昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

詩歌(4)ヤンキーな女

2011-10-30 04:11:29 | 詩歌
 <ヤンキーな女>

 

 私のこと元ヤンキーだなんて紹介するんだよ。
 
 だろうな。

 じゃあねえよって言うんだけど、今どきベンチコート着てるんだもんなだって・・・。

 ・・・。

 まあ、ヤンキーになりたかったかもしれないけど、なんなかった・・・。

 なり損ねたか。

 こないだガス欠でまいったよ。
 おまけに高速道路だったからあせったよ。
 もうケンスケ呼ぶっきゃねえかなって思ったくらい・・・。
 

 おいおい、冗談じゃねえよ。俺バイクだぜ。

 

 だけどあんたしか思い浮かばなかったんだよ。

エッセイ(96)原宿最新ファッション

2011-10-28 06:07:35 | エッセイ
 いつだったか、黒のレースのひらひらつきのドレスを着たスマートな女性が三鷹駅のプラットフォームの階段を下りていこうとしていた。
 思わず呼び止めて「写真を撮らせてもらってもいいですか?」と言いそうになった。
 思っただけでそんなことぼくに出来るわけなかったが・・・。
 後ろ姿だったが、ともかくこんなところには似つかわしくない異彩を放っていた。
 
 最近テレビで<原宿最新ファッション>というのをやっていた。
 最初に<ゴスロリ>(ゴシックロリータ)が紹介された。
 これだ! あの時三鷹駅で見たファッションは!
 
 前から見たらまさしくこんな感じだったろう。

 そして次から次へと最新ファッションが紹介された。
 
 白のカリスマ、みのりちゃん。
 

 アグコちゃん
 

 キャリーちゃん


 ハデコ
 

 彼岸花ファッション
 

 中にはウエディングケーキを頭に載せた子もいる。
 

 彼女たちの心は?

「変身願望!」
「永遠の17歳でありたい!」
「中学生がギャーギャー追っかけてきてチョー気持ちいい!」
「チョー大人になって涙が出そう!」

「彼氏いるの?」と聞かれて、
「彼氏がいないので、枕にしがみついてる・・・」
「電話するふりして、いつデートするの?って・・・」

 なんとも健気な乙女たちでした。  
 
 

エッセイ(95)ベストセラー作家・東野圭吾

2011-10-24 05:39:14 | エッセイ
 いつものようにテレビのチャンネルをまわしていると、コワーイ美少女に目が釘付けになった。

 その美少女に思いを寄せている男の子が、彼女が自分の父親に凌辱されている場面に出くわし、とっさに父親を殺してしまう。
 彼女は彼女で自分をそんな男の商売道具にするような自分の母親を憎んでいた。
 それで、母親をガス自殺に見立てて殺し、男の子の身代わりに母親を殺人犯に仕立てる。
 そして切なくも悲惨な二人の<白夜行>が始まる。
 身の毛のよだつストーリーだが、淡々と描かれるだけに惹きつけられる。

 今を時めくベストセラー作家、東野圭吾の原作だ。
 もちろん彼の名前は<容疑者Xの献身>で直木賞を受賞して以来知っている。
 しかし、これまで彼の作品はまったく読んでいなかった。

 図書館から<容疑者Xの献身>を借りてきて読んだ。
 

 冒頭、私立高校の数学の先生をしている主人公が、朝出勤のためアパートを出る。
 新大橋をまっすぐ行けば彼の職場だが、彼は右折して隅田川に沿って歩く。
 途中犬を連れたおばあさんと挨拶を交わしたりしながら・・・。
 目指すはお弁当屋なのだ。

「いらっしゃいませ。おはようございます」カウンターの向こうから、石神の聞き慣れた、それでいていつも彼を新鮮な気分にさせる声が飛んできた。白い帽子をかぶった花岡靖子が笑っていた。
 店内にはほかに客はいなかった。そのことが彼を一層浮き浮きさせた。
「ええと、おまかせ弁当を・・・」
「はい、おまかせひとう。いつもありがとうございます」
 彼女が明るい声でいったが、どんな表情をしているのか石神にはわからなかった。まともに顔を見られず、財布の中を覗き込んでいたところだったからだ。せっかく隣に住んでいるのだから、弁当の注文以外のことを話そうと思うのだが、話題が何ひとつ思い浮かばない。


 石神はずんぐりとした体型で、丸顔で大きい。目は糸のように細い。頭髪は短くて薄い。
 身なりは気にしないでいつも同じ服ばかり着ている。
 一見50歳ぐらいに見えるが実際はもっと若い。

 お隣に引っ越して来た美人の靖子はわけありだった。
 忌まわしい前夫がやってきて諍いになり同居する娘とともに殺してしまう。
 すさまじい音を聞きつけて石神は現場を目撃し、自らが犯人の責めを肩代わりすることを決意する。

「あなたがたにはアリバイが必要です、それを考えていただきます」
「だから、これから作るんです」石神は死体から脱がせたジャンパーを羽織った。
「わたしを信用してください。私の論理的思考に任せてください


 ぼくは自分だったらどうするか考えてみた。
 好きになった女性のためだったらそこまでやれるか・・・。
 しかし、この主人公の過ぎ越し人生、人柄を考えた場合、ありうるかなあと思ってしまう。
 淡々とした筆致の中にも、東野圭吾の筆力のなせる技なのだろう。

 そして、天才科学者湯川学の登場だ。
 これがまた憎い演出だ!

