なぜ人は小説を書くのか。人は死ぬからです。
世の中すべての生物の中で、みずからがいずれは死ぬことを知っているのは、人間だけだからです。
「心なき身にもあはれは知られけり 鴫立澤の秋のゆうぐれ」(西行)
・・・「あはれ」とは、人はいずれ死ぬことを知っている、その悲しみということです。・・・
・・・老いていくこと、これが最大の「寂しさ」です。・・・
*「とし暮れてわがよふけゆく風の音に心のうちのすさまじきかな」(紫式部)
・・・ただ生きているだけで淋しいということを最初に「物語」にしたのは<源氏物語>の紫式部です。
*同じことを明治以後、最初に小説に書いた人は夏目漱石です。
・・・<三四郎><それから><門><行人><こころ><明暗>すべて、近代人の寂しさを描いたものです。
*小林秀雄が言っています。
「陰口をきくのはたのしいものだ。人の噂が出ると、話ははずむものである・・・」
・・・小説を書くことも、人の陰口、悪口を容赦なく言うことからはじまります。・・・
*嘘が混じってくる。
その<嘘>こそが創作のはじまりです。
(以上、車谷長吉の言葉より)
世の中すべての生物の中で、みずからがいずれは死ぬことを知っているのは、人間だけだからです。
「心なき身にもあはれは知られけり 鴫立澤の秋のゆうぐれ」(西行)
・・・「あはれ」とは、人はいずれ死ぬことを知っている、その悲しみということです。・・・
・・・老いていくこと、これが最大の「寂しさ」です。・・・
*「とし暮れてわがよふけゆく風の音に心のうちのすさまじきかな」(紫式部)
・・・ただ生きているだけで淋しいということを最初に「物語」にしたのは<源氏物語>の紫式部です。
*同じことを明治以後、最初に小説に書いた人は夏目漱石です。
・・・<三四郎><それから><門><行人><こころ><明暗>すべて、近代人の寂しさを描いたものです。
*小林秀雄が言っています。
「陰口をきくのはたのしいものだ。人の噂が出ると、話ははずむものである・・・」
・・・小説を書くことも、人の陰口、悪口を容赦なく言うことからはじまります。・・・
*嘘が混じってくる。
その<嘘>こそが創作のはじまりです。
(以上、車谷長吉の言葉より)