昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(207)政治(1)

2011-06-30 04:51:36 | なるほどと思う日々
 日本の政治は、大震災、原発事故という未曾有の非常時においても、本来やるべきこと<政策>を放置して政局に終始しているかのようにみえる。
 すでに辞任することを宣言した政治の長について、「いや、辞めないでいつまでも居座るつもりかもしれないよ」とか「脱原発解散に打って出るかも」とか、政策のことよりそっちの方が、あたかも国民の最関心事であるかのように、マスコミも政治家と一緒になって、いつまでも云々している。

 これは日本の政治特有のものか、あるいは<政治>という営みをめぐる争う人間の本性なのか?

 今、渡邊恒雄氏の回顧録を読んでいるが、その辺が生々しく語られて興味深い。
 
 渡辺恒雄、85歳にして読売新聞グループ本社代表取締役会長、最近では民主党と自民党の大連立を画策して今なおジャーナリスト界で存在感を示している。
 彼の回顧録の中からエピソードをピックアップして<日本の政治>の底流に淀む本質を探ってみたい。
 「大野伴睦との親密な関係」
 (大野は政友会の院外団員から代議士となった。自民党、自由民主党の党人派幹部。
  地元岐阜県に新幹線の羽島駅を作らせたことでも有名である)

「番記者になってすぐ、ある日他社の先輩記者たちといっしょにいたとき、大野伴睦が重大な話をしたんだ。非常に微妙な話だ。これはオフレコだと言われて、デスクにオフレコですがと言って電話をかけたんだが、翌日の読売新聞にその内容が全部出ちゃたんだ」
 彼は当時駆け出しだったから事態の重大性に気づいていなかった。
 
 「それで何もなかったかのようにその日大野邸に行ったんだ。そしたら大野伴睦が『今朝の新聞は何だ、お前が書いたんだろう』と言うわけだ。『いや、僕が書いたんじゃありません』『いや、昨日お前はいたじゃないか。読売にはおまえにしかしゃべってないんだ。出て行けぇ!』と追い出されちゃった。それでキャップに報告したんだ。そうしたら『ああいいよ。大野番からかえるから』と言う。これまたひどいなと思った。それで一晩考えたんだ。こんなことで番記者をクルクル替わっていてはだめだ。

 それで翌朝一番で誰も来ないうちに彼は大野邸に出かけた。
「すると大野伴睦が出て、『なんだ、また貴様か』と言う。僕は『昨日は申し訳ありませんでした。私は書かなかったと申しましたが、あれは私が書きました。しかし二度とオフレコを破ることはいたしません。そのお詫びだけにまいりました。では、失礼します』とだけ言って帰ろうとしたんです。そしたら、『おいおい、きみちょっとお茶でも飲んでいけ』と言うんだね。
 その後、さらに大野伴睦の秘書が渡邊が書いたんじゃないと経緯を語ってくれたので、伴睦は「おれは渡邊に負けた」と言ったという。
 それからは毎日「渡邊、渡邊」だったそうだ。

 <義>に感じる関係が築けたんだ。
「大野伴睦という人は、荒っぽい院外団あがりなんだけど、どんな人間でもお客として来ると、玄関に送りに出て靴の向きを変えるんだ」
 渡邊もこの礼儀をまね、下足を直し、秘書の代わりみたいなこともやって実力者政治家の懐に入っていった。
 
 

エッセイ(78)世界遺産登録

2011-06-29 05:32:41 | 昭和のマロの考察
 <小笠原諸島>と<平泉文化遺産>が大震災で苦難のこの時期に期を一にして世界遺産に登録された。
 
 明るい話題として、現地のみならず日本全体が沸き立っている。
 特に震災地東北地区では、落ち込んでいた観光事業再生のきっかけになるのではと期待されている。
 
 しかし、世界遺産<プレアビヒア寺院>周辺の国境未画定地域の領有をめぐってカンボジアと対立するタイ政府は25日、世界遺産条約からの脱退を決めるという事件が起っている。

 世界遺産の指定を受けた現地では、観光地としてのお墨付きを得たかのように受け止めているが、それにより保護を第一優先にする世界遺産の趣旨が損なわれているという現実もある。
 <白川郷>のように過疎の村は観光地となり、土産物屋街に変貌してしまった。
 
 またイタリアのように世界遺産を多数抱えるところでは、保護予算が追い付かず、 ポンペイのように遺跡が崩れ落ちる危険性があるため禁止地域を設けなければならないところも増えている。
 もう5~6年前になるが、イタリアの保護地区の住民は、重い水を階段で運んだり、冷房もない昔の生活を強いられているという実態も見た。

