博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『天皇はなぜ万世一系なのか』

2010年11月27日 | 日本史書籍
本郷和人『天皇はなぜ万世一系なのか』(文春新書、2010年11月)

私的にはタイミング良く本郷和人氏の新著が刊行されたので、これも読んでみることに。タイトルが随分とキャッチーですが、中身の方は本郷氏が今までの著書の中で取り上げた事項等を「世襲と才能」というテーマを軸にまとめ直したもので、今までの著書とかなりネタがかぶっております。中国のような官僚制が存在しなかった日本において、朝廷・幕府・寺社が高貴な血筋を重んじつつ実務家をどのように登用していったかが話の中心です。

本書の中で、特に平安時代の武士には残虐な戦士としての側面と、一通りの教養を身に付けた馬術・弓術などの芸能者(本書では「スポーツマン」と表現しています)としての側面とがあり、どちらが武士の本質かという議論がなされることがあるが、このような設問には意味がなく、武士は基本的には残虐な戦士であり、時たま突然変異的に教養を身に付けたスポーツマン的な武士が出て来るのだとしています。

これを分かりやすくまとめると、武士には基本的にラオウとかジャギとかサウザーみたいな奴らしかいないが、その中で稀にトキとかケンシロウみたいなのが出て来るということになるわけですね(^^;)

タイトルにある「天皇はなぜ万世一系なのか」という疑問については、日本は中国などと比べても支配者層の世襲をより重視するお国柄で、更に一夫多妻の状況下で皇子は常に余っており、皇女については皇族以外との結婚は避けられる傾向にあった。これにより、気がついてみれば自然と男系による皇統が連綿と続いてしまうこととなった。言わば「万世一系」とは計画的なものではなく、結果としてそうなったものにすぎないと結論づけています。このあたりは色々と異論があるところでしょうが……
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『侠骨丹心』その3

2010年11月26日 | 武侠ドラマ
『侠骨丹心』第13~18話まで見ました。

史白都から「七歩殺拳」を食らい、半死半生の状態で砂漠の中にそびえる万里の長城まで辿り着いた金逐流。(このドラマ、1日・2日の単位で物凄い距離を移動してますな……)そこで行き倒れになってたところを南星に救出され、「七歩殺拳」による内傷を治してもらいます。そして意気投合した2人は義兄弟の契りを結ぶことに。

実はこの2人の前代である金世遺と勝王は、金の息子(すなわち金逐流)との甥(すなわち南星)が青年になったら互いに対面させて対決させるという約束をしており、その約束の期日が迫っているのですが、お互い目の前にいるのがその相手だとは気付いておりません。名前を聞いた時点でピンと来いよとツッコミたいところですが……

その頃、史紅英は兄の史白都が結局家宝の「玄鉄」を取り戻せず、魏忠賢の還暦祝いとしてやむを得ず偽の「玄鉄」を贈ったところ、それが露見して捕らえられたという話を聞き、居ても立ってもいられずに還暦祝いの宴が行われている魏忠賢の屋敷へと急行。ついでに金逐流と南星も彼女を助けるために乗り込みます。しかしそれは史白都が妹と「玄鉄」を奪った金逐流をおびき寄せるための嘘でありました。「オレが魏忠賢に捕まったと言ったな。あれは嘘だ。」と、3人の前に意気揚々と姿を現す史白都。……こういう展開、前にも見たぞ(^^;)

そこへ魏忠賢誅殺を企む尉遅炯一味も乗り込んできて大乱闘に。このあたりのアクション・シーンはさすがに見応えありますね。しかし事は破れ、史紅英は兄に捕らえられて魏忠賢の義子帥孟雄と婚約させられ、金・らは辛くもその場を逃れます。

その後、金逐流は「玄鉄」を材料として造られた「玄鉄宝剣」を南星に贈り、それぞれ別行動を取って史紅英の救出を図ることにします。六合幇のアジトに乗り込んだ南星ですが、史白都は彼が史紅英に好意を抱いてることを知っており、妹との婚約をエサに六合幇の盟友としてスカウトすることに。妹の婚約者の座をめぐって、南星とやはり彼女に好意を抱いている金逐流とを仲違いさせるという策略で、金逐流を始末させた後は「妹をお前にやると言ったな。あれは嘘だ。」とばかりに南星をも始末するという腹づもりなんですが、南星は「オレもホントは世のため人のために戦いたいんだ」「魏忠賢に仕えるのはもうウンザリだ」という史白都の戯言を信じてウカウカとその話に乗ってしまいます……

そこへタイミング良くアジトに乗り込んでくる金逐流。史白都は早速南星に始末させようとしますが、南星は「義兄弟は裏切れない」とあっさり拒否。「じゃあもういいよ」ということで、今度は彼に西域の文字で書かれた『百毒真経』を解読させることにします。『百毒真経』は天魔教に伝わる武功で、その前半部だけが江湖に伝わっていましたが、後半部を銘文として刻んだ鐘が史白都の手中に収まったという次第。南星は取り敢えず言われた通り解読に励むことにしますが…… 

なんつーか、南星が頭がいいんだか悪いんだか分からない(-_-;)
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『武士から王へ』

2010年11月23日 | 日本史書籍
本郷和人『武士から王へ ―お上の物語』(ちくま新書、2007年10月)

同じ著者の『選書日本中世史1 武力による政治の誕生』が面白かったので、旧著のこちらも読んでみることに。当然と言えば当然かもしれませんが、内容は『武力による政治の誕生』などと一部重複しております。

本書の主旨は以下の通り。鎌倉幕府は武士の武士による武士のための政権であり、御家人の生活さえ成り立てば民衆がどうなろうと知ったこっちゃないという発想で、当初は民衆を統治する意志も能力も無かった。しかし次第に北条重時・安達泰盛・南北朝期の足利直義など民を愛護し、民衆の統治というものを真剣に考える人士を輩出するようになり、武士は長い時間をかけて民衆を統治することを学んでいった。そして戦国大名に至っては、領民に対するより良い統治が領国を保つ要件と見なすようになったのである。

……やっぱり中世の日本がリアル『北斗の拳』に見えてくるのですが(^^;) 本書を読んでるとどうしてもモヒカン兵が村の長老から来年の種籾を強奪したり、「汚物は消毒だーーーーーっ!!」と火炎放射器を振り回す絵面が浮かんできます。そして鎌倉武士や南北朝期のバサラ大名と比べて織田信長ら戦国大名が真っ当な常識人であったように思えてくる始末…… 戦国時代って、源平合戦の頃とか南北朝時代と比べるとまだ世の中に秩序というものがあったんじゃないのかという気すらしてきます。

本書でウケた一文。「いくら武士の知能が高くないとはいえ、かかる悲惨な事態が生じる前に、何らか対策を講じないものだろうか」(本書117頁。太字は筆者による。)……これはひどい(^^;) 
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『侠骨丹心』その2

2010年11月22日 | 武侠ドラマ
『侠骨丹心』第7~12話まで見ました。

江海天の邸宅にて、武当派の門人に扮して江を毒殺しようとする文道荘・文勝中父子の企みを暴き、そして一堂に金世遺の息子であることを明かす金逐流。毒酒の入った杯を奪い合う金逐流・文道荘のバトルは見ていてなかなか楽しいです。このドラマ、何だかんだ言ってバトル・シーンは目を引き付けるものがあるんですよね。

江海天の邸宅を出た金逐流は、丐幇の「小公主」仲燕燕の計らいで丐幇のアジトに身を寄せることに。仲燕燕は金逐流に一目惚れして何かと彼の世話を焼こうとするのですが、金逐流自身は六合幇幇主史白都の妹史紅英の方が気になる様子。ドラマとしての扱いでも史紅英の方が正ヒロインのようですが、どう見ても仲燕燕の方がかわいいです……

