昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(255)銀行と総会屋の関わり方

2013-09-29 05:21:54 | なるほどと思う日々
 昨日の朝日新聞朝刊の第一面トップ記事。
 
 う~ん、まだ残っていたか?
 今から20年以上も前、総会屋と銀行の関係が表ざたにされ、ニュースをにぎわしていた当時を思い出した。

 住友銀行の本部役員のひとりが口を滑らせて、小谷(仕手集団<光進>代表)に対して不用意なことを喋ってしまった。
「問題を起した不動産業者と小谷と、どちらに引っかかるのも同じことだ」というような意味のことを西(住友銀行副頭取)が言ったと、小谷に漏らしてしまったのだ。
 このころ、86年1月、銀座支店の副支店長に栄転していた山下の机上の電話が鳴った。
 相手は小谷だった。
「この言葉は本当か。・・・もしこの言葉が事実だとしたら、俺はどんな手段を使ってでも、西副頭取と磯田会長を一緒に串刺しにしてやるつもりだ」
 耳に入ってくる小谷の語調はかなり強いものだった。・・・
 小谷は大阪時代にさかのぼるかなり前から取引関係のあった住友銀行に愛着を持っており、訴訟を起こされた今回の取引にしても、小谷側が泥をかぶった部分が少なからずあった。
 さらに、小谷と同等とされた不動産業者は経営危機に陥っている上に、世間的な信用も芳しいものではなかった。
 このため、西の発言として不用意に伝えられてしまった(どちらに引っかかっても・・)という言葉は、小谷の<誇り>を著しく傷つけるものと言えた。
 
「この人は本当にやりかねない」
 こう感じた山下は有力役員の西には直接いいにくかったのか、上野支店時代の顧客だった宝飾店主に連絡した。
 この店主は大蔵省の官僚と太いパイプを持っていたが、西とも親しかった。この宝飾店主なら西にも直言できるにちがいないと、山下は考えた。
 宝飾店主は、山下の依頼をすぐに引き受け、西と小谷の和解の場をセットした。・・・
 会食は極めてなごやかに進み、今後も円滑な取引を続けていこうという話になった。
 きっかけは不用意なものではあったが、この会食は、西と小谷が関係を深める第一の場となった。(佐藤章・金融破壊より)


 東京国体開幕セレモニーが昨日調布の味スタで行われた。
 
 地元三鷹市の大沢総合グランドでも、今日からサッカー、ソフトボール、アーチェリーなどが始まる。

  
 

なるほど!と思う日々(254)あまちゃんに見る肯定の思想

2013-09-26 03:47:02 | なるほどと思う日々
 ドドスカ、ドドスカ、ピー、ピー、ピーというおなじみの音楽で始まる、全国民を魅了してきた朝ドラ<あまちゃん>がクランクアップして、最終週を迎えた。
 
 朝ドラにはめずらしい、クドカン流ドタバタ劇はどういう結末を見せるのだろう? と興味津々だった。
 東京へ東京へとなびいた人たちも、結局大震災を契機に地元へ戻ってきたようだ。

 昨日の場面。
 影武者春子のおかげで大スターになった鈴鹿ひろ美が、その屈辱を晴らすべく、春子の地元の海女カフェで自分の声で潮騒のメモリーを歌うと言いだした。
 オンチの彼女も春子の大特訓で、10回に1回たまには音程が定まるようになった。
 周囲は不安いっぱいの中、本人はそんなこと自覚していない。
「歌詞の<三途の川>というのが気になるのよね、何か代わりにいいフレーズがないかしら?」とそっちの方が気になるようだ。 
 

 いよいよ本番! 周囲の不安をよそに本人は堂々と歌い始める。
 
「さすがね、プロの歌だわ・・・」
 (予想通り薬師丸ひろ子の声だ!)
 地元のひとたちは目を輝かす。
 夏ばっぱも、指導した春子も、アキも思わず笑顔になる。
   
「三代につながる、親譲りのマーメード!」 
 いやあ、すばらしいまとめだ。さすがクドカン!

