博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

最近見てるドラマ 2022年11月

2022年11月03日 | 中華時代劇
『胡同』
1949年から2019年まで、祖母・娘・孫娘の三世代をヒロインとする三部構成で、百年の物語ならぬ七十年の物語。朝ドラの『カムカムエヴリバティ』の中国版という感じですが、こちらは舞台が北京の胡同から動かない模様。朝ドラでは描かれなかった定点的な地域、住民の描写に期待。また朝ドラには絶対出てこない「江湖幇会」「武林諸幇」という武侠チックなワードも登場 (^_^;;)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2022年10月に読んだ本

2022年11月01日 | 読書メーター
儒教・仏教・道教 東アジアの思想空間 (講談社学術文庫)儒教・仏教・道教 東アジアの思想空間 (講談社学術文庫)感想
シンクレティズム(習合)をキーワードに、東アジアの信仰、儒仏道の三教を切り離さずごちゃ混ぜのままその諸相を解説してみようという試み。天使、天女と翼の話(ただ羽衣伝説は中国にもあったような気がするが)、日本式仏教を日本式カレーに例える例え方、李姓の反乱者の話が面白い。本書では著者の専門の限界もあってか朝鮮半島の状況にほとんど触れられていないのが残念。
読了日:10月01日 著者:菊地 章太

中国語とはどのような言語か (東方選書 59)中国語とはどのような言語か (東方選書 59)感想
現代中国語の文法書と言語学的解説、研究を兼ねたような書。中国語の歴史的展開を意識する一方で日本語や英語との比較、特に日本語との共通点も多々指摘しているのが特徴だろうか。私個人が中国語を翻訳したり逆に中国語の作文をするうえで何となく違和感や疑問を抱いたようなことが解説されている。またそれによって自然な翻訳、作文をするうえでの注意点も見えてくるという作りになっている。
読了日:10月03日 著者:橋本 陽介

ウクライナ戦争の200日 (文春新書 1378)ウクライナ戦争の200日 (文春新書 1378)感想
昨今のウクライナ情勢に関する対談集だが、各章それぞれ読みどころがある。一番感銘を受けたのは片渕須直氏との対談で出てきた「小文字の安全保障がないと結局、日本国民全体の安全保障上の結束も保てない」という一言。沖縄に対する中国の脅威を訴える人ほど、この部分を何度も回読み返して欲しい。砂川文次氏との対談で出てきた、他国との軍事交流の効用の話も面白い。全体的に純軍事的な話よりも末節や余談的な話の方が参考に値するように思う。
読了日:10月11日 著者:小泉 悠

教養としての能楽史 (ちくま新書 1690)教養としての能楽史 (ちくま新書 1690)感想
義満、秀吉、綱吉など権力者と能楽の歴史。「教養としての」と題するからには能楽自体の基礎知識や主な演目の紹介を期待したが、その方面の記述は意外に乏しい。(ただし演目に関しては太閤能のような特定の時期の演目の紹介はある)能の上演時間が時代が進むに連れて延びていくといったような豆知識は面白い。
読了日:10月13日 著者:中村 雅之

社会主義前夜 ――サン=シモン、オーウェン、フーリエ (ちくま新書 1688)社会主義前夜 ――サン=シモン、オーウェン、フーリエ (ちくま新書 1688)感想
社会主義はなぜ「社会」主義なのかという点に着目し、「空想的」社会主義者というレッテルを貼られているサン・シモン、オーウェン、フーリエの生涯と思想を辿る。オーウェンはニューラナークの頃までは何をやってもうまくいくという状態だったようで、その「無双」ぶりが面白い。彼らの思想は革命や闘争を前提としているわけではなく、現在の社会をそのまま取り込み、資本家と労働者との融和を志向しているという点から、21世紀の現在においてこそ参照に足る価値があるのではないかという著者の主張が印象的。
読了日:10月16日 著者:中嶋 洋平

中国パンダ外交史 (講談社選書メチエ)中国パンダ外交史 (講談社選書メチエ)感想
2011年刊行の『パンダ外交』の修訂増補版。メインのパンダの政治利用の話や日本でのパンダの受容のほか、プロパガンダとしての価値・手段の限界や、中国の政治的文脈を離れて動物愛護のシンボルとなるなど、パンダに関わる多面的な内容を扱っていて面白い。ただ、第1章の蔣彝の童話については仮に著者の言うような意図で書かれていたとしても、主要な読者である海外の子どもたちが蔣彝が意図したことを読み取ったかどうか、プロパガンダの効果には疑問が残る。
読了日:10月18日 著者:家永 真幸

教養の語源英単語 (講談社現代新書)教養の語源英単語 (講談社現代新書)感想
西欧の神話・歴史を辿りつつ、あるいは芸術、医療、健康など分野別に語源を取り上げるという趣向は白川静『漢字』の構成に倣ったのだろうか?藤堂明保の単語家族論は漢字でこういうことをやりたかったのだろうなと感じた。「グリムの法則」「二重語」などの基本語句の解説があるのもよい。ただ、語源の範囲がラテン語や古代ギリシア語より溯ると、途端に信憑性が薄れる印象を抱いたので、出来れば印欧祖語に関するもう少し詳しい解説や参考文献の提示もしてほしかったところ(一部提示している箇所もあるが)。
読了日:10月22日 著者:清水 建二

教養としての日本古典文学史教養としての日本古典文学史感想
7世紀から19世紀までの日本の古典文学を1世紀区切りで概観。通史として辿ることで、特に漢詩を含めた詩歌については歴史的な発展の様子や傾向の変化が見て取れて面白い。絵画や印刷技術、演芸など、直接文学には関わらない要素も盛り込まれている。幕末の志士など、政治史の有名人の詩歌も取り上げられているが、第十章のトピック2で『拾遺集』所収の和歌の本歌取りから、秀吉の和歌の教養を推察している手掛かりとしているのが興味深い。
読了日:10月25日 著者:村尾誠一

司馬遼太郎の時代-歴史と大衆教養主義 (中公新書, 2720)司馬遼太郎の時代-歴史と大衆教養主義 (中公新書, 2720)感想
常に「傍流」を歩んできた司馬遼太郎の経歴や受容とともに、背景しなる当時の学歴・マスコミ・(大河ドラマなどの)娯楽事情、教養主義についても説明があり、面白い。そしてその経歴が如何に作品に投影されたか、読者が何を読み取ったか、作品や「司馬史観」への研究者の評価、更には司馬没後から現在の状況にも議論が及ぶ。ただ、「明治(あるいは戦国)の明るさ」に対して「昭和の暗さ」が読者に等閑視されたのは、司馬が結局昭和の軍部を小説にしなかったからではないかと思うが。
読了日:10月28日 著者:福間 良明

陰謀論-民主主義を揺るがすメカニズム (中公新書, 2722)陰謀論-民主主義を揺るがすメカニズム (中公新書, 2722)感想
Twitterの利用頻度の高さは意外と陰謀論的思考の低さと関連していること、いわゆる「右でも左でもない普通の日本人」を俎上に挙げたこと、政治的意見を持つこと自体が陰謀論の受容につながり、特に「政治に詳しい」と自認する人ほど危ないといったことなど興味深い知見が多々見られるが、議論そのものよりもその土台となる調査や統計の手法、考え方を詳しくまとめている点が有用な本。分析の結果については、リベラルの陰謀論の文脈や背景を捨象している点など(この点については著者の説明もあるものの)、個人的に少々異論がある。
読了日:10月30日 著者:秦 正樹

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする