博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『花千骨』その10(完) 生死劫とは一体なんだったのか

2015年11月25日 | 武侠ドラマ
『花千骨』第53~最終58話まで見ました。

南弦月救出のため、長留山へと潜入する千骨と東方卿ですが、結局小月を救うことができず、東方もまた「世尊」摩厳の攻撃から千骨を庇って死亡。千骨自身は「尊上」白子画が長留山の奥地の「雲宮」へと連れ去り、幽閉。失意の日々を送る千骨ですが、勝手に弟子にされてた幽若と接触し、少しずつ彼女に心を開いていき……と思いきや、千骨を解放しにやって来た糖宝を目の前で霓漫天に殺害され、精神的ショックにより「洪荒の力」の封印が解除され、「妖神」となってしまいます。


「妖神」と化した千骨さん……

要するに闇落ちしたわけですが、闇落ちと言いつつ衣装とメイクしか変わらなかった紫薫上仙とは違い、人格もダークサイドに落ち込んでしまいます。「神尊」として七殺派の新たな聖君となった千骨は、世尊と漫天を拉致。そこへ世尊の解放と引き替えに、尊上が千骨の下僕になると申し出てきます。「洪荒の力」を再度封印して千骨の善性を取り戻させようというつもりですが、その取り引きを受け入れた千骨が、「じゃあこの上着を脱がせて」と、かつての師を世話係扱いしたりと、何だかSMプレイみたいな雰囲気に(0゜・∀・)(当局の検閲で削除された部分にSMを思わせるシーンもあった模様です。)

しかし死んだと思われた小月が、実は尊上の処置により生きていたこと、そして長留山での千骨への処罰の後に自ら64本の消魂釘を受けたことを知り、動揺が隠せない千骨。次第に師への態度がツンからデレへと変化していきます。変わるのがはえーよ(´・ω・`) 

で、白子画の腕に絶情水の傷跡を発見し、彼も千骨を愛していたことが露見しますが、白子画は「こんな傷跡が何だと言うのだ!お前を愛していようがいまいが、一緒になることはできないのだ!」と、険しい表情をして脂汗を流しながら傷跡の上に新たな傷を創り、千骨への愛を否定。これ、やっぱり何かのプレイなんじゃ……



結局長留山へと戻った尊上ですが、兄弟子の世尊が正派諸派を率いて千骨率いる七殺派への総攻撃を仕掛けたと知り、戦いを留めようとしますが、千骨は尊上に最後の戦いを挑みます。しかし彼女はその時既に師の手にかかって死ぬ道を選んでいたのでした……

【総括】
で、中国で本放送時に物議を醸したラストシーンについては省略。一言感想を述べるとしたら、上に書いた場面で幕を引いときゃ良かったんやとしか…… ともかく、当局の検閲だとか于正メソッドだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ という気分です。

原作ファンの感想はともかくとして、単体のドラマとした見た場合、設定にガバガバな部分が目に付きつつも、割といい調子で話が展開していたのですが、ラストシーンで思い切りミソを付けてしまった感がありますね。このドラマの鍵となる(と思う)生死劫については、終盤で唐突に竹染が世尊の生死劫であることが明らかにされますが、やっぱり気の迷いとか思い込みの類にしか見えませんよね?
コメント (7)
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『花千骨』その9

2015年11月13日 | 武侠ドラマ
『花千骨』第47~52話まで見ました。

東方卿は千骨を連れ戻すため、殺阡陌の力を借りて「窮極の門」を開き、蛮荒へと潜入。しかし漫天より東方の正体が異朽君だと知らされた千骨は、今まで正体を隠していた東方に心を開こうとはしません。しかし弟分の南弦月が長留山に捕らわれて処刑されるという話を聞き、居ても立ってもおられず、元の世界へと戻ることを決意。「洪荒の力」を秘めているとされる南弦月こと小月ですが、実は「墟洞」の中で「洪荒の力」をすべて千骨に譲り渡してしまい、今は凡夫となっているのでした。