 世界遺産に指定された地域の人たちが潤うとともに、みんなの大切な遺産として保護されることを願うものである。

有名人(46)男の魅力(15)佐野忠信

2011-06-28 05:36:34 | 男の魅力
 
 <佐野忠信> 正直知らなかったわけではないが、これまで印象に薄い俳優だった。
 しかし、めったにインタビュー番組に登場しない彼をNHKの<あさイチ>で見て、通り一遍ではない、なかなか魅力的な男だと印象に残った。
 そして昨日の朝日新聞<この人とこんな話>の彼の言葉で裏づけられた。

「自分と辻褄の合う日はくる。焦らず、投げず、進むこと」

 彼はバンド活動やファッションが大好きな少年だった。中学生でテレビドラマデビュー。しかし、タレントのマネジャーだった父親と生き方に食い違いを感じていた。
「若いうちはやっぱり、本当に自分が何を求めているかが分からないのですね」
 そして、緒方拳に巡り合う。緒方は父親にこう言ってくれた。
「この子は時間がかかるんだ、焦るな」と。
 それは父親に届いたと同時に彼の心も救った。

「お前ならこれができると言われると、すぐに期待に応えなきゃと焦る(笑)。でも本当にそれをやりたいか。自分の気持ちは自分で優しく守ってあげないと見失う。その上で自分を信じてくれる人の思いに耳を傾け、ジグザグでも歩いてみる。いつか、現実と気持ちの辻褄が合う日はやってきますよ」

 彼はクリス・ヘムズワース、ナタリー・ポートマン、アンソニー・ポプキンスなどアカデミー賞受賞者たちと共演、来月日本でも公開されるアメリカ映画の超大作<マイティ・ソー>でハリウッドデビューを勝ち取った。
 
 必死で仕事をしてきて、今、俳優でよかったと言えるそうだ。
 ハリウッドの撮影現場でも自分の考え方を主張できたと彼は語っている。

 

なるほど!と思う日々(206)芸術(7)

2011-06-27 05:21:04 | なるほどと思う日々
先日の<NHK・日曜美術館>で、娘を交通事故で亡くしたご両親からの依頼で、亡き娘の肖像画に取り組む<諏訪敦>を取り上げていた。
 初めて耳にする名前の画家だ。
 番組の解説によれば、結婚も決まり結納を済ませて10日後、海外旅行で交通事故に遭い、亡くなった娘さんを蘇らせてほしいというご両親の依頼に応えるため、諏訪はわずかな手がかりから、さまざまな取材、手法を駆使し、彼女の特徴を探っていく。
 そして、単なる写実的な表現ではなく、ご両親の生前快活だった娘さんに対する思いをいかに表現するかに苦慮する画家の姿を追っていく。

 彼は、独自の写実表現で注目される新進気鋭の画家だ。特に、舞踏家大野一雄を1年にわたり取材連作したものに彼の特質が表れている。徹底した取材を重ねて対象となる人物と向き合い、人間の内面に迫ろうとする
 

 
 昔スペインで見たディエゴ・ベラスケスの<女官たち>を思い出した。
 依頼主の思いをいかに表現するか、単なる写実主義でない現代の<宮廷画家>を諏訪に擬えてみた。 
 特にその繊細なタッチで放たれる光り輝く手法は彼独自のものだ。

 人物像ばかりでなく、<NIRVAN(涅槃)>と題された東京タワーの倒壊を描いたものにも心をうたれるものがある。特にこの絵は現物で見てはじめて真に訴えるものがあるのかもしれない。
 


 7月16日まで千代田区の成山画廊で彼の絵が展示されているそうだ。
 現物でぜひ見てみたい。

金沢便り(29)山代温泉・加賀温泉郷

2011-06-25 05:31:32 | 金沢便り
 <金沢の山ちゃん>から<山代温泉>のフォト便りがありました。
 
 *千三百年以上前の神亀二年(725年)に行基という名の高僧が霊峰白山へ修行に向かう途中、一匹の烏が羽の傷を癒している水たまりを見つけたのが、山代温泉として今に受け継がれている。
 古事記や日本書紀にも登場する伝説の三本足の霊長「ヤタガラス」も山代温泉の伝説として伝わっている。
 最近では「古総湯:が復元され、明治期当時の入浴体験が再現されている。
 (シャンプー、石鹸使用不可。カラン、シャワー設備がない)
 
