トシの読書日記

読書備忘録

死を凌駕する精神

2008-01-10 18:45:25 | な行の作家
クリスマスから年末年始と、かつてないような人手不足に悩まされ、ブログどころではなく、今日やっと更新ができます。

中村文則「土の中の子供」読了
第133回芥川賞受賞作。

幼いころ両親に捨てられ、親戚に預けられてそこで虐待の限りをつくされ、あげくのはてに山中の土の中に埋められ、あやうく死ぬところを自力で出てきたという過去をもつ男の話です。

暗い暗い話です。車谷長吉を思い出させます。

主人公は、過去に異常な体験を持つがゆえ、死に対して常人とは全く違った感覚を持っており、それが物語に暗い影を落としている。

生きていくことの意味を、普通とはまた違った角度から捉えた意欲作といえると思う。

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