 先日、朝日新聞に載った<日常が輝くクドカン流>という記事を思い出した。
 「現実に無駄なことないと伝えている。現実の肯定が人の心に刺さるのだ。・・・
 肯定とは現実におのずと変革を促す力。いろいろ失敗し、あれやこれや気に病む登場人物はアキに出会い違う見方をするようになる。悲劇だと思っていたものが喜劇やユーモアに見えてくる。・・・うまくいかない原因と見捨ててきたものが自分の資源だと気づく過程を描いているのではないか」
 <現実の肯定>か、ぼく自身考えさせられた言葉だ。

 夏の花、百日紅。
 
 都内でこんなにまとまった百日紅を見るのはめずらしい、とある人に言われた。
 既に夏は終わったのに、雨にも台風にもめげず今も咲き続ける。

 
 

なるほど!と思う日々(253)日本三分割の危機(2)

2013-09-24 04:16:00 | なるほどと思う日々
 
 事故後、福島第一原発を訪ねた吉田所長の高校時代の同級生が語っている。
「吉田は、僕から見ると高校時代から硬派ですからね。印象としては、ちょっと怖い感じだったですよ。・・・役員会議なんかでずけずけ本音でものを言うということは耳に入っていました。・・・吉田は免震重要棟にいて、迎えてくれましたよ。テレビ会議用のスクリーンがあるところに、なでしこジャパンのユニフォームが置いてあったのが印象的です。ワールドカップで優勝した鮫島彩選手のものです。
 
 吉田は、”これは、俺たちの守り神やねん”と嬉しそうに説明してくれました。TEPUCOマリーゼが福島にあったから、サッカー選手とは、親しかったみたいでね。北京オリンピックの時も、ちょうどなでしこジャパンの試合があった時に、私、都内で吉田と会っていたんですよ。その時に、二次会行こうかって言ったら、”今日はこれからサッカーの試合を見なあかんから、申し訳ないけど、俺、先に帰る”と帰って行きました。吉田は女子サッカーには相当、力が入っていましたよ。事故後あったワールドカップでなでしこジャパンが優勝したことに、随分、勇気をもらったんじゃないでしょうか」

 分かるな・・・。猛者にもこんな愛すべき一面があったのだ。

 吉田は、事故から8か月後、突然、食道癌の宣告を受けた。凄まじいストレスの中で闘ってきた吉田の身体は、いつの間にか癌細胞に蝕まれていたのである。・・・
 それは、生と死の狭間で踏ん張った吉田に、あまりに過酷な運命だった。さらに詳しい検査のために入院した吉田は、福島第一原発の所長を、後任の高橋毅に譲った。
 吉田が福島第一原発に戻り、闘いの日々を過ごした免震重要棟の緊対室で、全員に対して挨拶をすることができたのは、2011年12月初めのことである。
「・・・こういう状態でここを去るのは非常に心苦しいし、断腸の思いです。・・・まだまだ困難なことがつづくでしょうが、皆さんにはそれをどうか乗り切って欲しいと思います。福島県の人だけでなく、日本中の人たちが皆さんに期待しています。・・・私も必ずここに戻ってきたいと思います」
 それは吉田の万感をこめた挨拶だった。吉田が話し終ると、緊対室に万雷の拍手が巻き起こった。・・・

 長時間に及んだ取材の中で、最も私の心に残ったのは、吉田が、想定していた<最悪の事態>について語ったことだった。・・・
「格納容器が爆発すると、放射能が飛散し、放射線レベルが近づけないものになってしまうんです。・・・福島第二原発にも近づけなくなりますから、全部でどれだけの炉心が溶けるかという最大を考えれば、第一と第二で計10基の原子炉がやられますから、単純に考えても、”チェルノブイリX10"という数字が出ます。その事態を考えながら、あの中で対応していました。だからこそ、現場の部下たちの凄さを思うんです。それを防ぐために、最後まで部下たちが突入を繰り返してくれたこと、そして、命を顧みずに駆けつけてくれた自衛隊をはじめ、たくさんの人たたちの勇気を称えたいんです・・・」