「君の論理的思考とはどういうものなのか、一度じっくり分析してみたいね」
 退屈そうに頬杖をついてそういってから、湯川学はわざとらしい大欠伸をした。小さめのメガネフレームのメガネは外して脇に置いてある。いかにも、もう必要ないといわんばかりだ。
 しかし事実そうなのかもしれない。草薙は先程から目の前のチェス盤を20分以上睨んでいるが、どう考えても打開策は見えてこなかった。・・・
「チェスってのはどうも性に合わないんだよな」草薙は呟いた。
「また始まった」・・・
 帝都大学物理学科の第十三研究室には、湯川と草薙以外は誰もいなかった。・・・
 草薙のポケットで携帯電話が鳴りだした。湯川が白衣を羽織りながら微笑を浮かべた。
「ほら、早速お呼びらしいぜ」
 草薙は渋面を作り、着信表示を見た。湯川のいうとりのようだ。かけてきているのは同じ班に所属の後輩刑事だった。


 新聞広告に「熱いハートと冷静な頭脳、『ガリレオ』湯川は私の圧倒的ヒーロー!」  澤穂希(女子サッカー選手)とあった。
 東野圭吾「ガリレオの苦悩」の広告だ。

 ビーズ工芸展を終えたメル友から「この一週間が夢のよう、新聞も読まない浮世離れの私は急に活字を追いたくなる衝動にかられております。素敵な小説はありませんか?」とメールしてきた。
 「東野圭吾の作品をお勧めします」と言おうかと思ったがやめた。
 彼を読んでいないのは自分だけのような気がして・・・。

詩歌(3)プロムナード

2011-10-23 04:15:57 | 詩歌
 <プロムナード>

 
 

 「わたし、この道好きだわ。朝顔も咲いているし」
 小さな犬を連れたおばあさんが、朝顔に水をあげているおばあさんに話しかけている。
 澄んだ空気、気分のいい朝。
 レッドロビンが赤く色づいてきたプロムナード。

 自転車で通学する中学生だろうか、男の子が会釈して通り過ぎた。
 きのうも元気な小学生の女の子から「おはようございます」と声をかけられた。
 澄んだ空気、気分のいい朝。
 レッドロビンが赤く色づいてきたプロムナード。

 おとといは杖をついたおばあさんがバス停への道を聞いていた。
「そこを曲がって・・・、あ、わたしが付いて行ってあげましょうか?」
 親切な優しいおばさん。
「いいわよ、そこまでしていただかなくっても・・・ありがとう」
 澄んだ空気、気分のいい朝。
 レッドロビンがまた赤く色づいてきたプロムナード。

 レッドロビンの新芽は赤いんだね。
 春だけでなく、何回も葉が入れ替わるんだ・・・。
 赤と緑が何回も楽しめる。
 澄んだ空気、気分のいい朝。
 レッドロビンがまた赤く色づいてきたプロムナード。

  
 

詩歌(2)小さなコオロギ

2011-10-19 04:44:53 | 詩歌
<小さなコオロギ>

 

 ほら! 鳴いているよ。
 チ、チ、チ
 キッチンにいたのがリビングに移ってきている。
 胡瓜を置いたんだけど、それより椅子のクッションが気に入ったみたい。
 ベランダの方が居心地がいいのにと思って、捕まえようとしたらピョーンと逃げてしまった。

 ほら! また鳴いているよ。
 チリリ、チリリ、チリリ
 誰かを呼んでいるのかしら。
 優しくてか弱い声。
 そんなところにいると死んじゃうよ。

 ほら! また鳴いている。
 チ、チ、チ
 空気が澄んでいる夜。
 外の方が気持ちがいいわよ・・・。
 好奇心旺盛なまだ小さなコオロギくん!


 

 

エッセイ(94)ビーズフラワー&ビーズアクセサリー個展

2011-10-06 04:13:47 | エッセイ
 昨日5日水曜日、今週の日曜日9日まで銀座で開催されるメル友Kさんのビーズ工芸展に行ってきた。
 銀座に教会があるなんて初めて知った。
 そこの一階のスペースで開かれていた。
 
 
 メル友といっても、ぼくの親友の奥さんだ。
 その親友とは大学に入学したときの下宿仲間で、医学部に進学、アメリカに留学し、一流の心臓外科医となった。
 その奥さんからご自身のエッセイを載せた雑誌「フーガ」を送っていただいてからメールによる交流が始まった。
 
 彼女はアメリカへ旦那に同道したとき、ビーズフラワーのテクニックを学んだのだそうだ。
 宇都宮に家を新築されたとき招かれて、その玄関の大きな花瓶にたわわに実ったビーズの稲穂を見て、「これがビーズ!」と感動したことを今でも思い出す。

