昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

三鷹通信(248)第26回読書ミーティング(4)

2018-01-31 03:40:03 | 三鷹通信
 Aさん推薦、デービット・アトキンソン「新・観光立国論」
 
 *少子化が足を引っ張る日本。出生率が上がりません。移民政策はなかなか受け入れられません。
 *ならば、外国人客をたくさん呼んでお金を落としてもらえばいいのです!
  日本の進むべき道はここにある!

 *ところが、世界各国の観光産業と比べてみるとかなり遅れている!
  
  例えば、日本一の人気観光都市京都市。
  
  京都市の年間外国人客は320万人。
  イギリスの大英博物館は642万人集めている。
  
  なんと、半分以下ではないか!

 *日本を愛するデービット・アドキンソン氏は鋭く指摘する。
  
  ソロモン・ブラザーズなどに勤務し、1990年にゴールドマン・サックスに移りアナリストとして活動。
  2007年に引退、茶道に打ち込む時間を経て、日本の国宝や重要文化財などを補修している小西美術工藝社に2009年に入社、2011年に社長。
  日本の文化財政策、観光政策に関する提言なども行っている。
  本書で第24回山本七平賞を受賞した。

 *日本には観光立国になるための4要素、<気候><自然><文化><食事>があるのにもかかわらず観光後進国。
  原因は?
  「文化財に振り向けられる予算が少ない」
  「見当違いの<おもてなし>や、画一的で融通のきかないサービス」
  
  「客の要望には、<できない>ではなく、追加料金をとってでも対応する」
  「上客に良質のサービスを提供し、金を落として長く滞在してもらう。日本には1泊400万円出したい富裕層が泊まるホテルがない」
   

  「観光ロジスティクスを改善せよ!」
   鉄道にクレカが使えるように。クレカ、キャッシングできるATMが不足!
   
   日本鉄道全線に使えるパスを発行すべき!
   案内サインがわかりにくい! 
   
   
   東京駅地下街なんて日本人でも迷う。
   
   文化財を伝える努力が不足。改善せよ!
   説明展示が少ない。多言語対応が必要!
   
   観光ガイドは有料にしてでも、優秀な人材を集めよ!
   

   富裕層を引き込め!
   <外国人用観光システム>を国が主導して構築せよ!
   カジノIRも有効!
   
   観光産業はそれだけの価値がある。(自動車産業をも上回る) 
  
   
        
  



三鷹通信(247)第26回読書ミーティング(3)

2018-01-30 04:29:56 | 三鷹通信
 ボクの推薦本です。藤原正彦「日本人の矜持・九人との対話」
 
 国家は将来ある子どもたちの芽を摘もうとしている。
 英語早期教育、薄い国語教科書、愚かな平等教育、歪んだ個性の尊重。
 真に身につけるべきは、読書による国語力、基礎反復訓練による我慢力、儚いもの美を感得する感受性、歌う心、卑怯を憎む心。
 そして大人たちは、カネと論理を妄信するアメリカ化を避けねばならない。
 碩学賢者九人が我らが藤原正彦先生と縦横無尽に語り合う。(文庫版より)
 (対談相手:斎藤孝・中西輝政・曽野綾子・山田太一・佐藤優・五木寛之・ビートたけし・佐藤愛子・阿川弘之)

 <斎藤正彦>
 1943年、旧満州新京生まれ。東京大学理学部数学科大学院修士課程修了。お茶の水女子大学名誉教授。
 1987年、数学者の視点から眺めた清新な留学記「若き数学者のアメリカ」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。
 ユーモアと知性に根ざした独自の随筆スタイルを確立する。
 著書に「国家の品格」(2005年流行語大賞)、「この国のけじめ」「名著講義」など。
 新田次郎と藤原ていの次男。

 曽野綾子
 文化には<受動態の文化>と<動態の文化>がある。
 今隆盛を極めているのはテレビやゲームなど、どれも<受動態の文化>でとにかく楽。しかし、受け身の文化からは何も生まれてきません。

 斎藤孝
 難しい数学の問題を考えさせるよりも、むしろ音読や計算のような地味な作業を繰り返すことで、脳の持久力がつく。
 「日本人らしさ」を作るのは<日本語>という言語。

 山田太一
 全能であると信じ込んでいる人間の恣意性に、どうやって歯止めをかけていくか。
 一つの手段は「人間の弱さ」を感じること。
 (藤原:アメリカの女性が日本に居るとすごく気が休まる」と言う。日本は弱さを出しても認められる。
 ドナルド・キーンさんが、儚いものに対して美を見いだしているのは日本人だけで、これは日本人の独壇場だ、と。
 「自然にひれ伏す」自分よりはるかに偉大なものに対して<畏怖心>というものがある。
 アンドレ・マルローによれば、「人間が自然の一部であるという神道的な考え方が世界を救う」とまで言っている。
 欧米が日本を植民地にしなかったのも、圧倒的な<道徳>の高さをはじめとする一人一人の文化的底力を見たから。すなわち国家の品格を高めることは、防衛力にもなるし、世界を変えていく力にもなる)
  
