博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『天盛長歌』(『鳳凰の飛翔』)その1

2018年09月28日 | 中華時代劇
『天盛長歌』第1~6話まで見ました。Netflixで日本語版が『鳳凰の飛翔』というタイトルで配信予定とのことで見てみることに。

天盛王朝が大成王朝を打倒してより18年。8年間宗正寺に幽閉されていた天盛帝の第6皇子・楚王寧弈が、獄中で蜀錦を編んで得た財産を疫病の振恤に投じたことから罪を許されたところから物語が始まります。


主役寧弈を演じるのは有名俳優の陳坤。どういう理由かはわかりませんが、幼い頃に勅命によって母が毒殺された模様。そしてその後謀反の罪を着せられて刑死した三皇子に連座しての投獄されたという点は『琅琊榜』と設定が似通っておりますが……


こちらの癖がありそうな顔をしたのが寧弈の相棒兼知恵袋の辛子硯。皮肉屋ですが奥さんに頭が上がらない模様。

寧弈の赦免は朝廷に波紋を広げ、長兄の太子寧川と、その一派の二皇子燕王寧昇、五皇子趙王寧研は彼を警戒。一方、父皇の天盛帝は太子と結びつく権臣・閔国公の常海を牽制するため、寧弈を重臣・秋尚奇の娘と結婚させようとします。しかし秋家では夫人がワケあり皇子の寧弈との婚約に反発。結果、秋尚奇の出戻り妹の秋明纓の娘・鳳知微を娘として差し出すことに……


ということでヒロインの鳳知微。こちらも色々ワケありのようで、双子の弟鳳皓とともに、大成王朝を最後まで支えた将軍顧衡の遺児ということになっていますが…… 彼女が身元を隠して婚約相手の寧弈に接近しようとし、これまた寧弈が身分を隠して彼女と接触したりと色々あったのですが、天盛帝が知微の身元を知って不安を感じたのか、この婚約は理由を付けて破談に。

さて、この頃大成王朝の最後の皇帝・哀帝の九皇子を名乗る者が出没し、これに大成王朝の一部隊であった「血浮屠」が関与しているらしいということで騒ぎが持ち上がります。というのは、寧川は18年前に顧衡が守り通そうとした赤子の九皇子を殺害したということで太子の地位を得たからです。つまり殺害したはずの九皇子が偽物だったということになれば、彼の地位が危うくなりかねないというわけです。実は当時8歳だった寧弈も、父の意向を受けて顧衡を投降させようとその場に居合わせたのですが……

取り敢えず太子が「血浮屠」の殲滅にあたりますが、不審を感じた天盛帝は寧弈に事件の調査を命じます。「血浮屠」の頭領が18年前に死んだ顧衡ということで、寧弈はその弟で大盛王朝滅亡後に投降して太子に使えていた顧衍に接近。

一方、秋家では鳳知微と鳳皓とが双子ではないのではないか、どちらかの出生に問題があるのではないかという疑惑が持ち上がり、秋明纓は2人を連れて逃亡しようとしますが、時既に遅く官兵が3人を取り囲み……というところで次回へ。

最近よくある架空王朝物かなと思って見始めたら、展開や設定がよく練られており、毎回面白く見ております。派手さはありませんが作劇のクオリティは高いです。
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『ゲーム・オブ・スローンズ第七章 氷と炎の歌』

2018年09月22日 | その他映像作品
『ゲーム・オブ・スローンズ第七章 氷と炎の歌』第1~最終第7話まで見ました。

前シーズンで再会を果たし、ウィンターフェルを奪回したジョンとサンサでしたが、北からはホワイトウォーカー、南からはサーセイ1世の侵攻という不安を抱え、南北挟み撃ちのような状態にありました。しかしその実サーセイらも南からデナーリス&ティリオンらの挑戦を受ける立場なのでした。

ドラゴン・ストーンを新たな拠点とするデナーリスのもとにはヤーラ&シオン姉弟、一族を爆殺されたオレナ・タイレル、ドーンのエラリアらが集い、更にウィンターフェルのジョンに参内を命じます。かたやサーセイのもとにはヤーラたちの叔父ユーロンが馳せ参じ、一族が二つの陣営に別れて対立しあうグレイジョイ家を見てると戦国感が増してくるなと思ったら、そのユーロンの艦隊がヤーラたちの艦隊を急襲し、ヤーラとエラリアを捕縛。そして当たり前のように怖じ気づいて逃亡するシオン。おい……

