博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『テンペスト 第1巻春雷』

2010年09月26日 | 小説
池上栄一『テンペスト 第1巻春雷』(角川文庫、2010年8月)

琉球を舞台にした歴史小説らしいということで気になって購入。で、実物を読んでみると幕末の琉球王国が舞台となってました。

主人公の少女真鶴はよんどころない事情により、男装のうえ「孫寧温」と名を改めて科試(琉球版の科挙)を受験し、最年少で合格。同じく弱年で合格した朝薫とともに宮廷に出仕し、王命によって宮廷の財務改革を担うことに。特に浪費の激しい後宮の財政を緊縮しようとするが、王妃や聞得大君(王族の女性が任命される巫女のトップ)といった後宮のボスたちが立ち塞がり……

ということで、琉球版チャングムといった感じで非常に面白く読めました。主人公の少女が男装の麗人で、その兄が琉球舞踊の女形という倒錯ぶりがなかなかイイネ!幕末期の琉球という馴染みのない世界が舞台ということで、架空の人物がワンサカ出て来てもあんまり違和感が無いのも実によろしい。

つーか、今の日本の時代物・歴史物に欠けているのはこういうデタラメさなんですよ(^^;) こちとら史料を丸写ししたような歴史小説だの、戦国+三傑・幕末・源平物をローテーションで回してるだけの大河ドラマだのにはもううんざりなんですよw

先月から4ヶ月連続で文庫版が刊行ということで、続巻の方も楽しみです。

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