無意識日記
宇多田光 word:i_
 



えぇっと、今日からの4日間のうち3日テレビ出演!? ここに至ればなるほど、『デビュー以来こんなにテレビに出たことあったか私😂』と呟いたのも納得よね。CM2つと絡むとなるとやはり過去最高の月間出演時間になるのかもしれない。

こちらとしては、勿論トークも楽しみだが、テレビ向けとして新しくパフォーマンスが得られるのが得難い。今夜は『Electricity』『光(Re-Recording)』『traveling (Re-Recording)』の3曲。何れもテレビ初披露、パフォーマンス初お目見えとなる。

それどころか、『光』も『traveling』も、2001〜2002年当時地上波テレビ出演はなかったのだ。特に『光』は「HEY!HEY!HEY!」などで“皿洗えてないPV”が話題になっていたから錯覚しかけるが、あれはその後、『SAKURAドロップス』で出演した回のトークだった。そこで『光』の別テイクが生まれたわけではないのだ。『traveling』に関しては、FOMAのTVCMが沢山打たれていたからテレビから歌が流れる機会は多かったがこれもテレビでのパフォーマンスはなかった。米国同時多発テロの影響もあったのかもしれないが、初めてコ・プロデューサーとしてアルバム制作の真っ只中だった為スタジオを離れられなかったというのが真相か。『SAKURAドロップス』と『Letters』は、アルバム制作終了後でのテレビ出演収録だった。

そんな二十数年前を思い起しても、今回の歌は本当に貴重だ。テレビしか観ない人にとっても、欠かさずヒカルのテレビ出演を観てる人にとっても新鮮な体験となるだろう。

そして、『Electricity』初披露よな。NHKだから歌詞の字幕は出るのだろうか。あの特徴的なフレーズの数々はかなりのインパクトをお茶の間に与えるだろう。2002年の年間トップ10ヒット曲2曲と並べて歌っても全く遜色ないどころか、今の宇多田ヒカルの充実ぶりを広く知らしめる絶好の機会となるわよね。正直、これ以上コンサートチケットの競争率が上がるのはやめてほしいんだけど(笑)、今夜のパフォーマンスをみてCDを買ってでも生で観たいという視聴者が一定度出てくるんじゃないかな。

そして、NHKだから一切おくびにも出さないだろうが、これは「伊藤忠と綾鷹どっちが目立つか」という好奇的な目線でもみることもできるだろうね。広告代理店の皆さん血まなこ(笑)。

しかし、ここで『Automatic (2024 Mix)』や『First Love (2022 Mix)』ではない『光(Re-Recording)』という選曲をしてくるって、日テレの『with MUSIC』に引き続き、NHKにも宇多田ガチ勢が紛れ込んでいるのは最早疑いがないところでしょうね。仕事の流儀やSONGSでわかってたことだけどもな! はい、今夜は本当に楽しみですね!

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『SCIENCE FICTION』が「ライブ予告盤」であると私が主張するのは、例えば全体的に曲の終わり方がカットアウト気味になっている傾向にある事からもわかる。私としては小さい頃から「フェイドアウト警察」をしている身…というのは嘘だけれど、小さい頃からフェイドアウトに出会う度に「マイナス1点」するこどもだったからわかるのだが、ライブコンサートを重視する人ほどスタジオ・バージョンでフェイドアウトをしない。これは当たり前の話で、リアルな演奏でフェイドアウトなんて出来ないからだ。コンソールに頼んで各楽器の音量を下げていってステージ上でもフェイドアウトをしてみる人がいるけれど、まぁしまらない。拍手するタイミングを見失うからね、観客が。ライブ慣れした演者は曲の終わり方に拘る。拍手したり歓声をあげたりするのはここのポイントですよと明示してくれるのだ。フェイドアウトにはこれが全く無い。例えば今回、特にキャンシーの終わり方なんかがいいよね。これライブでやったら爆発的な賞賛を浴びるんでないか?

そうなのよ、曲の終わり方ってホント大事なの。6年前の『Laughter In The Dark Tour 2018』ではその『Can You Keep A Secret?』をフィーチャーした『Kiss & Cry』が大喝采を浴びていたけれど、あれも同曲の終わり方がとてもライブコンサート向きだったからだと思うんだ。最後ヒカルの短い独唱で高い歌唱力を示して終わるあの構成こそが“ライブ向きのアレンジ”の典型例。そしてキャンシーに限らず、『SCIENCE FICTION』の楽曲は全体的にその傾向が強いように思われるですよ。再録/リミックス/リマスターによらず、ね。


もうひとつ挙げたい「SFがライブを意識して作られている」と思わせるポイントがスネアサウンドだ。スネアというのは一言で言えば音楽の「ノリ」そのもので、0歳児の赤ん坊から死ぬ間際のお年寄りまで「音楽のリズムにノる」というのは「スネアに合わせて体のどこかを動かす」事と大体同義だ。なのでヒカルはこのスネアの音作りに拘るのだが(たぶん一番好きなのはクラップ(手拍子)音だと思うけども)、今回ここのミックス&リマスターにも拘っているように思う。

最も顕著だなと思わされたのが『Flavor Of Life -Ballad Version-』だ。今回のSFでは、2007年に発表されたトラックに較べて随分スネアサウンドがクリアに強調されている。なのでこの2024 Mixは、テンポ(BPM)を変えていない/上げていないのにも関わらずまるで『Flavor Of Life』のようにすら聞こえる。そう、『Don't Be Afraid/You'll Be OK』のコーラスが入っているオリジナル・バージョンの方のようにね。これも、ライブ映えを考えてのことのように私の目には映った。いや、耳に聞こえたというべきかここは。もし『SCIENCE FICTION TOUR 2024』で『Flavor Of Life -Ballad Version-』が歌われたら、「これはただのラブバラードじゃないぞ? すごく気分が高揚してくる!」とアップテンポ・ナンバーみたいに思わせる事になるんじゃないかな。


そんな感じで、ニューアルバム『SCIENCE FICTION』は、サウンドの端々節々からもライブを意識している事が窺えるので、聴いているとどうしてもライブへの期待感が高まってきてしまう。ほんに、全員当選したらいいのにねぇ。再三再四言ってきてるけど、どっかフェス出てくれんかね? 香港の日程次第で、どこのフェスに出れるかが決まるので、海外までは行くつもりのない方々も、要チェックでございますわよ?

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『SCIENCE FICTION』1週目の売上が出てるわね。

【ビルボード】宇多田ヒカル『SCIENCE FICTION』18万枚超えでアルバム・セールス首位獲得
https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/136693

宇多田ヒカル、「年齢4年代連続アルバム1位」達成 竹内まりや、松任谷由実、安室奈美恵さんに続く快挙
https://www.oricon.co.jp/news/2322864/

25周年の宇多田ヒカル、初のベストアルバムが女性アーティスト今年度最高初週DL数に【オリコンランキング】
https://www.oricon.co.jp/news/2323034/


まぁ凄い。思いっ切り私の予想は外れました。あらら。

真正面から言い訳すると、「初週6万枚程度」という予想は、「もし仮にシリアル応募の当選確率を2月抽選分の当選確率より高くしたいのなら」という仮定に基づいたものだった。どうやらつまり、この縛りはなかった模様だ。

ただ、もしその仮定を外してたとしても恐らく「9万枚台」と答えてたと思うのでまぁ五十歩百歩だわね。根強いCDリスナーの厚みを見誤ったってことか。反省して次に活かします。いやぁ、最早恒例になりましたが、私がレコード会社担当でなくて本当によかったわ。(無駄にポジティブ)

そして、ここまで持ってきた宇多田公式スタッフの有能ぶりな! 素晴らしいわ。こちらがキリキリ舞いになるほどの怒涛のプロモーション攻勢で令和の時代にここまでCDを売った彼らの手腕を素直に称えたい。おめでとう&ありがとう。

………あたしだっていつも公式に対して辛辣ってわけじゃないのよ?


