博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『新蕭十一郎』その3

2016年03月25日 | 武侠ドラマ
『新蕭十一郎』第13~18話まで見ました。

許嫁の連城璧と幼き日の初恋の相手蕭十一郎との間で揺れる沈璧君。しかし思う所がある蕭十一郎に冷たくあしらわれたことで、ようやく連城璧との結婚を決意し、連家の無垢山荘で婚礼が行われることに。


婚礼に集う武林盟主沈飛雲さんと、風四娘の師匠の阿秀、連城璧ママの白紅蓮。特に白紅蓮は、夫(連城璧の父)が逍遥侯との決闘に敗北した後に自害したのは、沈飛雲に心ない噂を流されたからだと彼女を怨んでいるのですが、この3人、実は同門の姉妹弟子だった模様。

3人の中で一番の姉弟子となる尼僧の阿秀は、蕭十一郎の師匠の司空摘星とその昔恋愛沙汰があったようで、今でも司空摘星につきまとわれています。そして風四娘とは、30歳を超えても結婚相手が見つからない場合は、尼寺に戻って修業を再開するという約束を取り交わしています。

そして山荘屋内で新郎新婦がそれぞれの母親とゲストの阿秀への挨拶を済ませ、建物から出て来たところで風四娘が乱入。実は婚礼の前後に蕭十一郎が行方をくらましていたのですが、蕭十一郎に命を救われた恩を返すのは今ということで、強引に婚礼から沈璧君を連れ出してしまいます。

沈璧君は幼い頃に「天宗」の逍遥侯から蠱毒を仕掛けられたようで、それが例の奇病の原因となっていたのですが、蕭十一郎は結婚祝いに逍遥侯にその蠱毒を解いてもらおうと、まず逍遥侯と接触するためにその弟子の小公子の言いなりとなり、自分の身に様々な毒を受けていたのでした。沈璧君は彼を救おうと小公子に解毒剤を求めますが、小公子が解毒剤を断崖絶壁へと投げ捨てると、それを追って崖からダイブ。彼女を救うために蕭十一郎もダイブ。中国時代劇でお馴染みの崖落ちです。

もちろん崖から落ちて死んだ人などいませんので、2人は助かります。そして蕭十一郎の家だと言う「桃源郷」へと移動し、2人きりでイチャイチャ。蕭十一郎の家って、いつもよく出てくる森の中の鬼太郎の妖怪ハウスみたいなやつじゃなかったんですね……

一方、衆人環視の中、目の前で花嫁に去られ、おまけにその花嫁が他の男と崖落ちしたと知らされた連城璧は酒浸りとなり、どんどんと闇落ちルートへ……


沈飛雲さんから次世代のリーダー候補として、娘を託してもよいと評価されていた連城璧さんですが、父親のことなど色々と鬱屈を抱えている模様。本作における非リアの星になってしまうのでしょうか?

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『新蕭十一郎』その2

2016年03月17日 | 武侠ドラマ
『新蕭十一郎』第7~12話まで見ました。

蕭十一郎の師父司空摘星は、お酒に釣られて小公子の人質に……


司空摘星を演じるのは、『カンフーハッスル』などでお馴染みの元華。

師父を返して欲しければ本物の「割鹿刀」と引き替えにということですが、そんな折りに沈家荘では、いつの間にか武林四大高手殺害と「割鹿刀」強奪の下手人に仕立て上げられた蕭十一郎を成敗するということで、武林大会が開かれることに。本物の「割鹿刀」は実は沈家荘に隠されているのではないかと推測し、当の蕭十一郎と風四娘も変装してしれっと沈家荘に参上。

で、沈家荘内の「天機楼」に「割鹿刀」が隠されているらしいという話になるのですが、ここで孔明灯が気球がわりになったり、蕭十一郎がミニロケットを背負って空中を飛んだりしているのは見なかったことにしましょう。


「天機楼」の内部には巨大大仏が…… 『王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件』みたいですね。


そして幼い頃に罹患したという奇病が発症し、敵も味方も構わず周囲の人間を次々と殺害していく沈璧君。『花千骨』の堕仙よりよっぽどそれらしいです この奇病の発症には「天宗」の大ボス逍遥侯が深く関わっているようですが?

「天機楼」が脱出した直後に蕭十一郎も謎の奇病を発症。蕭十一郎はもともと捨て子で森の中で狼と暮らしていた狼少年という設定で、その頃に父親とともに放浪していた沈璧君とも出会っているという設定なんですね。(沈璧君はその後母親に引き取られ、父親は行方不明に……)

で、それぞれ病状が収まった2人は風四娘・楊開泰とともに、司空摘星の身柄を取り戻すために「天宗」の本部へと足を踏み入れます。逍遥侯の試練を乗り越えた4人は師父を取り戻しますが、逍遥侯は別れ際に「また会うこともあるだろう」というイヤなフラグを言い残します。

逍遥侯の復活(「天宗」は20年前に正派の総攻撃を受けて滅亡したことになってたらしい)とか、蕭十一郎の接近などで、娘の将来に不安を覚えた沈飛雲は、璧君と連城璧との婚姻を急ぎますが、結婚式の当日に、息子の結婚に反対する連城璧の母親が乱入し……ということで、今回の締めはオカン同士のバトルです (^_^;) しかしどっちのオカンも女優さんが若いですね……


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『新蕭十一郎』その1

2016年03月09日 | 武侠ドラマ
古龍原作ドラマ『新蕭十一郎』を見始めました。新版『水滸伝』などでおなじみの鞠覚亮と黄祖賢の共同監督作品です。今回は第1~6話まで鑑賞。

江湖の盗賊コンビ蕭十一郎と風四娘は、武林盟主沈飛雲の一人娘沈璧君の結婚の引き出物「割鹿刀」を沈家荘から盗みだそうとしますが、脱出の際に籠の鳥状態だった沈家璧自身も2人に着いて来てしまいます。

婚約者の沈璧君を取り戻そうと、「武林六君子」の筆頭連城璧が仲間とともに3人を追跡し、「割鹿刀」を追って謎の結社「天宗」の小公子も彼らにつきまとい、更には肝心の「割鹿刀」が偽物であることが判明し……ということで、本格アクションも盛り込みつつライトな感覚で見られる武侠ドラマに仕上がっています。


主役の蕭十一郎はいま旬のイケメン厳屹寛(厳寛)。新版『水滸伝』の浪子燕青役などでおなじみですね。陸小鳳シリーズの司空摘星の弟子という設定になっています。


蕭十一郎の相棒風四娘。第1話冒頭で入浴シーンがありますw 沈璧君の方がメインヒロインで、こちらはサブヒロインという位置づけのようですが、キャラクターとして面白いのは断然こちら。


「天宗」の宗主の弟子で、「割鹿刀」や沈璧君を付け狙う小公子。名前は男性っぽいですが、見ての通り武侠物にありがちな男装の美少女です。本作の小悪魔枠。


そして武林盟主の沈飛雲。『武媚娘伝奇』に出てくる後宮の后妃みたいな衣装を着てますが、武林盟主です。 色々きな臭い部分がある模様……

で、色々あって沈璧君は無事沈家荘に戻ったものの、「割鹿刀」の護送に関わり、何者かに殺害された「武林三大高手」の死に沈飛雲が関与していることを連城璧が察知してしまい、また小公子が「武林三大高手」(実は沈飛雲の配下と見せかけて「天宗」の配下だったらしい)を通じて手に入れたはずの「割鹿刀」が偽物と判明し……というところで次回へ。
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『太子妃升職記』その5(完)

2016年03月03日 | 中国歴史ドラマ
『太子妃升職記』第33~最終35話+αを見ました。

北漠との戦いで、平寧城へと自ら督戦に赴いた斉晟は、張芃芃さんを庇おうとして敵の矢を受けて重傷を負うものの、趙王の奮戦もあって戦いは大勝利に。北漠側に内通した九王と楊厳は居場所がなくなり、戦後に盛都へと自首。死罪は免れますが、それぞれ流刑となり、張芃芃さんとは今生の別れに。

そして斉晟は張芃芃さんとの愛を貫くため、後宮の解散を決意。そして五年後……

【総括】
ということで、最終話はマルチエンディングとなっています。現在第35~37話の3バージョンが用意されていますが、正直どれも取って付けた感が (^_^;) 個人的には第36話の、元の世界に戻った「中の人」張鵬が斉晟の生まれ変わりらしき人物(もちろん男性)と遭遇し……というBL仕様の締めがお気に入りです。

低予算でも、メインキャストがほとんど新人でも、送風機とアイデアさえあれば大概のことは何とかなるということを世に知らしめた本作。しかし「中の人」張鵬が女の体を受け入れたあたりから、テーマ的にも映像的にも方向性を見失ったような状態になったのが惜しいですね……
コメント (4)
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2016年2月に読んだ本

2016年03月01日 | 読書メーター
韓流スターと兵役 あの人は軍隊でどう生きるのか (光文社新書)韓流スターと兵役 あの人は軍隊でどう生きるのか (光文社新書)感想
有名タレントといえども避けては通れない(はずの)韓国の徴兵制をわかりやすく解説している。兵役の期間は過去の36ヶ月から現在の21ヶ月(いずれも陸軍の場合)と段階的に減少していること、また同時に兵力の削減も段階的に進められており、代替勤務制度の拡充が望まれていることなど、日本で徴兵制を導入しようという動きに対する反論材料として重要な指摘もある。ただ、戦前の日本や現代の諸外国の徴兵制と比較しようという視点が欠けているが残念。たとえば本書でも触れられている現役と予備役の違いは、戦前の日本の軍隊でも存在した。
読了日:2月1日 著者:康熙奉
古文書はいかに歴史を描くのか―フィールドワークがつなぐ過去と未来 (NHKブックス No.1236)古文書はいかに歴史を描くのか―フィールドワークがつなぐ過去と未来 (NHKブックス No.1236)感想
フィールドワークによる古文書の所蔵調査、古文書の整理と区分、古文書の読解、そして研究の成果のフィードバックと、古文書を利用した歴史学の研究とはどのような営みなのかがまとめられている。本書で紹介されている諸例から、史料はその所蔵されていた土地に根ざしたものであるということがよくわかる。また、文献史学もある段階まで進めば考古学と変わらなくなってくるのだなとも感じた。
読了日:2月4日 著者:白水智
灰塵の暦: 満州国演義五 (新潮文庫)灰塵の暦: 満州国演義五 (新潮文庫)感想
日中戦争から南京事件へ。綏遠事件に関し、満州国国務院外交部に転任した太郎が、『東京朝日新聞』の社説で事件の詳細が知らされていないのは日本人だけと訴えているのを踏まえて、関東軍に公式発表を迫ると、関東軍側が社説を書いた人間を締め上げなきゃいけないと嘯く場面が印象的。今でも国内の重要事件の情報提供は海外メディアが頼りという状況は変わっていないのではないだろうか。
読了日:2月8日 著者:船戸与一
キリスト教と戦争 (中公新書)キリスト教と戦争 (中公新書)感想
イエスの時代から十字軍・宗教改革を経て現代まで、取り扱う時代は幅広いが、第6章で扱う明治以後の日本のキリスト教徒と戦争との関わりの話が興味深かった。本書によると、戦前の日本軍の内部でもキリスト教の伝道が行われ、現代の自衛隊にもキリスト教徒によるサークルが存在すると言う。キリスト教と軍事の深い関わりからして、武士道とキリスト教の教えに親和性があるというのも不自然な発想ではないだろう。
読了日:2月10日 著者:石川明人
帝国議会 〈戦前民主主義〉の五七年 (講談社選書メチエ)帝国議会 〈戦前民主主義〉の五七年 (講談社選書メチエ)感想
議会政治史・政党史といった通史的な内容よりは、代議士と「カネ」の問題・弁論・議会改革の流れといった各論が読みどころ。特に弁論に関しては、英米の政治家の弁論との比較、「漢文脈」との関連など、分析のしかたが面白い。対句の多用については、孫文・毛沢東といった中国の革命家や、現代中国の政治家の弁論と比較してみるのも面白いかもしれない。
読了日:2月12日 著者:村瀬信一
概説中国史〈下〉近世‐近現代概説中国史〈下〉近世‐近現代感想
上下巻合わせての感想。同じく昭和堂から2005年に初版が出た『中国の歴史』上・下の新版という位置づけだが、前著では1990年代以前の論調を引きずっっている面があったのに対し、今回はほぼ完全に90年代以降の論調に切り替わっている。前著には「唐宋変革について」という一節が下巻の冒頭にあったが、今回は時代区分論に関する解説がないのは、その象徴だろう。
読了日:2月17日 著者:
美術館の舞台裏: 魅せる展覧会を作るには (ちくま新書)美術館の舞台裏: 魅せる展覧会を作るには (ちくま新書)感想
本職の美術館長が、学芸員の業務の実際、日本で新聞社が特別展の主催者となっている歴史的経緯、美術品の保存と修復、美術品の寄贈・寄託・購入、贋作問題など、美術館にまつわるトピックを総ざらい。展覧会の娯楽性と学術性とのバランスの難しさは、学術に携わる人間すべてが共有する問題だろう。
読了日:2月18日 著者:高橋明也
中華帝国のジレンマ: 礼的思想と法的秩序 (筑摩選書)中華帝国のジレンマ: 礼的思想と法的秩序 (筑摩選書)感想
同内容の学術書とほぼ同時刊行というチャレンジングな試み。タイトルは内容と合ってないわけではないが、やはりタイトル詐欺の批判は免れないと思う。しかし書店の反中本の棚にしれっと置かれることを期待するならば、こういうのもアリかもしれない。中身は著者冨谷氏のこれまでの著書の集大成的な性格。中国の法の起源は果たして盟誓かという疑問、礼と法との交錯が読みどころ。
読了日:2月21日 著者:冨谷至
貨幣の条件: タカラガイの文明史 (筑摩選書)貨幣の条件: タカラガイの文明史 (筑摩選書)感想
中国のタカラガイ貝貨というと殷代のそれが思い浮かぶが、本書が主に取り扱っているのは、雲南で唐代あたりから明末清初のあたりまで用いられた貝貨。タカラガイの民俗に関連して、著者によるフィールドワークの成果の紹介など、とりとめのない話が割と続く。著者自身はそれを柳田国男の影響とするものの、系譜としてはフレイザーの『金枝篇』からの流れと位置づけた方がよいかもしれない。
読了日:2月24日 著者:上田信
六国史―日本書紀に始まる古代の「正史」 (中公新書)六国史―日本書紀に始まる古代の「正史」 (中公新書)感想
著者のもともとの専門は『日本書紀』ということで、残りの五国史、そして第4章で扱う六国史後のことはどうかなと思っていたら、意外にも『日本書紀』以後の部分の方が面白く読めた。特に第4章では『源氏物語』が実際の歴史にあてはめて読まれたことや、中国・台湾と日本との「正史」のスタンスの違いなど、面白い論点を含んでいる。ただ、日本の「正史」に連なるものとして、天皇の実録編纂事業について論じられていないのが残念。
読了日:2月27日 著者:遠藤慶太
江戸しぐさの終焉 (星海社新書)江戸しぐさの終焉 (星海社新書)感想
前著『江戸しぐさの正体』刊行以後の状況解説というか追加報告。「江戸しぐさ」の教育現場への普及については、「江戸しぐさ」が「親学」と結びつけられた形で普及が進められたことを踏まえると、イデオロギーの左右を問わず、学校教育に道徳性とか感動を過剰に求める態度が問題の根としてあるのではないか。この点は昨今問題となっている組み体操の「高層化」とも通じるものがあるだろう。
読了日:2月29日 著者:原田実

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