博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『慶余年』その6

2020年01月27日 | 中華時代劇
『慶余年』第31~36話まで見ました。

慶帝に罪に問われることになった長公主。范閑は父親から長公主を擁護して和解しろと諭され、一瞬その気になりますが、亡き滕梓荊のことを思い出して慶帝に彼女の処罰を請います。そして長公主は京都を追放され、封地の信陽へと赴くことになりますが、これは同時に彼女子飼いの侍衛統領燕小乙の怨みを買うことにつながるのでした。

范閑は慶帝より、蕭恩・司理理を北斉まで護送して言氷雲の身柄を引き取るという人質交換の大任を与えられます。


かつて陳萍萍を下半身不随に追い込み、鑑査院に長年幽閉されていた蕭恩。范閑は慶帝より、蕭恩を途中で体よく抹殺せよという密命を受けます。王啓年、そして父親から付けられた高達をお伴に北斉へ。


で、護送中に蕭恩の身柄を奪回しようと、その義子にあたる北斉の大将軍上杉虎が急襲。戦国武将のようなネーミングですが、「上」が姓なのか「上杉」が姓なのか范閑自身が本人にツッコミを入れてます (^_^;)


そしてOP・ED映像でも異彩を放っている北斉の聖女海棠朵朵が登場。四大宗師のひとり苦荷の愛弟子で、蕭恩に怨みを持つ師父の命により、蕭恩の命を狙います。小悪魔系のキャラかと思いきや、直情径行の腕自慢で、イメージとは逆に范閑の悪知恵に手玉に取られています。

蕭恩と言えば、范閑は彼がどうやら母親や生まれ育った儋州と関わりがあるらしいと知り、暗殺指令を有耶無耶にしようと画策し始めます。もうひとりの護送者司理理も、このあたりで実は南慶の皇族出身であったという過去が明かされます。

おまけに范閑を付け狙う燕小乙、同じく長公主派として行動した父を投獄に追いやった仇ということで京都から彼を追ってきた郭保坤も乱入し、各自各様の思惑が入り乱れます。范閑は郭保坤に対し、京都に戻ったら父親のために嘆願してやるからという条件で、彼を味方に付けようとします。彼を証人にして燕小乙を謀反人に仕立てたいようですが……? 

そうこうしているうちに一行は北斉に到着。陳萍萍から要注意人物と聞かされていた錦衣衛鎮撫使の沈重に蕭恩と司理理を引き渡し、言氷雲の身柄を引き取るべく、北斉の都上京府に入城することになりますが……
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『慶余年』その5

2020年01月20日 | 中華時代劇
『慶余年』第25~30話まで見ました。

視聴者に見えないところでいつの間にか南慶と北斉とが戦争を初めて南慶側が勝利していたらしく、京都に北斉の使者を招いて講和の談判が行われます。そこへ箔付けということなのか范閑も南慶側の要員として出席。

談判は終始南慶側有位に進みますが、北斉に派遣されていた言氷雲が人質として捕らえられたという知らせが入ります。彼は鑑査院四処のボス言若海の息子で、将来を嘱望されていたのでした。結局南慶側が捕らえていた司理理・蕭恩(その昔陳萍萍を下半身不随に追い込んだ人物らしい)を人質交換的に釈放することに。

談判がまとまると、宮廷の祈年殿で北斉と東夷の関係者も招いて宴が開かれます。ここで北斉の当代随一の文人荘墨韓が姿を現します。どうも武力では南慶が勝るが、文化面では北斉が勝るという関係のようです。彼は范閑がかつて披露した「登高」の後半四句が自分の師匠の詩の盗作ではないか言うのですが、「登高」は范閑が前世の記憶からひねり出した杜甫の詩です。一瞬「よもやこの爺もタイムスリッパー!?」と思いましたが、そういうことでは全くなく、実は荘墨韓、長公主たちと結託して范閑を陥れようとしているようです。

盗作の嫌疑を掛けられた范閑は、酔っ払いつつも前世の記憶からありったけの詩詞を暗誦し、その詩才?を見せつけ、疑いを晴らします。詩だけでなく宋詞も混ざっているのが何となく気になるですが…… そして祈年殿の宴から帰ったその足で再び宮廷に忍び込み、皇太后の寝室の枕元から范閑の母親の残した箱の鍵をゲット。


