昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

言葉(27)政治とは

2015-08-31 02:50:10 | 言葉
 昨日、国会周辺で安保法案反対の大集会があった。
 
 
 <政治>とは、人間集団における秩序の形成と解体をめぐって、人が他者に対して行う営みである。
 デモをテレビで見ながらいろいろな政治家の言葉を思い出した。

 村山富市元首相
 
「国会議員は全員辞職するぐらいの決意でこの法案に取り組まなければ」

 石原慎太郎元東京都知事
 
「日本(国憲法)の九条を礼賛しても、どこの国が日本に続いて自国の戦力を放棄しますか。その国が現れてきたら私は世界を見直すけれど、そんなものはあり得ない。(憲法前文や九条の平和主義について)国民の生命、財産を守るという国家の責任を外国人の好意にゆだねることは、他国の人が見たら笑う。」

 スターリン
 
 (太平洋戦争末期、対日戦争に踏み切ったスターリンは、高邁な共産主義的論理をかなぐり捨てて、報復という民族感情に訴えるメッセージを出している)
「満州に進駐した赤軍将兵は、その父兄がかってそこで受けた国民的屈辱を雪いで仇をとったのだ」
 また、彼は外交の基本について、「言葉と行動との峻別である。良い言葉は悪い言葉の隠れ蓑だ。誠実な外交など乾いた水、木でできた鉄と同様ありえない」

 カーチス・ルメイ
 
 (東京の下町を焦土と化した大空襲の指揮を執った米司令官。東京大空襲は、初めから一般市民を主目標とした大量虐殺作戦だった。明らかな国際法違反である。)
「もし、われわれが負けていたら、私は戦争犯罪人として裁かれていただろう。幸い私は勝者のほうに属していた)

 オリバー・クロムウエル
 
 (清教徒革命により国王を処刑しイギリスに共和制を樹立した彼は、王冠を拒みながらも独裁制を敷き、一方では、つつましいピューリタンとして共和制を貫き通した。しかし、彼の死後11年で共和制はつぶれ、王政復古が行われる。今度は国王を処刑した極悪人として、彼はウエストミンスター寺院の墓から掘り起こされ王の命日に絞首台につるされ、その首は寺院の戦闘に5年もさらされたという。)
 (彼が革命を成就し、ロンドンに入るとき、歓呼する市民を冷たく見すえて言った)
「やがて同じ市民が私をののしるであろう」

 <好奇心コーナー>
 

 竹山道雄
 
「ナチの殺戮。どうしてキリスト教世界の国にあのような悪意的なことが起こり得たか。われわれは結局すべての存在は一つだと感じているから、対立ということは余りなく、ときにはずいぶんだらしなくもある。しかし、創造者と被創造者、天国と地獄、天使と悪魔というように、すべてがはっきりと二元に分かれているところでは、一つの絶対を倒すためには他の絶対を持ってせねばならぬということになるのではあるまいか。・・・そしていまはただ潜在的な気質となって異端折伏的精神がほかのもろもろの大きな要因(たとえば科学による一元的説明)と共に、現代のうごきの一つの要因をなしているのではないか・・・」




     



エッセイ(274)政治は変幻自在を旨とする?

2015-08-30 03:17:35 | エッセイ
 *橋下氏、新党{大阪維新の会}結成の方針!
     

 *「抗日戦争勝利70周年」軍事パレード。
 
 (中国共産党が日本軍に勝利したことを祝う?)
 (毛沢東は田中角栄訪中の際、「中国共産党の勝利は日本軍のおかげだ」と語った。)
 (カイロ宣言を題材にした映画のポスターは、蒋介石を毛沢東にすり替えている) 
 

 *パン・ギムン国連事務総長、中国軍事パレードに出席。
 
 (日ごろ人権問題を取り上げている国連を代表する立場にあって天安門広場に立つ呵責はないのか?)

 *金正恩北朝鮮首領が「和解の転機になった」と南北合意に初めて言及。
 
 (日ごろの強圧的な姿勢に変化が期待できるのか?)

 ・・・政治とはそのとき、その場で鵺のように変化する・・・

 <好奇心コーナー>
 

 ドイツ・マインツに移籍した武藤選手、2得点の大活躍!
 