そしてそこでかつての天魔教教主勝男の墓を発見。しかし墓石には「愛妻勝男之墓 金世遺」という文字が…… 「おいおい、それじゃあオイラの母ちゃんの立場はどうなるんだいっ!?」と丐幇幇主仲長統に詰め寄る金逐流。そこで仲長統の口から過去の因縁が語られるのでありました。20年前、勝男は家族の仇で当時の武林を牛耳っていた孟神通を、金逐流の父金世遺の力を借りて打ち破ったのですが、彼女は孟神通の修羅陰煞功を食らって余命幾何もありませんでした。家の遺訓により孟神通を倒した者は勝男の婿になることになっており、当時金世遺には恋人(すなわち金逐流の母)がおりましたが、勝男の気持ちを慮って彼女が死ぬまで夫婦として通したという次第……

一方、六合幇幇主の史白都は魏忠賢より還暦の祝いに幇に代々伝わる宝物「玄鉄」を寄こすように命じられ、散々悩んだ挙げ句、配下の董十三娘と円海に都まで配送させることに。しかしその「玄鉄」は丐幇のアジトを発った金逐流に奪われてしまいます。史紅英も兄が奸物魏忠賢と結託するのを快く思っていなかったので、金逐流に協力。

しかしその後、「玄鉄」を奪われたことにより兄が心身を病んで白髪となったことを知って心を痛めた史紅英は、金逐流から「玄鉄」を取り戻そうとします。酒場で「玄鉄」の扱いをめぐって口論している所に、意気揚々で髪も黒々としている史白都が登場。「ハッハッハッ!オレは心身を病んでいると言ったな。あれは嘘だ。」 何か物凄い猿芝居が来ましたよ(-_-;) 六合幇のメンバーに包囲され、史白都に「七歩殺拳」を食らわされながらも何とかその場を逃れた金逐流ですが、「七歩殺拳」は食らったが最後、7日後には必ず死亡するという悪辣な武功で……
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『侠骨丹心』その1

2010年11月19日 | 武侠ドラマ
梁羽生原作の武侠ドラマです。以前からOPがやたらカッコいいので気になっていたのですが、MAXAMから日本語版が出るということで見てみることにしました。今回は第1~6話まで鑑賞。


『侠骨丹心』OP

時は明末。朝政の実権を握る魏忠賢は、武林を制覇すべく天魔教教主の勝男(女性)から『百毒真経』を奪い取ろうとしていましたが、「拐侠」金世遺の活躍によりその野望が阻まれます。それから20年後。南海の孤島に隠居する金世遺は、一番弟子の江海天の娘が結婚するとの知らせを受け、息子の金逐流(こいつが主人公)を婚礼に出席させることにし、またついでに勝男の後人(勝男自身はお亡くなりになったらしい)と対面させることに。

当時の武林の状況は、魏忠賢が六合幇など有力な幇会を支配下に収める一方で、江海天は武当派などの名門正派と連携し、西昌の地で反乱をおこした尉遅炯を密かに支援。一方、天魔教は20年前に教主の勝男によって解散が宣言されましたが、その残党が勝男の甥南星(これが主人公のライバル的存在になるらしい)を教主に迎えて教団復興を図ろうとしているという次第。(ただし南星は教主就任を拒否し、身を隠している。)

そんな中で中土に辿り着いた金逐流は、六合幇幇主の妹史紅英や丐幇幇主の孫娘仲燕燕といったヒロインと出会い、珍道中を繰り広げます。そして江海天の娘の婚礼に潜り込み、江海天の毒殺を目論む文道荘と対峙することになりますが……

ということで、どう見てもこの前段となる小説がありますよねと思ってググッてみたら、やはり親父の金世遺を主人公とした『雲海玉弓縁』という作品があるようです…… で、この作品の主人公金逐流は僻地で育ったことにより世間を知らず、お調子者ですが、親父に仕込まれたせいか武功の方は滅法強いという設定。江海天の娘の婚礼で丐幇幇主らに武功を試されても平気な顔をしております。