一方、ジョンはホワイトウォーカー率いる「死者の軍団」と戦うための支援を得ようと、サンサの不安をよそにドラゴンストーン行きを決意。「女王の手」のティリオンとは旧知の仲であることもあって、次第にデナーリスの信頼を得ていきます。両者の同盟の話が順調に進んでいく一方で、ヤーラの艦隊の壊滅に続き、ティリオンが計画したキャスタリーロック攻めは手詰まり、ジェイミー&ブロンの侵攻によりオレナ・タイレルも死亡と、周りからどんどん追い詰められています……

事態を打開するため、デナーリスはドラゴンに乗って自らレッドキープを急襲し、ジェイミー&ブロンの軍を焼き払っていきます。そこへブロンが決死の覚悟でドラゴン退治の秘密兵器「クァイバーンの蠍」を放って命中させますが……やっぱりドラゴンは反則ですね(震え声)

で、「死の軍団」がウィンターフェルに迫りつつあるという一報を承け、ジョンとデナーリスは彼らに対抗するためにサーセイに停戦を求めるということで一致を見ます。そしてサーセイを信用させるため、ジョンはダヴォス、彼が連れてきたジェンドリー、病が完治して戻ってきたジョラー、ハウンド、ミアのソロス、ベリック・ドンダリオン、トアマンドといったイカれた仲間たちとともに再び「壁」を越えて死人の捕獲を試みることに……

首尾良く死人を捕獲したものの、「死者の軍団」に包囲されてしまったジョンたちに、デナーリスがドラゴン三匹を引き連れて救援にやって来ます。これで勝つる!と思いきや、「夜の王」が投げつけた氷の槍がヴィセーリオンに命中し、撃沈…… 人間が「クァイバーンの蠍」とやらを命中させても死ななかったドラゴンを、ただの氷の槍を投げるだけで殺してるんだから、やっぱり人間よりホワイトウォーカーの方が強いですよね……

そしてデナーリス陣営とサーセイ陣営が一堂に会し、捕獲した死人を見せたりティリオンが姉を説得したりで色々あって停戦が成立したかと思いきや、サーセイはまたぞろ良からぬことを企んでいる模様。アリア・ブラン・サンサと生き残った姉弟が集結したウィンターフェルでは「シタデル」からサムが到来し、ジョンの出生の秘密が発覚。そして「壁」の向こうでは「夜の王」がゾンビ化したヴィセーリオンを我が物とし、「壁」を破壊していよいよ南方への進軍を開始といったところで第八部へ。

和製RPGなら、結末はお互いに惹かれ合うようになったジョンとデナーリスが結婚し、ジェンドリーはバラシオン家を継いで父祖の霊の祭祀を司ることになり、ウィンターフェルはサンサたち姉弟が治め……ということになるんでしょうけど、そこまで甘いドラマかという (^_^;)
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『媚者無疆』その7(完)

2018年09月16日 | 武侠ドラマ
『媚者無疆』第34~最終36話まで見ました。

絶殺への昇格を賭けた晩媚と晩香の勝負のお題は、姹蘿が指定した姽嫿城の先人の「紅魔傘」を先に取得して持ち帰った者の勝ちというもの。晩媚は死んだばかりで城内に飾られていないはずの流光の傘を指定され、きたないなさすがモードに入りますが、その手でくるだろうと読んでいた彼女は刑風の協力も得つつ先に仕込んでおり、難なく勝利して絶殺に昇格。


