博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『大秦帝国之縦横』その4

2014年04月26日 | 中国歴史ドラマ
『大秦帝国之縦横』第17~22話まで見ました。

蘖桑の会盟が失敗に終わり、その責任を取って秦の相国を辞任した張儀は故国の魏へと赴きます。そして魏に仕官するべく相国の恵施や魏の恵王と面談し、すんなりと魏の相国に任命されることに。で、朝堂で「親秦・盟楚・拒斉」すなわち秦・楚と連繋し、斉と対抗するという外交方針をぶち上げます。このあたりで何だか怪しいなあと思ってたら、張儀の辞任と魏への仕官は、彼と秦の恵文王が仕組んだ言わば「苦肉の策」であることが明らかに(^^;)

しかし楚と盟約を結ぶ段階で、楚側が魏から人質として送り込まれていた公子高を魏の太子とするよう要求し、魏の恵王も取り敢えずその要求を呑むふりをしようとしますが、ここで何かの拍子で本当に太子の座を奪われることになってはかなわないと、太子嗣が猛反発。彼自身も秦の人質の身から兄を蹴落として太子の座を獲得した経緯があるのでした。太子嗣は帰国した公子高を殺害したうえ、父王が病気だとして幽閉、自ら監国となります。心労で本当に病の床に着いた恵王も、もうこいつに任せるしかないと譲位を認め、そのまま病没。魏王となった嗣がすなわち襄王です。

この前後に犀首によって「苦肉の策」が見破られ、張儀は相国罷免のうえ投獄。そして魏が斉軍と戦っている秦軍を背後から攻めて窮地に追いやり、秦から補償を求められると土地を割譲する一方で、犀首が魏・韓・趙・楚・燕の五国の相国となり、合従策を完成させて五国連合で秦を攻めることに。

ここで張儀が釈放されることになりますが、「やっぱ殺しとくか」と魏からの追っ手に襲われたところで通りすがりの山賊に助けられます。この山賊も身代金の獲得が目当てで張儀を救出したという次第ので、そのまま山賊のアジトに連行されますが、ここで山賊の女首領が東周の昭文君の妹姫狐であることが判明。いいところのお嬢さんであるせいか、どこからともなく荘周先生(すなわち荘子)をスカウトして山賊たちに講義させたりしています(^^;) ちなみに姫狐の義弟で山賊の副首領が魏冉。後の秦の穰侯ですね。『史記』では宣太后すなわち羋八子の異父弟ということになっているのですが……

秦に帰国することになった張儀は、姫狐・魏冉も同行させて秦に滞在させることにし、自分は相国に復帰。早速合従策からはみ出たかつての敵国斉との連繋を図ったりと工作に励んでおります。そして武器工房の職人兼炊事係として若い頃の白起が登場。『大秦帝国』シリーズでは第3部の主要人物ということですが、今作第2部では一兵卒の身から恵文王・張儀らにその才覚が見出されていく過程が描かれるようです。
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『大秦帝国之縦横』その3

2014年04月17日 | 中国歴史ドラマ
『大秦帝国之縦横』第11~16話まで見ました。

本作の主役の片割れ張儀さんですが、どこかで見たことがある顔だなあと思ってたら『武林外伝』の呂秀才役の喻恩泰が演じてました。



さて、秦の恵文君は龍門の地に三晋の君主らを招いて狩猟の儀式を行い、念願の称王を果たします。すなわち秦の恵文王です。その儀式に紛れ込んだ義渠王駭が羋氏の誘拐を図るというトラブルがおこりますが、秦軍によって救出。その羋氏はその後男児を出産。後の昭襄王です。そして王子の母となったことで八子の号が与えられます。

称王の儀式で君主恵王が秦の恵文王の馭者を務めさせられた魏国では、雪辱を果たすべくまず相国恵施や太子嗣が隠居していた犀首(公孫衍)をスカウト。その犀首が合従策、すなわち東方六国による秦包囲網の形成を図ります。今回のドラマでは蘇秦が登場しないかわりに犀首が張儀のライバルとしてクローズアップされるようですね。

時に韓では秦の恵文王の従姉檪陽公主が夫の武安侯韓朋から離縁されるという事件が発生。張儀が調停に向かいますが、時既に遅く犀首の手が回っており、韓は魏と結んでこれまでの秦との盟約を打ち切ることに。韓がダメなら他の国ということで、張儀は今度は楚へと向かいます。ここで反秦の急先鋒として屈原が登場。(ドラマでは羋原と呼ばれています。)


硬骨漢ではあるものの割とやることにそつが無く、微妙に屈原のイメージと違います……

しかし楚の令尹の昭陽は秦との盟約に応じることに。彼は義渠王駭と羋八子との間に生まれた男児羋琰を人質として養育していましたが、その羋琰君が屋敷に放火しようとしたことに恐れをなし、彼を母の羋八子のもとに送り返すことに。ここで昭陽が羋琰を「やることが大胆だ。将来大物になる」などと評価していますが、中華ドラマでは大事を為す人間は放火をしなければいけないという決まりでもあるのでしょうか(^^;) 

で、秦・楚・斉3カ国間の代表が蘖桑の地に集まって会盟が開かれますが、会談は不調に終わりってしまいます。今のところは犀首の合従策に打つ手無しのようですが?
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『大秦帝国之縦横』その2

2014年04月10日 | 中国歴史ドラマ

『大秦帝国之縦横』第5~10話まで見ました。

秦は魏出身の公孫衍(犀首)を主将に抜擢して河西の地で魏と決戦し、見事大勝利を収めます。その功績により一気に大良造へと昇格した公孫衍ですが、捕虜にした魏の主将龍賈が自決して以来気分が塞ぎ気味に。で、ちょうど折良く同じ魏出身の張儀が楚から東周の昭文君のもとを経て秦へと流れてきたのを知り、彼を推薦して自らは秦を離れることを決意。

恵文君は取り敢えず宮廷に張儀を召し出し、その時は登用に至らなかったものの、その後咸陽の街の酒場で再会して意気投合し、まずは張儀を客卿に任命。更にその張儀が魏への使者として秦魏両国の領土交換の話をうまく取りまとめたことにより、相国すなわち宰相格に任命。

その頃、恵文君と魏紓との間に公子蕩(後の武王)が生まれていますが、恵文君は魏紓を抱こうとすると婚礼の日に彼女に刺殺されかかった記憶がフラッシュバックしてしまい、なかなか素直に彼女を愛せません。(魏紓が恵文君を刺殺しようとしたのは魏の恵王に父親を人質に取られていたからなのですが……)そんな様子を知った張儀は、かつて楚で出会った羋氏を恵文君の側室として迎えようと画策。第4話で彼女と別れる時に張儀は「いずれお前をどこかの国の王妃として迎えに来る」と約束していたのでした。

楚への使者となったついでに雲夢沢へと羋氏を迎えに行く張儀ですが、その頃彼女は義渠王駭(故国に戻って晴れて王となった)との間にできた男児を絶賛出産中でありました…… 「ええーい、出産経験ありでもええわい!」と彼女を秦に連れ帰ろうとする張儀ですが、そこへ彼女を義渠の地へ連れ帰ろうとした駭が参上。しかし彼女は「ごめんね!あなたとは一緒になれないの!琰(二人の間の赤子)をよろしくね!」と馬車で張儀とともに去って行くのでありました。恋人がいても一緒になる相手はもっと見込みがある男の方がいいという打算は『歩歩驚心』でもありましたが、あっちはもうちょっとオブラートに包んだ感じだったんですよねえ(^^;)

そして羋氏は恵文君の寵愛を得ることに。その前後に秦は再び魏と戦ってこれを打ち破り、張儀は魏の相国恵施(荘子の友人として有名な人ですね)に和平の条件として魏・韓・趙の三晋の王が恵文君の称王を認め、即位の儀式に出席することを要求。得意の絶頂の恵文君ですが、さすがに色々と怖くなってきたらしい羋氏が義渠王との間に男児を産んでいることを告白。一度は彼女を秦の宮廷から追い出すことにしますが、その直後に彼女が懐妊したことが発覚し……

ということで『大秦帝国』だと思って見ていたら『後宮甄嬛伝』だったのかとツッコミたくなる展開です(^^;) 妊娠発覚で話が動くところはまさにという感じですね。
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『大秦帝国之縦横』その1