今のところストーリーの方は進んでいるようで進んでいないという感じなんですが、テンポがいいのであんまりそのあたりは気にならないですね。あと、アクションシーンは李亜鵬版『射英雄伝』のスタッフが関わっているだけあって、それなりに見応えがあります。
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『神話』その8(完)

2010年11月16日 | 中国科幻ドラマ
『神話』第45話~最終第50話まで見ました。

玉漱公主と再会する日を夢見て、劉邦を助けるべく鴻門の会に出席したりと色々活躍する易小川。その間、高嵐のそっくりさんの小月は項羽と添い遂げて虞姫と名を改めます。予想通りこの人が虞美人でしたね。で、項羽が西楚の覇王として天下の覇権を握ると、小川は政治の表舞台から隠退し、いよいよ始皇帝陵の抜け道を掘り出して玉漱と再会。しばしの間キャッキャウフフと遊びほうける2人でしたが、幸せな時間も長く続かず、2人に嫉妬した呂雉と高要の陰謀により、2人は再び離ればなれに……

玉漱が始皇帝陵の最奥部「天宮」に閉じ込められたうえに救出もかなわず、長い年月を無為に過ごす小川。そして烏江で項羽と小月の最期を見届け、小月を埋葬。漢王朝を創始した劉邦は「蒙毅」を趙高に殺されたということにし、更に「易小川」の名前を史書より抹消。こうして易小川の存在は歴史の闇に埋もれていくことになったのでした。

そして更に長い年月が過ぎ去り、小川と高要がタイムスリップしてからちょうど60年が経ったということで、以前の約束の通り2人は湯巫山へ。(その2を参照)湯巫山の主は2人の前にタイムスリップの原因となった宝盒を差し出しますが、その中身は案に相違して空っぽ。湯巫山の主曰く、「あなた方は不老不死なんですから、このまま2000年間生き続けたら自ずと元の時代に戻れるはず。」……何という酷い展開(^^;) 

宝盒の力で現代に戻れると思っていた高要は小川らに呪いと罵りの言葉を吐いて何処へかと立ち去り、小川は宝盒の中に父・母・兄・高嵐への手紙を封印し、これを小月の墓に埋葬。この墓がドラマの冒頭で発掘されていた古墓となるわけですね。そして湯巫山の主は宝盒の鍵を弟子の「五行者」に託し、それが現代へと継承されることに……

そして現代。「五行者」の子孫を全員集めて宝盒の封印を解いた易一家は、その中に入っていた手紙から真実を知って驚愕。更にその直後に盗掘団のボスである黒衣の男に全員拘束され、始皇帝陵の最奥部「天宮」へと搬送されます。下はこの黒衣の男の画像。この格好でワインとか飲んでる場面が出て来ますが、どうやって飲んでるのかとかツッコまないでやって下さい(^^;)



「天宮」では既に2000年後の小川が封印を解いて玉漱と再会していましたが、再会シーンはまんま『神雕侠侶』の16年後の絶情谷での再会シーンです…… そこへ易一家らを連れてやって来る黒衣の男。その正体はなんと…… ということで、後は12月にリリースされる日本語版DVD等でご自分でお確かめ下さい。

ラストではムリヤリ映画版と結びつけてますが、(小川の体験を元にして作られたのがジャッキー・チェン主演の映画版という設定。)最後に映画版のヒロインであるキム・ヒソンが映った看板に投げかけられるセリフ「お前には彼女ほどの美しさは無いよ」というのは、いわゆる楽屋オチというやつでしょうか(^^;) 当初玉漱役には映画版と同じくキム・ヒソンをキャスティングしようとしたら断られたということですが……

【総括】

映画版はそこそこ面白かったし、ドラマ版の方も一応チェックしておくかという感じで見始めたのですが、小川が秦代で携帯の充電器を自作したあたりからグングン話に引き込まれていきました(^^;) 全50話という長丁場ながら、ほとんどダレ場無しでしたね。もうこれが今年の中国古装ドラマナンバーワンということでいいと思います。え?『三国』?何それ、つおいの?www
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『イングランド王国前史』

