博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『七侠五義 人間道』その4

2013年01月28日 | 中国古典小説ドラマ
『七侠五義 人間道』第19~24話まで見ました。

祥符県の熊発一家殺害事件は、事件の真相を知る麗珠が陳琳の手の者によって殺害。それに絶望した丁兆蘭が自ら事件の真犯人だと名乗り出て牢内で自害したことで、真相は闇の中に葬られ…… って、そんなオチでいいのかよっ!日本の時代劇ではあり得ない展開ですな……

で、何事も無かったように新シリーズに突入。大官の陸淵の屋敷で息子の陸濤夫婦の結婚式が盛大に開かれますが、式の最中に新郎新婦が毒針に刺されて急死するという事件が発生。その後、宋都汴梁城の反物屋の李長恒一家が何者かに殺害され、何かの見せしめのように遺体が晒されます。

この2つの事件はそれぞれ遼国の暗殺部隊「鉄血殺手隊」が関与しておりました。実は陸淵と李長恒は遼国のスパイ組織「残月隊」の一員であり、遼軍が宋へと侵攻する「大漠之月」計画の尖兵として20年間汴梁城内に潜伏していたのでした。そしていよいよ「大漠之月」計画を実行に移す時機が到来したと、遼の皇帝が李達率いる「鉄血殺手隊」を汴梁城へと派遣。しかし「残月隊」のリーダー蕭毅(遼国の王で宋の大官となっている)らは計画実行は時期尚早と首を縦に振らず、業を煮やした李達ら「鉄血殺手隊」が見せしめに「残月隊」のメンバーの家族を殺害し、計画の実行を迫ったというのが事件の真相。

李達(本名は耶律雄で遼の皇族の端くれらしい)は、蕭毅らが20年かかって作り上げた汴梁城の機密地図を奪い取ろうと「残月隊」と暗闘を繰り広げる一方で、蕭が宮廷での酒宴用に納入した酒に密かに毒を混入させ、蕭(そう言えば彼女も遼の王女でした。蕭毅は叔父に当たる模様)を仁宗毒殺未遂の容疑でお尋ね者に仕立て上げたり、「遼国を裏切りたい」と称して陳琳に接近したりと、色々と妙な動きを見せています。

蕭毅と陸淵の方はといえば、いっそのこと一切合切を宋側に打ち明けようと決意。自分達がスパイとして処刑されることになっても、自分達の家族の安全は守られるはずという算段。で、宋の大官で最も信頼の置ける包拯を酒宴に招き、すべてを告白しようとしたところで、20年間蕭毅らを監視していた陳琳が踏み込み、蕭毅・陸淵ばかりか包拯も遼のスパイ容疑で捕らえてしまいます。完全にとばっちりですな(^^;) しかし報告を受けた仁宗は陳琳の思惑には乗らず、自ら蕭毅らに話を聞くことにし……

このシリーズで「七侠」の一人とされる智化が登場しております。蕭毅の副官でやはり汴梁城に潜入して果物屋を営んでいるという設定。微妙に死亡フラグが立っているっぽいのが気になりますが……
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『七侠五義 人間道』その3

2013年01月21日 | 中国古典小説ドラマ
『七侠五義 人間道』第13~18話まで見ました。

一触即発の状態の先帝の陵墓に乱入した包拯はその場で裁判を開き、あっさりと龐吉を処刑。それに怒った仁宗は一度は包拯を投獄しますが、冷静になってみると却って包拯の硬骨ぶりを見直し、七品官の県令として祥符県で発生した連続婦女暴行殺人事件の解決に当たらせます。この事件を無事に解決できたら開封府尹に復帰させるという算段ですね。ここで展昭が御前四品帯刀護衛に任命され、晴れて正式に包拯の侍衛となります。

で、新シリーズの祥符県編で捕頭(捕り手頭)として丁兆蘭と艾虎が登場するのですが……



ヒゲを生やしている方が丁兆蘭で、小太りの方が艾虎です。……イメージが違う(´・ω・`)(特に艾虎)おかしい。こんなことは許されない(涙目)

さて、太監の陳琳は包拯が中央官界に復帰すると目の上のタンコブとなると見て、包拯があっさり連続婦女暴行殺人事件を解決して開封府尹に復帰しそうな形勢となると、自身の護衛の丁兆の兄である丁兆蘭と接触して良からぬことを企みます。

まず祥符県のならず者の熊発を焚き付け、彼に借金のある何江に散々嫌がらせをさせます。そして丁兆蘭の恋人で妓女の麗珠を熊発に接近させ、2人で寝ている時に手下に熊発とその一家を殺害させ、それを熊発に恨みのある何江の仕業ということにして、麗珠が証人として包拯に告発。で、人証・物証を捏造して包拯に何江を処刑させ、彼が誤審をしたことを後に暴露して失脚させようという算段。きたないなさすがw 丁兆蘭は陳琳に弟の丁兆と麗珠が人質に取られた形となり、心ならずも陰謀に加担することに……

ここでさすがに良心が咎めたのか、麗珠が「何江さんはやっぱり犯人じゃないみたい(震え声)」と一度は供述を翻したりとアクシデントが発生しますが、結局陳琳の目論見通り処刑場に引っ立てられる何江。彼は丁兆蘭に因果を含められたこともあり、自分が熊発一家を殺したと偽証していたのですが、土壇場になって自分は犯人ではないと告白。そして尊敬する包大人に冤罪事件を起こさせるわけにはいかない!と、自ら石柱に頭を打ち付けて自害。おお、もう……

何江の無罪を知った包拯は仁宗に罪を請いますが、仁宗はともかく連続婦女暴行殺人事件は解決できたのだからというわけで、逆に開封府尹への復帰を命令。

大岡越前的な裁判官の誤審については、以前に紹介した『大宋提刑官』では最終シリーズのネタとして取り上げられていましたが、このドラマはまだ中盤なんだぜ(震え声) この後の展開をどうするつもりなんでしょう(´・ω・`)
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『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』

2013年01月14日 | 映画
『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』(原題:『龍門飛甲』)

胡金銓(キン・フー)監督の古典的名作『残酷ドラゴン 血斗龍門の宿』(『龍門客桟』)と、そのリメイクであるツイ・ハーク(徐克)監督の『ドラゴン・イン』(『新龍門客桟』)が3D映画で甦る!ということで、本作の3D字幕版を見てきました!

時は明朝成化年間。ジェット・リー(李連杰)演じる侠客の名を騙る女侠(ジョウ・シュン(周迅)が演じてます)が、ひょんなことからチェン・クン(陳坤)演じる西廠のボスに追われる宮女を助け出し、ともに砂嵐舞う龍門の宿へ。しかしそこは失われた砂漠の王国の秘宝を狙うならず者たちの巣窟となっておりました。そこへ更に宮女を追って来た西廠の面々も乱入し……

『ドラゴン・イン』を手掛けたツイ・ハークが監督してますが、ストーリー上で難しい話やらテーマは一切無し!冒頭から3Dの映像の真価を見せてくれると言わんばかりに李連杰と劉家輝の激闘が展開(しかももったいないことに劉家輝の出番はこれだけ)!剣や暗器が飛び出たりと武侠物の3D映像で見たい演出は一通り堪能できる!ということで、ここ数年古装では作品に恵まれていせんでしたが、遂にオレたちのツイ・ハークが戻ってきましたよ!アンディ・ラウ主演の『王朝の陰謀』なんていらんかったんや!……え、ラストのどんでん返しが唐突すぎる?こまけえこたあいいんだよっ!

