In The Flesh 2010で忘れてはならないのが観客の反応だろう。当初は彼ら―いや心境的には"俺ら"だけども―に何を期待していいかわからなかったが、普通に宇多田ヒカルのファンだった。日本語曲への反応のよさは嬉しい驚きだったのだ。
日本ではFirst Loveのピアノ・イントロが流れてくると悲鳴が聞こえてくるのが通例になっているが、寧ろあれよりもコアな感じかもしれない。人数が限定されているというのもあるのだろう、好きな人が集まったんだなぁという感じ。その上反応が日本人に比べダイレクトで遠慮がない為熱気のテンションがストレートだ。これもまた、ライブハウスという環境がそうさせているのかもしれない。
あと、よく歌う。日本語曲ですら歌ってしまうのだから凄い。彼らからすりゃハナモゲラ語なんじゃないのかねぇ。となると英語曲となるともう遠慮がない。最大のハイライトはCome Back To Meで、それはもう大合唱と呼べるレベルだった。やはり、Utadaの代表曲といえばまずこの曲なのだ。
しかし懸念がひとつある。ライブハウス収録という事で、どこまで観客の反応を捉えられているか未知数だという事だ。円形ステージでもないしカメラが舞台上からてな事はなかったろうから基本的に後ろ姿のみだろうが、それ以上に、音声をどれ位拾えているか。MCでは観客と会話する場面もあったはずだからそこは外せないポイントだと思うのだがはてさて。
いずれにせよ、シューティングされているのはそういった観客陣の反応に光が慣れてきた頃の公演の、筈だ。最初は何を期待したものか戸惑いもあったかもわからないが、今回映像として残るのは自信満々順風満帆の光の姿だろう。一応真冬で、一部を除き外は酷寒の中でのツアーだったと思うがライブハウスの中はホット極まりない。日本とは異なる、日本人も含めた多種多様な人物たちによる素直な、Utadaと宇多田ヒカルの楽曲に対する反応。英語曲はどうもなぁ、と思っている人たちは、彼らが日本語曲に対してどういう反応をしているのか一度見てみて欲しい。言葉の違いを乗り越えて、というか最初っから壁なんてなかったというノリでどの曲も楽しんでいる。踏み込んでいえば、この雑多な観衆こそがUtada Hikaruのリスナーなのである。そう思って眺めてみると、WILD LIFEとはまた違った意味での「集大成」がここにも存在していた事が、よくわかると思われる。
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