 *山代温泉鎮守として、温泉街の中心部に服部(はとり)神社がある。
 弥生中期の遺跡から木製織機が出土され、古くから機織り、裁縫が盛んだったことから機織りの祖神「天羽槌雄神(あめのはづちのかみ)」をお祀りしたものと思われます。
 一向一揆で消失後、明治になってから「菊理媛神(くくりひめかみ)」と合祀され、本殿の屋根を見ると「千木(ちぎ)」は外削、「鰹木(かつおぎ)」は四本(偶数)と男神と女神を祀ってあると覗われる。
 
 <服部神社の境内>
  <一向一揆太鼓> 
 
 山代の古総湯は昨年の10月3日に開業したそうだ。浴室の窓にはステンドグラス、壁や床には当時使用されていた九谷焼のタイル、建物は総ヒノキ造りという和洋折衷の構造になってる。
 古来親しまれた<加賀温泉郷>もこのところの観光客低迷で、各地でこういった<総湯>の建築が相次いでいるという。北陸新幹線の開業を控え、各温泉郷の思惑が交錯する。
 <山中温泉>
 <片山津温泉>
 <粟津温泉>
 


 

三鷹通信(41)何でも書いてみよう

2011-06-24 05:30:51 | 三鷹通信
  「1小スマイルクラブ・作家養成教室?!
          いろいろなものをかいてみよう」

 そんな呼びかけに応じて1年生から5年生まで68名もの生徒(内10名は保護者)が集まった。
 一部屋に入りきらない数だ。急きょ2教室を使って対応することになった。
 早く授業が終わる一年生組(20名)と、2~5年生組(48名)に分けて時間差をもうけて行った。
 最初、1年生。まだ小学生になりたてで、小さくて可愛くてぴちぴちしている。
 こんなこどもたちがもう何か書きたがっているんだ。

「漫画家になりたいひと?」とH先生が聞くと、7割が手を挙げる。 
 予想した通りだ。前学期の「童話を書いてみよう」にマンガを加えたらこんなに集まった。

 先生は先ず、みんなに「犬と猫と自分の顔を書いてみよう」と提案。
「姿勢をよくして、消しゴムを使わないで、さっと大きく描く。自分の名前と日づけも忘れないように」と書くことの基本を教える。

「なかなか個性的な楽しい絵が描けたね。みんなと違っても、思い通りに書くことが大切なんだ。大事に取っておこう。一年経って見たら自分の成長ぶりがわかるよ」

 続いて「自分のももたろうを絵と一緒にお話もかいてみよう」
 それぞれ思い思いのももたろうが披露された。中には羽の生えたももたろうもいる。
「さざえさんとかドラエモンとか知ってるよね」と先生。
 みんな知っているが作者の名前は知らない。
「主人公が有名になると、作者の家族は主人公に食べさせてもらえるんだ。キミたちも自分の主人公を作り出してみよう」
 こんな小さな一年生が・・・ふーん、そんなものか・・・なんて顔をしている。

 まだ時間が余っているが、後はPTA会長のKさんにお任せして他の教室で待っている2~5年生組にH先生は移動する。
 
 いやあ、すごいね。50人近い子どもたち(保護者7人ぐらい)で満杯だ。
「みんな、人間が他の動物と違うところは何だと思う?」
 H先生は少しむずかしい質問をした。
「二足歩行」「頭でいろいろと考える」などいろいろ出たが、先生は「一番違うのは<夢>を描くことじゃないかな」と言う。
「みんなも何になりたいかいろいろと夢を描いてみよう」と提案。
「お花屋さん」「ケーキ屋さん」「動物の飼育員」「漫画家」などの定番から「デザイナー」「歯医者さん」「新聞記者」など、歯医者さんになりたい子はその理由としてお金持ちになれるからなんて現実的なものもあった。
 極めつけは「海になりたい」「ライオンになりたい」で、理由は敵に食べられない、嫌いな人を食べてくれるからなんて、何ともぞーとする回答もあった。

「ももたろうのような、みんなの知っている物語を自分なりに書き換えてみよう」という提案には、なかなかまとまらなかったり、発表を恥ずかしがって渋ったり、私語が多くなってざわついてきた。
 H先生はPTAのサポートをされている方に、先生の書いた紙芝居を読んでもらった。
 プロのような読み上手にみんな集中、いっぺんにシーンと静かになった。
「現代っ子にこんな一面があるんだ!」H先生はすっかり感心している。

 そこから流れが変わった。みんなの制作がはかどり、最初のうち恥ずかしがっていた子どもたちも終了間際になって、発表したい子どもたちが行列をつくり、所定の時間を超過してしまった。