 私が斑目春樹原子力安全委員長に吉田のこの話を伝えると、斑目は、こう語った。
 
「・・・私は吉田さんの言う想定よりも、もっと大きくなった可能性があると思います。近くには茨城の東海原子力発電所もありますからね。福島第一が制御できなくなれば、福島第二だけでなく、茨城の東海第二発電所もアウトになったでしょう。そうなれば日本は”三分割”されていたかもしれません。汚染されて住めなくなった地域と、それ以外の・・・」
 
 そういえば、事故が発生したとき、在京の海外大使館の中で、避難命令が出て大阪に大使館を移動させたという例が多くあった。 
 こういった可能性のある原発を人類は今なお世界中に多数抱えている。
 廃炉するにも課題は多い。
 人類はそれでもなお、自らの叡知を信じ前へ進む。
 悪魔のエネルギーといえどもコントロールできると信じている。
 自然界からみればそういう人類の営みはどう見えるのか?
 ぼくはそのことを<レロレロ姫と三島くん>という小説で世に問いたいと思っている。
 

なるほど!と思う日々(252)日本三分割の危機(1)

2013-09-23 04:58:10 | なるほどと思う日々
 福島原発事故は大変な事故だった。
 現象的な面で見れば、今もって汚染水の問題で安倍首相はコントロールの下にあると言ったが、必ずしもまだまだ安心のできる状況ではないようだ。
 さらに、核汚染物質の処理については目途さへ立っていない。
 今、門田隆将氏の「死の淵を見た男」を読み返しながら、技術的な問題はともかく、大事故の処理に立ち向かった人たちの人間模様に痛く惹きつけられた。

 菅は、のちに「現場を混乱させた」として、この訪問について厳しい非難を受けた。事故から1年7か月経過した2012年10月、菅は筆者にこう語った。
「東電はあの時、窓口として武黒氏(東京電力の武黒一郎フェロー)を官邸に送ってきていた。武黒氏は東電の副社長原子力・立地本部長まで務めた原子力の専門家、プロでしょう。だから来ている。当然、こちらは、原発の状況についていろいろ聞く。しかし、彼は説明が出来ないんですよ。一方で、ある段階で、このままいくと格納容器の圧力が上昇して爆発する危険がある、そのためにベントをおこないたい、そう説明し、了承を求めてきた。・・・
しかし、自らベントをやると言っているのに、それが進まない。その理由を聞いても答えられない。それは彼自身が情報を伝えられていなくて、情報そのものがないんだ。・・・
”おい、どうなってる”っていうのは当たり前じゃないの。だから、(現地で)武藤氏に会った時に、直接どうなってんだ?って聞いたわけなんです。だからごく自然なんですよ、私からすると」
 

 というわけで、急遽菅首相はヘリコプターで現地に向かった。
 到着する前により詳しいことを聞きたいからということで、原子力安全委員会の斑目春樹が同行を要請された。

 「まず一番問題なのは、崩壊熱であって・・・そこから話そうとしたんです。・・・でも、そんなことはわかっているという感じで、”俺の質問にだけ答えてくれ”とピシャッと言われました」・・・そして菅の質問が始まった。・・・斑目は答えながら、菅が原子力の知識をある程度、持っていることを感じた。 