本作の良心を代表するかのような存在になっている「刑堂主」こと刑風ですが……

ここらへんで「公子」が晋国(後唐)の兵権を任されるかわりに姽嫿城の「聴竹院」から退出し、城内の権限が城主である姹蘿に一括化されます。そこですかさず晩媚が彼女からいつぞやの長安による暗殺未遂事件の責任を問われ、投獄されてしまいます。一方、「公子」の方は、李存勗からわずか500の兵で長安ら楚の兵が立てこもる江城を攻め落とせと無理難題を命じられます。そこへ更に姹蘿から晩媚を人質に取ったという血書が送られてきますが、これを奇貨として血書を長安のもとに送りつけ、で、血書を受け取った長安は楚国の状況も顧みず、自ら晩媚の救出に赴くことになります。これで易々と江城を攻め落とせそうだと「公子」のもくろみ通りに…… 姹蘿も「公子」もドン引きするレベルでクズっぷりを発揮してるんですが、二人がクズすぎて素直に晩媚と長安の恋路を応援できそうです……

刑風の計らいもあって割とあっさり釈放される晩媚ですが、ますます暴虐の度合いが増す姹蘿に対して、いよいよ城主の地位を賭けた決闘を申し出ます。そこへ長安が帰還しますが、いつぞやと同じく姹蘿暗殺を試み、さすがにこれは弁護できないと、晩媚と入れ替わるように投獄され、刑風の拷問を受けることに。晩媚VS姹蘿の勝負の行方は?面会に来た晩媚にすべての内功を与えてしまった長安の運命は?「公子」の気持ちが自分にはないと思い知らされた月影の選択は?そして姹蘿の敗北を悟った刑風の動きは?

【総括】
ダークな雰囲気のスタイリッシュ武侠というのがトレーラーなどによる本作の第一印象でした。中身を見てみると確かにそういう雰囲気の作品ではあるのですが、「公子」こと李嗣源のキャラクターが強烈すぎて作品のイメージをかなり食っちゃってるなあと。第4~5話あたりでまだ盲目の「公子」が武功で雪を降らせたあたりでもう彼に釘付けになりました (^_^;) 更にその後ラスボスにあたる姹蘿よりクズ化するとは予想もできず。ラストシーンで晩媚の口から、「公子」が彼女に関してある流言を広めていることが語られるのですが、こいつほんまに最後までクズやなと……
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『媚者無疆』その6

2018年09月12日 | 武侠ドラマ
『媚者無疆』第28~33話まで見ました。

前回方歌から「お前の底線のある人間だ」ということで見逃してもらいながら、「公子」の指令で正義山荘荘主・黄喩の暗殺未遂を方歌と血蓮教の陰謀に見せかけて方歌の権勢失墜をはかる晩媚…… 「公子」の差し金と察した方歌は彼を捜し当て、竹林で公子と一対一の勝負に及びますが、その間に長安が馬を呼んで晩媚とともに逃亡。「ざまぁm9(^Д^)」と思う程度には見てるこっちも{公子」のクズさに嫌気がさしてますw

しかし二人が姽嫿城に戻ったところで、姹蘿が方歌の妹・盈盈も陰謀に巻き込もうとしているから救ってやれと刑風が告げます。刑風は姹蘿と相思相愛の仲であるわけですが、彼女の加虐的なところはあんまり良く思ってないんですよな。今までの場面でも、彼女が召使いに当たり散らして処罰しようとするのを救ってやったりという具合にその点がはちゃんと明示されており、描写としてはなかなか面白いところです。

しかし晩媚らが駆けつけた時には既に遅く、盈盈は姹蘿の差し金によって黄喩の息子たちによって手込めにされた後でした…… 方歌の腕の中で死んでいく盈盈。そこで逃亡時に長安に点穴された月影に見つかってしまいますが、晩媚は「公子」や長安の前で、自分と同じような身の上の彼女の死に対して、姹蘿に取って代わって城主となることを決意。この前後に晩媚は「公子」の推薦で天殺に昇格しております。

一方、「公子」の陰謀により黄喩殺害を謀ったということにされてしまった血蓮教は、正派諸派のヘイトの対象となり、新たに武林盟主となった黄喩の指揮のもと、正派連合軍によって攻め滅ぼされます。更に教主の越軽涯は李存勗から血蓮教の残党の殲滅を命じられ、「これはあまりにあまり」とばかりに命令を拒否して太傅の職を退きます。そして晩媚は謝瑩に長安の身の上を知らされ、「影」のポジションから解放して欲しいと懇願され、断腸の思いで別れを決意。そして絶望の中で剣を振るい、「公子」から授けられたものの修得できないでいた「神隠剣法」第十三子式「天光尽」をマスター。二人の恋が破れたら得をするのは「公子」だけだと思うと、二人の恋を応援したくなってきますが……