で。問題なのは。すぐにわかる通り、「シリアル応募の当選確率は、2月応募分当選確率の“約70%”より遥かに低い」という事。このままだと20%台になる計算だよね。

勿論シリアルには「アップグレード権」もあるので、2月当選者の皆さんがプレミアムチケットを狙う分は差し引かねばならないが、そこまで多いかなぁ?というのが正直なところでな。折角CD買ったし試しにやってみるか、とはなるだろうけどねぇ? チケットのお値段を考えると、そうそうレギュラーからの鞍替えチャレンジは難しいんでないかな。初めてのことだし、やってみないとわからないけど。

てことで、当初は「なんでそんなルールにすんねん」と思っていた「同一公演複数回応募可能」の項目も、ここに来てかなり意味のあるものになってきたかも。当選確率が70%から85%になっても大した変化はないけれど、20%が60%になるとくれば随分違うからねぇ。「どうしてもこの日に行きたい」というのであれば、同一公演複数回応募も考慮に入れるべきかなぁ。あと、レギュラーとプレミアムの比率もわからないから、「席はどちらでもいいからこの日に行きたい」という人は同一公演でレギュラーとプレミアムどちらも応募するというのもアリかもしれない。

しかしどうなんだろうね? 大丈夫なんかなフリーの応募よりCD購入者限定シリアル応募の方が当選確率低いなんて。しかも半分以下になりますよこのままだと。流石にクレーム来やしませんかね? これだったら最初っから「CDシリアルはあクマで救済策です。2月応募がメインです。」って大々的にアッピールしといた方がよかったんじゃないか。今更言っても後の祭りですかそうですか。

台湾公演に至っては4月12日に発表になってもう今日〆切なんすか。それが終わってから香港の日程発表ってことかね。計算されてるんかな。つまり12日の「?」と今日17日の「?」は、前者が台湾公演発表、後者が香港公演発表、って流れになるのかなぁ? これについては今日の公式発表を待ちましょう。とりあえず今の所0時と4時の発表はなかったっぽいし。

シリアル分応募は月末4月30日23:59まで。それまでに買い増すみなさんは、通常盤を購入する際はくれぐれも気をつけてね。シリアルは“通常盤初回仕様”にしか封入されてないから。シリアルが封入されてるかどうかをしっかり確認の上でレジに持って行きましょう。

あーこんなにプロモーションが多い中でチケット応募の検討もしなくちゃいけないなんて、ほんに、うん、ちゃんと自分のリズムで、いきましょうね(^^)

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@Hikki_Staffのツイート。ヒカルの英語インタビューの紹介なのだがこれが凄い。

Check out Hikaru Utada's exclusive interview with Bandwagon, looking back their 25-year path through SCIENCE FICTION

https://www.bandwagon.asia/articles/hikaru-utada-interview-science-fiction-greatest-hits-album-tour-2024-listen

https://x.com/bandwagonasia/status/1779759133262332217?s=46

https://x.com/hikki_staff/status/1780051985326362939?s=46


いきなりなんちゅう内容の濃いインタビューをタダで公開してくれとんねん。これから有料で読ませてくれる音楽雑誌とかがかたなしになってしまうやないか…。機械翻訳の精度も十分上がってきてるので半分くらいは意味がわかると思うし、誤解を与えるタイプの誤訳も今の所見当たらないけど、重要なとこだけでもいつか訳してみたいなぁ(多分何十年後とかのスパンの話をしてるぞ俺)。

まぁ、同じ内容を日本語インタビューアさんが訊いててくれたら済む話なのでそこらへんは暫くは静観するとして、おそらくここらあたりは日本語のインタビューでも答えてくれてるだろうポイントをいくつか取り上げてみたい。


『Timing-wise, it also felt like the format of a best hits album itself probably won't exist in the near future, so I felt like maybe this is a really nice time to do one.』

今回はdeeplくんに訳して貰ってみる。

「タイミング的にも、ベスト・ヒット・アルバムというフォーマット自体がおそらく近い将来存在しなくなるような気がしたので、今がベスト・ヒット・アルバムを作るのに本当にいいタイミングなのかもしれないと思ったんだ。」

そうなのね、「そもそもベストアルバムというフォーマット自体がこの世から消えてなくなるかもしれないから」という懸念は、ヒカル自身も自覚していたのだね。あたしゃ前から「サブスクがあるんだからもうベストアルバムなんてプレイリスト配れば済むじゃん」って言ってたし、同意見の人も多かったろう。

なのでヒカルとしてはもうこれが「宇多田ヒカル最後のベストアルバム」のつもりで作っていたのかもしれない。ただ、結果的には私に「25年後にまたこれをやって欲しい」と思わせてしまう素晴らしいフォーマットを構築してしまった。これだけ全曲新鮮に聴かせてくれるなら、これを「21世紀のベストアルバムの新フォーマット」として定着させたいわ。まぁ、実質新しいオリジナル・アルバムを作るのと似たような作業量を経てる気がするので世の殆どのケースでは「だったらオリジナル・アルバム作るわ!」ってなるだろうことは想像に難くないけどな。

うん、でも他との比較なんて重要じゃない。ただ目の前の『SCIENCE FICTION』が素晴らしい。それが何より満足です。


あとここらへんも日本語インタビューで触れて欲しいやつだった↓

『But, say like, with ‘Addicted to You,’ I honestly don't know if it was the best song to try to redo. I mean it sounds great, but it was really difficult to sing it because I just don't have those emotions, those types of feelings anymore – I don't think in that specific way. It's about a co-dependent, a bit of an unhealthy attachment. In a way, it made me understand the ways I've grown or changed, or things I've learned in this time. I felt like I met my 16- or 17-year-old self. So, that was great.』

これをdeepl君にお願いしたらいちばん肝心な一文を飛ばしやがったので今度はGoogle先生に頼んだ。

「でも、たとえば「Addicted to You」に関しては、やり直してみるのに最適な曲だったのかどうかは正直わかりません。つまり、素晴らしいサウンドですが、それを歌うのは本当に難しかったです。なぜなら、私にはそのような感情、その種類の感情がもうないからです – 私はそのように具体的に考えていません。それは共依存の、少し不健康な愛着についての話です。ある意味、この期間で自分がどのように成長したのか、変わったのか、あるいは何を学んだのかを理解することができました。 16、17歳の頃の自分に出会ったような気がしました。それで、それは素晴らしかったです。」

発売直後のタイミングで「選曲が最適だったかわからない」だなんて凄いこと言うねぇ。だが、だからこそ良かったのよね。書いてある通り

「それを歌うのは本当に難しかったです。なぜなら、私にはそのような感情、その種類の感情がもうないからです 」

ここが大きなポイントとなるのだから。大人になって、あの頃の焦燥感や不安定さはもうない。そうなった時にどんなアプローチで歌ったか…嗚呼、そういう各論に入ってしまうと今月のプロモーション攻勢から隔絶してしまうのよな! だから今回はここで止めとく!

嗚呼、悩ましいわ。だってまだこのブログで「with MUSIC」の『二時間だけのバカンス featuring 椎名林檎』について一言も触れてないんだぜ!? どうなってんの?? …いやまぁそんなのあたしの匙加減ひとつなんだけど、今何をどういう順序で書いていけばいいか本当に難しいのですわ。明日以降も悩みながら行きますわね。

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トレボヘを聴いてても「ヒカル、喋りが若返ったなぁ」と思う。冒頭で昔のトーンを再現してみせてたけれど、あれってトークだけじゃなく、歌でもやってみたんじゃないかな。リレコーディングする曲を選ぶプロセスの中でまず歌ってみて、何がどう違うのか、変わったところ変わってないところをチェックしていって、過去の自分の歌い方を試しになぞってみていた気がする。

ちょうど今日は『Kuma Power Hour with Utada Hikaru』第1回放送記念日なので、聴き比べてみればいいのだけれど、この頃の、30歳のヒカルの喋りの方が寧ろ落ち着いているくらいだ。最近年齢をクローズアップされる事も増え、「41歳なのにこんなに」と形容されるようになってきたが、確かにアンチエイジングというか、若返ってすらいる印象が強い。まぁ中には老けたなっていう人も居るんだけど、どうやら全体的に鍛えて筋肉質になった見た目の変化を勘違いしてるケースもあるっぽいな。

これ、音楽性の変化にも言えるのよね。前から触れているけれど、あたしは2018年のアルバム『初恋』を聴いて、随分と曲調が落ち着いてしとやかになったなと思ったし、実際同年の『Laughter In The Dark Tour 2018』では黒のロングドレス姿が印象的だった。なるほど40代を迎えるにあたってこういうスローダウン的なモデルチェンジかと思っていたら、2022年のアルバム『BADモード』では再び…というか過去最高にダンサブルな曲が増え、非常に活気に満ちた作風へと変貌を遂げていた。ヒカルも同作制作にあたっては、21歳の時にリリースした『EXODUS』が念頭にあったと言っていたわよね。『The Workout』みたいな扇情的でイケイケな曲が収録されている作品だ。

なるほど、この「若返り」の流れの中にそのまま『SCIENCE FICTION』が入っていると解釈するとわかりやすい。アルバムをバラード『First Love』ではなくよりダンサブルな『Addicted To You (Re-Recording)』から始めたのもそういうことかもしれない。『traveling (Re-Recording)』は最早定番ブランドとなったタイアップ相手の綾鷹すら若返らせる勢いだし、リズムを抜いた『光(Re-Recording)』の持つ幻想美は非常にフレッシュだ。そして新曲群。『Gold 〜また逢う日まで〜』が要請で半分バラードにはなっているがこれも元々ダンスチューンで、『Electricity』の王道四つ打ちぶり(+三連符の絶妙さ)はライブ会場を盛り上げずにはいられないだろう。トドメは『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』のSci-Fi Editですわな。イケイケの『BADモード』のイケイケぶりを象徴するど真ん中のダンスチューンをエディットしてビデオまで再編集する重用ぶり。どこまで意識したかはわからないが、結果として『SCIENCE FICTION 』は『BADモード』からの順当な進化形としての立ち位置にきっちり収まっている。やはりもうベスト・アルバムという呼び名は然程適当とはいえず、流石にオリジナル・アルバムとは呼べないものの、「2024年にリリースされた宇多田ヒカルのニュー・アルバム」というくらいには呼んだ方がいいのかもしれない。これを聴いたと聴いてないとでは、次のオリジナル・アルバムへの流れの理解度がまるで違うことになるだろうね。

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宇多田ヒカルが新曲をリリースしたとなると毎回その日は10回くらいリピートしてしまうのが常なんだけど、今回の『Electricity』は全くヘビロテしていない。理由は単純で、アルバム全体が聴きた過ぎて一曲だけに時間を割く気にならないのだ。お陰で今の私にとって『Electricity』は、「宇多田ヒカルのニューアルバムのラス前曲」みたいな認識になっている。『Another Chance』とか『夕凪』みたいなもんだわね。

それくらい、全体が充実している。最初ベストアルバムをリリースすると聞いた時には全く予想していなかった事態だ。情報量が多過ぎてまるっきり消化出来ていない。あれだわ、自分の中でのキャッチコピーが、今まで散々書いてきた「宇多田ヒカル初のベスト・アルバム」から「宇多田ヒカル初の2枚組アルバム」に切り替わっとるわ(※ 勿論、本当はSC2の方が初ですよ)。嗚呼、ビートルズがホワイトアルバムをリリースした時のファンとリスナーの気持ちってこんなだったのかしら。いや、あの凸凹な作品より遥かに押し並べて高品質だな。20世紀最大の音楽グループを袖にしたくなるほどのクオリティに、ちょっとまだ脳が追いついていない。

最初に曲順をみたときの「なんだこのチグハグさは!」という印象もまた、雲散霧消している。『Can You Keep A Secret?』のエンディングがあんなことになっているとは! 『光(Re-Recording)』があんな生まれ変わり方をしているとは! もう驚きの連続で、その数々のリアレンジも考慮に入れた曲順の妙に唸らされてばかりなのである。

そうなのだ、この、曲順や曲の終わり方と繋がり方などにも滲み出ている「全体を通してのトータル性」という点でも、この『SCIENCE FICTION』は過去最高の出来なのではないか?と思わせる。ヒカルはいつも「一曲入魂」で、アルバムというのは「出さなきゃいけない」から作ってきただけだ。なので、一曲毎の個性を最優先している為、アルバムにトータルコンセプトを付与する事はなかなか出来ない。作り終わって振り返って、「嗚呼、『Fantôme』は母への鎮魂と性と死のアルバムだな」とか、『BADモード』は周りの人も自分自身も励ます作品だな」とかいうのが“後から視えてくる”ものだった。

しかし、『SCIENCE FICTION』は「2024年の今、宇多田ヒカルのベストアルバムを作る」というコンセプトがハッキリしている。つまり、過去の楽曲/トラックたちを、最新のサウンド・クオリティを取り入れつつヒカルの最近の作風に合わせてリレコーディング/リミックス/リマスターをする、という軸でほぼ総ての楽曲がブラッシュアップされているのだ。こういう作り方は、ある意味今までになかったものだとも言える。

故に全曲聴き通した時の「全体としての充実感」は過去最高だ。普通のベスト・アルバムであれば、自分の昔の思い出と結びつけながら、「こんなに沢山の名曲を書いてきたんだねぇ」とかなんとか回顧的に捉えられるものなのだが、『SCIENCE FICTION』はたった今鳴ってる音が魅力的で、それが2時間26曲にわたってずーっと続く。統一感があるからこその、とんでもなく恐ろしいボリューム感である。

その観点からして(既にヒカル宛に140字で呟いてきたのだけど)、あたしゃこのアルバムのタイトルは「SCIENCE FICTION 2024」がより相応しかったんじゃないかと思い至った。

普通のベストアルバムであれば…例えばMr.Childrenのベストアルバムのタイトルは「Mr.Children 2011-2015」「Mr.Children 2015-2021 & NOW」とかだ。その曲がリリースされた年月日を並べて、今に至ってるよと。

しかし、『SCIENCE FICTION』は総ての楽曲が2024年仕様である。その深度はリレコーディング/リミックス/リマスターでそれぞれ異なるし、中には2023年の曲や2022年のミックスの曲もあるにはあるけれど、どれも概ね「今のヒカル」が手掛けたトラックとなっている為、「2024年の新しい体験」として提供されている。なのでこのアルバムのタイトルは、Mr.Childrenみたいに「SCIENCE FICTION 1998-2022 & NOW」なんかにするよりも思い切って「SCIENCE FICTION 2024」にしてしまう方がより相応しいように思うのだ。