 ボク:今や西洋文明に毒されて人間の強欲は留まるところをしらない。
    単なる金欲や物欲に留まらず、「<欲望>を満たす可能性への欲望」いわゆる<メタ欲望>の時代になっている。
    科学は<核兵器>を生み、ことあれば人類を消滅しかねない。
    経済は<貨幣>が<貨幣>を生む、国家のコントロールの効かない投機的グローバリゼーションの時代に突入している。
    今こそ<日本の矜持>の出番であると思うが・・・。
 
 
            






三鷹通信(246)第26回読書ミーティング(2)

2018-01-29 03:29:56 | 三鷹通信
 今年に入って、1月で一番売れているのは「漫画・君たちはどう生きるか」で102万部
 
 1937年に出版されて以来、数多くの人に読み継がれてきた、吉野源三郎の名作を漫画化したものだ。
  
 
 勇気、いじめ、貧困、格差、教養、昔も今も変わらない人生のテーマに真摯に向き合う主人公のコペルと叔父さん。
 
 戦前の東京を舞台に、多感な悩み多き中学生と、彼を見守る叔父さん。
 叔父さんが彼に伝えるべき事を吟味して記したノートを漫画に挟むかたちで構成されている。
 <内容>
 ①ものの見方の転換について
 高いところから群衆を見た時、コペル君は自己中心的な見方から、自分は世の中の流れの中のひとりであると、見方を転換する。
 

 ②見て見ぬふりできないのは正論だが、実際にどう行動できるか? 

 ③人類としての人間同士の関係
 オーストラリアでつくられた粉ミルクの缶詰を通して、見ず知らずの人と助け合って生きていることに気づく。
 それは叔父さんに言わせれば、哲学用語<生産関係>として知られていることだと教えられる。
 
 ④貧乏について
 人間の価値を貧富で判断する人間は軽蔑に値すると、ノートに記す。

 ⑤ナポレオンを通じて、偉大な人物とは、人類の進歩に役立った人だと叔父さんから教えられる。
 一方で、世の中には善良だが力のない人も多い。

 ⑥友人の裏切りと自分を責めること
 コペル君は、友達を裏切った罪悪感に責められる。そして叔父さんから、大切なのは自分が犯した過ちにきちんと向き合い、自分はどうすべきだったか
 ということを考えて心に刻むこと。自分を責めることは、正しい生き方を強く求めているからだということを、叔父さんの手紙から学ぶ。
  

 学ぶべきポイントを叔父さんが手紙で知らせるという手法が効果的だ。
 出版社マガジンハウスの担当は、最初父親から読めと言われた時は反発したが、後で読むと人生が変わるくらいの衝撃を受け、マンガ化による出版を思
 い立った。

 池上彰氏
 「これは子どもたちに向けた哲学書であり、道徳書である。人として本当に大切なことは何か、自分はどういきればいいのか。楽しく読み進めながら自然と自分で考えられるよう、いくつもの仕掛けが秀逸にちりばめられている」
        
 宮崎駿氏
 次回作の原案に採用したという。
 
 講師もマガジンハウスの担当者から相談を受けたが、正直売れると思っていなかったそうだ。
 テレビ番組や新聞社にも紹介したが、NHKを含め当初いい反応はなかった。
 しかし、結果的には漫画化したことで、子どものみならず大人にもアピールしたようだ。
 祖父母が孫にプレゼントするとか・・・


 ─続く─

 


三鷹通信(245)第26回読書ミーティング(1)

2018-01-28 05:32:43 | 三鷹通信
 昨日は三鷹市立協働センターで現役編集者主宰の読書ミーティングが開催された。
 先ず、講師から出版業界の現状について解説があった。

 ここ4,5年のベストセラーは
 ①健康実用書「どんなに体がかたい人でもべたーっと開脚できるようになるすごい方法」 110万部
 
 
 「長生きしたければふくらはぎをもみなさい」 100万部
 
 
 「医者に殺されない47の心得」 100万部
 
 

 ②自己啓発書「嫌われる勇気」 シリーズ合計で400万部
 
 
 「置かれた場所で咲きなさい」 200万部
 
 
 「人生はニャンとかなる」 シリーズ合計で120万部
 
 

 圧倒的に<健康実用書>、<自己啓発書>が主流だった。特に40歳以上の女性が愛読。

 2017年はどうか?
 