2010年11月14日 | 世界史書籍
桜井俊彰『イングランド王国前史 アングロサクソン七王国物語』(吉川弘文館歴史文化ライブラリー、2010年11月)

日本語の本としてはかなり珍しいイギリス七王国(ヘプターキー)の通史本ということで購入。『イングランド人民の教会史』『アングロサクソン年代記』を主要な史料として(著者によると日本の『古事記』『日本書紀』とそれぞれ性質・関係が似通っているということですが)、七王国のうちケント・イーストアングリア・ノーサンブリア・マーシア・ウェセックスの5カ国の主要な王の事績を解説しています。

それにしてもウェセックスのエグバート(エグベルト)とアルフレッド大王ぐらいしか知った名前が出て来ないうえ、エゼルベルト・エゼルウルフ・エゼルフリッド・エアドバルト・レドワルド・オスワルド等々と、出て来る人名が耳慣れない&実に紛らわしい…… 巻末に各王家の系図とかが付いていれば良かったと思うのですが。ちなみにこれらの名前が元来のアングロサクソンのネーミングで、チャールズとかヘンリーとかウィリアム等々はフランス由来のネーミングとのこと。本書でも出て来るエドウィンとかエドワードはアングロサクソン名がその後も継承された例らしい。

また『イングランド人民の教会史』『アングロサクソン年代記』において各国の王の中から7~8人の覇王(ブレトワルダ)が設定されているということですが、このあたりは中国の春秋・戦国時代を想起させますね。仇敵の魔の手から逃れるべく各国に亡命して渡り歩き、最後には覇王となったノーサンブリア王のエドウィンの生涯はまんま晋の文公という感じがします。

あと、七王国の世界観を取り入れたファンタジー作品というのも探せば意外とあるんですね。マーティンの『氷と炎の歌』はイギリスのバラ戦争をモチーフとしたファンタジー作品ということになってますが、そっちよりも七王国時代の方が雰囲気が近いように思います。それと光栄が昔出したシミュレーション『ロイヤルブラッド』は、登場キャラクターの名前からしてモロ七王国です(^^;) エセルレッドとかウルフヘルとか、本書に見えるような名前がぞろぞろと出て来ます。
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Twitterログ表示

2010年11月14日 | 雑記
gooブログで、ようやくサイドバーでTwitterのログが表示できるようになったということで、早速導入してみました。画面右側「最新コメント」欄下の所に表示されていると思います。取り敢えず最新7件のコメントが表示されるようです。
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『神話』その7

2010年11月12日 | 中国科幻ドラマ
『神話』第39~44話まで見ました。

趙高に慢性の毒を盛られ、日に日に病で衰えていく始皇帝ですが、東海で不老長寿の薬が発見されたと聞き、巡行を決意。趙高や護衛係の易小川・李由のほか、皇妃の地位に復帰した玉漱公主も同行します。そして本当に不老長寿の薬を発見。薬を採りに行く小川ですが、途中で図安国の金将軍の襲撃に遭い、薬を李由に託して壮絶な戦死を遂げます。

この金将軍、趙高と結託して祖国を蹂躙した始皇帝に一矢報いようとしていたのであります。(ちなみに小川とはその2のあたりで知り合って友人となっているのですが……)不老長寿の薬は全部で3粒ありましたが、1粒は毒味として玉漱が、もう1つは趙高が飲み、2人とも本当に不老不死になってしまいます。しかし病身の始皇帝は趙高に意地悪されて薬を飲ませてもらえず、そのまま病没。そして趙高は李斯とともに、史実通り胡亥を二世皇帝として擁立。

秦王朝の実質的な支配者となった趙高は、金将軍を刺客として使って反対派を粛清。最後には邪魔になった金将軍をも始末しようとしますが、彼は今際の際に李由に実は小川は死んでおらず、某所にかくまってもらっていると告白。しかし小川は重傷を負い、薬湯に漬けられたまま意識が回復しないでいるのでした。李由からこのことを知らされた小月は、義兄の趙高が贈られた不老不死の薬の最後の一粒を小川に飲ませます。