2014年04月04日 | 中国歴史ドラマ
「黒色裂変」に続く『大秦帝国』シリーズ第2部。商鞅と孝公が主役だった第1部に対して、今回は孝公の子恵文王と張儀が主役(らしい)。ただ、中国のサイトを見てると評判がイマイチなんですが…… 第1部と異なり、今回は原作者が脚本から手を引いてますしね。ということで恐る恐る『大秦帝国之縦横』第1~4話まで鑑賞。

秦の恵文君こと嬴駟は即位後3年間宮殿に引き籠もっていましたが、突如として親政を開始して商鞅の変法の復活と称王をはかります。そしてその恵文君に反発する守旧派の甘龍・杜摯ら。主役の恵文君を演じるのは、『隋唐演義』で煬帝を怪演した富大龍。



甘龍ら前作に登場した人物の設定はそのまま引き継がれているようです。(俳優さんも同じかどうかは確認してません。見た感じ同じ人っぽいですが)前作の登場人物と言えば、この人も登場。前作で商鞅によって鼻削ぎの刑に処された恵文君の守り役の公子虔です。トレードマークの鼻マスクは今作も健在。



で、恵文君は斉王・魏王とともに王号を称するべく会盟の開かれる彭城へと向かいますが、魏国の妨害を受けて相王の儀式に遅参。王号を称するのはまたの機会ということに…… そう言えば魏の恵王も前作に引き続き李立群が演じています。その帰途に魏の恵施の仲介で、彭城へと向かう途中で魏の刺客から助けてくれた地方官の娘魏紓と婚約することになりますが、またもや魏の恵王の陰謀で刺客に仕立て上げられることに……

そして婚礼の当日。隠し持っていた短剣で魏紓に胸を刺される恵文君。そしてそれと連動し、甘龍ら守旧派の世族たちも蛮族の義渠の兵を引き入れてクーデタをおこしますが、恵文君は一命を取り留め、クーデタも公子虔の活躍により鎮圧。しかし流れ矢に当たった公子虔は恵文君の異母弟嬴疾(樗里疾)に後事を託し、帰らぬ人に…… そして秦の世族側と結んだ義渠でも政変がおこり、父親の義渠王を殺害された王子駭は楚へと亡命します。

それから10年。義渠駭は楚の王族の末裔羋氏といい仲になっていましたが、楚の令尹昭陽の支援を受けて恋人と離れ、帰国することに。その寧静演じる羋氏が今作のヒロイン宣太后(秦の昭襄王の母)になる模様。魏紓ちゃんの方は恵文后(秦の武王の母)ということになるようです。そしてその羋氏に行き倒れになっている所を助けられるのが、今作の主役の片割れの張儀。


羋氏と張儀のツーショット(?)

ということで、前作からの人物公子虔と甘龍(クーデタ失敗の後服毒死)が退場し、今作のメインキャラが登場したところで次回に続きます。
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西周期における祭祀儀礼の研究(4/3取り扱い店追加)

2014年04月03日 | 学術
このたび朋友書店より『西周期における祭祀儀礼の研究』という本を出版しました。



A5版242頁、本体価格6000円、ISBN978-4-89281-139-5 です。

以下、本編目次を揚げておきます。(〓は外字部分)

