大江健三郎「さようなら、私の本よ!」読了
久々に大江健三郎を読んでみました。本書は、難解といわれる大江作品の中でも比較的平易な文章と表現でわりと読みやすかったです。以前読んだ「臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ」くらいの快適さで読み進むことができました(笑)
この小説は「取り替え子(チェンジリング)」「憂い顔の童子」に続く3部作の完結編なんだそうですが、読み終わってからそれを知り、ちょっとはぐらかされたような気分です(苦笑)しかし、それはそれとして、これ1冊でも充分に読み応えのある内容でした。
TSエリオットの詩「四つの四重奏」をモチーフに、幼いころからの盟友が画策するテロに巻き込まれていき、とんでもない結末を迎えるという筋立てなんですが、最後には四国の生まれ故郷へ帰り(また四国!)作家であることを半ば捨て、日々の世界の情勢の記録をまとめる仕事に精を出す古義人(コギト=主人公)は、著者である大江自身の近い将来の姿を投影させたものなのかも知れません。
世界各地で行われている反核運動とか何十年も前の「ミシマ問題」とか、考えさせられることの多い小説でした。
余談ですが、万城目学原作の「鴨川ホルモー」の映画で、「ゲロンチョリー!」って言ってるのは、TSエリオットの詩の中に出てくる「小さな老人(ゲロンチョン)」のことなんですね。最初、なにかと思いました(笑)
久々に大江健三郎を読んでみました。本書は、難解といわれる大江作品の中でも比較的平易な文章と表現でわりと読みやすかったです。以前読んだ「臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ」くらいの快適さで読み進むことができました(笑)
この小説は「取り替え子(チェンジリング)」「憂い顔の童子」に続く3部作の完結編なんだそうですが、読み終わってからそれを知り、ちょっとはぐらかされたような気分です(苦笑)しかし、それはそれとして、これ1冊でも充分に読み応えのある内容でした。
TSエリオットの詩「四つの四重奏」をモチーフに、幼いころからの盟友が画策するテロに巻き込まれていき、とんでもない結末を迎えるという筋立てなんですが、最後には四国の生まれ故郷へ帰り(また四国!)作家であることを半ば捨て、日々の世界の情勢の記録をまとめる仕事に精を出す古義人(コギト=主人公)は、著者である大江自身の近い将来の姿を投影させたものなのかも知れません。
世界各地で行われている反核運動とか何十年も前の「ミシマ問題」とか、考えさせられることの多い小説でした。
余談ですが、万城目学原作の「鴨川ホルモー」の映画で、「ゲロンチョリー!」って言ってるのは、TSエリオットの詩の中に出てくる「小さな老人(ゲロンチョン)」のことなんですね。最初、なにかと思いました(笑)
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