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トーマスカントル

2023-09-22 | Weblog
トーマスカントルとはライプチヒのトーマス少年合唱団の音楽監督で、バッハもその地位に長くいた歴史ある役職。今年はバッハがトーマスカントルに奉職して300年記念の年だとかでバッハで鳴らす古楽団体が軒並み参加して記念祭が行われたらしい(日本からがバッハコレギウム)。近代のトーマスカントルと言えば東ドイツ時代のロッチュ氏であり、そのあとはビラー氏が継いだのは知っていたが、ビラー氏は亡くなられて今は一代はさんでスイス人の方(アンドレアス・ライズ氏)がやっているそうだ。この人がカトリックだとかで就任時は揉めたとかいまだに揉めているとか。日本なら日蓮宗のボスに浄土真宗の人が来るような感じなのか?音楽業界は魑魅魍魎が跋扈するので何が起こっても不思議ではないが、いつの時代にも転換点というものがある。うまく運営して欲しいものだ(かなり順調にやっており、合唱団のトレーニングも目覚ましいとの情報がある)。
Youtubeでライズ氏指揮による古楽オケ(ベルリン古楽アカデミー)とトーマス合唱団によるマタイが視聴できる、なかなか良い。ライゼ氏は自前の古楽オケも指揮していたようなので、古楽寄りの人なのは間違いない。もはや世界標準となってきた古楽ニュアンスのバッハを本山のトーマス教会も積極的に取り入れるための人事なのかな?と個人的には思った。
 正直なところ、バッハなどのバロック系の音楽は、抑揚がはっきりした古楽解釈に慣れると、ベターとした近代オケの演奏は聞けなくなる。しかし逆に古楽オケが時代考証的にロマン派に手を出すと、これまた爆死なんだよな(干からびた演奏になる)。もうバロックとロマンはクラシックでくくらず、別のジャンルぐらいに考えたほうがいい。ポップスとハードロックぐらい違う。でもフルトヴェングラーのバッハは別格に聞けるんだよなあ、なぜだろうか。それはフルトヴェングラーが演奏にかなり細かくニュアンスをつけているからに他ならない(リハがいい加減な指揮者ではこれはできない)。フルヴェンの1954マタイ(ウィーンフィルライブ)の冒頭とか本当にやばい。ここだけでお腹いっぱいになる。フルトヴェングラーはマタイやヨハネを定期的(1年1回)に公演していた。もともとフルヴェンはバッハに私淑していたし、鍵盤パートの録音も複数ある。確か死んだときはバッハのアレを流してくれとかも言っていた。結局巡り巡ってフルヴェン揚げになってしまったが、そのくらい特別だということですよ、フルヴェンは。