昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

小説<手術室から>(14)退職後の秀三(1)

2015-08-17 04:36:39 | 小説・手術室から
 ・・・もうひと月もすれば今年も終わりだ。・・・
 二か月も先に設定された手術のことは、秀三の頭の中からすっかり飛んでしまっていた。
 あらためて彼は退職してからのこの一年を振り返ってみた。

 40年余り勤めた会社を早めに切り上げて、これからは思い通りの希望に満ちた人生が始まると意気込んでいたが、御多分に洩れずそれをいかなる形で実現すべきか壁にぶち当たっていた。
 
 家の中でぶらぶらしている姿を見かねた家内から文句を言われ、たまたま誘われた大学の先輩に誘われ発足したばかりのシニアのグループに参加することになった。
 初めて参加した交流会の模様をY新聞の「あなたの街、あなたが記者」という欄に投稿したら写真ともども記事が採用された。

 「地域のビジネスが参加する情報横丁」というM市のシニアベンチャー交流会の1回目が12月2日に開かれました。<シニアSOHO普及サロンM>の活動の一つですが、私も誘われて参加してみました。
 この新しい時代を予感させる集いのウワサを聞きつけて、遠くは千葉からもシニア(55歳以上)やサポーターの若者ら50人以上が参加し、狭い会場は熱気に包まれていました。
 今後、M市では毎年1万人のシニアが退職して企業から地域に帰ってくる見込みで、全人口の半分以上が55歳以上という時代が目前です。
 サロンのH代表の言葉を借りれば、いまや「お年寄りを大切に」などと頼っているわけにはいきません。
 シニアも現役としての意識を持ち自立しなければならないのです。

 参加されたシニアの紹介では「オンラインで株投資」や「性格診断テストをネットで事業化したい」などそれぞれの抱負が続きました。こうした気概に触れてみると、そのうち自分のやることが見えてくるような気がする刺激的な交流会でした。
 サロンでは会員の自立のための「PCアドバイザー認定研修」を開いたり、第2回交流会を1月20日に開催するとのことです。こんな私のようなシニアのみなさん、ぜひサロンをのぞいてみてください。
    

 
 ─続く─