そうなるとこのタイトルはそのまま『SCIENCE FICTION TOUR 2024』という今年のツアータイトルにもダイレクトに繋がっていく。実際に終えたコンサートの実況録音盤の事を普通は「ライブ盤」と呼ぶが、この『SCIENCE FICTION』アルバムは、今のヒカルがツアーでやるだろう曲を悉く今仕様に仕立て上げたいわば「ライブ予告盤」とでもいうべき非常に珍しい立ち位置の作品になる予感がしている。そのまんまということはないだろうが、過去曲のライブでのアレンジはこのアルバムのものをまず基準にとるだろうことが予想されるから。

なので、2022年に遂に待望のライブ・アルバム『Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios 2022』をリリースして私を歓喜に咽ばせてくれたチーム宇多田の皆さん、今度は是非そのスタジオ・ライブ盤からもう一歩踏み込んで「ライブコンサートの2枚組実況盤」としてのライブ・アルバム『LIVE CONCERT- SCIENCE FICTION TOUR 2024』をリリースして欲しい。チケットが抽選なのだから尚更これは必要だ。そこまでやってやっとこの『SCIENCE FICTION 2024 PROJECT』は完成をみるだろう。ただのベストアルバムじゃないことは身に沁みてわかった! だから更にこれを推し進めて次のオリジナル・アルバムへと繋いでいくべきだと私は思うのでしたとさ。それはきっと『BADモード』よりも…嗚呼、身の毛もよだつな!

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え〜、、、何話せばいい?(ダウンタウンに英語話してみてって振られた時の返しみたいに)

供給過多が過ぎて飽食だわ。抜けた後の虚無感は考えないようにしようそうしよう。昨夜のオンラインパーティーも私飛ばしちゃったり。普段じゃ考えられないわね。


ええっと、まぁいいや、少しずつ触れるか。まずトレボヘスペシャル完全版が解禁になったわね。もう既に少し触れちゃってるけど以後はさらに大っぴらに話せるか。

一聴した感想は

「どこらへんがスペシャル!?」

というものでした。それくらい気負いなく、普段通り。その普段が23〜24年前の1年間の事を指すのが何か不思議でね。あの頃を知ってる人にとっても知らない人にとっても普段通り、普段着の宇多田ヒカルが学校帰りにスタジオに寄って…嗚呼、学校帰りだと普段着じゃなくて制服か(笑)。いずれにせよ、全然スペシャル感がなかったのよね。コーナーの作り方も、選曲も。昔のまんま…そしてそれがそのまま「今の宇多田ヒカル」の表現になっているという不思議な状況。

改変期のスペシャル番組って内容も特別だったりするじゃないですか。振り返り企画だったりまとめ企画だったり。全然そういうのないんでやんの。2時間という長さを除けば、このまんま今でも毎週放送してるような、そんな錯覚に陥る内容で。

これつまり、アルバム『SCIENCE FICTION』のコンセプトそのものなのよね。ベストアルバムを出すのは特別な過去の振り返り企画かっていうと、確かにそれはそうなんだけど、「ヒカルの心づもり」としては、新曲新譜を作る時と、つまり普段と何も変わらなくて、ただ素材が既にリリースしたことのある曲だったってだけでな。なので、リレコーディングしたものもリミックスしたものも、「今の宇多田ヒカル」が作ったものでしかなく、そりゃ新曲と相性がいいよね。

他のベストアルバムは違うと思うんだ。昔の曲が主役で、そこに加わる新曲は添え物?ゲスト?おまけ? 或いは昔を思い起こさせる曲調だったり、逆に今と昔の違いを際立たせる曲調だったり、いろいろあると思うんだけど、主役はいうまでもなく何十曲もある昔の曲で。だけど『SCIENCE FICTION』は違う。主役は自然にGold以降の3曲になっていて、やはりこちらも自然に旧曲たちはそのサウンドに合わせていく格好になっている。合わせていくというのも正確じゃないか、今のヒカルが作るのが新曲で、その今のヒカルが手掛けるリレコーディングとリミックスとリマスタリングは新曲たちと似たテイストになっていくという、ただそれだけのこと。なので『SCIENCE FICTION』は最早宇多田ヒカルの新譜でしかないわよね。

『Tresbien Bohemian 」も同じというか…そもそも、昔に準えてやるコーナーの名前が『This Week’s Top 2』だからね、そりゃ本当に今週のトップツーを発表するだけだよね。それも昔から「今週世間で発表された曲」でなくて「今週ヒカルがかけたいと思った曲」でしかないから、いつの時代にやろうとそりゃ同じになる。お便りを読むのも、自分の新曲を紹介するのも、最近のお気に入り曲をかけるのも、昔のまんま。昔の毎週やってた頃のまんまなのよね。特に昔を振り返る事もなく。

あぁ、昔の口調を再現したりしてたな? それも実は「最近のヒカルがしてること」なのよね。最近のヒカルのしてること…昔の曲のリレコーディングとリミックスとリマスタリングなわけでして。常に昔の自分の声を聞いてる(聞いてた)わけでして。その流れの中で「今もあんな声出るかな?」とか試したりもしてたんじゃないかな。そういう制作状況と今回のトレボヘ収録は軌を一にしてたってことだね。

自然体に拍車が掛かった。つまり、ヒカルの変わらなさが更に揺るぎなくなったというか、いや言い方としては逆か、更によく揺らいでしなるようになったというか。純粋な新曲を作る作業のみならず、過去曲、過去の素材を相手にしても、普段と変わらず今のヒカルを表現する手段として構成できるスキルを今回手に入れたという、そんなターンが今な気がします。なので、このスキルに基づいた今後のライブコンサートは、今まで以上に「たった今の宇多田ヒカル」の魅力を、新曲でも旧曲でも変わらず発揮できる、過去最高のものになる事請け合いなのでした。

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2024年4月13日土曜日13:00~13:53
JFN系列全国38局で放送された
「全農 Countdown Japan」に
宇多田ヒカルが出演しました。

下記のリンクからタイムフリー聴取ができます。
奈良,茨城,埼玉,千葉,神奈川,山梨県,京都,和歌山に
お住まいの皆さんは隣の県の局にアクセスしてみてくださいね。

北海道:AIR-G' FM北海道
青森:エフエム青森
岩手:エフエム岩手
宮城:Date fm エフエム仙台
秋田:エフエム秋田
山形:Rhythm Station エフエム山形
福島:ふくしまFM
茨城
栃木:RADIO BERRY エフエム栃木
群馬:FM GUNMA
埼玉
千葉
東京:TOKYO FM
神奈川
新潟:FM NIIGATA
富山:FMとやま
石川:エフエム石川
福井:FM福井
山梨:
長野:FM長野
岐阜:FM GIFU
静岡:K-MIX 静岡エフエム放送
愛知:FM AICHI
三重:レディオキューブ FM三重
滋賀:e-radio FM滋賀
京都
大阪:FM大阪
兵庫:Kiss FM KOBE
奈良
和歌山
鳥取
島根:エフエム山陰
岡山:FM岡山
広島:広島FM
山口:エフエム山口
徳島:FM徳島
香川:エフエム香川
愛媛:エフエム愛媛
高知:エフエム高知
福岡:FM FUKUOKA
佐賀:エフエム佐賀
長崎:FM長崎
熊本:FMKエフエム熊本
大分:エフエム大分
宮崎:エフエム宮崎
鹿児島:μFM エフエム鹿児島
沖縄:FM沖縄

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遂に明日椎名林檎との『二時間だけのバカンス』のパフォーマンスが地上波テレビで初放送される。トーク中や歌ってる最中に目を合わせた回数を数えたい所存である…。