 みんな描きたくて、書きたくて、他の人に自分の思いを表現したい子どもたちが、こんなにたくさんいるとは思わなかった。

 こうした放課後の活動を「一小スマイルクラブ」と名づけて、いろいろ子どもたちの「安全・安心な居場所づくり」と「子どもたちの活性化」を地域の退職したシニアの助けも得て行っている。
 昨年度、サッカー、生け花、囲碁など14クラブ、累計参加者は15,000人を超えたという。

 三鷹市では平成17年度から15校の全小学校で放課後や土・日にこうした「地域子どもクラブ」を全国に先駆けて実施している。






 
 
 
 

 

なるほど!と思う日々(205)日本人(40)

2011-06-23 04:20:19 | なるほどと思う日々
 菅首相の<決然続投スケジュール>
 
 「現実も見て、先を見すえて、直線的でなくても迂回コースを選んで確実に山頂の旗を目指します」と自らの官邸ブログで菅首相は決意を述べている。

 <迂回コース>とは、停止中の原発も再起動せざるを得ないということのようだ。
 <目指す旗>とは何か?
「過去30年の思いを込めた<再生可能な自然エネルギー>を促進する」
 

 つまり<量子型太陽電池>や<リチウム空気電池>など、世界を凌駕する我が国の革新技術に期待しようというのだ。
 この旗を打ち立てない限り政権の座を降りるわけにはいかないと言っている。

 一方、「再生エネルギーなんて、先の先のことだ、何言ってるんだ!」という平田参院幹事長のように身内からも公然と首相批判が飛び出す。
 一応、岡田幹事長ら党幹部との間では①第2次補正予算と特例公債法を成立させる②再生エネ法を採決する③第3次補正は新体制が担当するという内容で了解したようだが・・・。
 
 菅さんはというと、「不信任案を大差で否決したんだし」と意気軒高で、場合によっては、<脱原発解散も>と超強気だ。

 が、マスコミの論調を見聞きする限り、永田町は<菅首相早期退陣>の大合唱であり、マスコミが取り上げる評論家等々のコメンテーターもこれに異を唱える者はいない。
 したがって街の声もこの風潮を是としているということだろう。 
 だから菅さんもうかつに解散まではもっていけない。
「菅の顔を見たくないなら再生エネ法を!」とご本人が言っておられるから、そこまで粘ればご退陣の潮時と悟るだろう。

 そして、歴史的評価は「日本の回転ドア首相交代システムの中では、安倍さん、福田さん、麻生さんに比べればよく粘ったということになる。

 これがマスコミも一緒になって作り上げた<日本の民主主義政治>の実態であり、特にお隣の<全体主義国家中国>が「あんな政治に緊急時の対応なんかできるわけがない」とバカにされていることに、菅さんのことより何より先に思いを致さねばならない。

エッセイ(77)文明の進化路線に逆らえるか(13)

2011-06-19 05:53:08 | エッセイ
「<釜石の奇跡>、<みのもんたの朝の番組で紹介された保育所>いずれの3原則の中でも、一番大切なのは、緊急時にはあまり他人のことを考えず、早く逃げることが大切ということになります」と医師は述べている。
 そして続ける。
「これは動物の本能で、あまり難しく考えることはないでしょう。皮肉にも人間は教育によって他人への思いやりが優先するようになり、<生存>という意味からは不利になったようです。他人への思いやりの多くは<本能>とは考えにくいのです」

 ・・・なるほど! 緊急時には人間にも「生きなければ!」という動物の本能が働くのだ。・・・

 そして医師は人類の<文明>そして<生存>へと言及する。
「ふと恐竜時代のことが頭に浮かびました。2億年~3億年といわれる恐竜の時代が続いたことは驚異ともいえますが、人類は文明、文化の発達、とくに科学の発達によって<生存>が有利になり、将来恐竜時代を超えることができるでしょうか。否、恐竜とおなじように長期に存続することは期待できないと多くの学者は考えています。動物を含めた個々の生物の時代が永く続くためには、本能にまかせ自然淘汰されることがむしろ生き残りには一番大切である、が多くの意見です」

 

・・・となると、人間の本能とは何なのだろう。やはり、他の動物と同じで<力の論理>に従わざるを得ないのだろうか。人間はその叡知によって<自然>をも支配できるとも思われているが。・・・


「しかし、最近分かったことでは、メキシコの火山の爆発が恐竜時代の終焉に大きく関与していたことなど、些細な天災が生物の存在には大きく関与することがあり、これはもう<運>としかいいようがありません」と<自然>をコントロールするなんて不可能ですと医師は結論づけている。もう<運>に任せるしかない、と。
 