 狭いスペースながらいろいろな種類のビーズ工芸品が並べられ、あいにくの雨だったが思いのほか多数の女性が熱心に鑑賞されていた。
 
  
  

「旦那は元気ですか?」と聞くと、「元気すぎて、ぼくのお姉さんなんて言われないように、なんて言うんですよ・・・」と奥さんも相変わらず若い。
 「フーガ」のエッセイの中でも述べられているが、趣味は衣食住をトータルで考えて心地よい生活を目指すことなのだそうだ。

 特筆すべきはお酒がめっぽう強い。
 我々下宿仲間が夫婦で集まることがあるが、彼女だけはいくら飲んでもしゃきっとしている。
 今、ジンに凝っているそうだ。

 今回宣伝部長を仰せつかったので、麻雀仲間だけでなく昨日会った幻冬舎のシャープで素敵な女性編集長にもご案内しました。
「土日なら行けるかな?」とおっしゃってました。

 このブログをご覧のみなさんもぜひお出かけください。

エッセイ(93)甲州・信州バスツアー(4)

2011-10-02 05:57:26 | エッセイ
 信州、野辺山高原に到着。
 
「最高!」思わずみんなから声が上がる。
 標高1300メートル、八ヶ岳を前にして、晴れ、気温17℃。
 なんと清々しいことよ!

「腹減ったな・・・」
 
 ちょうどお昼、「ハーブ鶏のステーキと信州わんこそば、高原野菜サラダは食べ放題!」 
 ステーキとは言えないがころころ鶏が3コ、蒸し焼きにしながら食べる。
 味はなかなか。そばも美味い。野菜サラダも新鮮。

 そこから2時間ほど走っておやつ時はたまごロールケーキ工房を訪問。
 ここでも新鮮な作り立て、ふわふわのたまごケーキを試食。
 そして買わされた。
 続いてじゃんじゃん行きます。
 新田醸造で2メートルの巨大味噌樽を見学、味噌汁と味噌せんべいの試食。
 
 ここでも<健康>がテーマだ。
 

やだぁ! 何あれ・・・」
 たくさんのツアー歓迎の立札の中に我々のツアーのことを「信州甲州食い放題ツアー御一行様」とあった。・・・たしかに。
 
 その後、塩田東山農園のコスモスを鑑賞。
 
 ソバ畑の中に、いかにも観光用に設えた感のあるコスモス畑だ。
 狭い農道、現地には駐車場もないので、バス一台づつ交代で鑑賞。
 その間表通りの売店の駐車場で待機、ここでも野沢菜などの地元特産品を買わされる仕組みになっている。
 
 そろそろ疲れてきたところでツアーの目玉、夕食「マツタケづくし牛すきやき秋会席」へと向かう。
 
 ツアーのパンフレットで見るとこんな具合だが、おじさん添乗員が言っていたように期待しない方がいい。
 こんなちっちゃなマツタケってどこ産? て感じ。
 しかし、匂いはした。歯ごたえもあった。
 それで満足とするか?・・・。

 最期のバスの中では、お楽しみ抽選会も行われ、7人の方がワインなどの賞品をゲットした。ウチは外れたけど・・・

 お土産もハーブの入浴剤、どら焼き、味噌、高原レタス、それに最後はズワイガニにホタテ、エビと盛りだくさん。
 買ったものと合わせて帰りは大変なお荷物となった。
 
 こんなに盛り沢山なツアーで業者は採算がとれるのだろうか?

 でも今日だけでなく、このツアーがこの秋7~8回も繰り返されるところを見ると業者も、参加者もすごい!
 
 ─了─
 
   

エッセイ(92)甲州信州バスツアー(3)

2011-10-01 05:29:45 | エッセイ
 前後しちゃったかもしれないけれど、ハーブ園へも行ったんだ。
 
「みなさま、どちらからいらっしゃったんですか?」
 入園するなりいきなり案内してくれたお姉さんの言葉がたどたどしい。
「わたしは台湾人です」だと・・・。時代の流れを感じたね。

 ここでの印象は庭園散策というより、おしゃべりたくみなお兄さんの商品説明と売り込み。
「大都会から見えたみなさん! あるいはお知り合いの方で、アレルギーや肌荒れ、目の疲れ、糖尿病などでお困りの方はいらっしゃいますか?」
 先ずは我々シニアの健康に関する悩みどころをしっかり掴んでハーブ製品の数々を紹介する。

「さあ、このスキンクリームを手でも顔でも塗ってみてください! すべすべするでしょう? タオルで拭き取ってもすべすべ度はおちません。しっかり浸透しているからです」
 てな具合で、みんないろいろ買わされてました。
 中国やイタリア、カナダでもありました。
 狭い部屋に観光客を詰め込んでたくみな弁舌で異常な雰囲気を作り出して買わせる商法が・・・。

 これってタッパウエアが50年ほど前に日本へ進出したときに使ったタッパー・パーティーが始まりと言われている。
 
 日本では銭湯に近所のおばさんたちを詰め込んでやったという話を聞いたことがある。

 ─続く─