 現地では武藤栄東電副社長たちが出迎えた。
 

「東京電力の武藤でございます。ご苦労様でございます」
 そう挨拶した武藤に、菅は、いきなり声を上げた。
「なんでベントをやらないんだ!」
「えっ?」
 驚いたのは、武藤だけではない。挨拶もないまま、いきなり菅が声を上げたことで、周囲の人間が仰天したのだ。菅は激昂していた。やっと怒りをぶつける対象が「目の前に現れた」ということだった。・・・武藤は、こう回想する。
「いきなり、なんでベントをやらないんだとおっしゃって、あとは、なんで早くやらないんだ、いつになったらできるんだ、という繰り返しでした。何が問題なんだ、ということばかりおっしゃっていたように記憶しています。聞くという感じではなく、おまえら何やってるんだって怒鳴りつける感じでした」・・・
 同席していた斑目は、こんな印象を持った。
「最初、菅さんに聞かれていた武藤さんが一生懸命、話そうとしたんですが、”そんなこと聞きにきたんじゃない!”と、菅さんが怒ったんです。そのあとを(部屋に入ってきた)吉田さんが引き取ったと思うんですよ。それから、菅さんと吉田さんとのやりとりになったと思います。菅さんは吉田さんの言うことは、きちんと聞いていましたね」
 菅は、武藤に何度もぶつけた同じ質問を吉田に発した。
「ベントはどうなってるんだ」吉田が答える。
「ずっとチャレンジをしています。しかし、電源がないため電動弁があかないもんですから、大変難しい状態がつづいています、バブルを手であけるべく、現場ではいま作業をおこなっております」・・・
「とにかく早くベントをしてくれ」・・・
「もちろん、努力しております。決死隊をつくってやっておりますので」
 吉田がそう語ると、菅はやっと落ち着いたようだ。


 ─続く─
 

なるほど!と思う日々(251)零戦から見えてくるもの

2013-09-20 04:58:32 | なるほどと思う日々
 酷暑がようやく過ぎて秋らしくなった昨日、2か月ぶりでFサロンが開かれた。 
 取り上げられたテーマは、最近宮崎駿監督の「風立ちぬ」でブームになっている天才、堀越二郎氏設計の<零戦>である。
 

 <零戦>が開発要請されたのは昭和10年、時代背景としては日本の<過剰防衛思考>があった。
 日本国の海岸線は非常に守りにくいということで、朝鮮や中国に侵攻、満州国をわが生命線と考える時代だった。
 当然、アメリカなどの列強から警戒感をもってみられる存在となっていた。
 戦いが生じた場合の戦闘機の重要性を意識した日本は優秀な戦闘機の開発を計画した。

 堀越二郎設計により開発された<零戦>は世界的にも比類なき戦闘機だった。
 
 格闘性能(ドッグファイト)に優れるのみならず、速度533.4KM/h、欧米機に比べ2~4倍という航続距離3500キロ(増槽付き)というべらぼうな能力を有し、航空母艦の擁護機、敵戦闘機の迎撃機としての能力を兼ね備えるものだった。
 11,000機という我が国における最多量生産機である。

 しかし、ミッドウエイ海戦で保有空母の大半を失い(当然搭載していた零戦も)それ以来我が国の戦況は下方線を辿り、零戦も特攻隊用という悲劇的な役割にしかならなくなる。

 <零戦>に関連してF名誉教授は興味深い体験談を話された・
 (1)アメリカのヨセミテキャンプで会ったグラマン戦闘機のパイロットに「日本に勝てたのは、日本の海軍、零戦を尊敬していたからだ」と言われた。
 
 つまり、「零戦に出会ったら一発だけ見舞って、ドッグファイトは避けて一目散に逃げよ」と指示されていたという。無用の戦いはしないという合理性だ。
 後続距離など性能の落ちるところは、戦艦で艦砲射撃で島々を攻略し、島々を伝い飛びで補う。
 大量に戦闘機を製作、日本のような熟練パイロットではなくても操縦できるもので補った。
 考え方が現状を踏まえて戦略的なのだ。
 (2)日本の零戦整備員に聞いた話。「零戦は三菱と中島で製造していたが、部品が規格化されていなかった。使用する時は磨り合わせが必要だった」
 つまりアメリカのように規格化された大量生産ではなく、単機製造で熟練作業に頼っていた。
 (3)元高射砲員から聞いた話。「高射砲を下駄ばきで射撃した」
 つまり外国製、あるいは外国のライセンスで製造された兵器は日本人の体形に合わなかった。
 だいたい高射砲なんて無用の長物で、敵機を落とした話は聞いたことがない。
 その場しのぎの無駄が多かった。