 そしてなんと、「最近私の友人、周りの方で亡くなっている方はみんな<がん>で、皮肉にもほとんど健診をこまめに受けている方々です。人それぞれの寿命も<運>が大きく作用して、医療ははたして延命にどれほど貢献しているのかと疑いたくなるこの頃です」なんておっしゃっている。

 ・・・でも、医学の進歩によて確実に人間の寿命は伸びていますよ、先生!・・・

 この大震災、原発事故はその実績をも打ち砕いて、人間に無力さを感じさせ、意気消沈させるものだったのだろうか。・・・

 今、放射能汚染が深刻に受け止められている。一方その何倍もの放射能物質を浴びながらも宇宙開発に人類の延命のための活路を求めて必死にチャレンジしている宇宙学者がいる。
 <原発廃止>論者のように<文明進歩路線>に逆らおうという動きもある。
 

 人類の進むべき道を明快に示す<科学>は現れるのか。
 それともやはり人類も現世を動物的に着実に生き、<運>に身を委ねるしかないのだろうか。 

 

エッセイ(76)文明の進化路線に逆らえるのか(12)

2011-06-18 05:31:28 | エッセイ
<釜石の奇跡>
 背後を気にしながら高台を目指す子供たち。小学生は中学生に手を引かれているこれは東日本大震災の大津波から避難する鵜住居小学校(361人)、釜石東中学校(222人)の避難の様子を住民が撮影した貴重な写真だ。釜石市内の児童・生徒はほぼ全員が無事逃げ延びた。
 (産経ニュースより)


 地元の整形外科医によれば、釜石市が平成17年から専門家(群大・大岡先生)と相談して防災教育に年間5~10時間さいて、避難三原則を徹底させたことが成功した。
 その(1)想定にとらわれるな
 その(2)最善をつくせ
 その(3)率先して避難せよ
 鵜住居小は海岸から約1KM,地震直後、小学生は校舎3階に自動集合(地震で校舎に被害がなかったのと、浸水想定区域外だったので)、その頃隣接の釜石東中では生徒は校庭に駆けだした。停電のため校内放送はなかったが、これを見た小学生たちは、日ごろ同中との合同訓練を思い出して、自らの判断で校庭に駆けだした。その後600人が一緒に高台のグループホームに避難、その直後裏山の崖崩れに気づき、さらに500M後方の介護施設に避難した。避難した約30秒後にグループホームは津波にのまれた。



 最後の介護施設の100M前で津波は止まった。
 すべての行動は10分足らずの出来事だった。

 一方、河口から4KMに存在する石巻市立大川小では、児童108名死亡・行方不明74名の参事。明暗を分けたのは<教育>だった。
「私が感心したのは、やはり最初の<想定にとらわれるな>です。緊急時にはむしろマニュアルは邪魔する場合もあります」と同医師は述べている。

 <保育所の3つの信念>
 5/11テレビ<みのもんたの朝の番組>で津波被害にあいながら、一人の犠牲者も出さなかった2つの保育所の取材が放映され、ここでは<三つの信念>が子どもたちを救ったと報道されました。

 その(1)早く逃げる
 その(2)避難場所やルートは自ら考える
 その(3)地震発生で津波がなくても逃げる
 実は、岩手県、宮城県、福島県の1045か所の保育園では犠牲者はゼロでした。
 上記の<3つの信念>は、釜石の<避難3原則>とよく似ています。

 この事実に関連して、知人の医師からコメントをいただきました。
 これが<人類の文明論>ともかかわる、なかなか興味深いものなので明日紹介させていただきます。

 ─続く─

エッセイ(75)菅首相の笑顔

2011-06-17 05:48:04 | エッセイ
このところの<菅降ろし>で苦虫を噛み潰したような顔だった菅首相がめずらしく軽口も飛び出す超ご機嫌の笑顔を見せた。
 15日、再生可能エネルギーの促進を目指す市民や超党派の議員らの集会で、孫正義ソフトバンク会長の「粘り腰でこの法案を通してほしい」という激励に応えた。
 「菅の顔だけはもう見たくないという人が結構いる。本当に見たくないんですか、本当に見たくないんですか? 本当に見たくないなら、早くこの法案を通した方がいい」
 
 <ダメ菅><スッカラ菅>と揶揄され、しょぼんとしていた菅さんがなんで急にこんな様変わりを見せたのだろう。
 新聞でも「すっごい粘っている!」と驚きの記事。


 背景には奥さんの伸子さんの心強い叱咤激励があったのだ。
 「出来うることをやって玉砕はいいが、支持率が悪いからと批判されて辞めることはあってほしくない」
「切腹はよくない」
「<なりゆきに任せて決然と生きる>これが菅家の家訓です」
 
 やっぱし政治は女が動かす?