決闘に応じるまで小龍の自宅に夜中にイタ電をかけまくるなど、輪をかけてDQNな行動を取る始末。彼に関しては「粘着厨」という言葉がピッタリ来ますね。

このほか気になったポイントとしては、『唐山大兄』が大ヒットした直後にマスコミからカンフー映画スター「王宇」の作品についてどう思うかとインタビューされるシーンです。この「王宇」は明らかに王羽(ジミーウォング)をもじった名前で、当時王羽の映画を見た小龍が「これなら俺の方が凄い作品を撮れる」という感想をもらした逸話が残ってますが、ドラマの方では王羽が現在も存命なのに配慮してか、「王宇の作品は見たことがないからよくわからない」とインタビュアーに答えています。

最終話では小龍の口から『死亡遊戯』の次回作『細鳳』の構想が明かされますが、小龍が皇帝に刃向かう師兄と皇帝に仕える師弟、この対立する兄弟弟子を一人二役で演じるという、何とも面白そうな話なんであります。これがドラマのオリジナル設定なのか、当時本当にこういう構想が練られていたのかが気になるところなんですが……

【総括】

全50話を見終わって、ブルース・リーは今やすっかり中国の民族英雄になってしまっているんだなあと痛感。本作ではブルース・リーをアメリカでの華人の地位向上を志し、世界に中国武術「功夫」の存在を知らしめた人物として描き、更に「俺は中国人だっ!」「中国人は東亜病夫ではない!」というメッセージが要所要所で強調されていましたし。ただ、その割には小龍のDQN臭い態度や行動が目立っていましたが(^^;)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フォロー二題

2008年12月16日 | 留学
以前日本からやって来たT氏と夕食をご一緒しようとして行ってみたら閉店していた近所の清真食堂ですが、その跡地にいつの間にやら「美国加州牛肉麺大王」のチェーン店が建ってました。このチェーン、カリフォルニア在住の李先生が長年の研究を経て創り出したスープが売りという触れ込みなんですが、わざわざここに店を建てなくても近辺あちこちにチェーン店があるのですが……

しかし蘭州牛肉麺の店(蘭州牛肉麺屋と清真食堂を兼ねていたのです)が潰れて李先生の牛肉麺屋が出来るとは(-_-;)

フォローついでにもう一つ。吉林大学に金庸が来ていた件ですが、講演・質疑応答の内容をまとめた記事を発見。

「吉大論剣金庸揮洒“降龍十八掌”」『新文化網』

ケンブリッジ大に提出した修士論文のテーマが『初唐皇位継承制度』で玄武門の変について触れているとか、作品の修改についてはまだまだやる気なので皆様の意見を募集中だとか、色々面白い内容が盛り込まれてます。

ただ、この時授与された名誉教授というのは日本の名誉教授とは異なるもので、名誉博士とか名誉市民と同様に意味合いがかなり軽い称号のようですね。日本の名誉教授に相当する称号(退職した教授に授与されるもの)はこちらでは「栄休教授」と呼ぶのだとか……
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする