昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

レロレロ姫の警告(64)週刊誌インタビュー(2)

2013-05-24 10:36:33 | なるほどと思う日々
「他の生きものたちは、動物にしたって植物にしたって、自然と共に自然体で生きているんですよね。でも人間は違うんだなあ・・・」
 わたしはそこで言葉を切ってインタビュアーのお兄さんの顔を窺った。
 オジサンというよりオニイサンなんだな、ちょっとイケメンで。
「人類は自然体じゃないって言うんですか?」
 お兄さんは期待した通り鋭い視線をわたしの目に射し込んできた。

「だって、他の生物は自然のあるがままの恵みをあるがままに頂いてそれで満足しているのに、人間はそれだけじゃ満足できないじゃないですか!」
「ああ、例えばライオンは満腹なら目の前を獲物が通っても無視するとかいう話ですか?」
 わたしの跳ね返した視線をものともしないで、オニイサンは分かりのいい例で返してきた。顔ばかりじゃなくて頭も良さそう。
「自然にあるものだけで満足しなくて、柵をめぐらして獲物を家畜にしたり。農園を作ったり、だいたい人類って欲張りなんですよね?」
 
 
 言いながらちょっと腹が立ってきた。

「たしかに。でもそれが人間の賢いところだから・・・」
 なんて言いながらメモしている。
「賢い? 悪賢いのよ! 農作物にしたって自然肥料を使っているうちはまだ許せたけれど、さらに収穫を上げようと化学肥料を使って水質汚染で自然を汚している。そこが問題なのよ!」
「でも最近はその辺にも配慮して、化学汚染は少なくとも日本では解消しつつありますよ」 顔をあげて平然としているその態度が憎たらしい。

「あなたビキニ環礁の水爆実験で日本の漁船の船長が被爆した事件のこと知っている?」
 
 そのしれっとした彼の顔を雑巾で拭くように言ってやった。
「ビキニ環礁?」
 やっぱりだ知らないんだ。
「もう五十年前だからあなたは生まれてないから知らないんだ。でも学校で習わなかったの?」
「習ったかもしれないけど覚えてないなあ・・・」
「広島や長崎の原爆は知ってるでしょう?」
「もちろんそれは知っていますよ。人類で初めて日本人がその被害を受けたんですから」
「だったら当然この事件も深刻なものとして覚えていなきゃ・・・」

「核エネルギーの問題ですね? 今度の福島の原発事故による核廃棄物問題に繋がるわけだ。原爆や水爆は当然廃棄しなきゃいけない汚物ですけど。そこから生み出された原発は人類のエネルギー問題を解決する一つの手段として開発されたものだから・・・」
「そうやって人類は悪魔のエネルギーと言われている核エネルギーにまで手をつけている!」
 エネルギー問題解決の1つの手段だなんて平然と口走っているオニイサンの頭の中の構造はどうなっているのだ!

 ─続く─

 一昨日からパソコンの状態が安定しない。
 
 三日間連続でメーカーのコンタクトセンターと長電話のやりとりをしている。

 
 
 

 
 

金沢便り(41)鯉流し

2013-05-21 04:15:37 | なるほどと思う日々
 久しぶりで<金澤の山ちゃん>からフォト便りが届いた。
 浅野川の鯉のぼり流しだが、去年とは一味違った視線からの写真だ。


 <みんなが主役>金澤浅野川鯉流し

 今年も川で鯉幟が泳いでいる。もう十何年になる。
 主役は鯉幟だが、今年はその生地を織った着物や足袋、袋物も仲間入りした。

 もちろん、地域の皆さんのお世話やブラスバンド演奏協力、数えきれない人達のご支援があった。

 サングラス犬も見物に来た。次回はどんな動物が観に来るのだろう。
 (金澤市浅野川・梅の橋にて)

 
 大橋に向かって

 
 鯉幟生地の着物


 鯉幟生地の足袋


 鯉流し見物犬

  <空気の器> 紙製である。見る角度で色が変わる。花瓶の装飾や、ワインのギフト装飾、オブジェなどに活用。
         (日本テレビ・雑貨ジャパンより)

  

 

 
 
  

三鷹通信(75)武蔵野公園でバーバキュー

2013-05-20 05:23:33 | 三鷹通信
 今日は地元で活躍する人たちとの会合、野外版だ。
 三鷹市野川公園に隣接する武蔵野公園。
 
 林の中にバーベキューコーナーがある。
 世話人のGさんが朝早くから場所取りしてくれているとのメールが入った。
 去年は少し雨に降られたが、今年は快晴、家から3キロ歩くことも考えたが汗をかきそうなので、バスにしたら15分も待たされ、しかも乗ったバスは東八道路を左折して近藤勇の龍源寺まで行かされちゃった。
 結局2キロ近く歩くことになった。

 武蔵野公園はすでに人、人でいっぱい。
 
 みんなが何処にいるのかわからない。
 まごまごしていたらTさんが声をかけてくれた。
 
 すでにみんな集まっていて、Tさん、G夫人が率先して鍋奉行してくれている。
 鳥に、牛に豚、キャベツにえのき、もやしソーセージと次々焼かれる。
 サラダや漬物もいっぱい。
「おいしいな、この緑と心地よい風! 幸せ!」とNさん。

「ことしはワンちゃん連れてこなかったんですか?」
「もう、腰が立たなくって、17歳ですから」とHさん。
「ビールも焼酎も、いろいろありますよ」と世話人のGさん。
「あんなところでそうめん流しやってるぜ!」とT代表。
 
 なるほど!キットを組んで竹筒にそうめんを流して楽しんでいるようだ。
「さすが、日本人、いろいろやりますなあ・・・」

「Sさんが来ていないからHさんが寂しそうですね?」
「いろいろお忙しそうで、Yさんはお見えになるようですが・・・」
 午後になってそのYさんが格好いいスポーツタイプの自転車で現れた。
「遠いいんでくたびれちゃった! おにぎり作って来たわよ」

 美味しい!

 午後3時過ぎ、予定があるので、ひとりぼくだけが失礼することになった。
「これ、お土産です」
 食材が多すぎて、食べ残した肉や野菜、お菓子を、G夫人がきれいにセットして渡してくれた。
 ありがとう! 夕食に役立ちました。
 幸せな一日でした。
 
 CO2濃度が400PPM越えで危険領域に突入!
 
 「世界は、400PPMを超えたことが人類の安全保障や福祉、経済発展にどのような悪影響があるのか思い起こし、目を覚まさなければならない」
 気候変動枠組条約のフィゲレス事務局長は声明を発表、危機感をあらわにした。



エッセイ(163)吉原由香里先生6段昇段祝賀会

2013-05-19 04:42:12 | エッセイ
 昨日、吉原由香里さんの6段昇段祝賀会に参加させていただいた。
 幼いときからの縁でお付き合いのある立川の囲碁塾を経営されている先輩が企画された。
 結婚されて吉原さんとなられる前、梅沢由香里として囲碁界に登場されたばかりのころから、大学の後輩ということもあり関心を持っていた。
 特にNHKテレビの囲碁番組の顔として登場されると、その容姿と解説の切れ味にさらに関心が深まり、このブログ<女の魅力>でも8番目に取り上げたほどだ。

 実際にお会いするのは今回が初めてだ。
 すでに四面打ちの二回目が始まっていた。
 

 若い! 青地に赤い花マークの爽やかなワンピースに白のサマーニットを羽織った容姿は華奢で、盤面に注ぐ視線は涼やか、白魚のような指先、アラフォーのはずだがとてもそうは見えない。
 
「そう来ましたか? 参りましたね! どかんとやられそうですね」
 巧みに相手を持ち上げ、しかし堅実に対応していく。
「優しい手を打っていただいたから、助かっちゃった」とか言いながら。
 

 会食をしながらも会話は弾む。
 
「ああ、そうなんですか? 大森先生の指導を受けていらっしゃるんですか。私の兄弟子です。わたしと違ってとても優しい方で・・・」
 殺し屋として名高い加藤正夫門下の由香里さんは力碁だ。NHK杯では男性棋士から大石を取り上げて勝った実績がある。
 2007年には女流棋聖として3連覇した実績もある。