ストーリーは『ドラゴン・イン』の続編的な内容になってます。ジョン・シュンが前作で龍門の宿で人肉饅頭を客に出してた若女将の3年後の姿ということになってるんですね。ジェット・リーも無影脚を披露してたりしますが、このあたりは古いファン向けのサービスということなんでしょう。あるいは次回作としてツイ・ハークとジェット・リーのコンビで『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』3Dを期待してもいいということなんでしょうかw
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『七侠五義 人間道』その2

2013年01月09日 | 中国古典小説ドラマ
『七侠五義 人間道』第7~12話まで見ました。

包拯を通じて代州事件を告発し、龐吉の死罪を求めるという方針で一致した盧方ら4義兄弟ですが、白玉堂はあくまで自ら龐吉を誅殺しようとして龐吉を拉致。しかし攫われた龐吉の方も、泊まった宿で密かに救出を求める血書を残そうとしたり、白玉堂の隙を突いて逃亡を図ったりします。この手際の良さから鑑みるに、龐吉は今まで何回かこうやって拉致された経験があるんじゃないでしょうか。

そこへ展昭や盧方らが駆けつけ、白玉堂を説得して龐吉の身柄を確保し、都へと連れ戻します。そこから包拯による取り調べとなるはずでしたが、ここで仁宗皇帝腹心の宦官陳琳の横槍が…… 陳琳「どうでしょう包殿、陛下もまだ年がお若く、龐太師の補佐を必要としておられる。適当な所で矛を収められては?」 包拯「そうですな。しかし国の柱石たる太師を白玉堂が殺めようとした罪は見逃すわけにはいきません!(キリッ ……あれれー?でもどうして白玉堂は太師に危害を加えようとしたのかなー?そこんとこちゃんと確かめなくっちゃー(棒読み) 」 陳琳「(ダメだこいつ、早く何とかしないと(´・ω・`) )」

で、仁宗皇帝の立ち会いのもと太師府の家捜しが行われ、龐吉が当初暗殺に忍び込んだ白玉堂を騙すのに使った代州事件の被害者一同の位牌が罪の証拠となります。龐吉が自分が代州事件の当事者であるということと、遼から逃れてきた人々が宋の民であることを認めた証拠になるというわけですね。しかしここでも龐吉は何のかんのと言い逃れをし、結局龐吉は遼から逃亡してきた宋の民を遼の手先と誤認した点では落ち度があるが、無辜の民を虐殺する意図は認められないという玉虫色の裁定が下され、(実際のところは自らの軍功のために宋の民と知りつつ遼の手先ということにして虐殺したわけですが)官職は剥奪されたものの死罪は免れ、終生先帝の陵墓の墓守をつとめることに。

盧方や白玉堂らは当然この処置に納得できません。包拯自身もこの裁定に納得できず、講釈師に代州事件の講釈を語らせたりして世論を味方につけようとします。仁宗自身は自ら講釈を聞き、盧方らと直接面会をして考えを改め、遂に悲劇の現場となった代州摩天嶺の発掘を命じます。

摩天嶺から虐殺された民の遺骨や遺品が出たことで、さしもの龐吉も死罪を免れないかと思いきや、今度は当時在位していた先帝が代州事件の真相を知りながらその事実を握りつぶしていたという証拠の文書を仁宗に差し出します。仁宗もこれ以上龐吉の罪を追及すると、先帝の過失をも認めなければならないということで、龐吉の死罪を断念。盧方らはいよいよ実力行使しかないと龐吉の籠もる先帝の陵墓を襲撃しますが……

ということで何度追い詰められても冷静に対処して死罪から免れる龐吉。こういうのを見ると、やっぱり中国で大岡越前や水戸黄門が自分の仕事をするのは無理ゲーではないかと思うわけですが……

一方陳琳は、盧方らの襲撃から龐吉を守れと丁兆に命じますが、一連の展開に丁兆自身も納得できないようで、龐吉の護衛をつとめる河伯と雷公の2人が盧方らに倒されるのを見届けてからノコノコと参上し、龐吉から「なぜもっと早く駆けつけなかった?」と詰問されると、「いやあ、私の任務はあなたを守ることだけなんで(棒読み) 」と答えたりしております。龐吉と盧方・白玉堂らの運命やいかに?(^^;)
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