小説<手術室から>(23)息子の手術(2)

2015-08-29 01:15:51 | 小説・手術室から
 名刺の威力は絶大だった。
 すぐ若い医師がすっ飛んできた。後で俊から聞いたところによれば、彼はこの病院のオーナーを継ぐべき二代目だそうだ。
 大学の附属病院副院長と若いオーナー医師は、廊下の片隅でしばらくひそひそ話をしていた。
 権威者は笑顔で接していたが、若僧は恐縮の極みのように頭を下げっぱなしだった。
 

 池田は秀三にその結果を簡単に説明した。
 感染症に罹っている可能性があり、このままでは顔に傷跡が残るかもしれない。もし菌が目に入ったりしたら大変なことになるという。
「転院する算段をとりましょう・・・」
 池田はつぶやいた。
 秀三夫妻はわざわざご足労いただいた池田に対し、単なる友人ではなく、社会的権威ある地位に対して深く頭を下げた。

「そういわれれば、この病院ってずいぶん不潔よね。患者に使ったタオルが廊下に干してあるし、リンゲル液の容器までいっしょにぶら下がっていたわよ。あんなものは普通使い捨てじゃないの? 洗ってまた使うのかしら? 信じられない」
 帰りの車の中で咲子が興奮気味に言った。
 

 ─続く─

 <好奇心コーナー>
 

 街中ではめずらしい群生する百日紅が満開となった。
 これから文字通り九月にかけて長い間赤く咲き誇る。
 
 




小説<手術室から>(22)息子の手術(1)

2015-08-28 05:00:29 | 小説・手術室から
「手術後の経過がよくないみたい」
 息子の俊が手術してから毎日病院へ顔を出していた咲子が、五日ほど経過したころ言った。
「そんなバカな! 手術はうまくいって1週間で退院できるって医者が言っていたじゃないか。何が問題なんだ」
 秀三は直ちに病院にかけつけると、俊に聞いてみた。
「おかしいんだ。なぜ手術跡がふさがらないんだろうなんて担当医自身が言っているんだぜ」
 

「医者がわからないなんて普通口走るか?」
 聞いてみると、実際に執刀したのはここの病院の医師ではなくて、有名大学付属病院から派遣された手術の専門医だった。
 後の処置はこの病院の若い医師が診ているのだ。
 ・・・おかしい・・・
 秀三は近くに友人の池田が住んでいるのを思い出した。
 ・・・彼の意見を聞いてみよう・・・

 早速電話したら、多忙な彼だが幸いにも彼は在宅していた。
「えっ? 俊くんが? 小学校のころウチヘ来たことがあるよね? すっかり変わってしまっただろうな・・・」
 彼はすぐやってきた。

 彼とは大学の教養課程の時、同じ下宿で2年間一緒に過ごした仲だ。
 秀三は経済学部だったが彼は医学部だった。
 池田は普段は笑みを浮かべていて、しゃべり方も優しく付き合いのいい男だったが、麻雀の時その性格が垣間見えたのを思い出した。
 容赦なく弱いものから取り立てる冷徹な面も持ち合わせていたことを。
 
 <笑顔と冷徹>
 医者として組織の中をうまく渡っていく才があることを当時から感じ取っていた。
 アメリカの大学病院での研修を終え、帰国後母校の附属病院、他の病院などで経験を積み現在はS医科大学付属病院の副院長である。
 

 秀三から経過を聞き終えると、彼は看護師に「主治医にお会いしたい」と立派な肩書のついた名刺を渡した。

 ─続く─

 <好奇心コーナー>
 

 女子バレーをテレビ観戦した。
 高さを生かした攻撃力はもちろん、堅いディフェンスを誇るドミニカ共和国との対決に久しぶりで興奮した。
 第1セットを25-18で勝っている。
 ところが、第2セットで20-25で落とし、第3セットを30-32で落とした。
 流れが悪い。ロシア戦のようにこのままずるずると敗戦だなと思う。
 しかし、風呂に入って出てくると、エースの木村を古賀など若手に替えて踏ん張っている。
 25-15で対とし、第5セットも15-13で勝ち切った。
 
 ・・・日本チームに粘りがでてきた・・・
 心地よい結果だった。  
    




小説<手術室から>(21)退職後の秀三(8)

2015-08-27 02:48:28 | 小説・手術室から
 手術室の手術中という赤い表示が消えて、扉が開くと中年の医師がマスクを外しながら出てきた。
「手術は成功しました。おそらく一週間もすれば退院できると思います。後遺症もでないと思います」
 
 医師は 自信に満ちた落ち着いた表情で言った。

「ありがとうございました」
 真っ先に咲子が安堵の表情を見せて言った。
 加害者の男の表情にも笑みが浮かんだように見えた。
 居合わせた人たちすべてが緊張を解いてホッとした空気が覆った。

「本当によかった。やはり救急患者専門病院だけのことはあるはね。慣れているのよ。大学病院の新米のお医者さんに診てもらうよりよかったかもよ」
 
 帰りの車の中で咲子は精気を取り戻して言った。
 秀三は通勤途中の事故だから労災を適用してもらえるだろうか、会社に迷惑をかけることになるが・・・などと心配事のほうを考えていた。
 
 しかし、とんでもない事態になることについては全く思いも及ばなかった。

 ─続く─

 <好奇心コーナー>
 

 日本初のアリの巣の型どりに成功!
 巣からアリを逃がした後、熱したアルミを巣穴に注入。
 
 掘り出して、見事なアリの巣の型を作り出した。