太傅辞任以来行方をくらませた越軽涯。「公子」はかつて母の藍禾から血蓮教の殲滅、越軽涯の殺害、そして李克用の後継者として王となることの三つを託されていました。そして血蓮教の殲滅を果たした今、越軽涯を倒す時が来たということで、自分が晩媚を好いているということを見せつけ、「公子」に復讐しようとしていた越軽涯に敢えて彼女を攫わせ、そこから彼の居場所をつきとめて最終決戦に持ち込みます。やっぱりこの人キング・オブ・クズなのでは…… 晩媚の力添えもあり、彼を討ち果たしますが、ここで「公子」が実は李克用の子ではなく、越軽涯の種であったことが判明。まあこれは予想通りですね。

そして姽嫿城では、長安が脱出時に流光から、長年姹蘿に幽閉されている恩師の姹如を解放して欲しいと依頼されますが、これが姹蘿にバレてしまい、流光の処遇が問われることになります。姹如は例によって姹蘿と同期なのですが、前城主の藍禾の画策で姹蘿と対立したりと色々あった模様です。で、命を保つことも危うくなった流光は、敢えて姹蘿に城主の地位を賭けて対決を申し出ます。お互いの「影」同士が代理で決闘するという形式で、流光側が勝利しても城主の地位は求めず、それと引き替えに自らの助命嘆願を要求するということで、彼女の「影」となった長安が姹蘿の「影」の刑風に勝利しますが、不正があったとか刑風が敢えて手加減をしたということで結局流光は死に追い込まれ、長安も囚われの身に……


しかしここでも長安は刑風によって密かに解放され、阮娘と合流し、武則天・太平公主の遺臣たちの推戴により楚王に即位。そして事態を知って姽嫿城に戻った晩媚は、流光の死によって欠員となった絶殺への昇格を賭けて晩香と競うことになりますが……
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『媚者無疆』その5

2018年09月05日 | 武侠ドラマ
『媚者無疆』第22~27話まで見ました。

武林副盟主の秦雨桑は孤児だったのを盟主の方歌に引き取られ、その義弟として武功を磨いたと彼自身も信じていますが、実はその武功に目を付けた方歌によって人さらい同然にムリヤリ両親から引き離されていたのでした。その事実をつかんだ晩媚は、秦雨桑にその知らなかった方が良かった事実を吹き込み、二人を反目させようとします。最後は秦雨桑を実母とともに逃亡させるハラでしたが、そこでお目付役の晩香が介入し、秦雨桑は結局死ぬことに……

一方、長安はまたぞろ怪しげな蠱毒を飲まされたうえで晩媚の「影」に復帰することが許されます。その頃、「公子」は塩幇との交渉の席で飲まされた毒の効果で、晩媚に前から好きだったと思いの丈をぶちまけ、更に力尽くで彼女をモノにしようとして拒まれておりました…… このあたりから「公子」のだめんず化というかクズ化が止まらなくなります。

そして義子で教主代理の藍若が死に追い込まれたことで、越軽涯は復讐のため、阮娘に後唐の禁軍を与えて姽嫿城侵攻を命じます。あっという間に包囲されてしまう姽嫿城の面々ですが、これが「王上」こと李存勗の命令ではなくを越軽涯の独断と察した「公子」は、晩媚と月影を李存勗のもとに派遣し、それまで長安ら残った面子で攻撃をしのぐことにします。姹蘿城主がその「影」の刑風の判断でが一時遁走したこともあり、「公子」は姽嫿城内でにわかに存在感を増す公子。

首尾良く李存勗の手諭を持ち帰り、禁軍に撤退を迫る晩媚。一方、長安は阮娘に「公子」を人質に取られ、吹杏楼にある姹蘿の化粧箱の中に隠された無字詔と引き替えに解放を図りますが、吹杏楼に辿り着くとなぜか「公子」が待ち構えていて無字詔が奪われたうえ、長安が「公子」を見捨てて逃げたことにされ、晩媚に臆病者扱いされることに…… 晩媚も長安に何か事情があることは察しているのですが、長安が阮娘のことゃ自分の身の上を打ち明けず、二人の溝が深まっていきます……