で、遂に母親の残した箱の中身が明らかに。何だかよくわからない超兵器と、范閑・五竹の二人に宛てた手紙が保管されておりました。その手紙によると、范閑がいるのは異世界ではなく、地球に大氷河期が訪れて文明が氷で閉ざされてしまった後の未来らしい…… 我々の文明が滅亡後、文明が滅亡後、再び文明が勃興して彼が今いる世界が形成されたということです。

范閑の母親葉軽媚は、氷に閉ざされた旧世界から目覚めた人間のひとりということなんですが、范閑は氷の中から目覚めたというわけではなく、実験体として生まれたとのこと。詳しくは太平別院の池の地下に隠されているから確かめてみろということで、何とももやもや感を抱えたまま手紙は終わります。

范閑は宮廷に忍び込んだ際に、長公主が荘墨韓と結託していたということを知り、それを告発する怪文書を街中にばらまかせます。それはあっという間に陳萍萍によって范閑の仕業だと突きとめられてしまうのですが、陳萍萍自身も思うところがあるのか、怪文書にかこつけて慶帝の御前に長公主を呼び出して問い詰めます。


長公主が何とか尻尾をつかませずに逃げ切ったと思いきや、彼女の何気ない一言からこの人、陳萍萍の片腕のはずの鑑査院一処のボス朱格が長公主と内通していたことが判明。慶帝の前で申し開きをするか自害するかと迫られ、自害を選ぶことに…… ということで割とあっちこっちに話が飛ぶのですが、それぞれのエピソードが面白く見られるようになっています。


今回出てきた一場面。OP映像でも登場しますが、構図がカッコイイ。
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『慶余年』その4

2020年01月14日 | 中華時代劇
『慶余年』第19~24話まで見ました。


フラットに暗殺者が侵入して何事もなかったように処理される宮廷にて、范閑はいよいよ慶帝と御対面……だが、跪くのを拒否するなど、いちいち態度がデカいw その後、死んだ林珙の父親の宰相林若甫とも対面。范閑が林珙殺害に関与していないということで、晴れて婿と認められます。

ここで林若甫が范閑を婿と認める決め手となったのが、知的障害を負っている長男大宝をぞんざいに扱わず、友人となったからだという描写が入ります。周りの人間は大宝を侮り、父親が見ていない所でぞんざいな態度を取っていたらしい…… こういうのもポリコレだと言えば、中国エンタメ、あるいはポリコレそのものの見方が変わる人もいるかもしれません。


そして不審に思った太子が鑑査院に押し入って司理理を審問しようとしたタイミングで、鑑査院院長の達康書記もとい陳萍萍が帰還。実は側近だったらしい王啓年との連携プレーで太子を追い返します。

陳萍萍は林珙殺害の下手人を五竹と知りながら、慶帝の面前で「四大宗師」のひとりである東夷城の四顧剣が犯人だと偽って范閑を守ろうとします。気がつけば林珙の死は北斉の陰謀ということにされてしまい、体よく北斉との開戦の口実に使われることに…… 陳萍萍は范閑を赤子の頃から知っているということで(本作第1話冒頭で登場してます)、范閑の味方かと思いきや、実は婉児との婚約には反対で、范閑を内庫ではなく鑑査院の後継者にしたい模様。

内庫といえば、范閑の母親葉軽眉が残した箱の鍵が太平別院に残されているということで、范家・林家のピクニックにカモフラージュして太平別院を捜索しようとしますが、その意図に感づいているのかいないのか、慶帝が太平別院に巡幸していて失敗。ここで慶帝を守る侍衛統領の燕小乙と五竹が矢を射かけあってお互いに探り合いをしますが、この場面の演出が厨二好きのするものとなっており、なかなか素晴らしいです。


かつ、林若甫はなお范閑が林珙殺害に関与しているのではないかと疑っているようで、ピクニック中に刺客に襲わせて彼を救出するために武功高手が出現しないかどうか確かめようとしますが、うっかり現場にやって来ていた太子を襲撃するというヘマをやらかしますw 


范閑は婉児との婚約報告も兼ねて後宮の妃嬪にお目見えすることになりますが、婉児の母親の長公主とも御対面。ここで彼女の口から、儋州での刺客の襲撃も、牛欄街での程巨樹の襲撃も、すべて自分が裏で糸を引いていたと知らされます。彼女は滕梓荊の仇ということになりますが……というあたりで次回へ。
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『慶余年』その3

