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東大工学部建築学科助教(トルコ人)が壮大な捏造詐欺?

2009-11-10 | Weblog
 掲示板では前々から騒がれていたようだが、文科省も通報をうけて調査を始めたようで、昨日の日経新聞に掲載されましたね。以下コピペ

「東大の30代男性助教、業績論文の存在確認できず 不正の疑い」
 「東京大学工学系研究科の30代の男性助教が、自らの業績として発表している学術論文の中に、他の研究者の論文の著者名がこの助教の名前に換わっているものや、存在が確認できない論文が複数あることが9日、関係者らへの取材で分かった。文部科学省も不正の疑いを把握し、東大に通報。東大も採用時の業績に捏造(ねつぞう)があったかどうかを含め、事実関係の調査に乗り出した。
 この助教は2003年に東大で博士号(建築学)を取得。05年まで、任期付き研究員として独立行政法人「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」に所属していた。JAXAは9日までに、JAXAの03年度年次要覧に記載された助教の研究発表11本を調べ、4本について「存在が証明できない」などの理由で削除した。
 JAXAによると、4本のうち1本は、米国土木学会に所属する論文の著者名が、助教の名前に換わっていた。(16:00) 」引用終わり


ここに詳しくまとめてあるけど、これが全部真実だったら東大始まって以来の不祥事になるのではないか?
 博士論文の盗作に始まり、架空論文による業績水増し、捏造特許、捏造受賞歴、限りなく胡散臭い経歴、NASA宇宙飛行士候補?、元オリンピック代表選手?!11次元とか宇宙エレベーターとか煙に巻くような科学単語を羅列して「柔らかい天才」を演出。語られる業績の殆どが「本人の談」って!

 どこからどうみても怪しいのに、下界ではまぶしい詐称経歴と科学用語に目がくらんで、無学な市民が全力でマンセー。一般市民ならともかく、ジャーナリストや知識人までもが絶賛とは・・・。危険を察した新聞社や研究会はWeb上の記事をあわてて削除し始めた。講演会も今月に入って殆どがキャンセル・・・。アマゾンで五つ星に絶賛される著作も来年には「とんでも本」になっているであろう。

 世の中には「虚言癖」を持つ人が結構いる。何かに追い込まれて嘘をつくのではなく、息を吐くように嘘をつくのである。彼もその手の人種なのかもしれない。もしそうなら、日本の研究世界を追われても、またどこか他の国で同じことをするだろう。

 それにしても、こんな詐欺師に学位を与えて、おまけに教官として雇った教授や学部関係者はいったいどういう落とし前をつける気なのだろうか?本当に見破れなかったのか?まあ教授はクビだろうな・・・。裏を返せば、結局はその程度の学問なんだよ・・・・研究室なんか必要ないんじゃないか?

FAE

2009-11-10 | Weblog
久しぶりの海外渡航がじわじわと迫ってきた。仕事の準備はまだまだだが、とりあえず手配すべきものは全てしたと思う・・・勿論「演奏会」も・・・。かなりアクロバットな日程なのだが、成功すれば得難い経験になるはずである。詳細は当日になってから。

FAEソナタ:4つの楽章からなるヴァイオリンとピアノのためのソナタだが、面白いことに複数の作曲家、ブラームス(3楽章)、シューマン(2,4楽章)、アルベルト・ディートリヒ(1楽章)によって作曲された作品である。「F-AーE」の音並びをテーマとしているためこの名称で呼ばれている。現在ではブラームス作曲の3楽章以外は殆ど演奏されない。シューマンは後に1,3楽章を作曲しなおし、自作のVnソナタとしたが、こちらも長年お蔵入りで殆ど演奏されない。先日図書館でデュメイのブラームスソナタ全曲録音(EMI)を借りたのだが、珍しいことにこの曲の全楽章がカップリングされていた。話がそれるが、デュメイはとにかく音色が素晴らしい(シルキートーンと呼ばれている)。音色だけなら全ての弦楽器奏者の中で最も好きかもしれない。ブラームスのソナタ集はお気に入りで、様々な奏者の録音を持っている(集めている)が、今回聴いたデュメイの初期録音は手持ちの録音の中でもかなり上位にくるものであった。ただしピアノ(ベロフ)がちょっと硬いのが難・・・決して悪いというわけではないが、好みとしてはもう少し暖かくて体積のある音色が私の好みだ。デュメイのブラームスといえば、DGから出ているピリスとの全曲録音が定番だが、このEMIの録音はデュメイの初期時代(1978年)の録音である。デュメイは所謂「コンクール上がり」ではないため、知名度がなかった当時の日本での発売は見送られてしまい、国内版として市販されるのに20年もかかったそうだ。こういった販売元の勝手な論理で埋もれてしまった名演奏がまだまだ欧州には沢山眠っているのだろう。
 話を「FAEソナタ」に戻すが、期待もせず聴いてみると吃驚するような名曲ではないか。デュメイの演奏が素晴らしいせいもあるが、久しぶりに未知の曲を聴いて感動できた。「隠れた名曲なぞない。名曲は隠れないものだ!」という意見に賛成している私であるが、もしかするとこれは本当に隠れた名曲かもしれないと思った。確かにブラームスの作曲したスケルツォが際だってはいるが、ブルッフを思わせるような陰翳で怪しい浪漫旋風で始まる1楽章・・これがかなり心に沁みた。この楽章を作曲した「アルベルト・ディートリヒ」とは一体何者か?調べてみたら、シューマンの弟子でブラームスの親友だったそうだ。宮廷楽長としてブラームスの作品の紹介に尽力し、また自身も多くの曲を遺している。交響曲やチェロ協奏曲の録音はありそうなので、機会があったら手に入れて聴いてみよう。(とびぬけた名曲である可能性は低いが、ブルッフのように私的なツボにはまるかもしれない)。