その甲斐あって意識を取り戻した小川ですが、小月から玉漱公主が始皇帝陵に殉葬させられたことを知ると、いつの日か陵墓に侵入して彼女を救い出すことを決意。玉漱は不老不死になっているので、陵墓に埋められてもずっと生きているというわけですね。秦王朝に見切りを付けた小川は小月とともに項梁・項羽のいる会稽へと向かい、彼らともに秦王朝に対して反旗を翻します。また沛県の劉邦も味方に加え、項羽・劉邦・小川のうち、先に咸陽を陥落させた者を関中王とすると約束。

しかし小狡い劉邦は章邯・李由といった強敵を項羽や小川に当たらせ、2人が苦戦している間に趙高と裏取引をして悠々と咸陽へと入城。趙高は劉邦に咸陽を明け渡す替わりに命を助けてもらいますが、劉邦から「趙高はもう死んだということにしてしまって名前を元に戻せよ」と言われ、再び高要と名乗ることに。

……ここまでツッコミポイントがありすぎて、(特に不老不死の薬関連)どこからツッコンでいいやら分かりません。タイムマシンが存在する世界だから不老長寿の薬が存在してもおかしくないと達観すべきなのでしょうか(^^;) それにしても小川が戦死するシーンは一体何だったのかという気が…… 今までの活躍ぶりを見ると、あれぐらいの敵を相手に戦死するのは明らかにおかしいのですが……

一方の現代パートですが、古装パートと比べてどんどんと割り当てが少なくなっています。「五行者」の残り2人もなかなか出て来ませんね。小川の兄大川と高嵐がいい雰囲気になりかけるも、2人とも高嵐が小川の恋人だったという過去の呪縛から逃れられないなんてエピソードをやってますが、古装パートの盛り上がりと比べて明らかにどうでもいい展開です……
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『「史記」再説』

2010年11月11日 | 中国学書籍
加地伸行『「史記」再説 司馬遷の世界』(中公文庫・2010年1月)

以前読んだ『白川静の世界』で引用されていたので、新著かと思って取り寄せてみたら、1978年に講談社現代新書で出た『史記 司馬遷の世界』の改訂版でした…… 本書の目新しい主張としては以下の2点が挙げられます。

○『史記』孝武本紀を司馬遷の筆になるものとする。……孝武本紀は、一般的には早い時期に散佚し、現在のものは後人が『史記』封禅書をもとに補筆したとされています。これを本書では、少なくとも末尾に論賛がちゃんと付いているなど、形式的には問題ないとしていますが…… 正直私の目には孝武本紀は封禅書のコピペにしか見えません(-_-;)

○漢代までの書物には、説話の後ろに詩書を引用するという著述スタイルが多く見られるが、詩書の中で引用される箇所は大体決まっていた。司馬遷はこの形式にあきたらず、引用する句や書の範囲を広げ、更に論賛の形式を作りだした。……このあたりは原書の出版から30年以上経っても古びていない部分かなあと。

あと、原書のあとがきで武田泰淳の『司馬遷』について、戦時中の昭和18年に出た初版には序説と結語に太平洋戦争を賛美した言が見えるが、戦後に出た版ではこれを削って無かったことにしてしまっているのだが、これはいかがなものかというようなことを書いたら色々と反響を呼んでしまったようで、付論としてこの件について更に詳しく述べた文章を加えています。これがなかなか面白い。

戦時中はこういう戦争を賛美する言説を入れておかないと、当局の検閲を通過して出版にこぎつけることができなかったんだから仕方が無いという武田泰淳を擁護する意見に対して、著者は同時期に出版され、同じく古代中国に関する研究所である森三樹三郎の『支那古代神話』や重沢俊郎の『周漢思想研究』にはそんな言説は全く見られないが、それでもちゃんと出版できているぜ?などと反論しています。何というか、反論の仕方がいちいち大人気なくて思わず笑ってしまいました(^^;)
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