序論 西周祭祀儀礼研究における二つの問題
 第1節 西周祭祀儀礼研究と二重証拠法
 第2節 西周祭祀儀礼研究と文化人類学的手法
  (1) 文化人類学的手法の問題点
  (2) 歴史学的手法への展望
 第3節 本書の構成
第1章 献捷儀礼の変化
 はじめに
 第1節 献捷儀礼の概要
 第2節 西周前・中期の献捷儀礼
  (1) 献捷儀礼中の燎祭
  (2) 献捷儀礼中の〓祭
  (3) 周王主催の祭祀について
 第3節 西周後期・春秋期の献捷儀礼
  (1) 貢納としての献捷儀礼
  (2) 廷礼の形式による儀礼
 小結
第2章 祭祀儀礼の場の変化(一) 〓京
 はじめに
 第1節 〓京の位相
  (1) 〓京の地望
  (2) 〓京から〓へ
  (3) 周の京について
 第2節 周康宮の経営と〓
 小結
第3章 祭祀儀礼の場の変化(二) 周新宮
 はじめに
 第1節 周新宮の用例
 第2節 西周中期における儀礼の変遷と周新宮
 第3節 西周後期における周新宮
 小結
第4章 祭祀儀礼の参加者と賜与品の変化
 はじめに
 第1節 会同型儀礼の分析
  (1) 参加者
  (2) 賜与品
 第2節 冊命儀礼の分析
  (1) 参加者
  (2) 賜与品
 小結
第5章 蔑歴の時代
 はじめに
 第1節 蔑歴とは何か
 第2節 類似の語句
 第3節 断代の問題
 小結
第6章 冊命儀礼の形式とその確立
 はじめに
 第1節 任命儀礼の種類と形式
  (1) 冊命儀礼の形式
  (2) 冊命以外の任命儀礼
 第2節 西周前・中期の任命
 第3節 西周中・後期の任命
  (1) 冊命儀礼確立の過程
  (2) 右者の役割について
  (3) 「邦君」への任命
 小結
終章 東遷以後の周王朝とその儀礼
 第1節 西周期における祭祀儀礼の展開とその背景
 第2節 西周以来の儀礼の継承
 第3節 子犯鐘の時代
 第4節 周王朝による賜命礼の施行
 おわりに

版元の朋友書店(出版業だけでなく中国学関係の専門書の販売もやってます。というよりそちらが本業です)と、東方書店でも取り扱いを開始しました。
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2014年3月に読んだ本

2014年04月01日 | 読書メーター
原始・古代1 (岩波講座 日本歴史 第1巻)原始・古代1 (岩波講座 日本歴史 第1巻)感想
今巻は縄文時代から倭の五王あたりまで。歴博のAMS炭素14年代測定による弥生時代の開始年代引き上げ論については、懐疑的というか否定的な論調が強いようだ。縄文農耕論についても、近年の研究では縄文末期を除いて否定的な論調が強いとのこと。邪馬台国研究については中国史学者の渡邉義浩の著書も引用する。特に考古学の分野では未だに唯物史観を克服しきれないようだ。月報の白石太一郎「考古学と古代文献史学のあいだ」では、考古学研究者による文献史料の扱い、文献史学者による考古資料の扱い、双方ともに問題を抱えているとする。
読了日:3月1日 著者:大津透,佐藤宏之,設楽博己,岩永省三,仁藤敦史,福永伸哉,菱田哲郎,田中史生,田中俊明

仏典はどう漢訳されたのか――スートラが経典になるとき仏典はどう漢訳されたのか――スートラが経典になるとき感想
タイトル通りインド語由来の仏典の漢訳がテーマだが、話題は漢訳の手順、漢訳に要する日数、中国で作られた偽作経典がどのような史料となり得るか、漢訳仏典が漢字・漢語や仏典以外の文章に与えた影響(四字句による文章が好まれるようになったことなど)、更には中国を「辺土」と見なす視点が生まれ、世界認識にも影響を与えたこと等々、仏典や翻訳論にとどまらず多岐に及んでいる。
読了日:3月7日 著者:船山徹

中世1 (岩波講座 日本歴史 第6巻)中世1 (岩波講座 日本歴史 第6巻)感想
今巻は院政期から承久の乱あたりまで。前巻の「古代史への招待」はいまいちピンとこない内容だったが、今回の「中世史への招待」は権門体制論、時期区分(中世のはじまりや範囲)、東アジアの中の位置づけなど、問題点をわかりやすくまとめている。この章で取り上げられている桃木至朗氏による「私の日本史賛美と日本史批判」が月報に掲載。各論では最近話題になった鎌倉幕府の成立時期についての言及もある。「中世前期の文化」では王権論と絡めて蹴鞠や音楽などの芸能も取り上げる。
読了日:3月9日 著者:桜井英治,本郷恵子,川合康,高橋典幸,鎌倉佐保,高橋修,鈴木哲雄,上島享,坂井孝一

人文学と著作権問題ー研究・教育のためのコンプライアンス人文学と著作権問題ー研究・教育のためのコンプライアンス感想
資料や研究成果のウェブ公開でどのような問題が発生しうるのか?教育現場での著作物の利用はどの範囲まで認められるのか?古典文献の翻刻や校訂にも著作権が認められるのか?等々、法学者と人文学者との対談という形で具体例を挙げつつ研究・教育に関係する著作権の問題について解説。小保方氏の一件が問題となっている昨今、非常にタイムリーな内容。人文学以外の分野の研究者や小・中・高の教員にも参考になると思います。
読了日:3月13日 著者:石岡克俊小島浩之上地宏一佐藤仁史田邉鉄千田大介二階堂善弘師茂樹山田崇仁

戦争の日本中世史: 「下剋上」は本当にあったのか (新潮選書)戦争の日本中世史: 「下剋上」は本当にあったのか (新潮選書)感想
副題から戦国時代がメインと誤解されそうだが、扱っている時期は蒙古襲来から応仁の乱まで、特に南北朝の時期が中心。本書を読むとこれまでの日本中世史の研究が意識的・無意識的に「階級闘争史観」に影響されていたことがわかるが、かといって研究者のすべてが「左翼」というわけではないだろう。それが時代のはやりというか雰囲気だったわけである。個人的には、現在の「階級闘争史観」にあたるのが「グローバル指向」ではないかと思うのだが……
読了日:3月17日 著者:呉座勇一

百姓貴族 (3) (ウィングス・コミックス)百姓貴族 (3) (ウィングス・コミックス)感想
今回のメインはデビューの前後、実家の農場で働きながら漫画を描いてた頃の話など。「は?ブーム?人類にとって農業は有史以前からのブームですよ?」という台詞が私のツボにはまった(^^;)
読了日:3月22日 著者:荒川弘

西遊妖猿伝 西域篇(5) (モーニングKC)西遊妖猿伝 西域篇(5) (モーニングKC)感想
3巻・4巻とまったく進んでいなかった話がようやく進み出したという感じ。掲載誌が今巻の途中で月刊のモーニングtwoに変わってるんですね。この作者はやはり月刊ペースの方が合ってるんでしょうか。
読了日:3月24日 著者:諸星大二郎

昭和史をさぐる (読みなおす日本史)昭和史をさぐる (読みなおす日本史)感想
当時の要人の日記等の史料を中心に読み進める戦前の政治史講義。もとは朝日カルチャーセンターでの講義をまとめたものとのこと。「憲政の常道」成立から敗戦までのトピックを取り扱うが、前の版に収録されていたという「ロンドン軍縮会議」等四章が削られているのが残念。本書を読んで、宇垣一成は案外「やるやる詐欺」な人だったのかもしれないなとか、近衛文麿は首相とか責任のある地位さえ与えなければ普通に出来る人だったんだなと感じた。
読了日:3月26日 著者:伊藤隆

風雲児外外伝 松吉伝風雲児外外伝 松吉伝感想
『風雲児たち』の原作者みなもと太郎氏の祖父松吉をめぐるファミリーヒストリー。日露戦争勝利に隠された秘話、朝鮮で警察署長をしていた話、甘粕正彦との交流など、面白すぎる話のオンパレードなんですが、作者自身も「フィクションだと思ってください」と書いてるぐらいですしね… その方面の研究者なんかの協力を仰いで、事実関係や当時の背景などもう少し詳細が突き止められないものだろうか。あと、朝鮮で警察署長が現地の裁判官にもなっていたというのは、江戸町奉行に限らず前近代の中国の地方官なんかもそうですね。
読了日:3月29日 著者:みなもと太郎

唐物の文化史――舶来品からみた日本 (岩波新書)唐物の文化史――舶来品からみた日本 (岩波新書)感想
著者はこれまで『源氏物語』や平安時代の唐物を中心に論じてきたが、今回は奈良時代から江戸時代までを扱う。平安時代の唐物と江戸時代の唐物を同じ土俵で扱ってよいものなのかどうか、若干疑問を感じましたが… 105~106頁の清盛が東宮時代の安徳天皇に『太平御覧』を贈った話は、大河ドラマの『平清盛』でも使われていました。
読了日:3月30日 著者:河添房江

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