 テレビの顔としてばかりではなく、NHKの大河ドラマ<篤姫>や、漫画<ヒカルの碁>を監修、指導されたことでも有名だ。また母校慶應義塾大学の囲碁担当の非常勤講師も勤められ、国際囲碁連盟理事などもされている。
 
 「救急車やゴミ収集車が好きなんです」
 由香里さんのブログには息子くんがしばしば登場する。
 元気で活発なお子さんのようだ。
「まあ、カワイイ! よろこぶわ」
 昇段祝いに花束、お土産に帽子とお子さん用のジーンズを贈った。
 
 

「いつもわたしのブログにコメントを寄せていただいてありがとうございます」
 由香里さんからそう言っていただいて満足のひと時でした。

 帰宅してからテレビの世界卓球選手権を観る。
 愛ちゃんや佳純ちゃんが負けてしまったが、北京オリンピック金メダリストの中国の馬琳選手に勝った松平健太くんが残っている。
 
 今日の相手は欧州チャンピオンのベラルーシ、サムソノフ選手。これがしぶとい!
 一進一退の末、4対3で健太くんが勝った!
 なんと、彼はぼくの郷里石川県の七尾市の出身ではないか。
 世界ジュニア選手権で日本人初めての優勝を果たしている日本の期待の星だ。
 メダル獲得に向けて期待しよう!

  
 

レロレロ姫の警告(62)三島くん(6)

2013-05-18 05:38:41 | なるほどと思う日々
「でも、夢を持ち続けるのが他の動物にない人間の特質じゃないか!」
 三島くんの目が、これだけは譲れないというようにキラッと光った。
「夢を持って前進し続ける意志を持つことこそ人間の証なんだ!」
 彼は強調するように言葉を区切ってみんなを見回した。
「現に昔に比べれば人間の叡知のおかげで文明は格段に発展している。生活環境はよくなっているし、寿命だって長くなっている!」
 男の子たちが申し合わせたようにうなずいている。
 
「前進し続けるのが人間なんだ。前を向いて、夢を描かない人間なんて考えられない!」
 パチパチと拍手が起きた。

「そんなこと言って、便利で豊かな生活を求めて、問題があるのに先送りしていると、とんでもないことになるわよ!」
 わたしは反射的に叫んだ。
「とんでもないこと?」
 三島くんは何を言っているんだ!という顔でわたしを見た。

「あらまあ、何をお話しているのかしら? むずかしいお顔をしてすごい熱気じゃない! ここらでひと息いれましょう。ケーキを作ってきたから・・・」
 タイミングを計ったように三島くんのお母さんが満面に笑みを浮かべて現れた。
「何このケーキ? スゴイ!」
 
 もう、深刻なお話より現実のお楽しみを!とばかり邦子さんまでが笑顔になっている。
 あれだけ真剣にわたしに反発していた三島くんも率先してケーキに手を出している。
 何よ! 人間て、お菓子ひとつでコロッと態度を変えちゃうんだから!

 ─続く─

 熊さん:このところ橋下大阪市長が慰安婦問題発言で、マスコミの集中砲火で火だるまになってますね?
 
 ご隠居:たしかにね。彼はタブーに触れちゃったからね。
 熊さん:タブーって?
 ご隠居:人の痛いところ、弱みをあからさまに突いちゃいけないんだよ。
 熊さん:だって問題はすべて明らかにして解決するのが政治家の勤めでしょうが?
 ご隠居:いや、世の中は偽善で成り立っているんだ。叡知では処理できない動物的な要素が人間にはまだ残っているということだ。
 熊さん:偽善で成り立っている? いやな言葉ですね。
 ご隠居:お前だって、こそこそと人に言えないことをやってるんじゃないの?
 熊さん:へ、へ、へ、ちげえねえ。


エッセイ(162)安倍外交動き出す

2013-05-15 05:16:26 | エッセイ
<落語談義7>

 熊さん:飯島内閣官房参与が北朝鮮を訪問したらしいですね?
 
 ご隠居:らしいね。以前から<6月電撃訪朝>なんて噂があったけど、思ったより早かったね。
 熊さん:これって、安倍さんの日本独自外交の一環なんですかね?
 ご隠居:だろうね。靖国問題や憲法改正問題などの歴史認識問題という中韓との間に燻る火中の栗を、敢えて拾う姿勢を鮮明にしているからね。このところ膠着状態にある北朝鮮問題に、日本なりの突破口をという思いがあるんだろうね。
 熊さん:それにしても北朝鮮サイドがよく受けましたね。飯島さんを外務省の高官が出迎えたって報道されてましたが。この間ご隠居が言ってたように、北朝鮮の姿勢にも変化があるってことですかね?
 ご隠居:だね。先日は外交強硬派の金格植人民武力相が更迭されたらしいし。
 
 熊さん:ということは、金正恩くんの軟化戦略が表に出て来たってことですか? それにしても安倍さんもやるもですね。アメリカの同意は取ってるんですかね?
 ご隠居:もちろんアメリカには事前に話しているだろう。オバマさんも武力で解決しようというタイプじゃないし、金正恩くんとのパイプを模索している1つと認めているんじゃなかな? 韓国は無視されておかんむりのようだが。
 熊さん:朴槿恵大統領には未来志向を期待していたのに、靖国問題で「安倍さんっておかしいんじゃありません?」ってオバマ大統領まで言いつけられるし、「習近平ちゃんのほうがいいわ」って中国の方へ行っちゃうらしいし。
 
 
 ご隠居:何て言い方だ・・・。たしかに中韓とはこのところ仲たがいしちゃってるのは嘆かわしいね。もともと中国の覇権主義を快く思っていないから、安倍さんは尖閣問題を契機に外交的には一線を引こうとしているんだろうね。日ロ首脳会談を始めとして中國包囲網外交を展開しだしたからね。ただ、韓国との仲たがいは予想外だったろう。まだ歴史問題を蒸し返してくるとは思っていなかったんだろうが、これは甘かったね。
 
 熊さん:いずれにしても飯島さんの訪朝の結果がみものですね。これを突破口にご隠居の描いた筋書き通りになるかもしれないし・・・。
 ご隠居:そう甘くはないだろうけどね。
 
 今日の朝、新聞を見ていた熊さん。
 熊さん:あれ? アメリカは韓国と同様知らされてなかったって書いてますぜ!
 
 ご隠居:かもしれないな。でもいいんだよ。小泉さんが訪朝したときも、<悪の枢軸>と突っ放したアメリカのブッシュ大統領に断りなく行ったんだ。
 今回のポイントは金正恩くんが受け入れる姿勢を見せたってことだ。彼は膠着した状況をなんとかしたいと思っているということだ。カダフィみたいに核を放棄する道を探っているのかもしれないじゃないか。
 熊さん:そういえば、元アメリカのバスケットのスーパースターにも声掛けしてたみたいですね。
 ご隠居:そうだよ。彼はオヤジの金正日氏に倣って、安倍さんに役割を期待したのかもしれないぜ。

 
 
 

なるほど!と思う日々(240)日本のソフトパワー

2013-05-14 04:55:44 | なるほどと思う日々
 参議院予算委員会の国会中継を見ていたら、維新の会の中山恭子議員が質問に立って、例のほんわかした特徴ある口調でしゃべりだした。
 
 しばらくすると、自民党や公明党の議員が数人、委員長を取り囲んで文句を言っている。
 中山さんは委細構わずしゃべり続ける。
 安倍総理の歴史観に対し中韓のみならずアメリカからもいちゃもんが付いたという報道を問題にしているようだ。
 安倍さんの真意と異なるのであれば、即刻異を唱えるべきで、唱えたのであろうか? もし黙認していると認めちゃうことになりますよ! という趣旨の質問だ。
 自民・公明議員の抗議は、今回の震災に関する集中審議というテーマから外れているということのようだったが、石井委員長は中山さんのソフトな語り口に、まあいいじゃないですかと思ったかどうか、そのまま彼女に続けさせた。

「委員長ありがとうございます」とお礼を言って、改めてしゃべりだした内容は、これもまた震災とは関係ない話だった。
 麻生副総理のウズベキスタン訪問の際のエピソードだった。
 ウズベキスタンのカリモフ大統領は幼少のころ母親に言われて日本人の捕虜収容所を見学に行ったことがあるそうだ。
 その頃、タジキスタンには2万5千人もの日本人捕虜がシベリアから移送されてきていて労役に従事していた。
「ロシアの兵隊は上の人が見ていないところでは仕事をしないけれど、日本人は仕事をしている。あなたもそんな日本人を見習いなさい」と母親に言われ、今や大統領にまでなった。
 そして、彼らが建てたタシケント市のナボイ劇場はその後襲った二度の大地震にもびくともしなかったという話を添えた。
 ・・・ここでやっと震災のテーマに触れた・・・

 彼女が言いたかったことは、日本は日本の特長ある文化をもっと世界に発信しなさい、ということのようだ。文句を言われても反論しないで黙認してしまうし、他の国にない良さをPRするのも下手だというわけだ。
 ソフトな語り口で日本のソフトなパワーを主張する中山恭子さんは貴重な政治家だ。

 4チャンの<しゃべくり007>のゲストに新鮮なタレントが招かれていた。
 <第二のローラ>と言われる水沢アリーさんだ。
 物まねタレントかと思ったら本人は違うという。
 でも、たしかにしゃべりや所作はローラそのものだ。
 だけどしゃべる内容はちょっと異なる。
 なかなかセンスあるじゃん!と思えて面白い。

 「悩んでいることはありますか?」という問いに{年金がもらえるかどうか心配!」
 「政治に関心があるんですね? アベノミックスについてどう思いますか」と訊かれて
 「2回目のあべくんは強いよ!」だって。

 
  

エッセイ(161)文明の進化路線に逆らえるのか(45)涌井雅之氏の講演

2013-05-12 04:49:51 | エッセイ
三鷹市の憲法を記念する憲法のつどいで涌井雅之氏の講演を聞いた。
 題して「環境革命の時代に向けて~新たな市民社会の未来へ~」

 地球に住む我々の<生命圏>は地球の6400キロ(半径)に対してたかだか10キロの薄く、はかない部分に過ぎない。
 しかも地球の65億年の歴史から見ると、人類が今の文明的な生活様式を始めたのは1万年前の農業革命からだ。
 それがこのわずかな期間に人類は悠久の歴史に育まれた自然を、今や食い散らかして豊かな生活を手に入れた。

 地球の環境容量を表わし、人間活動が環境に与える負荷を、資源再生産および廃棄物の浄化に必要な面積として示したエコロジカル・フットプリントという数値がある。
 日本語に言い換えれば、「人間活動が地球環境を踏みつけにした足跡」ということになる。
 現状、どの程度踏みつけにしているかというと、世界全体が今の日本の生活水準並みになるには地球が2.4個必要になる。アメリカ並みなら5.3個である。
 つまり地球の恵みは、もう余裕がないということだ。

 にもかかわらず人間は反省もなく、今なお自然をないがしろにして喰い散らかし続けている。
 時々環境サミットなどを開催して世界の首脳が集まり反省会を開いているにもかかわらず・・・。
 1992年のブラジル・リオデジャネイロで開催された環境サミットで、カナダのセヴァン・スズキという12歳の女の子が伝説のスピーチを行って集まっていた世界の指導者たるおとなどもに痛棒を与えた。
 「私がここで話をするのは、未来に生きる子どもたちのためです。世界中で飢えのために苦しんでいる子どもたちのためです。そしてもう行くところもなく死に絶えようとしている動物たちのためです。わたしは体中ガンにおかされた魚を見ました。そして多くの動物や植物たちが毎日のように絶滅していくのを耳にします。それはもう永遠に戻ってはこないんです。こんなたいへんなことが起っているのに、私たち人間ときたら、まるでまだまだ余裕があるようなのんきな顔をしています。・・・

 オゾン層にあいた穴をどうやってふさぐのか、あなたは知らないでしょう。死んだ川にどうやって鮭を呼び戻すのか、あなたは知らないでしょう。絶滅した動物をどうやって生き返らせるのか、あなたは知らないでしょう。そして今や砂漠となってしまった場所にどうやって森をよみがえらせるのか、あなたは知らないでしょう。

 どうやって直すのかわからないものを、こわしつづけるのはもうやめてください。

 私の国でのむだづかいはたいへんなものです。買っては捨て、また買っては捨てています。それでも物を浪費し続ける北の国々は、南の国々と富をわかちあおうとはしません。
 ・・・
 もし戦争のために使われているお金をぜんぶ、貧しさと環境問題を解決するために使えば、この星はすばらしい星になるでしょう・・・」
 