事が収まると、公子は姽嫿城の城主面を始め、敵前逃亡の罪で姹蘿を処罰しようとし、かわりに「影」の刑風を棒打ちにしたりします。段々とこいつを調子に乗らせたらアカンのではないかという雰囲気が (^_^;) 

一方で「公子」は方歌から、いつぞやの韓修殺しの下手人、すなわち晩媚の引き渡しを求められておりました。「公子」は毒が抜けても晩媚に「お前が好きだ」と告白しつつも、あっさり晩媚を方歌に引き渡します。自分では「それとこれとは別」なんて言ってますけど、これって今流行の「支離滅裂な思考発言」というやつでは…… そしてその手のひらの返しの酷さは作中の人物からもツッコまれております。

晩媚は方歌の「正義山荘」の中で軟禁されつつも、方歌の妹である盈盈と親しくなります。彼女は明るい性格ですが、実年齢は19歳なのに自分は11歳と称したり、亡くなったはずの父親が生きているように振る舞ったりと、不審なところがあります。その盈盈が突然行方をくらましますが、晩媚は首尾良く外で倒れていた彼女を発見し、彼女の腕に自分がかつて身売りさせられた妓楼でつけられたのと同じ傷があるのを発見します。


方歌は貧家の生まれで栄達を求めて武林に身を投じ、栄誉と財産を得ましたが、家族を迎えようとした時には父は死に、盈盈は行方不明となっておりました。で、彼女はどこからか方歌のもとに戻されたのですが、晩媚は方歌にその間に彼女の身におこったであろうことを告げ、「その妓楼を教えろ、潰してやる!」といきり立つ方歌に、妹の仇討ちなんて考えずにこれからはとにかく彼女の側にいてやれと諭します。

方歌は晩媚を「底線」のある人間だと解放しますが、それはすべて「公子」の狙い通りで、盈盈の行方不明も彼が仕込んだことなのでした。「公子」のクズさに嫌悪感を抱くようになった晩媚は長安と逃亡を図りますが…… ということで、母親に盲目にされる以前の13、14歳の頃の「公子」はかなりイヤなやつだったのではないかという気がしてきました……
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2018年8月に読んだ本

2018年09月01日 | 読書メーター
天を相手にする: 評伝 宮崎市定天を相手にする: 評伝 宮崎市定感想
宮崎の東洋・西アジア・西洋を連環させる世界史像がどのように形成されたのかなど、学問の歩みや個々の業績の評価を丁寧にまとめている。『アジヤ史概説』をめぐるトラブルや、『論語』の字句の改竄など、毀誉褒貶の「褒貶」にあたる部分、中国古代都市国家論をめぐる貝塚茂樹との感情的なこじれなどについても言及されている。著者は西洋史畑だが、かなりまとまった評伝になっていると思う。
読了日:08月02日 著者:井上 文則

書物を焼くの記―日本占領下の上海知識人 (岩波新書 青版 (172))書物を焼くの記―日本占領下の上海知識人 (岩波新書 青版 (172))感想
著名な文学者鄭振鐸による、日本占領下の上海での暮らしの日々。中国史上の「焚書」についてとやかく言う向きもあるが、戦時中のものに関して日本もそれに関与していたとなれば、日本が「焚書」をあげつらうことができないのではないかと感じた。占領下で秘密結社がやったことが『魯迅全集』の刊行であったというのも、「焚書」の動きを踏まえると面白い。
読了日:08月04日 著者:鄭 振鐸

シリーズ日本の近代 - 逆説の軍隊 (中公文庫)シリーズ日本の近代 - 逆説の軍隊 (中公文庫)感想
近代日本の軍事というか軍隊通史。本来は軍の政治的中立性、軍人の政治不関与を保証するためのものだったという統帥権の独立、軍部への政党の介入を予防するために導入された軍部大臣現役武官制が、「最初の意図をはるかに超えて作用する」さまなどを描く。終盤の、日中戦争以降の軍紀の弛緩が、戦争の理念や目的がなかったことによるものではないかという指摘が重い。
読了日:08月09日 著者:戸部 良一