 以上から引き出せる結論。
 零戦という熟練技術だけでは勝てない。ヘボ兵器でも戦略で勝てる。
 兵器の製造も熟練工に頼らない。フォード型生産力で量産、熟練パイロットもいらない。
 ソフト面で、つまり、早期警戒、管制、電子戦、集団戦などで後れをとり日本軍は敗けることになった。

 吉田沙保里さん、ブタベストのレスリング世界選手権で女子55キロ級で11連覇。
 
 五輪と合わせ14大会連続の世界制覇となった。
 オリンピック招致活動などであれほど忙しかった彼女!
 お見事というしかない!


 
 
 
 

エッセイ(178)大人の社会科見学

2013-09-18 04:40:25 | エッセイ
 家内から「大人の社会科見学」というバスツアーに誘われた。
 農林水産省の食堂でランチを食べ、国会議事堂、東京証券取引所、法務省旧本館を見学、プラス新歌舞伎座とある。
 国会議事堂は地元の衆議院議員の紹介で見学したことがあるし、他も特に観たいと思わない。
 しかし、このところ海外はおろか国内旅行もしていない。
 ボランティアや孫の世話でイライラしている家内の心情を思えば、受けざるを得ない。

 集合場所は新宿の都庁の手前のバス駐車場だ。駅からけっこう距離がある。途中動く歩道があるが、周りは通勤の連中だ。動く歩道の上を歩く、歩く。家内も歩く。
 遅れまいとして、ツアーが始まる前にひと汗をかいちゃった。
 
 国会議事堂の見学。見学者は裏門から入る。
「階段が多いのね・・・」「古いからしかたないのよ・・・」「赤じゅうたんも薄汚れているわね・・・」
 階段と長い廊下を歩かされて、印象がよくない。
 
 最後表門からの、台風一過青空の下威風堂々とした全貌を見ることができたが・・・。
 見学は絶対表門から入るべきだ!

 中庭に各県を代表する植樹がしてあるのはなかなかのアイデアだ。
 
「おっ!京都は北山杉か。格好いいね」
 我が故郷、石川県は?と探す。
 
「なんじゃこりゃ! アテ? こんな木しらんな。地味だし」

 家内は売店のお土産に注目!
 <いざ、新しい国おこし>というおこしと、<アベノミックス>という飴を買った。
 商魂たくましい!

 農林水産省。ここの職員食堂でランチを食べる。
「まだ、11時10分じゃない。お腹減っていないわよ・・・」
 職員が利用するする前に12時10分前に済ませてくださいだと! 
 バイキング方式でセレクトするようになっている。
 国産食材使用! 新米入荷! ちょっと期待しちゃう。
「クジラの竜田揚げが評判なんですって・・・」
 えっ? 南氷洋の調査捕鯨で獲ってきたやつか?
 原発事故以来、沈殿した核汚染物質を喰らっているのでは?と評判のよくないカレイの煮付けや空揚げが美味そう。
 何だかんだとセレクトしたら、支給された800円の食券分を500円もオーバーしてしまった。

「これ新米?」たしかに新米らしくない味でがっかり。

 お腹がふくれたところで近所の法務省旧本館に移動。
 
 趣のあるレンガ造りだ。
 明治時代、ドイツ人の設計によるもので、レンガ造りながら耐震補強が施されていて関東大震災にもびくともしなかったそうだ。
 しかし、戦災のためレンガ壁を残し屋根や床が焼失、平成6年に復元されて重要文化財に指定されたという。
 ちょっと勉強した気分になる。

 新歌舞伎座見学は本体ではなく、近くに建てられた歌舞伎座タワー見学だ。歌舞伎座ギャラリーで新歌舞伎座の魅力を映像で見せられたが・・・。
 本舞台の4階天井桟敷で一幕でも見せてくれたらいいのに、がっかり!

