堀江敏幸「アイロンと朝の詩人―回送電車Ⅲ」読了
本書は平成19年に中央公論新社より発刊されたものです。
未読の棚を眺めていたら、なんと堀江敏幸のエッセイ集がありました。自分の3本の指に入る好きな作家の本をずっと読んでいなかったことを自分に恥じ、あわてて読んだ次第です。
いろいろな文芸誌やら新聞やらに書いたものがまとまった量になると、「回送電車」シリーズとして刊行しているようです。
相変わらずのトーンで安心して読めますね。決して声高ではなく、静かに、しかし力強く自分の思いを語るこの作家には共感するところが非常に多いです。
例えば木山捷平の文章。さらりと書いているような力の抜き方が、それがむしろ強い意志を感じるという、読み方の深さ。こういった記述にふれるたび、自分の本の読み方の浅さに恥じ入る次第です。しかし、こうやって先達に学びながら読書を続けていけば、自分の読書力も少しは向上するのでは、と思っております。
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