博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『隋唐演義』その2

2013年02月27日 | 中国古典小説ドラマ
『隋唐演義』第7~13話まで見ました。

めでたく羅芸から甥として迎えられた秦瓊ですが、山東から武器と馬を届けに来た単盈盈を助けるために、大元帥武奎のドラ息子武安福を誤殺してしまったり、息子の仇を討とうと謀った武奎をも誤殺してしまったりと、相変わらずトラブルが絶えません。更に武奎の弟武安が突厥に投降してしまい、突厥軍に苦戦する秦瓊でしたが、突然現れた息子の秦用(実は秦瓊の義兄の息子で、秦瓊が名付け親になってた)の活躍により敵軍を撃破。なかなか愉快なキャラですが、出番はこれで終わりなんでしょうか?

その後、従弟の羅成や盈盈とともに歴城の母のもとへと戻る秦瓊ですが、途中で怪力無双の羅士信を義弟に収めます。以前のドラマ『隋唐英雄伝』ではいなかったことにされていた羅士信ですが、このドラマではちゃんと出て来ました!そして秦瓊は歴城の元帥唐璧のもとに武官として出仕することに。

一方、本作最大のトリックスター程咬金は、その怪力に目を付けた街のボスの尤俊達にスカウトされ、靠山王楊林が調達した皇綱(朝廷に収める財貨)強奪に加わることに。この場面で斧の修業をしていた程咬金が夢の中で仙人から64の斧の技を教わりますが、目が醒めると3つ半しか覚えていなかったというオチが笑えますw

で、長葉林にていざ皇綱強奪となりますが、突如覆面をした宇文成都が乱入。隋の重臣宇文化及は靠山王を陥れるすため、息子の成都に命じて皇綱を盗ませようとしたのでした。しかし程咬金と尤俊達にしてやられ、寸手の所で皇綱をかっさらわれてしまいます。そして強奪の犯人を捜査していた靠山王の娘の玉郡主は宇文成都が事件に関与していたことを知ってしまいます。

ここまで玉郡主と宇文成都は互いに淡い恋心を抱いているという仲でしたが、この件がきっかけでそんな関係も強制終了させられてしまうことに。宇文成都は完全な噛ませ犬キャラだった『隋唐英雄伝』と違い、今回のドラマでは自分の良心と、悪事を迫る父親や主君晋王との間で板挟みとなるという設定です。彼には何とか幸せをゲットしてもらいたいもんですが……

そしてその晋王は兄楊勇を陥れて廃嫡に追い込み、念願の太子の座をゲット。晋王は下の画像のごとく、その笑顔が人に不快感を催させる見た目をしております(^^;)



この場面で晋王がまず妹の瓊花公主の身柄を確保して密かに殺害し、愛姫の蕭美娘を公主に変装させて宮中に戻らせ、酒に酔った楊勇を庭園に呼び出して2人きりとなり、公主の遺体を池に突き落とさせて楊勇が溺死させたように見せかけ、妹殺しの罪をなすり付けるという、かなりおかしなことをやってます。元の講談では不自然ではなかったんでしょうが、映像化してみるとどうも……

宮廷ではその後文帝の浮気にショックを受けた独孤皇后が病没。文帝自身も気鬱から病がちになり…… ということで、次回あたりで煬帝即位まで進みそうです。オレたちの戦いはここからだ!
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『隋唐演義』その1

2013年02月21日 | 中国古典小説ドラマ
今年の旧正月ドラマ『隋唐演義』を見始めました!全62話の大作ですが、新版『水滸伝』のスタッフが制作に関わっているということで期待が高まります。本作は元ネタの古典小説ではなく、単田芳氏の評書(講談本)を原作にしているとのこと。

今回は第1~6話まで鑑賞。

物語は晋王(後の煬帝)が南朝の陳を滅ぼすところから始まります。その勲功により図に乗った晋王は、叔父の靠山王の娘(すなわち従妹)の玉郡主を輿入れさせようとしたり、兄の太子楊勇を陥れようとしたりと、色々画策を始めます。後に皇后となる蕭美娘(南朝の梁の末裔という設定になっている)も夫の軍師役として悪事の片棒を担ぐことに。

で、太子の腹心の李淵(後の唐の高祖)を抹殺するために、父文帝の見た夢を利用して彼が隋の天下を奪い取ることになると謡言を流させますが、李淵の次男の李世民(後の唐の太宗)が機転を利かして文帝に李淵を地方に派遣するよう上奏し、李淵は一家を挙げて太原に赴任することに。この場面で李淵の末子の李元覇(後の本作最強の武将)が、父を陥れる謡言を街中で聞き覚えて父親の前で堂々と歌っているのにワロタw

煬帝はなおも諦めず、配下の精兵「金蛇衛」を派遣して李一家を惨殺させようとしますが、通りすがりの捕り手の秦瓊と樊虎の助太刀によって難を逃れます。敵兵をなぎ倒す秦瓊を目を輝かせて見つめる李元覇少年。彼の憧れのヒーローが誕生した瞬間ですね(^^;) しかしそれによって今度は秦瓊らが「金蛇衛」に追われる身となり、樊虎が負傷した秦瓊を宿屋に預けて歴城に戻ることにしますが、実はこの宿屋がいわゆる「黒店」で、店主夫婦に密かに持ち金を盗まれ、更に宿代と療養費の支払いのために武器や馬の売却を迫られます。

捨てる神あれば拾う神ありということで、売却した馬が縁となって秦瓊は「二賢荘」の主の単雄信のもとに引き取られます。が、この単雄信らが隋の高官から強奪した金塊の一部を「二賢荘」から出立する際に手土産として忍ばせたことから、秦瓊が強盗の一味として官憲に捕らえられて拷問→投獄→北平府に流罪となることに…… このドラマでも序盤の秦瓊さんには不幸が連続コンボのように襲いかかってきますな(´;ω;`)

北平府では自分を慕う役人たちと出会い、彼らが秦瓊に色々便宜を図ろうとします。このあたりは『水滸伝』でもお馴染みの展開ですね。しかし北平府の主の羅芸はそんな部下の様子を不審に思い、敢えて秦瓊を厳刑に処することを決意。人の好意が却って重大なトラブルを引き起こす。これも『水滸伝』でお馴染みの展開ですね。しかし羅芸夫人は秦瓊が自分の甥であることに気付き……

ということで、主役の秦瓊(秦叔宝)を演じるのは、新版『水滸伝』で燕青役だった厳寛。



他にも李世民が西門慶役の杜淳だったり、単雄信が林冲役の胡東だったりと、『水滸伝』でお馴染みの面々があちこちで登場しております。
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『歴史家の同時代史的考察について』

2013年02月19日 | 中国学書籍
増淵龍夫『歴史家の同時代史的考察について』(岩波書店、1983年)

今まで読みそびれていた本ですが、このほどオンデマンドで復刊されたのを機に、元の本を図書館から借り出して読んでみました。著者の専攻は本来中国古代社会経済史ですが、本書では史学史に関する論考が収録されています。

で、本書のタイトルにもなっている「歴史家の同時代史的考察について」では、内藤湖南は辛亥革命がおこる5ヶ月前に、清国の立憲政治が成功するかどうかという、今となってみれば何ともピントが外れた内容の講演を行っており、その中では孫文らの革命運動については一言も触れられていなかったと指摘。……やめろ!私の尊敬する内藤湖南先生の黒歴史をほじくり返すのはっ(´;ω;`)

現在では、少なくとも「支那通」としての知名度は、彼が「三国志・水滸伝流の人物」と軽んじていた中の1人である宮崎滔天の方がずっと上ではないでしょうか。そして内藤湖南自身は現在では「支那通」としてより、東洋史・日本史学者として評価されているのではないかと思います。(このあたりは人によって異論があるところかもしれませんが。)

まあ、今の「中国通」も似たり寄ったりのことをやらかしているのかもしれんませんけど……
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『七侠五義 人間道』その6(完)

2013年02月15日 | 中国古典小説ドラマ
『七侠五義 人間道』第31~最終37話まで見ました。

四方鎮に乗り込んだ包拯たちでしたが、街の構造が都の汴梁城にそっくりなことに気付きます。実はこの四方鎮、陳琳が仁宗の実母李妃のために造らせた街なのでした。

時をさかのぼること二十数年前。李妃は先代の真宗皇帝の太子(後の仁宗)を出産したものの、ライバルの劉妃(後の劉太后)の一族の陰謀で赤子が狸猫(ヤマネコ)とすり替えられてしまいます。そして化け物を産み落としたということで処刑されるところを、彼女を憐れんだ陳琳によって密かに宮城から連れ出され、今までこの四方鎮で匿われていたという次第。

街の人々はみな陳琳の命によって配備された皇宮の関係者で、更に大内高手に街の内外を厳重に警備させ、うっかり街に入り込んだ人々を秘密保持のために容赦なく殺害させていたのでした。……陳琳さんは巨額の国の資材と多くの人員を投じて超絶におかしなことをやっとるようにしか見えないのですが(´・ω・`)

で、包拯らも大内高手に追われる身となり、とある老婦人の家へと逃げ込みますが、この老婦人こそが李妃なのでした。彼女からその身の上と四方鎮の秘密を知らされる包拯。そして展昭は仁宗と年齢と誕生日が一緒ということで李妃の義子となります。

しかし彼女も包拯らを陳琳の手から庇いきれず、結局囚われの身に…… しかしそこへ命からがら四方鎮から逃れた蕭より事の次第を知らされた仁宗が手勢を率いて四方鎮に駆けつけ、包拯らを釈放させます。そして実母の李妃と対面を果たし、自らの出生の秘密を知った仁宗は、ひとまず李妃を開封府に住まわせることにし、機を見て彼女を宮中に迎え入れようとします。一方、李妃の生存を知った劉太后と弟の劉国舅は動揺が隠せず……

ということで最終シリーズは「狸猫換太子」です。劉国舅がこのシリーズの悪役ということになるのですが、今までの龐吉・陳琳・李達といった面々と比べると著しく能力が劣っており、(『水戸黄門』の悪代官とか越後屋と同レベル……)最終シリーズの敵役としては明らかに実力不足です。このエビソート自体、最初の龐太師編の次に持って来た方が良かったんじゃないかなあと。劉太后も龐太師編で登場した後、祥符県編・「大漠之月」計画編ではまったく出番がありませんでしたしね。

【総括】

最終シリーズでやや味噌が付いてしまった感がありますが、脚本とアクションの水準は高い方だと思います。(ただ、残念なことにアクション・シーン自体はそれほど多くないのですが。)難点を挙げるとすれば展開のスピードでしょうか。特に最初の龐太子編で展開の遅さが目に付きました。同じ内容で1.5倍か2倍ぐらいの速さで話が進んでくれると良かったなと。
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『大武当』

2013年02月11日 | 映画
『大武当』

時は民国初期。アメリカ帰りの大学教授唐雲龍(趙文卓が演じてます)は、伝説の秘宝を求めて武当山へ。時に武当山では五百年に一度の武術大会が開かれることになっておりました。唐雲龍の娘の唐寧も在米華人代表として大会に出場することに。そして北平・天津代表として大会に出場することになったのは楊冪演じる天心。実は彼女の真の目的も武当山に隠された秘宝で、目的が一致した唐雲龍と天心は協力しあって秘宝を捜すことになりますが……

ということで日本での公開も決定した本作。世界遺産武当山のプロモーションにはなっていますが、武当派のいい所はあんまり無かったような…… というか、武当派の道士はやられ役でなければ悪役の扱いになってましたし。樊少皇(ルイス・ファン)演じる在家弟子の水合一も思ったより見せ場が無かったなと。誘致したいのは武当派拳法の入門者じゃなくて武当山の観光客だからこれでいいということなんでしょうか(´・ω・`)

ちなみに趙文卓の娘の唐寧は徐嬌が演じてます。『長江七号』(邦題『ミラクル7号』)で周星馳(チャウ・シンチー)の息子役として出てた子ですね。すっかりボーイッシュな美少女に成長してます。
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『七侠五義 人間道』その5

2013年02月04日 | 中国古典小説ドラマ
『七侠五義 人間道』第25~30話まで見ました。

包拯の弁護もあって釈放された蕭毅と陸淵でしたが、結局汴梁城の機密地図を狙う李達によって2人とも斬殺されてしまい、蕭毅は今際の際で包拯に自分達の身分と「大漠之月」計画について打ち明けます。そしてこの時は李達の魔の手から逃れた智化ですが、妻を人質に取られてしまって包拯暗殺を強要されると、わざと暗殺に失敗し、旧知の蒋平の妻を人質に取って蒋平に包拯暗殺を強要するという手段に打って出ます。

この蒋平が黙って大人しく言うことを聞くかと思いきや、「えーん、ボクの妻が智化に人質に取られちゃったよう(´;ω;`) 包大人を暗殺しなきゃ妻を殺すって……>< 」と、何の躊躇もなく盧方らに泣き付いているのがおかしい(^^;) まあ、「ほう・れん・そう」は社会人生活の基本ですからね。結局智化は包拯に帰順し、開封府で「残月隊」の生き残りとその家族を保護しようとしますが、ここで陳琳が智化らを遼のスパイとして処刑することを主張。そして包拯と陳琳、どちらを支持するかで揺れ動く仁宗……

仁宗は一度は「残月隊」の面々に帰国を許すも、遼国の主戦派の北院大王が宋へと侵攻して宋の民を殺害したと知ると、激怒して包拯や智化らの処刑を命令。そこで蕭が宋・遼両国の間を取り持ち、遼国の和平派である父親の安国王と仁宗との会見を実現。「残月隊」の面々は再度赦免され、包拯らも処刑を免れます。このシーンで蕭が遼の都や宋の都を瞬時に行き来したりとおかしなことをやっているのはツッコんだらアカンところですねw また「七侠」の1人沈仲元が原典とはまったく異なる役柄で、しかもチョイ役ではありますが、ここで登場します。

そして北院大王とその軍隊は、陸淵から奪い取った機密地図によって地下の秘密通路から汴梁城を攻め落とそうとしますが、宋側がこれに対処して地下に生き埋めに。そして唯一逃れた李達は包拯を人質に取って最後の悪あがきを図りますが……

で、第29話の途中から新シリーズに突入。展昭は囚人を護送中に四方鎮という所で謎の仕掛けや刺客の襲撃に見舞われます。そして展昭から報告を受けた包拯は、この四方鎮では以前より奇怪な事件が相次いでおり、何か秘密が隠されているに違いなと、自ら四方鎮を視察することに。四方鎮の秘密には陳琳が深く関わっているようなのですが、この宦官、色々と仕事をしすぎやろうと(^^;)
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