精講 漢文 (ちくま学芸文庫)精講 漢文 (ちくま学芸文庫)感想
漢文の受験用参考書だが、漢文の便覧の合間に漢文の例文を読んでいるという感じ。解説は中国の歴史、詩文の形式、文学、思想、日本での漢文学とかなり幅広い。例文は漢文の教科書や入試問題に採られていそうなものが中心だが、折角明清の小説を話題にしているのだから、『水滸伝』の一節を無理に訓読してみせるというようなお遊びがあってもよかったかもしれない。
読了日:08月14日 著者:前野 直彬

現代語訳 老子 (ちくま新書)現代語訳 老子 (ちくま新書)感想
郭店簡本『老子』の年代に関して池田知久説を前提として立論してしまっていることや、第1講の「大象」の解釈など問題点は多いが、『老子』の解釈については通説的理解を明示したうえで自説を展開しており、最低限のことはできている。また『老子』に関して専門外なりによく勉強した痕跡は窺える(日本語と漢文訓読で読めるもの以外の研究にも挑戦して欲しかったとは思うが)。ただ、著者が書くべきだったのは『老子』そのものの訳注ではなく、日本における『老子』の受容史だったのではないかと感じた。
読了日:08月19日 著者:

教養の中国史教養の中国史感想
「中華」あるいは「天下」観の形成と、思想・文学・美術、はたまた現代中国の生活やメディアといった文化的側面に着目した通史となっている。また、従来の時代区分論を念頭に置きつつも、学術・思想などの面から、前漢と後漢との間に区切りが入れられるのではないかといったことなど、時代区分に関しても新しい観点が盛り込まれている。昭和堂の『概説中国史』とともに広く読まれる中国史のテキストとなって欲しい。
読了日:08月22日 著者:

魔女・怪物・天変地異: 近代的精神はどこから生まれたか (筑摩選書)魔女・怪物・天変地異: 近代的精神はどこから生まれたか (筑摩選書)感想
怪物的な動植物、いわゆる「奇形児」、天体現象、魔女などの驚異を媒介に、西欧の「好奇心」の位置づけの変容から近代的精神の成立を探る。否定的な意味での好奇心が女性と結びつけられるなど、その限界も示しているのが面白い。怪物の出現が自然や社会の秩序が乱される前兆となるという発想は中国にも存在したが、中国ではそれがなぜ「近代的精神」の成立に寄与しなかったのだろうかというようなことを考えつつ読み進めた。
読了日:08月24日 著者:黒川 正剛

戦乱と民衆 (講談社現代新書)戦乱と民衆 (講談社現代新書)感想
訳もわからぬまま異国に動員される民衆、略奪する民衆、焼き討ちを恐れる民衆、合戦の様子を見物しようとする民衆等々、論者四者四様、各時代の戦乱の中の様々な民衆の姿を描き出す。当事者による回想録の方が同時代史料よる事実を語っている場合があるという話、万葉集の防人歌に妻や恋人を歌ったものが最も多いという話とその裏事情などを面白く読んだ。
読了日:08月26日 著者:磯田 道史,倉本 一宏,フレデリック・クレインス,呉座 勇一

文系と理系はなぜ分かれたのか (星海社新書)文系と理系はなぜ分かれたのか (星海社新書)感想
文系・理系区分の歴史とその不毛さを説く本かと思いきや、話は更に複雑なというかすっきりしない方向に進んでいく。取り敢えず第4章のジェンダーと文系・理系の話、そして第5章の、地球温暖化問題など、学問が人間社会に関わる切実な対象を扱えば、学術的論争と政治的論争との境目が不明瞭になっていくという話などを面白く読んだ。
読了日:08月29日 著者:隠岐 さや香

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036)折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036)感想
個々の作品もさることながら、序文の中で編者ケン・リュウが、中国のエンタメから政府批判を読み取ろうとする我々「西側読者」の心性に対して、中国の作家たちは人類全体に対してメッセージを発しているのだと述べているのに感じ入った。全体として地域性のエンタメから普遍性を備えたエンタメへと脱皮しようとする力を感じる。個人的なお気に入りは「童童の夏」と「神様の介護係」。
読了日:08月31日 著者:郝 景芳

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