2020年01月08日 | 中華時代劇
『慶余年』第13~18話まで見ました。

前回出てきた謎の怪人こと北斉の八品高手程巨樹は、案の定范閑殺害のために何者かが司理理を介して京都へと連れてこられた刺客でした。范閑が二皇子のもとにお呼ばれし、牛欄街を通過しようとした時、この程巨樹が范閑を襲撃し、彼を守ろうとした滕梓荊が命を落としてしまいます……

程巨樹を捕縛した鑑査院では、院長不在の間代理をつとめる一処の朱格の政治的判断により、程巨樹の釈放を決定。北斉との関係悪化を恐れているようですが、それで収まる范閑ではなく、釈放されたタイミングを見計らって衆人環視の中で程巨樹を始末して仇討ちを果たします。鑑査院の意に背いたと朱格に捕縛される范閑ですが、そこへまたもや慶帝の裁定がもたらされ、無罪放免となります。


ここらへんで鑑査院の文書官でありながら観光客相手にセコい商売をしていた王啓年も鑑査院を追われ、滕梓荊にかわって范閑のパートナーとなります。


二人は程巨樹の背後関係を洗い出そうとします。ここで京都で名高い名妓の司理理が実は北斉のスパイで、北斉から程巨樹を連れてきた黒幕ではないかと気付きます。彼女の方もそろそろ足が付くタイミングと悟って逃亡しますが、途中で立ち寄った宿で二人とバッタリというベタな展開に (^_^;)


で、追跡の挙げ句に司理理の罠にはまり、山賊に包囲される范閑&王啓年だが、そこへ鑑査院院長陳萍萍の遣わした黒騎が…… 最初に出てきた紅甲騎士といい、こういう厨二演出は本当にすばらしいですw 司理理は京都に送還され、范閑に審問されることになります。范閑は彼女の背後に更に黒幕が存在すると睨みます。口を濁す彼女ですが、范閑謀殺のために彼女を介して北斉から程巨樹を雇ったのが、林婉児の二兄林珙であることが明らかとなります。

林珙は妹と范閑との結婚に強硬に反対しており、また范閑排除を企む太子派の人間であります。妹の婚約を破棄させるには范閑を消すしかないという結論に至った模様。范閑は、「たかが護衛のためにそこまですることはないのではないか」という周囲の声に絶望しながらも、滕梓荊の仇討ちのために林珙殺害を決意します。そこへ范閑が京都に到来して以来姿を消していた五竹が再登場し、范閑を気絶させたと思ったら、彼の手でさっくりと林珙を始末。「やったのはオレじゃない」と主張してもそうは見てもらえない状況の中、范閑は慶帝からお呼びがかかり……

主人公がとにかくエライ人からかわいがられるというのは武侠物ではよくあるパターンですが、本人が会ったこともない人から贔屓にされるという展開は珍しいかもしれません (^_^;)
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『慶余年』その2

2020年01月02日 | 中華時代劇
『慶余年』第7~12話まで見ました。

靖王世子主催の詩会に参加した范閑ですが、お目当ての「鶏腿姑娘」の姿は見えません。そして詩の方は予想通り、前世の記憶にあった杜甫の「登高」を自分の詩として披露し、大喝采を浴びます (^_^;)


范閑は裏庭に控えていた目つきの悪い二皇子に目を付けられ、呼び出されます。太子李承乾の兄にあたる人物ですが、後継者の地位をめぐって対立をしている模様。范閑が太子に狙われていると知り、彼を庇護下に収めます。

で、何となく靖王府内をうろついていたところ、またもやチキンを盗み食いしている「鶏腿姑娘」こと林婉児と再会を果たします。鶏肉が好きというより、病弱で健康への影響から生臭物全般が禁止されてるから肉を食べたいというスタンスなんですね。しかし2人はそれぞれ靖王府の侍女、重臣のドラ息子郭保坤の書童と身分を偽り、別れます。まだお互いが婚約者同士であることを知りません。


一方、鑑査院の工作員から密かに范閑のボディガードに転じた滕梓荊ですが、その妻子が郭保坤によって殺害されていたとわかって激高。先手を打ち、彼が早まった行動に出る前に、范閑が夜な夜な郭保坤を襲撃して重傷に追い込みます。しかし実のところ、滕梓荊の妻子が殺害されたというのは、一家の身を案じた鑑査院の王啓年による偽装工作で、彼の妻と子は王啓年の計らいにより、無事に保護されていたのでした。

