Wilhelm-Wilhelm Mk2

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カサンドラ・クロス

2019-04-15 | Weblog
古い映画だが「カサンドラ・クロス」を見た。この時代(70年代)の映画って雰囲気も含めて絶頂期だったんだなあと感慨にふける。ソフィア・ローレンが主演していることは知っていたが、相手役は初代ダンブルドア校長を演じることになるリチャード・ハリスだった(イケメン)。キーマンとなるユダヤ老人に、アルパチーノやデニーロの師匠として有名なリー・ストラスバーグ(アクターズ・スタジオの創設者)。美形のマーティン・シーン(チャーリー・シーンの父)、元フットボーラーで後に逮捕されたO・J・シンプソン。そして激渋の名優バート・ランカスターと素晴らしい布陣であった。オリエント急行という舞台に細菌汚染(それなりに筋が通っている)、銃撃戦、橋の大崩落・・・そしてバッドエンド。記憶に残ること間違いなしの作品。
あらすじ:軍事用に秘密に培養されていた細菌に汚染されたテロリストが、逃亡のためにオリエント急行に潜伏、そのため一等車両全体に感染が進行してしまう。協定違反の細菌培養を知られたくない米国は列車ごと古い鉄橋「カサンドラ・クロス」から崩落させることで隠滅を図る。乗り合わせていた医者の主人公(リチャード・ハリス)とその元妻(ソフィア・ローレン)たちは、列車を止めようとジュネーブの米軍司令官(バート・ランカスター)を説得するが、列車は路線変更されてポーランドへと入っていく。途中で軍によって目張りされ、酸素欠乏にならないようにと高濃度酸素が注入されるが、その酸素によって細菌は死に耐え、感染者も急速に回復していく。もはや隔離の必要がなくなった列車だが、なんとしても隠蔽をしたい米軍は、そのまま作戦を続行する。ついに、主人公たちは強硬手段に出て、先頭列車の切り離しをもくろむ。多くの勇敢な行動と犠牲によって食堂車を爆破し、一等車両の切り離しに成功する。後部の二等車両は停止できたが、前部の一等車両はカサンドラ・クロスに突入してしまい、予想通りに崩落。一等車両の多くの乗客が客席で犠牲となる。この大参事の描写はかなりえぐい。これがハリウッド映画なら、全員を後部車両に移動させたうえで主人公が列車を切り離し、主人公もろとも橋は大崩落、しかし主人公は奇跡的に生還、ヒロインと抱き合ってハッピーエンド!・・・となるところだが、川に浮かぶ犠牲者の遺体を長々と見せるなど、ひたすらバッドエンドを強調した演出に終始するのであった。欧州映画は一味違う。この後味の悪さが映画の寿命を保っているようにも思う。

ちなみに「カサンドラ」とはギリシャ神話の王女で悲劇の預言者。イタリア語で不吉、破局の意味をもつ。そんな名前を橋につけて欲しくない・・・



リー・ストラスバーグとリチャード・ハリス

我々世代にとって「カサンドラ」と言えば・・・



死封の監獄「カサンドラ」のウイグル獄長である。