博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『蘭陵王』その2

2013年10月25日 | 中国歴史ドラマ
『蘭陵王』第6~11話まで見ました。

楊雪舞は取り敢えず賎民たちの村で病で行き倒れになっていた青年阿怪を介抱することに。一方、蘭陵王たちは行方不明となった北周皇帝の宇文邕がその賎民村に潜伏しているのではないかということで、捜索を開始。賎民村が疫病の発生源になっているという口実で村を焼き払い、宇文邕をあぶり出そうとしますが、そこで雪舞が反発。彼女が7日以内に村の疫病を鎮めることを条件に焼き打ちを延期することにします。

で、不衛生な環境と飲み水がその原因と喝破した雪舞により疫病が鎮められますが、彼女とともに村にやって来た阿怪が怪しいということになり、蘭陵王が彼を虎と戦わせて探りを入れたところ、あっさり正体が露呈。やはり彼が北周の武帝こと宇文邕でありました。



北斉軍が彼を捕らえようとしたところでタイミング良く北周軍が救出に駆けつけ、蘭陵王は毒矢を受けて瀕死の状態となります。北周へと帰還した宇文邕は、大軍を率いて北斉の都市洛陽へと侵攻を開始。北斉の朝廷より蘭陵王に迎撃の命が降りますが、とてもそんな状態ではないということで、督戦にやって来たボンクラ太子の高緯(後の北斉の後主)が指揮を執ることに。

雪舞は蘭陵王を助けようと宇文邕のもとに出向き、毒矢の解毒薬をゲット。同行した賎民村の青年韓暁冬に解毒薬を託します。一方、高緯は北周軍の奇襲を受け、洛陽城に逃げ込みます。で、あと一歩で洛陽陥落というところで、宇文邕が軍功を挙げることを恐れた権臣宇文護の横槍が入り、大軍を任された将軍尉遅迥が撤退。そして韓暁冬のもたらした解毒薬によって毒矢の傷から回復した蘭陵王が手勢を率いて邙山で北周軍を打ち破り、北周軍に留められていた雪舞を救出。

蘭陵王はこの「邙山の戦い」の英雄として兵士や民衆から称えられますが、これによって高緯やその側近祖珽に皇位継承のライバルとして警戒されることに。そして雪舞も蘭陵王が近い将来鄭妃と結婚し、夫婦ともども皇位を継いだ高緯に殺害されることを察知し、蘭陵王から身を引こうとしますが……

ということで、北斉対北周の立役者の残り3人高緯・宇文邕・宇文護が登場。どうやら宇文邕が雪舞をめぐって蘭陵王の恋のライバル的な存在となっていくようです。個人的には北周のキングメーカーということになっている宇文護に大物感が感じられないのが残念。ここは劉徳凱とか尤勇とか、何となくバリューが感じられるおっさん俳優をキャスティングして欲しかったところですw
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『蘭陵王』その1

2013年10月16日 | 中国歴史ドラマ
蘭陵王と言えば南北朝時代の北斉の武将で、美貌を隠すために戦場で仮面をつけて戦っていたという逸話があることで知られ、雅楽「蘭陵王」(陵王)の題材にもなった人物ですが、その蘭陵王がドラマになったということで見てみることに。今回は第1~5話まで鑑賞。

時は中国・南北朝時代。華北では北周と北斉が覇権をめぐって争っておりました。北斉領内にある仙境白山村では、殷代の賢人巫咸の子孫である老婆が、北周の皇帝宇文邕(武帝)とその一族の宇文護、そして北斉の皇帝高緯(後主)とその従兄弟である蘭陵王高長恭の4人が乱世を動かすキーマンとなると予言。そして彼らが老婆の孫の「天女」こと楊雪舞を手中に収めれば天下を得られると……


主役の蘭陵王を演じるのは、イケメン俳優として歴史ドラマでもお馴染みの馮紹峰。


ヒロイン楊雪舞は林依晨(アリエル・リン)。台湾ドラマでお馴染みの女優さんですね。

で、蘭陵王が愛馬の療養のため、白山村の温泉にやって来て雪舞と出会ったのがすべての始まりとなります。この時、雪舞が蘭陵王を美女と見間違えてますが、馮紹峰は中性的なタイプのイケメン……ではまったくないので、この展開には無理があると思います(^^;)

蘭陵王が白山村を発った後、雪舞は彼が忘れていった仮面を届けようとその後を追います。そして蘭陵王は弟の安徳王らとともに、北周の武将尉遅迥に捕らえられた兄弟分の斛律須達(北斉の重臣斛律光の息子。父親の方もドラマに出て来ます)を救出するため、北周の丹州城へと潜入。再会した雪舞の協力も得て斛律須達の救出に成功。(ただ、北斉に戻った後で斛律須達は負傷が癒えずに亡くなってしまいますが)