范閑が郭保坤襲撃の際に名乗りを上げたのは、これによって悪評が広がり、林婉児との婚約が解消されて「鶏腿姑娘」と結婚できる状況になることを期待しているということなのですが、これにより、范閑は郭家から告訴されて京都府尹による裁判にかけられることになります。彼自身のことだけならまだしも、范閑によって始末されたことになっているはずの滕梓荊の処遇も問題となります。

おまけに郭保坤は太子の側近のひとりということで太子も裁判に臨席し、京都府尹に圧力をかけますが、これは座視できぬということで二皇子も臨席。裁判の行方が混沌としてきたところで、事態を知った慶帝が使者を派遣。勅命により、郭保坤殴打事件は沙汰止みに。

その後も婚約を破棄しようとお互いあれこれ画策する范閑と林婉児ですが、范閑が医師に扮して彼女の暮らす皇家別院に乗り込んだ際に、お互い思い合う相手こそが婚約者だと気付いてしまいます。そして今度は「そこまでイヤなのなら……」と婚約破棄を認めようとする周囲を押しとどめるのに四苦八苦することになります。


そんな二人をよそに、外界では何やら陰謀が進行しているようで、北斉から連れてこられた謎の怪人が解放されたあたりで次回へ。細かい演出も含めて90年代香港古装映画のエッセンスを洗練させたような作品に仕上がっていますね。細かいところがいちいち面白いですw
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2019年12月に読んだ本

2020年01月01日 | 読書メーター
やさしい日本語――多文化共生社会へ (岩波新書)やさしい日本語――多文化共生社会へ (岩波新書)感想
日本語を母語としない外国人にとって、どのような日本語表記がわかりやすいのかという話から始まり、「やさしい日本語」は外国人だけでなく聴覚障害者などにも求められているという話、更には日本語を母語とするマジョリティにとっても言語運用能力の向上に資するという、意外な話へと展開していく。留学生を対象とした学校型日本語教育とは別に、学習時間を捻出しづらい移民などを対象とした地域型日本語教育のメソッドが必要という話に共感した。
読了日:12月02日 著者:庵 功雄

侯景の乱始末記──南朝貴族社会の命運 (志学社選書)侯景の乱始末記──南朝貴族社会の命運 (志学社選書)感想
侯景の乱の推移と、それと前後して北朝の使者となった南朝貴族徐陵の動向、そして乱後に成立した傀儡政権後梁王朝の姿の三章構成により、梁朝の衰亡、更には南朝の貴族社会そのものの荒廃を描き出す。巷間よく話題にされる侯景の「宇宙大将軍」という号は、当時から失笑物だったようである。
読了日:12月05日 著者:吉川 忠夫

阪神タイガース1985-2003 (ちくま新書)阪神タイガース1985-2003 (ちくま新書)感想
年代でわかる通り、阪神タイガースの暗黒時代史である。当時の吉田監督が「今年はチーム作りの年」と割り切っていたはずの就任1年目に日本一になってしまったのが悪かったのか、以後18年もの紙幅を強いられる。1992年には惜しくも優勝を逃すが、その92年組が1人として2003年の優勝を迎えられなかったという点がチームの限界を示しているようである。全編を通して監督人事などの球団・親会社側の対応の酷さが印象に残る。
読了日:12月06日 著者:中川 右介

傀儡政権 日中戦争、対日協力政権史 (角川新書)傀儡政権 日中戦争、対日協力政権史 (角川新書)感想
中国の対日協力政権のうち、冀東防共自治政府、汪兆銘の南京国民政府など、4つの政権を取り上げる。1940年の天津水害に対応できなかった華北政務委員会、ホテル政府と揶揄された中華民国維新政府など、その統治能力のなさを印象づける話が多いが、汪兆銘政権が日本から治外法権撤廃を勝ち取った点など肯定的な評価もなされている。有象無象と言っては失礼かもしれないが、当時の中国人にとってのこれらの政権の存在感がどの程度のものだったのかも気になる。
読了日:12月09日 著者:広中 一成

女のキリスト教史: 「もう一つのフェミニズム」の系譜 (ちくま新書 (1459))女のキリスト教史: 「もう一つのフェミニズム」の系譜 (ちくま新書 (1459))感想
キリスト教の確立に果たした女性の役割、あるいは女性にとってのキリスト教について語る。受胎告知の時点から能動的で毅然とした態度だった聖母マリア、イエスに党派性を乗り越えさせたカナンの女、歴代女性が指導者となり、フランス革命にあっても犠牲者を出すことなく閉鎖できたフォントヴロー修道院の話が印象的。キリスト教国家の指導者が難民の受け入れを説くのは、イエスの一家が難民家族だったからという話からは、「東西南北の人」孔子が開いた儒教の採るべき役割を示唆するかのようでもある。
読了日:12月13日 著者:竹下 節子

AIの時代と法 (岩波新書 新赤版 1809)AIの時代と法 (岩波新書 新赤版 1809)感想
AIの時代の到来を目の前にして、どのような面に法の不備があるかについてまとめているが、著者自身も述べているように、AIを題材にした法学入門という趣が強い。個人データの蓄積と活用を「資源ナショナリズム」に重ねて見る点、技術的な規格が法とは無関係にルールを作ってしまうという「コードが法に代わる」という発想の部分を面白く読んだ。スピード制限取り締まるプログラム作成の話は、技術者にも人間・社会に対する哲学が必要なことを教えてくれる。
読了日:12月16日 著者:小塚 荘一郎

公家源氏―王権を支えた名族 (中公新書 (2573))公家源氏―王権を支えた名族 (中公新書 (2573))感想
嵯峨源氏に始まる各系統の賜姓源氏の軌跡。初代は大臣・議政官となることができても、二代目、三代目と世代を経るごとに露骨に没落していく源氏たち。そんな中で摂関家と結びついた村上源氏の師房の系統が朝堂で生き延びていく。源氏の主だった人々、女性たち、僧となった人々を連ねた第四章は圧巻。
読了日:12月19日 著者:倉本 一宏

中世の罪と罰 (講談社学術文庫)中世の罪と罰 (講談社学術文庫)感想
日本中世史の専門家が耳切り鼻削ぎ、夜討ちといったキーワードやテーマから中世人の法意識を探っていくという趣向だが、「お前の母さん出べそ」と中国の「他妈的」、日本の死骸敵対と西欧の棺桶裁判、あるいは日本の中でも古代と中世とのつながりなど、比較の視点が面白い。逆に中国史など日本の外の側からも「罪と罰」に関してもう少し掘り下げができるのではないかという気になってくる。
読了日:12月21日 著者:網野 善彦,石井 進,笠松 宏至,勝俣 鎭夫

古関裕而-流行作曲家と激動の昭和 (中公新書)古関裕而-流行作曲家と激動の昭和 (中公新書)感想
来季の朝ドラ主人公のモデルとなった人物の評伝だが、ナチュラルに戦時体制に乗っかり、戦時歌謡でヒット曲を飛ばした、むしろその楽曲が戦争とは無関係な映画主題歌などには適していなかったと評される古関を朝ドラでどう描くつもりなのか、今から不安になってくる。なかなかヒットに恵まれなかった若い頃や戦後の歩みは朝ドラ向きではあるが…
読了日:12月23日 著者:刑部 芳則

知りたくなる韓国知りたくなる韓国感想
ヘイト本、偏見にまみれた本に埋め尽くされている韓国本の中にあって、比較的穏当な内容。取り上げている話題もよくある植民地時代までの歴史、歴史問題、日韓関係だけでなく、現代史、政治(大統領と首相との関係、強い司法の力など)、経済、家族のあり方、K-POP、教育制度、年中行事、兵役問題など、幅広い。
読了日:12月26日 著者:新城 道彦,浅羽 祐樹,金 香男,春木 育美

水墨画入門 (岩波新書)水墨画入門 (岩波新書)感想
語り口が軽く、入門書として取っつきやすい。筆と墨で描いたものは何でも水墨画なのか?中国から伝来する以前に日本に水墨画は存在しなかったか?書と画との境界は?という本質論的な議論がおもしろい。第3章で紙水墨の科学分析的な話を展開しているのは今風かもしれない。水墨画とは何かという疑問から、更に何が芸術なのかという疑問に発展させてくれる書となっている。
読了日:12月29日 著者:島尾 新

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