博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『もろこし紅游録』

2010年12月16日 | 小説
秋梨惟喬『もろこし紅游録』(創元推理文庫、2010年12月)

以前に取り上げた『もろこし銀侠伝』の続編です。今回もオムニバス構成で、「子不語」「殷帝之宝剣」「鉄鞭一閃」「風刃水撃」の4編を収録。

「子不語」は前作から何度も名前が出て来ている慎到が登場してますが、モロに安能務の影響を受けているのが何とも…… 前作・今作の参考文献欄を確認すると、ちゃんと氏の著書が挙がっておりますorz

今回の白眉は民国期を舞台にした「風刃水撃」。この編ではシリーズ全編に関わる「銀牌」と、その所有者である「銀牌侠」が近代においても力が発揮できるのかどうかが問われています。言い換えれば武侠的な世界観が近代においても存続し得るのかどうかが問われているわけで、武侠物としてもなかなか読み応えのある一編だと思います。が、出来ればこれは『もろこし』シリーズの一番最後に読みたかったところですが……

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