トシの読書日記

読書備忘録

変幻する言葉の魔術

2013-01-22 18:23:39 | た行の作家
多和田葉子「ゴットハルト鉄道」読了



これも姉から借りた本です。本作家については、以前「犬婿入り」を自分が読んで驚愕したのを姉に貸したところ、姉の方がこの作家にハマってしまい、今では姉の方がせっせと買っては貸してくれるようになりました。大変ありがたいことです。


さて本書は表題作(短編)の他に「無精卵」(中編)と「隅田川皺男」(短編)の三作品が編まれています。どれもこれも多和田ワールド満載で、面白く読むことができました。


特に「無精卵」は出色で、これはもう多和田葉子にしか書けない小説であると、感嘆した次第です。でもどこか、富岡多恵子に似た空気も感じます。今まで読んだ多和田作品の中では「犬婿入り」に次ぐ快作であると思います。難しすぎて歯が立たない作品も読んできましたが、多和田葉子、やっぱり面白いです。


ただ、解説の室井光広氏。難解な言葉を書き連ねて訳知り顔するのはやめてほしいものです。言ってることが的外れで、なんだかなぁという感じ。こういう解説、よく目にしますが、せっかくの作品が色あせてしまうので、勘弁してほしいです。



以下に多和田葉子の未読の作品を列挙して、今後の読書のよすがとします。


「容疑者の夜行列車」(青土社)
「ヒナギクのお茶の場合」(新潮社)
「ふたくちおとこ」
「光とゼラチンのライプチッヒ(講談社)
「変身のためのオピウム」(講談社)
「旅をする裸の眼」(講談社)

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