 最後は東京証券取引所アローズの見学。
 
 一時の株取引にのめり込んでいた頃ならともかく、一切手を引いている今のボクには新しい取引システムにも関心がない。
 ただ、今日の取引が終えて、タイセイという福岡の会社が東証マザーズに上場する式典で、承認の鐘が鳴らされた瞬間に遭遇したことが印象的だったが・・・。
 
「疲れた、疲れた・・・」という家内に何に目を付けてこのツアーを選んだのか聞いたら、「お父さんのためにじゃない! 東京証券取引所なんか見たかったでしょう?」と言われた。
 どうも二人の意識は食い違っていたようだ。

 しかし、このツアーで心に残るものはあった。
 
 国会議事堂見学に来ていた小学6年生の生き生きとした表情!
 国会議事堂、東京証券取引所の若い女性解説者!
 いずれも自分の仕事に誇りを持って堂々と説明していた。
 服装もそれなりにシャキッとしていて格好良かった。
 そして、ツアーの添乗員の女性。
 ほとんど年寄りの参加者を、ニコニコと愛らしく軽快にさばいていく。
 特に走る姿が格好よかった。
 小柄だが、アスリートのように足を高く上げて颯爽と走り回っていた。
 それなりに満足したジジイの社会科見学ツアーでした。
 
 

 
  

なるほど!と思う日々(250)戦後レジームからの脱却

2013-09-13 04:22:37 | なるほどと思う日々
 オリンピック2020東京招致を成功させて、このところアベノミクスは順調に推移している。
 
 
 オリンピック2020東京決定は第4の矢として、第3の矢、民間投資、成長戦略の後押しとなることは間違いないが、むしろ国民に与える精神的な効果が大きいだろう。
 消費税増税も予定通り行えそうだ。

 ただ、安倍首相の本来の願いである<戦後レジーム>からの脱却は難しそうである。
 
 憲法改正をもくろみ戦後の自虐史観から脱却、あるべき日本の自立した姿を期待するものではあるが、戦勝五大国米英仏露中による国連秩序支配の現実を変えるのは並大抵のことではない。
 安倍氏の登場にいち早く中韓が反応し、歴史認識を振りかざし、台頭しようとする日本を強行に押さえにかかっている。
 のみならず、同盟国アメリカのオバマ大統領の安倍首相に対する対応もそっけなかった。
 
 その辺を痛く認識したかどうか、安倍首相の<戦後レジームからの脱却>、<憲法改正>に関する発言がこのところ姿を消しつつある。
 戦後の平和日本の政治家のしたたかさに思いを馳せているのだろうか?
 先ずは経済を発展させて力をつけることが先決である。
 折から、シリア化学兵器問題への対応で、力を誇示する強硬な姿勢を示していたアメリカも珍しく軟化しだしてきている。
 
 
 政治は理想を掲げることも必要だが、現実的に対応することが最優先に求められるのだ。
 その点安倍首相は今のところ賢明な道を歩んでいると評価したい。

 大阪・淀川で、大人も子どもも入り乱れて大ちゃんばら合戦が行われた。
 
 姉川の合戦を模して、敵の大将が付けた風船を割って勝負が決する。
 こんな戦いなら楽しいね。

 
 

エッセイ(177)大スターの効用

2013-09-11 04:27:06 | エッセイ
 午前中、今度こそと期待していたダルビッシュが好投していたのに味方の援護をもらえず、一発のヒットを喰らってまた敗戦投手となった。
 チャンネルを変えて観たヤンキースのイチローも打てない。
 半日気分が悪い。
 ザックジャパンのガーナ戦も、課題の守備の不手際から早々に先制点を奪われる。
 むしゃくしゃして、気分直しにシャワーを浴びる。
 収まったはずの薬疹の痕が浮き上がってくる。
 どうしてくれるんだ! さらに気分が悪くなる。

 ところが、それからのガーナ戦。
 香川がスーパーシュートを決めたのをきっかけに、本田が、遠藤が立て続けに三連発。
 
 
 
 一挙にわが気分が晴れた。
 さすが、大金をもらっているスーパースターだ。
 彼らの与える効用は大きい!

