無意識日記
宇多田光 word:i_
 



『Play A Love Song』の侵食ぶりは凄い。といっても私の頭の中の話だけど。油断するといつのまにか『Can we play a, can we play a love song ?』と鳴っている。もう完全に支配された感。

ところが、ダウンロードランキングによると、取り敢えず週間1位は1位で、『あなた』に続いて2曲連続ではあるものの、DL数が3.9万? 流石に少なくね? なんか集計上不利な点でもあったのかな。このままじゃゴールドすら暫くかかるやん。

どこかのサブスクでストリーミングしてんのかな〜。そういやApple Musicだけ見て「あぁ、やっぱシングル曲はナシか」と確認しただけで油断していた。いちばん邦楽が弱いサービスだけチェックしてどうすんのよあなたはもう。

まぁかなりTVではSWITCHでS PARKLINGなCMが流れているようだから、これからも暫くじわじわと売れ続けてくれるんだろうけど、どうにもよくわかってないな俺。

まぁそんな数字の話はいいんだ。話のタネみたいなもんで、結局は自分が聴いて気に入ったというのが大きい。なかなか最近こういう"Pops"と呼べるキャッチャーな日本語曲がなかったので、まるで山頂で深呼吸しているような気分だ。息切れそうだな。

と言っても、結局〆は英語のリフレインだし、そもそもメロディー運びが洋楽っぽい。ふむ、宇多田ヒカルのパブリックイメージに忠実な一曲なんだな。それなりに。その歌をバックに本人がCMに出ている。更新されるパブリックイメージは「今まで通り」ってところか。

アルバム発売の報と同時期の発売なので、後から振り返った時に「アルバム『初恋』のイメージを代表する楽曲」に、なっているかもしれない。2018年の宇多田ヒカル。よくもまぁこんな曲がこの期に及んで書けるなぁ、と"いつものこと"でありながらも、いや、であるからこそ感嘆するしかない。こういう曲がないとアルバムがしまらないと思わせる歌が今目の前に在る事が堪らなく嬉しい。

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もうヒカルファンの大半が花晴れ実写ドラマを観ていない気がするが、まぁ仕方がないか。新曲新譜にツアー告知じゃな。そっちに気がいっても仕方がない。

しかし今週も見事な『初恋』だった。制作陣もあまりに作風と曲調が乖離している事をわかっているのか、今回は本編の音声をまるごと遮断する徹底ぶり。これをすると「主要人物達が次々と凶弾に倒れていく」みたいなイメージと重なるのでバッドエンド感が半端ではないが、いやはや、『初恋』の威力があれば最早何の憂いもない。

なんだろうね、この楽曲全体から漲る神聖さは。『FINAL DISTANCE』を聴いた時の衝撃を思い出させるが、最大の違いは『声』であろう。『Fantome』では、ヒカルの歌唱における発声の変化と、それのみならぬ発音の変化にも注目した。それがここに至ってより一層推し進められている。たおやかと表現したくなるその丸みと豊かさを兼ね備えた声色は、ダークで切なくてささくれだったあの"藤圭子ならではの声"からは程遠い。しかし、その藤圭子も、『ファントーム・アワー』で聴いた人も多いだろう"My Way"のようなダイナミックな歌唱を聞かせられる人なので、その振り幅は益々「藤圭子の娘」らしいなという言い方も出来る訳で、これ、何というのだろう、誇らしいね。

更にもう一歩踏み込んで言えば、『Fantome』を経て、この新しい発音と発声が、新しいメロディーと新しい曲調を齎すに至った、その局面を代表する楽曲がこの『初恋』なのだろう。

宇多田ヒカルはプロデューサーである。だから、シンガー宇多田ヒカルの新しい声を聴いて、「彼女、いい声をしているね。ねぇ、この子の声をもっと活かせる歌を作ってみてくれない?」とソングライター宇多田ヒカルに依頼するのは自然な流れだったのではなかろうか。

そうして出来た(と思しき)『初恋』の神聖さは、何もかもを包み込むかと思わせるくらいスケールがデカい。歌詞自体は寧ろ、何しろ初恋を歌っている位なので幼い心細さや初々しささえ感じられるものなのだが、これは、ただの男女の色恋沙汰を歌っているだけなのにまるで人類愛を歌い上げているようだと称えられた若き日のアレサ・フランクリンのようである。歌唱法自体はまるで違うものだけれども、母性すら超えた神性を感じさせる。声が成長すればここまで変わるものなのか。

この歌声の許に集えば、無理矢理な設定やご都合主義の展開、事務所の思惑や原作者の苦悩などがまざりあった「ごちゃっとした」ドラマからでも大事なものを見つけだすのは容易い。一言で言えば愛である。確かに、それなら作品は何だっていいのかもしれないが、そこに新しい宇多田ヒカルの歌声が鳴り響いているのだからそれでもう十分過ぎる程特別だ。その気分に浸れるのだから来週もまた観るぞ。

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