一方、北周の宮廷では北斉との国境付近で皇帝の宇文邕が失踪したことで大騒ぎに。蘭陵王と再び別れて白山村に戻ろうとした雪舞は、途中で立ち寄った宿で行き倒れになった男性(要するにこの男性が宇文邕ということなんでしょう)と出会い、彼を介抱することになりますが……

ということで、設定や展開・映像などがかなりRPG的になっております。しかし蘭陵王なんて中国・台湾でもそれほど知られた人物ではないでしょうし、そもそも南北朝時代自体が中国歴史ドラマの不毛地帯。それでもこういう題材を歴史エンタメ作品に仕上げてしまうのは非常にエラいと思うのです。日本の時代劇や大河ドラマなんかももっとこのチャレンジ精神を見習ってほしいものですが……
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『楚漢伝奇』その12(完)

2013年10月11日 | 中国歴史ドラマ
『楚漢伝奇』第75~最終80話まで見ました。

戚姫に対する不安と不満が渦巻く劉邦の幕下。以前に盧綰が戚姫に対して「如意を太子に立てようなんて下手なマネをしたら殺してやるからな!」と暴言を吐いたのが問題視され、劉邦直々に盧綰に対して棒打ちの刑を命じます。それを不満とした盧綰が楚に寝返りますが、実はこれ、劉邦と盧綰による芝居でした。こうして盧綰は言わば工作員として項羽の幕下に入り込み、漢との和平と、人質になっていた呂雉や劉太公の解放を実現。

漢楚の和平が成立し、彭城へと引き返そうとする楚軍の不意を打ち、漢軍が背後から襲撃。そして今まで日和見を決め込んでいた韓信・彭越もそれぞれ自軍を率いて劉邦のもとへと馳せ参じ、垓下の戦いへと突入するのでした……

というわけで、この後は虞姫の死、烏江での項羽の自刃と来て、最終話で韓信の没落や盧綰の匈奴亡命、劉邦の里帰りなどが超特急で語られます。しかし中盤までネタ振りをしておいて雍歯のその後がまったく触れられないのはどうかと思いましたが。ラストシーンは劉邦と雍歯の対話で締めると予想していたので、何だか肩すかしを食らったような気分です……

【総括】

新版『三国』に続く高希希監督による歴史大作の第二弾となった本作。「取り敢えずカタパルトで火球を飛ばしたりして派手にしときゃいいんだろう」な戦争シーンとか、投げっぱなしの伏線が多いとか批判点は多々あるのですが、半端な所から話を始めて半端な所で適当に締めた『三国』とは違い、順当な所で始まって順当な所でちゃんと締め、また『三国』のように「それ、演義や正史を参照したんじゃなく、脚本家がその場で適当に作ったのとちゃうん?」とツッコミを入れたくなるアレなエピソードもあんまり目に付かず、歴史ドラマとしてはまあまあ無難にまとまってるかなと思います。(『三国』の評価についてはこちらを参照)このあたりは歴史考証担当の王立群先生の力によるものかもしれませんが……
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『忠烈楊家将』

2013年10月05日 | 映画
于仁泰(ロニー・ユー)監督の『忠烈楊家将』を見ました。

時は北宋。遼国の侵攻を知った太宗皇帝は重臣の潘仁美を主将、楊業を先鋒として迎え討たせることにしますが、潘仁美はドラ息子を死に追いやった楊家の人間を陥れる機会を虎視眈々と狙っていたのでした。一方、遼国の主将耶律原も父の仇である楊家の殲滅をはかっており……

本作は楊業を鄭少秋(アダム・チェン)、楊大郎を鄭伊健(イーキン・チェン)、三郎を周渝民(ヴィック・チョウ)、六郎楊延昭を呉尊(ウー・ズン)が演じるといったように、イケメン楊家将となっております。

他の楊家将物では話の展開に合わせて四郎・五郎・六郎・七郎にバリューのある俳優を配し、大郎・二郎・三郎はモブキャラと化すことが多いのですが、今作では兄弟七人それぞれイケメンが配役されているので、大郎や三郎にも見せ場が用意されております。それでもって監督は『SPIRIT』などを制作したロニー・ユーということで、アイドル映画ではなくオーソドックスなアクション歴史大作に仕上がっています。むしろネタ要素やツッコミ要素があんまり無くて不満なほどです(^^;)

ストーリーの方も原典のテーマである忠孝を強調するオーソドックスなものですが、奸臣の潘仁美の処断が字幕でさらっと済まされているあたりは、「本当の敵は前線の遼軍ではなく後方の宋の朝廷だった」という原典の理不尽さを象徴していると言えなくもないかもしれませんw

それとこの作品のBGMがどこかで聞いたような感じだなあと思って確認してみたら、川井憲次さんが担当していました。『セブンソード』以来すっかり中華映画スタッフの常連になっちゃいましたね。
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