それはそれとして、世代的な事を記しておく。ヒカルが『Fantôme』で復帰してきた時、若いファンのがどすんと増えていたのに驚くと共に、「椎名林檎との兼ヲタを名乗る人」の比率の高さに更に驚かされた。それどころか、というか、ファンでない人たちの間でも、「宇多田ヒカルと椎名林檎があの時代のツートップ」という認識が広がってる事にも吃驚した。時代が推移するってこういうことなのね、って。

彼女たちをリアルタイムでみてきたこちらの世代は、ヒカルがその都度周りと比較されてきた経緯をもみてきている。最初期は倉木麻衣とのあれやこれや、そしてセカンド・アルバムを出す頃には浜崎あゆみと世紀の対決、みたいなね。それが「世間の目」だった。確かに、もうその頃からファンサイトに顔を出すような宇多田ヒカルファンの間では同世代(98年前後デビュー組)の中では椎名林檎の評判が最もよく、例えば2002年の『Letters』に出てくる『歳上の人』とは椎名林檎のことではないか?と候補に上がった事もあった。ちょうど同年初頭に彼女が離婚していた事もあって『ひとりでも大丈夫』だと言いそうだったというのもあったが、そもそもそこにリスペクトが無ければ「ヒカルが敢えて歌詞に登場させる人物」という認識・推理は生まれなかっただろう。そんな経緯もあったので、2014年の『宇多田ヒカルのうた』で椎名が『Letters』をカバーしたことが話題になったわけだね。

だが、その時点でもこちらにはツートップという認識はなかった。ヒカルのライバルというか対抗枠として倉木麻衣や浜崎あゆみの名前が上がってた頃はもっと椎名林檎は独自路線だったのだ。それが、いつの間にやらそんなことに…と、思ってたのだが、ヒカルが復帰後に林檎嬢がインタビューでヒカルの復帰を待望・熱望していたというのを目にし耳にし、あら林檎さん、結構留守を守る気でいたのねとそこで漸く気づいたのだ私は(いつの時代も鈍いよね)。若いファンが椎名林檎と宇多田ヒカルを並列に語るのは、ものっそい雑に言えば「椎名林檎がそうした」からだったのだ。


さて、ここまでありきたりな事をガタガタ並べ立ててきたのは他でもない、この視点に立った上で明日のパフォーマンスを観たいぞと私が思ったからである。もうヒカルが復帰して8年の歳月が経とうとしている。『花束を君に』と『真夏の通り雨』がリリースされたのは2016年、8年前の4月15日だからね。なので今更「おかえりHikki」でもないのだけれど、林檎嬢からすれば、この地上波初共演は「もう一度本来の二人の立ち位置に戻る」為の絶好の機会ではあるまいか。それを「世間」に知らしめる為の、ね。二人のテキストのやり取りなどを知るここの読者ならご存知かと思うが、この2人の関係は基本的に「頼る側」が林檎嬢で、「頼られる側」が宇多田ヒカルなのだ。それを、「世間」に向けて発信するのしないの!?というのが私の目下の明日の興味なのである。有り体に言えば、「目が合ったとき先に照れるのはどちらなのか!?」という話だ。ゆみちんひかるちんと呼び合った(過去形?現在形でもいいのよ?)仲を、どのように演出するか。そもそも、ずっと「椎名林檎」の役割を演じて生きてきているゆみちんが素に近くなって甘えられる数少ない同業者の相手が、どこにいってもナチュラルに宇多田ヒカルのまんまの宇多田ヒカルなのである。だから明日は、パフォーマンス全体で2人の関係性を演出しにくる林檎嬢と、いつも通りの自然体なヒカル氏の対比が明確になる事が期待される。トークの時間あったら嬉しいのだけどねぇ。とまれ、その一挙手一投足を目に焼き付けるつもりで明日を迎える事と致しましょう。

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気が変わった。『In My Room』の話はまたいずれ。

というのも、明日がちょっと凄いからね。まず日付変更線超えたら『トレビアン・ボヘミアン・スペシャル 2024』の完全版がSpotifyで配信開始、午前11時からポップアップストア最終日、お昼の1時からは全国ネットのラジオ収録出演、そして、今回のプロモーションのひとつのピークになるのかな? 夜8時頃からは、超特大ヒット曲『One Last Kiss』を地上波初披露、のみならず!遂に『二時間だけのバカンス』で椎名林檎と地上波初共演だ。椎名林檎が大好きな人もそうでない人と必見必至な夜になるわよね。

と、こんなに盛り沢山の一日を明日に控えながら私はプロモ疲れの真っ最中。「もっとゆっくりじっくり『SCIENCE FICTION』を味わいたい!」と思いつつ、出来てない。

公式が悪いよね(言い切ったw)。2枚組アルバム出しといてフラゲ日の夜22時から当日告知のアーカイブなし生配信する? 翌発売日の夜にオンライン・リスニング・パーティーする? いやさ、あたし昼間が労働時間なのよ、それやられたら2時間のアルバムをゆっくりじっくり味わえる時間て、平日だとそこしかないのよ。そこを使ってグダグダのリスニング・パーティーやられてもなぁ。いやチャットは面白かったから企画自体は素晴らしいかったんだけど、タイミング悪過ぎない?

そうなのよ、今週のスケジュールを全部消化するには、どっかで有給休暇とるのが正解だったのよね。それが選択肢にあったのにしなかった私の判断ミス、というのはそれはそれとして、今の時勢ではまだまだ自由に休みを取れる人は少ない。宇多田ヒカルは大衆向けの歌を供給する音楽家だということを踏まえれば─あーこうやって他人の状況を持ち出して話をするのは性に合わないんだけどそれでも敢えて言わせて貰えれば─、無茶としか言えないよなぁこのスケジュール。

そんな中で、情報を取り落とす不安感を持ちながら毎日を過ごしてる人も多い。そうしてるうちに、普段の生活ペースを乱してる人も多いんじゃないか? 日付変更線跨いでからアルバムやラジオ(どっちも2時間!)を聴こうとして睡眠不足になってる人も在るだろう。飢餓と不眠は全人類の敵である。断食とか徹夜で助かる人も沢山いるけどね。音楽を楽しむには、適切とはいえない。夜更かしした方が集中できる時間帯!っていうのもわかるけども。

そういう人には是非、綾鷹のCMのキャッチコピー、

『 自 分 の リ ズ ム で い こ う 。 』

を送りたい。『traveling (Re-Recording)』を聴きながら、この言葉を反芻して毎日の生活ペースを、毎日の生活リズムをキープしよう。キープ・トライン♪である。(それ言いたいだけかい)

情報が多過ぎて何が何だかわからない人は是非、もう既にご存知かとは思うが、うちのカレンダーのエントリを見て、今日明日程度の予定だけ把握しよう。明後日以降まで見てると項目多くて頭痛くなるからな(笑)。まぁ日曜日にゆっくり次の1週間の予定を概観するくらいが関の山よね。

https://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary/e/177ac8ea70726bfee65892d4f0dde748

その中でも「これは外せない」という予定は特に太字で記入してある。当初は公式のカレンダーに倣ってラジオテレビ配信リアルで色分けしようかと思ったが、あれ、見た目がカラフルになるだけであんまり情報の整理に役立たないのよね。色付けで優先順位が明確になるわけではないというか。なのでそこは思い切って捨てて、優先順位の明示を優先した。「ここは太字の方がいい!」というのがありましたらご連絡を。

若い人なら兎も角、25周年を迎えた音楽家のファンとリスナーとなると、身体に無理は出来ない層も沢山いるわけで。となると、普段の生活のリズムを崩してまで情報を追うのは、ヒカルも望むところではないだろう。ラジオで「9キロダイエットした」というメッセージを読んで「無理しないで」とまず言ってしまう優しい人ですからね。自分の情報を追う為に睡眠不足などで体調を崩したり怪我したりなんて望むわけもなく。あ、当人から「ダイエットでは無理してません!」と元気に返答を貰ったのでそこは心配ご無用です皆様。

確かに、繰り返すが、重要な情報を取り落とすとファンとしてはとても痛い。例えば当日告知のヒカル出演インスタライブがあるとしたら!?なんて想像するだけで頭が痛いもんね。でも、時には思い切っていろんな通知を切って、公式メルマガだけ読むとかそういう対処も必要かなと思われる。今週、普段の生活ならしているルーティンを飛ばしてしまった人も在るかもしれない。今週は仕方ないとしても、来週はなんとか立て直せるように祈ってます。そう、『自分のリズムでいこう。』だよ!

