豊川稲荷の参拝を終え、昼ごはんを食べるなら場所柄、稲荷寿司一択だ。もともとはお供え物から始まり、門前町の家庭の味、参拝客の食事や土産へと発展した料理である。最近は某グルメグランプリ関連の、ブランド化推進団体も発足。記念日を制定したりイベントも行ったり、町おこしの素材として定着してきている。団体によると、豊川いなりずしなる「呼称」があり、定義はなく味付けやトッピングで店ごとの味を競う、とある。そもそもの稲荷寿司の立ち位置とはいささか変化してきているが、手軽な体裁から参拝客にも地元客にも好まれ続けているのは、変わらないようだ。
豊川稲荷の門前町には、まさに門前から稲荷寿司の店が点在しており、店ごとに様々なスタイルのものがある。大別して古来の伝統を守るシンプル系と、新進気鋭のオリジナル系になり、まずは前述の概念を舌で捉えたく「まつや」の入り口をくぐった。「いなり寿司専門店」と店頭に掲げてありながら、店内はカフェのように垢抜けている。2階の席は落ち着いた照明の下にジャズが流れ、座席はなんとソファだ。沈むように座りメニューをもらうと、ズラリと並ぶ変わり稲荷寿司の数々。箸袋には「創作豊川稲荷寿司」ともあり、店の雰囲気もオリジナリティにあふれている。
こちらは3代続く和食の店で、麺類や丼物や定食など幅広く揃う中、オリジナルの稲荷寿司が参拝客の話題を呼んでいる。洋食やイタリアンなどの要素を加える一方、伝統の製法も取り入れており、季節ごとの品にも力を入れているという。この日は15種ほど並ぶ中から、豊川わさび、五目、国産どんこに、愛知鴨ロースト、クリームチーズ添えトマトなるものもセレクト。運ばれてきた見た目は相当カラフルで、特に最後の2種のおかげでオードブルのようにも見える。
まずは変わり種から、鴨ローストはややレア気味のためジューシーで、クリームチーズトマトはトマトの甘みが自然で、カプレーゼに似た印象か。店のお姉さんに、ともにご飯と揚げに合うと話すと嬉しそうで、ちゃんと稲荷寿司になるよう研究しているらしい。トマトは完熟でないと合わず、農家の方に「専用」に取り置いてもらう、こだわり食材なのだとか。傘が分厚く煮汁がしみたどんこ、ホッとする味わいの五目、グルメグランプリでも好評で葉わさびが軽くツンとくる豊川わさびの3種は、これぞ稲荷寿司の正統派路線だ。
適度に食べ比べができた5種で、豊川稲荷の稲荷寿司の「今」が実感できたような気がする。思えば神社の門前町の食は、行き交う人々の影響から時代を映す食でもある。町おこしのコンテンツとして全国区になった先に、どんなストーリーが新たに加わるのか、料理の変化とも合わせて楽しみな、豊川稲荷のローカル寿司である。
豊川稲荷の門前町には、まさに門前から稲荷寿司の店が点在しており、店ごとに様々なスタイルのものがある。大別して古来の伝統を守るシンプル系と、新進気鋭のオリジナル系になり、まずは前述の概念を舌で捉えたく「まつや」の入り口をくぐった。「いなり寿司専門店」と店頭に掲げてありながら、店内はカフェのように垢抜けている。2階の席は落ち着いた照明の下にジャズが流れ、座席はなんとソファだ。沈むように座りメニューをもらうと、ズラリと並ぶ変わり稲荷寿司の数々。箸袋には「創作豊川稲荷寿司」ともあり、店の雰囲気もオリジナリティにあふれている。
こちらは3代続く和食の店で、麺類や丼物や定食など幅広く揃う中、オリジナルの稲荷寿司が参拝客の話題を呼んでいる。洋食やイタリアンなどの要素を加える一方、伝統の製法も取り入れており、季節ごとの品にも力を入れているという。この日は15種ほど並ぶ中から、豊川わさび、五目、国産どんこに、愛知鴨ロースト、クリームチーズ添えトマトなるものもセレクト。運ばれてきた見た目は相当カラフルで、特に最後の2種のおかげでオードブルのようにも見える。
まずは変わり種から、鴨ローストはややレア気味のためジューシーで、クリームチーズトマトはトマトの甘みが自然で、カプレーゼに似た印象か。店のお姉さんに、ともにご飯と揚げに合うと話すと嬉しそうで、ちゃんと稲荷寿司になるよう研究しているらしい。トマトは完熟でないと合わず、農家の方に「専用」に取り置いてもらう、こだわり食材なのだとか。傘が分厚く煮汁がしみたどんこ、ホッとする味わいの五目、グルメグランプリでも好評で葉わさびが軽くツンとくる豊川わさびの3種は、これぞ稲荷寿司の正統派路線だ。
適度に食べ比べができた5種で、豊川稲荷の稲荷寿司の「今」が実感できたような気がする。思えば神社の門前町の食は、行き交う人々の影響から時代を映す食でもある。町おこしのコンテンツとして全国区になった先に、どんなストーリーが新たに加わるのか、料理の変化とも合わせて楽しみな、豊川稲荷のローカル寿司である。