今や、物質の豊かさの向上維持に力点を置く<人間中心主義>から、<生命>を中心に据え、人間、動物、植物の平等<生物圏平等主義>を推し進めるべき時に来ているということだろうか。

 涌井氏は、自然と共生することこそこれからの人類の生きる道であることを強調されている。
 3.11の大震災で自然の驚異を見せつけられた。
 大津波に対応するにはさらに高い堤防をというのが我々の発想だが、涌井氏は「それは違う!」と言う。
 自然の力に対抗するのに人間の力で、という考え方が間違っているというのだ。
 武田信玄の<信玄堤>が、水流の勢いを散らしたように、自然の力を<いなす>ことが肝要だと言う。
 彼は「奥さんに対応するように」と粋な喩をしたが・・・。
 福島原発の場合は堤防を高くすることではなく、原発から人間は手を引けということなのかな?

 
 最近NHKテレビのBSドキュメント、オリバー・ストーンが語る<もうひとつのアメリカ史>を観た。
 ただひたすら、強欲な人間社会の現実を突き付けられた思いだった。
 
 
 


  
 

エッセイ(160)北朝鮮・金正恩の落としどころ

2013-05-10 06:15:08 | エッセイ
 <落語談義6>

 熊さん:あれほど強面だった北朝鮮がこのところ静かですね? これからいったいどうなるんでしょう?
 ご隠居;そうだな・・・。ミサイルを今にもぶっ放すぞって威勢がよかったのにな。
 熊さん:中国までもが銀行取引を止めるなんて言い出したんでだいぶ弱ってるみたいですね?
 ご隠居:中国までにそっぽを向かれたんじゃ、北朝鮮も八方ふさがりだもんな。これから国連制裁の効果がじわじわと効いてくるぞ!
 熊さん:じゃあ、どうしようってんですかね? やぶれかぶれで戦争に突入なんてことにならなきゃいいんですが。
 ご隠居:恐らくそうはならないだろう。
 熊さん:そんなこと断言できるんですかい?
 ご隠居:金正恩の顔を見ればとてもそんなことできる顔じゃないね。
 熊さん:だって、韓国を火の海に、アメリカだってなんてずいぶん過激なこと言ってますぜ?
 ご隠居:あれは軍に言わされているだけだよ。金正恩自身はけけっこう考えてるんじゃないの? このまま突っ張ってい続ければ我が身が危ないって。最近、ミサイルの一部を撤去したとか、国民は田植えに専念せよとか言い出しているし。ちょっと変化が見られる。
 熊さん:でも、核はぜったい手放さないって言ってるし、アメリカは核を放棄しなければ
絶対話し合いには応じないって言ってるし・・・。
 ご隠居:結局、リビアのカダフィの前例に従うんじゃないの?
     
 熊さん:カダフィの前例?
 ご隠居:あれだけ強引だったカダフィは経済制裁に音を上げて、結局核放棄を宣言してアメリカと国交正常化を果たすんだ。
 熊さん:たしかにそれしか金王朝の生き残る道は今やないというわけだ。でも、強硬な軍部を彼はコントロールできるんですかい? 
 ご隠居:確かに、核保有しか北の生きる道はないって言い続けてきたんだものな。しかし彼自身が十分国の独裁者としての地位を確保したと認識できた段階で、これまでの核保有戦略を推進してきた軍のトップを更迭して、カダフィの前例にならって核放棄宣言をする。だってそれしかないことを彼はバカじゃなさそうだから分かってるよ。
 熊さん:彼にそんなことできる資質があるってどうして分かるんですか?
 ご隠居:彼はスイスに留学して西欧の空気に触れているし、勉強もしている。それに彼とつきあいのあった藤本料理人をわざわざ呼び寄せて日本に並々ならない関心を抱いていることを示している。藤本氏が横田めぐみさんを返したら日朝関係はうまくいきますって言ったら、うんうんって頷いていたらしいじゃない。彼には十分柔軟性があると見たね。
     
 カダフィのときだって、国際社会に復帰してからイタリアから植民地支配の謝罪と賠償を引き出しているんだ。
 熊さん:へえ、そうなんですか。
 ご隠居:金正恩くんがバカじゃないことに期待しようじゃないか。
  

エッセイ(159)アベノミックスはうまくいくか?