長留山では殺阡陌が東方と連携して千骨を連れ戻そうとしているのを察知し、それを阻もうと正派諸派の面々を結集し、殺阡陌を守る七殺派に戦いを挑みます。それによって「窮極の門」の開放が阻まれた……と思いきや、千骨・東方と、ついでに竹染は密かに蛮荒からの脱出を果たしていたのでした。しかしその代償として殺阡陌はすべての功力を使い果たし、老化した姿で千骨の腕の中で息絶えるのでありました…… 代償と言えば、東方も異朽閣の代々の祖先の霊より千骨を蛮荒から連れ戻す方法を聞き出した代償として、五感を徐々に失ううえに凄惨な死を遂げる運命を与えられたのですが……

で、その東方から白子画が新たに天山派尹掌門の娘幽若を弟子に迎えると知り、ショックを受ける千骨。しかし実は幽若は尊上の新弟子ではなく、千骨の弟子として迎え入れられ、尊上がかわりに指導するということになっていたのでした。こういう形で「弟子は生涯一人しかとらない」という誓いを守ったわけですが、千骨は単身長留山絶情殿に潜入し、その尊上と再会。小月から千骨に「洪荒の力」が注ぎ込まれた際に、尊上がその力に封印をかけた都合で、千骨が「洪荒の力」を使用すると尊上が内傷を負うという運命共同体みたいな状態になっていることが判明。

一方で尊上は小月が凡夫となっていることを察知し、彼を匿って処刑から免れさせようとしますが、実は殺姐姐より以前の七殺派の聖君であったことから(本人からはその記憶は失われていた)「世尊」摩厳に目を付けられてしまいます。世尊は尊上を体よく絶情殿から外出させ、その隙に彼を引きずり出して処刑してしまおうとしますが……

ということで次回分第58話で完結なのですが、どう見てもハッピーエンドでは終わらない展開ですよね。これ……
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『花千骨』その8 怒りのデスロード・イン・チャイナ

2015年11月06日 | 武侠ドラマ
『花千骨』第41~46話まで見ました。

「洪荒の力」を鎮めるべく洪荒の内部「墟洞」に潜り込んだ千骨。そこで洪荒の力の源となっていた青年南弦月と出会います。


ここに来てまた新たなるイケメンが……

彼をここで殺してしまうべきだと、彼女を追って墟洞にやって来た東方らは主張しますが、小月は強大な力を訳も分からず押しつけられてしまっただけで根はいい子なのだ擁護し、彼を弟分として外界に連れ出すことに。ここで千骨は気絶している間にその南弦月から洪荒の力を託されてしまいます。

で、洪荒の力を収めて墟洞を脱出した後、蓬莱派の霓千丈殺害、十方神器の強奪、そして洪荒を発生させた罪により長留山で裁きを受けることになる千骨。霓千丈殺害は実際は単春秋のしわざで、十方神器の強奪は白子画の毒の治療のためだったわけですが、尊上の名誉を守り、また洪荒の力の源南弦月を長留派で引き取ってもらうため、千骨はすべての罪を認め、十方神器の強奪も殺阡陌に命じられたためと偽ります。

これに対し尊上は自分の弟子の資格を保ったまま、千骨に81本の銷魂釘を身に受けさせるという処罰を決定。しかも17本まで身に受けたところで、自身の「断念剣」による処罰に切り換え、残りの64本は師である自分自身が彼女に替わって身に受けます。

しかしそんなもので父親を殺された霓漫天の気が収まるわけはなく、尊上の兄弟子で長留三尊の一人「世尊」摩厳の目の前で絶情水を千骨の顔にかけ、彼女が師の尊上を愛していることを証明してしまいます。弟子が師のことを愛しているなどと!と激怒した世尊は、独断でひっそりと千骨を「蛮荒」へと放逐。蛮荒とは一面不毛の大地が広がり、彼女のような罪人が放逐されたり、猛獣が暴れ回ったりしている場所。要するに怒りのデスロードのような世界です。


「蛮荒」の一角。

尊上も考えあって世尊の措置を受け入れますが、千骨への処遇を聞いて怒り心頭の東方卿から、いつぞやの自分の上半身ヌードを描いた千骨の落書きを手渡され、彼女の自分への思いを知らされます。ここでまた上半身ヌード落書きが出てくるとは思いませんでしたが、これが師弟二人の幸せの象徴だったわけですね(´;ω;`) そしてこの場面で見せ場らしい見せ場もないまま、尊上の剣先から東方を庇ってひっそりと死んでいく「五上仙」の一人東華……

そしてその頃、千骨は尊上が蛮荒へと派遣した啍唧獣によって、やはり長留から追放された竹染のもとへ。彼のお陰で蛮荒に放逐されて以来見えなかった目が治りましたが、この竹染、どうも腹に一物抱えているようで……?

竹染は以前の回想シーンで、長留門の弟子であった時代に殺阡陌の妹琉夏を死に追いやった人物として描かれていましたね。残りの尺でこの因縁に結着がつけられるのでしょうか?
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2015年10月に読んだ本

2015年11月01日 | 読書メーター
暴力の人類史 上暴力の人類史 上感想
先史時代から現代まで、戦争・ジェノサイド・テロ等々の暴力は着実に減少していっているという主旨。イスラム国は暴力による支配の最後の断末魔ということになるのだろうか?時代を経て暴力が減少していっているという図式は、中世日本が「北斗の拳」そのままの世界であったことを思えば、日本史にもそのままあてはまりそうである。本郷和人氏あたりに「暴力の日本史」を書いて欲しいところ。
読了日:10月4日 著者:スティーブン・ピンカー
暴力の人類史 下暴力の人類史 下感想
人類は着実に賢明に、やさしく、おとなしくなっているということを、下巻では主に心理学の観点から論じていく。日本絡みでは1984年の昭和天皇の訪日した韓国大統領に対する謝罪以来、日本や世界各国の指導者が第二次大戦中の加害行為などを積極的に謝罪するようになったという話が面白い。
読了日:10月15日 著者:スティーブン・ピンカー
群狼の舞: 満州国演義三 (新潮文庫)群狼の舞: 満州国演義三 (新潮文庫)感想
満州事変を経ていよいよ満州国が建国される。関東軍に批判的だった外交官の太郎も「新国家建設」の夢に惑わされるようになる。そして末弟四郎が北辺で武装移民事業に従事するようになり、四兄弟が全員満州に揃ったことに。やはり史実とフィクションのバランスがほどよく保たれている感じ。
読了日:10月16日 著者:船戸与一
日本史学 (ブックガイドシリーズ基本の30冊)日本史学 (ブックガイドシリーズ基本の30冊)感想
入門書・研究書・学際的アプローチなど分野別と、古代から近現代までの時代別をクロスさせた日本史学ブックガイド。単なる名著の紹介・解題にとどまらず、文献のチョイスからして著者保立氏の個性や考え方、読書歴が色濃く反映されている。「物申す」姿勢のブックガイドとして評価は分かれるかもしれない。
読了日:10月19日 著者:保立道久
ヨーロッパ覇権史 (ちくま新書)ヨーロッパ覇権史 (ちくま新書)感想
同じ著者の『海洋帝国興隆史』とかぶってるようなかぶってないようなという内容。こちらは大航海時代の話がやや詳しくなっているかなという印象。一方、前著でそれなりに紙幅を割いていた北海・バルト海の話は割愛されている。著者の専門からは外れるかもしれないが、今度はアメリカに重点を置いた話を書いて欲しい。
読了日:10月20日 著者:玉木俊明
ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)感想
独立間もないルワンダの中央銀行総裁となった著者の回顧録。明治の頃のお雇い外国人もこういうことを考えながら仕事をしたのかなと思わされた。そしてルワンダ人を「未開」と見なすことなく、彼らの行動の裏には必ず深刻な事情があり、むしろルワンダ人を無能・怠惰と見なす外国人の政府顧問・商人こそが無能・怠惰かつ傲慢であるとする著者の見識に感服。
読了日:10月23日 著者:服部正也
平安王朝 (岩波新書)平安王朝 (岩波新書)感想
今までありそうでなかった、王家を中心とした平安時代通史。謎の桓武の前半生、藤原氏と村上源氏との結びつき、清和源氏や閑院流藤原氏の評価など、これまでの概説書ではほとんど触れられていなかった人物が詳しく紹介されていたり、論点が盛り込まれており、読みどころが多い。
読了日:10月26日 著者:保立道久
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