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で。大事なのは前回からの続きでな。『SCIENCE FICTION』が恐らく“Science & Fiction"から来ているとしても、しかし、そこからのヒカルは「いわゆるSF/エスエフ」にもしっかり踏み込んでいくのだ。だからちょっとわかりにくいのよね。

ここは今後のインタビューなどを待ちたいが、かなり早い段階でベストアルバムのタイトルが決まっていたのではないかと私は推理する。少なくとも、『Electricity』制作着手時点ではもう決まっていたように思われる。『何色でもない花』もそうかな。同時くらいかな? つまり、SFというコンセプトが出来上がってからそれに沿って歌詞を書きましたってこと。

ここの区別なんですよ。ヒカルが『SCIENCE FICTION』というタイトルを決める“まで”は、世に言う「いわゆるSF/エスエフ」が念頭にあったわけではなく、「私は科学も文学も好きだから、両方を併せてひとつの言葉(熟語)になってる“Science Fiction"がいいな。」とそう思っただけなのだが、ベストアルバムのタイトルが『SCIENCE FICTION』に決まった“あと”は、そうやって立ち上がった「SFというコンセプト」に沿ったクリエイトが始まったのだと。ジャケットのアートワークもそうだし、くまちゃんもしっかりSFになっている。そんなに気軽にワームホールが地球上に現れたらとっくに世界は滅んでるけども!


それはそれとして、今回は『Electricity』で歌われている例の話題の歌詞について触れたい。

『解明できないものを恐れたり
ハマる、陰謀論に
そんな人類みんなに
アインシュタインが娘に宛てた手紙
読んでほしい
愛は光 愛は僕らの真髄』

ここね。

ひとまず事実として、この「アインシュタインが娘に宛てた手紙」と呼ばれるものは、アルベルト・アインシュタイン本人が書いたものであるという証拠はない。社会的に正しくあろうとするなら、この手紙は偽物、虚構であると言う事になる。いや勿論、論理的に言うなら偽物だと言い切るのも問題があるのだけども、“分別ある社会人”としては、少なくとも本物と認めるわけにはいかない。しかし、だからこそヒカルはこのフレーズを『Electricity』に、引いては『SCIENCE FICTION』に採用したのだろう。人類の科学者の代表格たるアインシュタインの名と、それを冠する虚構。「科学的な虚構」ではなく、「科学“と”虚構」が隣り合っている。この状況こそ、ヒカルの元々の意図である“Science & Fiction"というコンセプトに相応しい。

そのコンセプトを援用してヒカルがこの歌で何を言いたかったかといえば…珍しいことに、ここでは他の歌を参照した方が早いのだ。そう、『何色でもない花』で

『確かめようのない事実しか
真実とは呼ばない』

と歌っていたそれをその“次の曲”である『Electricity』のこの部分で示してみせたのだ。もしかしたら、「あれ?『何色でもない花』のここの歌詞、あんまり意味が通じてない?」とか思って『Electricity』に反映させたのかもしれないね。

先程触れたように、「アインシュタインの娘への手紙」が本物だという証明はない。一方でまた、これが偽物だという証拠も無いのだ。証拠というか、「これ書いたの、アインシュタインじゃなくて私だよ。」って告白した人が過去に居ないっぽいのね。もしかしたらもう墓場まで持ってっちゃってるかもしれない。そうなると、本物か偽物か俄かには確かめようがない。

さて、ここで貴方はどうするか、ってのがヒカルの問いたいとこなんですよ。これをアインシュタインが書いたかどうかはわからない。だったら無意味なものだと棄却するのか、それともいやこれはとてもよいものだと称賛するのか。これに関しては、称賛するポーズを取る為に人類史上最高峰の科学者の一人であるアルベルト・アインシュタインの権威(彼が最も“持ちたくなかった”or"なりたくなかった"ものだね)を、威光を借りることはできない。自分で判断するしかない。そして、そこにだけ貴方にとっての「真実」があるのだ。『確かめようのない事実しか真実とは呼ばない』とは、こういうことなのだ。確かめられる事実の中に貴方の真実を見出すことは出来ない。(或いは、極めて難しい)

つまり、砕けて言えば、この手紙を読んで感動したのなら、その感動は貴方にとって紛れもなく真実なのである。これにもしアインシュタインという『名高い学者』の名がついているなら、それは貴方にとって真実の感動かどうかわからない。「なんか凄くえらい学者さんが言ってる事だから、これはいいものなんだと周りには言っておけばいいだろう。」と貴方が思っていないと、どうして言い切れる? そういうことは、日常茶飯事だ。あの人が言ってる事だからで事態をやり過ごす事の何と多いことか。

だからヒカルは「アインシュタインの娘への手紙」を選んだのだろう。本物か偽物かわからないものと接して欲しい、と。事実と虚構の間(あわい)にこそ、サイエンスとフィクションの間(between !)にこそ、真実が、このベストアルバム『SCIENCE FICTION』があるのだと、この『Electricity』の歌詞はそう教えてくれるのだった。


んだからなー、だったら出来ればこのベストアルバムには、『In My Room』を入れて欲しかったよね。

『ウソもホントウも口を閉じれば同じ』
『ウソもホントウも君がいるなら同じ』
『ウソもホントウも君がいないなら同じ』

これらの歌詞は、虚構(ウソ)と事実(ホントウ)と真実(君の存在=君という光)のあいだの関係性を、当時のヒカルがどのように捉えていたかを端的に表している。(その詳細は次回に回すか…流石に今回は既に長い…) つまり、ヒカルの歌う歌詞の真髄は、25年以上経っても全く変わっていないのだった。それがよくわかるのがこの最新曲『Electricity』の歌詞なんだろうと思うのでした。

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『SCIENCE FICTION』というタイトル、響きと見た目がカッコいい上に次から次へと出てきたニュートラックがどれもこのアルバムタイトル名に相応しいサウンドだったのでますますうってつけのタイトルになりつつあるが、未だにまだまだ馴染まないというかしっくりこないフィーリングも途切れない。理由は単純で、こちらが事前に持ってた「SF/エスエフ」のイメージと従来の宇多田ヒカルの音楽性や発言たちとはあまり直結しないからだ。

SF/エスエフという単語で何を連想するかはかなり千差万別だ。ヴェルヌやウェルズのような“正統的な”ものを思い浮かべる人もいれば、日本人ならアトムやヤマトといった漫画やアニメを想像する人もいるし、スターウォーズがそうだという人、寧ろスターウォーズこそが「SFではない」代表格だという人、本当に様々で、これを議論し始めると時間が幾らあっても足りないのでそこはおいておくとしても、たとえ明確な境界線が引けるわけではないとはいえ、「なんとなくあそこらへん」というイメージはあるだろう。例えば、突拍子もない例をとれば「はだしのゲン」はフィクションだがこれをSFと呼ぶ人はいまい。居たら是非名乗り出てほしい。本当に話を聞きたい。