2013-05-04 04:20:35 | エッセイ
道路わきに花が咲き、薫風がそよぐ。

 
 
 
 こんな日に麻雀か?
 相手はいずれもわが先輩。75歳以上で最高齢82歳。
 勝ったものの奢りで、すしを食い、議論を戦わす。
「負けても病気になるよりよっぽどいいよ。勝っても負けても機械(自動麻雀卓)の所為だから恨みっこなしだ」
 
「あんなもの、一時的でしょう!」
 議論の開口一番、アベノミックスが話題となった。
 
 だいたい常識的穏健派、現状追従型のわが仲間から意外な発言。
 今人気のアベノミックスを、あんなもの! とひと言で切り捨てたのだ。
「確かにそうかも・・・」ともうひとりが同調した。

 急激に円安となり、株が上がり、ボーナス満額回答、世界の評価もおおむね悪くない。このゴールデンウイークの出だしも好調のようで、観光業界、小売業界も笑顔だ。
 長年続いたデフレから脱却できそうだ。

 しかし、アベノミックスが描く、円安から株高、企業の収益が上がり賃金に波及、経済は好景気になるという好循環となるのか。
「売上アップでもコストアップで、簡単に賃金は上がらないよ」
 確かに<大胆な金融政策>の第一の矢は放たれたが、第二の<機動的な財政政策>、第三の<民間投資を喚起する成長戦略>と結びついていく道筋が見えない。

「問題は年寄りのタンス預金を引き出す方法だな」
「金持ちはなかなか投資や消費に回さないで、せいぜい株などのマネゲームに回るだけだよ」
「年寄りだけがいい思いをして、若者はどうしたらいいんですか! って文句いわれたよ」
 年寄りは年金でのうのうと暮らしてゆとりがあるけど、若者の将来はどうなるのか? 
 積み重なる財政赤字で年金なんかもらえないんじゃないか、というわけだ。
「若者に言ってやれ! 甘ったれるな! 我々だって、祖国を廃土にしたバカな先輩を引き継いで頑張ってきたんだ! 自分たちで考えろ!って」

「年寄りの年金を減らせばいいじゃないか!」
 ひとりの幸せな仲間が、また意外な意見を出した。
「どうやって減らすの?」
「そんなこと出来っこないよ!」
 有権者に色目を使っている今の政治家にそんな結論が言えるわけがない! というわけだ。
 若者より年寄りの有権者の方がはるかに多い。投票率も高い。
 年金なんかいらないなんて奇特な年寄りはそんなにいるわけがない。
 年寄りの大ブーイングで政治家の腰は引けちゃうだろう。

「昔、貧乏人は麦を食え! って言った政治家がいたよね。国家大計を考える政治家はそのくらい言えなきゃ!」
「票を怖れないで国民にそのくらい恫喝のできる肝の据わった政治家は今いないね」
「フランス人に言わすと、日本にはエリートを育てる教育がないって言うんだ。つまり自らの命をかけて政治をするというエリートがいない。みんなあたりさわりのないポピュリストばかりだ」

「問題は印刷機で刷ればいくらでも出来るマネーで動かされている現在の世界経済だよ。日本だけじゃなくて、アメリカだって、EUだって財政赤字先送りで、解決の目途が立たないまま先送りじゃないか」
「マネーの投機的な動きに左右されて、まっとうな経済学で制御できないのが現状だよ」
「原発だって、核廃棄物の処理に目途が立たないまま先送りだし・・・」

 「勝つと花を買っていく花好きの先輩、今でも家庭菜園に精出す大先輩のように自然とともに生きるのがこれからの我々の生き方かも・・・」

 今さえよければいい、便利快適を求めて我欲に走る人類の姿勢は今や岐路に立たされている。人類は自然の中で生きるしかないことを、この際あらためて自覚して生き方を考えるときにきているんじゃなかろうか、という命題のもとに書いているファンタジー<レロレロ姫の警告>を思い起こしながら、ぼくは締めた。