 カネボウ以外の9社15製品でも<白斑>の被害が報告されているという。
 
 ぼくの総合感冒薬による薬疹についてもメーカーにクレームしてみた。
 丁重な対応だったが、当該薬品との因果関係についてお医者さんにチェックしていただくよう依頼され、それ以上の追及は諦めた。
 忙しいお医者さんがそんなことに関わってくれるわけがないものね。


言葉(15)開高健、恋する女との再会

2013-09-10 03:53:42 | 言葉
 恋する女と再会する場面に胸をときめかされる名文はいろいろあるが、「戦後、日本語のあらたな表現方法を会得した」と司馬遼太郎氏が絶賛した開高健氏の<夏の闇>の一節を紹介する。

 きた。時刻である。私はグロッグの受け皿に小銭をおき、自動販売機で入場券を買い、プラットフォームへでていく。遠い北の港町で構成されて二つの国を通過してきた、頑強な緑いろの古鉄の箱が線路のぬかるみを注意深く選んで円天井の影のしたに入ってくる。
 
(色的にも、雰囲気的にもちょっと違うかな?)

 無数の蒼白くむくんだ顔やおぼろな眼が寝台車の窓を埋めてこちらを見おろしている。一輌々々点検していくと、円天井から雨のなかにでてしまった。暗い空から雨はびしゃびしゃ容赦なく落ちかかってきた。プラットフォームもずっとはずれのほうで真紅のレインコートを着た女がスーツケースをひきずりおろそうとしているのを発見した。それをめがけて小走りにかけだしたはずみに雨が音をたててしぶきはじめ、陸橋も、車輛も、線路も、すべてが水のなかに消えた。
「・・・・・」
「・・・・・・!」
 女がふりかえって何か声をあげた。蒼白くて高い頬に髪が濡れてこびりついているが、眼がいきいきと輝き、くちびるがひらいていた。女が背を起すと微笑が顔いっぱいにひろがった。
 

 オリンピック2020東京に決定! で歓迎一色に沸いた一日。
 特に安倍首相の断言的なプレゼンも決定づけるものだったと大評価された。
 しかし、「実態を正しく伝えていない」と疑問視する報道がじわじわと出て来た。
 

 いいんです! 政治は結果が全てです。
 発言に即して結果を求める努力に邁進するのみです。

エッセイ(176)2020年五輪東京に決定

2013-09-08 05:37:09 | エッセイ
 2020年オリンピック、東京に決定!
 
 
 
 今日はこれしかないでしょう!
 今日、この時までの日本のマスコミは、当然東京で決まりでしょう!という異常なほどの、たいへんな盛り上がりだった。
 <アベノミクス効果>によって明るさが見えかけている日本経済も、もし東京に決まらなかったら、その反動で失望のあまり日本経済にも精神的影響がおよび、再び奈落の底に引きずりこまれるのではと心配してしまうほどだった。
 
 特に最終段階で問題視された福島原発の汚染水問題は冷や汗ものだった。
 
 しかし最後に投票者の気持ちを左右するという、最終の日本代表者のスピーチはいずれもすばらしかった。
 大震災という苦難を克服して日本が立ち上がり、世界にも良い影響を与えられるきっかけともなると、東京でオリンピックを開催することの意義を十分伝えきった。
      
 
 汚染水に関しても、責任を持ってコントロールしますと、安倍首相は力強く宣言した。
 
 
 <原発汚染>のみならず、世界は<財政問題>や<シリア問題>など、解決しなければならない深刻な問題をかかえて、何かと後ろ向きになりがちな姿勢を前向きにするのは、今やスポーツしかないという意味で、オリンピックは人々に大きな影響を与えられる。
 東京が2020年の開催地に決まったことの意義は、特に今の日本にとって大きい。