そんな中、ネタバレになって申し訳ないがトレボヘでヒカルがSFの例として…でもないか、そういう話の流れの中で出した例がポーにCSルイスにトールキン…どれも日本の標準的な「エスエフ」からは程遠い名前だったのだ。それぞれ、「モルグ街の殺人」「ナルニア物語」「指輪物語」の作者名である。確かに、これら高名な作家の作品はその知名度の大きさと作品性の高さゆえエスエフというジャンルにも多大な影響を与えておりそれらの雑誌で取り上げられる事もあるかもしれないが、ジャンルとしてのSF作家さんたちではない。つまり、そもそもジャンルという概念から解き放たれている宇多田ヒカルにとっては「SF作品」という既存の先入観に囚われることなく“SCIENCE FICTION"という熟語を使っているものと思われる。

となると、『SCIENCE FICTION』というタイトルを「SF/エスエフ」として捉えるとマトが外れる。恐らく、このジャンルに何の思い入れも知識もない人の方が意味を正確に捉えやすいのではないか。ヒカルは科学と文学が小さい頃から好きだと言っている。大学では神経科学の分野に進む事も頭にあったようだし(将来おばあちゃんになってから携わるかもしれないしな)、作家としてペンネームが決めてある事は旧来のファンならご存知だろう、つまり作家になる夢をもったこともあるのだ。漫画は実際に投稿してるしな。で、その科学=SCIENCE で、文学≒虚構=FICTION ということで、好きなもの2つを並べただけのようなのだヒカルの口ぶりからすると。

つまり、『SCIENCE FICTION』というタイトルは、"Scientific Fiction" =「科学的な作り話」という形容詞と名詞の組み合わせではなく、"Science & Fiction" =「科学と虚構」という並列の2つの単語の組み合わせ、並べ合わせで作られてると解釈する方がよさそうなのよね。科学というのは真実や真理を追い求める人の営み、文学は空想とかたらればとかの虚構の世界を探究する営み。相反してるようでどちらも私の好きな営み、ということか。確かにこれで満足し切れるというところまでは行っていないが、そういう方向性の認識でいた方が少しは居心地がいいんじゃないかな。

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さて、せっかくの発売日なので、『SCIENCE FICTION』全体を聴いた総評などを。まぁ、他の人と言ってることあんま変わんないけどね。


取り敢えず、「ベスト・アルバム」という看板は詐欺同然だと記しておこう。ここまで「看板に偽りあり」な作品も珍しい。いや、でも、本来の意味での「ベスト・アルバム」という意味では、合ってるかもしれない。つまり、音楽ファンが手垢のついた意味合いで言う「過去曲をかいつまんで集めた有名曲集」という意味の「ベスト・アルバム」ではなく、「最高のアルバム」という意味でなら、これは確かに間違いなく「ベスト(な)アルバム」だと言える。まじでそれ。

後世の人が聴いた時、これを「最高傑作」と呼ぶのを躊躇うかどうか、これも見所なのだが今を生きる私(たち)は今に集中しようか。年がら年中昔の曲も最近の曲もまんべんなく聴いてる私のような身からすれば、陳腐なベスト・アルバムを出されてもいつも自分がプレイリストやシャッフルで聴いてるのと何も代わりないので「そんなものは作品と呼べない」とにべもない返答をするところなのだろうが、驚いたことに、、、いや、ヒカルなら当然か、全26曲、1曲たりとて流した/流れていったトラックがなかった。どれもこれも必ず「ん?」というフックがどこかにあった。それは、リマスターしかされていない『Fantome』以降の曲ですらそうだったのだ。随分変わってたねぇサウンド自体からして。

単なるリマスターですらそうなので、数々の2024 Mixなんてもう聴きどころ満載でな! いやよくもまぁこれだけ、聴き慣れまくった曲をリミックスして耳を楽しませてくれるよね。びっくりだよもう。『Automatic (2024 Mix)』である程度リミックスの方向性は把握してたつもりだったが、全くそんなことはなかったぜ。事前の予想を遥かに上回るバリエーションの豊富さで、もうずっと遊園地を待ち時間ゼロで周り続けてる気分だったよ!

そうなると新録3曲なんて「凶悪」なレベルの新鮮さだ。いきなりその新録の『Addicted To You (Re-Recording)』で幕を開けるのだからその自信の漲りぶりも当然か。昨夜スペシャル・ムービーをぶちこまれた『traveling (Re-Recording)』が創造する新しいハイ・テンション、そして『光 (Re-Recording)』の織り成す夢見心地と、三者三様全く隙がない。

そしてそして、新曲3曲の威力たるやもう「極悪」レベルである。もちろん純粋な新曲となると『Electricity』のみなのだが、『Gold ~また逢う日まで~』も『何色でもない花』も、25年の中から厳選された楽曲たちの中に無造作に放り込まれても全く動じないどころかこちらの態度としては「いよっ!待ってました!」な風格でしたよ彼らの登場に接してみると。おっとろしい。普通ベスト盤に新曲をプラスした場合どうしてもお客様感・外様感が拭えないのだが、『SCIENCE FICTION』は違うね。GoldとAFoNoCoとElectricityの3曲が他の23曲を「出迎える側」だった。主役・ホストは彼らだった。(人称の性別は省略させてもらったあしからず)

それというのも、総てにおいてヒカルが「いつものアルバムを作るのと同じだけの熱意を込めて」この『SCIENCE FICTION』を作り上げたからに他ならないのだろう。おっとろしいことしてくれたもんだな! 『SINGLE COLLECTION Vol.2』もシングル集とみせかけて主役はDisc2の新曲5曲だったが、この『SCIENCE FICTION』もまた新曲3曲が筆頭でそれに新録3曲とエディットが続き…という比重になっている。なんだかこの2作、タイトルの韻を踏んでることに今更気づいたりしているが、ヒカルが気合いを入れるとどうしてもこうなってしまうのだろう。うむ、しゃーなし! 全く参った降参である!


…しかしさて。こういう総評は、どこでも読める&聴けるものだから無意識日記読者的にはサラリと流してもらって結構です。こういう発売週の熱狂から離れた頃、カレンダーに書くことが何もなくなった頃に深く掘り下げるのがここのやるべきこと・私が読みたいことなので、それはまたツアーが終わったあとにでも、ね。そんときゃ読ませるからね? 今はまだこの熱狂の渦を引き続き享受しておきたい気分です。総ては気分次第♪ そんな気分!

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『SCIENCE FICTION』遂に発売日! あまりのプロモ攻勢に呼吸もままならないわね。でもま、ひとつひとつ。いうてる間にツアー終わるんやろけども!


昨朝立てたフラグ、開始2秒で総て回収されました! 綾鷹のtravelingスペシャルムービー、一部の隙もなく素晴らしい2分間でした! 出来栄えの程を疑ってしまい、本当に申し訳ございませんでしたぁぁぁぁっ!m(_ _)m

これ、もしつまらないムービーだったら「こういうのを作ればよかったんだよ!」ってこっちが提案していたであろう方向性を更に上書きするとんでもない内容で、ただただただただ平伏するしかないですね。

ひとくちでいえば「宇多田ヒカルのイメージビデオ」なんですけど…なんですけど! しっかりと新しいtraveling のサウンドテイストに沿った映像の構成が為されてて、スペシャル・ムービーと銘打ちながらこれは完全にミュージック・ビデオであり、また、古き良きプロモーション・ビデオとしての機能も非常に高い。この2分を観るだけで、宇多田ヒカルを、travelingを、そして綾鷹を好きになること間違いなしと断言したくなるほどに魅力的なカットの数々。誠に眼福でございました!

