深沢七郎「みちのくの人形たち」読了
本書は昭和57年に中公文庫より発刊されたものです。全部で7編の短編を収録した作品集です。
ずっと以前読んだ「楢山節考」、これはすごい作品でした。人間の愛と生をこれほどみずみずしく描いた作品を他に知りません。
で、今回の短編集なんですが、深沢七郎らしい味わい深い作品が並んでいるんですが、なんと言ったらいいのか、この小説の構築のしかたが独特なんですね。読んでいてなんだか居心地の悪さを感じます。ノンフィクションのような物語といったらいいのか、まるでルポルタージをュ読んでいるような感覚があります。これは田中小実昌の小説を読んだときも同じような気分を味わいました。
これが好きという人にはいいんでしょうが、自分はちょっと落ち着いて読めないというか、なんだかもどかしい気持ちで読んでしまうわけです。中身は面白いんですがね。
そんな意味でちょっと残念ではありました。
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