こういう、視聴者のニーズに添いまくった映像をとっても、映像クラスタの仲間たちから高い評価を受けられないのかな? まぁ知らん業界のことを言うのは無理なんだけど、「何故毎回こういうビデオを撮らない?」と度々言う羽目になるので、何かしらはあるのかもしれません。

また、あれだけ大ヒットした曲の再録音ということで、「オリジナルの方が良かった」という声もあるでしょうな。あたしも今後、日によってはオリジナルの方が気分に合うという日が出てくるのは目に見えているのでそれはそれで賛同したいところであります。がっ!41歳の宇多田ヒカルが可愛すぎる&かっこよすぎるでしょこれ! 120秒余りで次々と変わるシチュエーションに衣装に表情に、いちいちイチコロにならねば気が済まない。我慢してたら気が狂いそう。またそのシークエンスが流れるようでね。映像を担当した児玉裕一監督と、コ・サウンドプロデューサーのTakuさんの手腕も見事の一言ですよ! しかしヒカルさん、「Takuさんが沢山」って素で言ってない!?(先刻アップされたインタビューまとめ動画についてはまたいずれ)

うーむ、つくづく、フルコーラス聴けなかったのが悔やまれる…ってあたし24時間前とは態度が違い過ぎやしませんか(笑)。こうなって欲しいと思ってフラグ立てまくって、ここまで見事に総て回収されてしまうだなんて今ビーチフラッグスの大会出たら優勝してしまう勢いですよ!(無理だが)

しかしこれで、このあともし『Electricity』のMVが発表されるとなると大変なプレッシャーになりやしませんか!? …と、思ったんだけどどうやら日付が変わると同時に宇多田ヒカルオフィシャルYouTube愛称UTUBEに『Electricity』のオーディオ・トラックがアップロード・公開されたようで。これつまり、MVは、少なくとも暫くは出て来はしません、ってこと? 同じ時期に宇多田ヒカルが同じように顔出しでTVCMに出演するということで、こちらとしては、下衆な見方だけど、どっちが目立つか、どっちが印象と記憶に残るかっていう視点もあったのですが、このままだと「2024年春に流れてた宇多田ヒカルのCMって綾鷹だよね?あとなんかあったっけ?」となりかねないので今からでも遅くないですよ伊藤忠商事の中の人たち! 『Electricity』をフィーチャーした宇多田ヒカルの素敵なイメージビデオ(言っちゃったよ)を作って対抗・相乗してしまいましょう!

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しまったな、ついつい「フラゲ日にフラグ」というダジャレに引っ張られて今夜するはずの話を先に朝にしてしまった。今朝は昨夜の話をしようと思ってたのに。つくづく、ダジャレに弱い。


気を取り直して。順序が前後してしまったが昨夜の感想を。CDTV LIVE LIVEに出演して『First Love』を歌った。Mステ以来なら25年ぶりだろうになぜ煽りが24年ぶり?と思ってたが、そうか、2000年3月のゴールドディスク大賞があったのか。あんときの髪形も好きだったな…確かにあれ以来なら24年ぶりだわね。すっかり見落としてたわ。

で昨夜は過去3回のCDTV LIVE LIVEへの出演とは異なりトークはなし。煽りVTRからほぼ直接歌に入った。私はちょっと自分の趣味に合わないなと思ったな。ヒカルからの申し出だったかとは思うが、トークがない方が歌のパフォーマンスのスペシャル感が増すからね。私の中では『君に夢中』も『Gold 〜また逢う日まで〜』も『何色でもない花』も『First Love』もスペシャル度ではそんなに差がないからさ。でもテレビでの披露なのだからそこは視聴者の総意に合わせるものなので我慢しておくわ。実際、今回のTwitterでのバズり具合は前3曲の比ではなかったからね。

で、歌の方は、順当だった。なんというかいつも通りに、今のヒカルが素直に『First Love』を歌ったというだけの…ってテンションで書くと前述の「視聴者の総意」から随分離れるけど!これが実感なのよ!だってこちとら年がら年中宇多田ヒカル/UTADAのライブDVDetc.観て(いや“聴いて”の方が多いかも?)過ごしてるんだから!どれ観ても聴いても必ず『First Love』入ってるんだもんよ! だからあらゆる年代の『First Love』が頭の中にズラーっと並んでるのよ。その最後列(いやこれは最前列か?)に昨夜のパフォーマンスが付け加わった、というのが嘘偽らざる実感なのですよ。場所がテレビでもステージでもスタジオでもあんま関係ない、という態度であたしがいつも鑑賞してる、ってのが前提にあるのは踏まえとかなきゃいけないかもしれないけども。

そんな中で、昨年初頭の『40代はイケイケ!』のバージョンは画期的というか、いよいよ『First Love』を大胆に崩しに掛かるのか!?という予兆かと思ったわけだ。んで昨夜はそこまでの冒険せずに2022 Mixに準じたバックトラックと歌唱を聞かせてくれたので、「あ、順当に来たな」と感じたと、そういうわけなのですよ。その前にはコーチェラもあったしな。特に不意を突かれたという事でもなく。

そんななので、テレビから何度も聞かれる「24年ぶり」だなんてのは全く共感できるものではなく。いや言いたいことは勿論わかるんだけど、『First Love』は最も「日常的によく聴く曲」のひとつなので、久しぶりとかそういうの全然無いのよ。そういうとこでは確かにテンションに差はあった。

だがそれはそれとして踏まえた上で言えば、いやぁ、素晴らしいパフォーマンスだったね。41歳のヒカルならではの『First Love』を見事に表現し切っていたように思えた。10代の頃の歌は「背伸び」、20代の頃の歌は「等身大」だったけど、今回は最早、過去の自分をまるで自分の娘であるかのように優しく懐いて包み込んで歌っていたように思った。だって作って歌った当時って15歳前後ですよ? 自分自身とはいえ、26歳年下の女の子。最早ダヌくんの方がずっと歳が近いんですわ。もし彼に少し歳の離れたお姉ちゃんが居たら…みたいな妄想が落ち着く年齢なんですよ15歳ってのは。

ヒカルは、人間活動期を含めて、常に絶え間なく変化と成長を遂げているので、その分15歳の頃というのはそれなりの距離感があるはず。そうしてその中でやっぱり月日が経っても年をとっても変わらない核があって、そこの不変ぶりを今の自分とも共鳴させつつ、当時の新鮮さや不安や葛藤などを…そうね、「それでいいんだよ」って認めて赦すような、そんな目線を感じながら歌を聴いてましたわ。あと「やるじゃんこいつ15の小娘にしては」感も…それは先入観かな? まぁいいや。

で、そんな感じだったので、歌う雰囲気に少し『嵐の女神』に通ずるものがあったと思ったよ。

『私を迎えに行こう』

今回のヒカルの『First Love』は、41歳のヒカルが15歳のヒカルを優しく暖かく出迎えて抱き寄せたような、そんなバージョンでしたね。毎度ながら泣かせる歌声だったのとも変わらず。そしてまたひとつ、長く分厚い『First Love』の歴史に、新たなページが加わりましたと、そういう具合でしたとさ。またすぐこの夏に新しい『First Love』を、今度は生で、みんなで聴ける事を、祈ってますよ。

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