 「文芸書(小説・エッセイ)が売れた!
 一位「90歳。何がめでたい」佐藤愛子のエッセイ。
 
  ・・・余生をいかに生きるか。のんびりしようなんてダメ・・・ 累計113万部

 三位に「蜜蜂と遠雷」恩田 睦
 
 ・・・ピアニスト達の栄光と孤独の人生、挫折と救済の物語・・・ <本屋大賞>57万部

 五位に「騎士団長殺し」村上春樹
 
 ・・・妻との離婚から元の鞘に帰還するまでの数奇な体験・・・ 138万部(2冊で。)

 以上に通底するのは、「生きる」というテーマ。
 エンターテイメントにしても、純文学にしても、読者が求めているのは「いかに生きるか?」「どういきるか?」というテーマなのか?
 この流れの中で、今年1月に入って爆発的に売れているコミック「君たちは どう生きるか」に着目!
 
 ─続く─
  



三鷹通信(244)市民大学・哲学コース・池田卓夫

2018-01-27 09:23:37 | 三鷹通信
 昨日は、「音楽の中に潜む哲学」と題して音楽ジャーナリスト池田卓夫氏の講演があった。
 
 東京には珍しい大雪で足もとが悪い中、30名近くほぼ満席だった。
 先ず、何といっても氏の経歴のすさまじさにビックリした。
 
 頂いた名刺には、日本経済新聞 東京本社編集局 デジタル編集本部コンテンツ編集部記者とある。
 1981年に早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業と同時に編集局記者として入社され、産業部、広島支店、証券部、国際部の記者を経て、フランクフルト支局長、1983年には文化部へ移り、98年から編集委員(現在は編集局長付記者)であり、今年60歳で定年を迎えるそうだ。
 その方が今回<音楽と哲学>について語られた。

 <音楽>については、別途、高校時代から執筆を始め、日経に入社してからも、本業とは別に1986年から「音楽の友」などの雑誌にも投稿、演奏会やCDのプロデュース、解説、オペラのキャスティング、音楽のコンクール審査員、各地ホールのアドバイザーなども務める。(ちなみに、三鷹市芸術文化センターでの公演プロデュースも・・・)
 つまり、高校時代から現在に至るまで、全く異なる二つの専門職を並行して全うされているという信じられない才能の持ち主なのだ。

 氏は、その該博な知識を振りかざし、とうとうと講演された。
 レジメも用意されていないし、黒板を使うこともされないので、<音楽>にたいして知識の無いボクには書き留めることもできない。
 中途、「難しい音楽家の名前、専門用語については黒板に書いていただけませんか」と要求したほどだった。

 だから、<音楽>は、心臓の鼓動から始まり、3要素があり目に見えない振動が人を感動させることから始まり、歴史的に見れば、人間社会活動における必要性から<教会音楽>から<宮廷音楽><機会音楽>へと変遷し、バッハ、モーツアルト、ベートーベン、メンデルスゾーン、シューマン、ワグナーなど、開かれた大衆にいろいろな形で影響を与えた過程をいろいろなエピソードを交えながら語られた。

 ボクはむしろ、沖縄の弱った老人を励ますために<島唄>を聞かせたが、有名人のものより素朴な一般の人の歌の方が効き目があったとか、
 新潟の柏崎へ自前の楽団やピアノを持ち込んで震災にあった人を慰めたなどのエピソードに関心を持った。
 

 そして極めつけは1月7日付日経の文化面、鷲田清一「いくつもの時間」を朗読されたことだ。
 
 内容は直接お読みいただきたいが、
 ・・・鷲田氏が大学で<哲学>の講義をされた時、聴講生として受講された関西では人気の女性パーソナリティの事だった。
 忙しい本業のかたわら、3年かけて<他人を理解する>というテーマで論文を書き上げた。
 その彼女が論文を提出した後しみじみと言った。
「大学って、早く出たいけど、ずっといたい、不思議なところですね」と。
 この言葉に鷲田氏の方が感極まった。
 ひとつは<大学の重要性>を認識させてくれたこと、いまひとつは、日々の暮らしに<もうひとつの時間の大切さ>である、と。
 彼女は息を抜くことのできない番組制作のあいまに、ずっと持続する時間を、焦ることなく、一つの問いを温め、それについてゼミ生とも存分に語りあえた。いっそう忙しくなったはずなのに、彼女にとってそれは別の呼吸をすることであった。・・・
 時間はいくつも持ったほうがいい。できれば同時並行のほうがいい。
 くだんの彼女のもの言いいは、二つの違う時間を持てたという幸福の言葉としてあったのだとおもう。

 これは池田卓夫講師の思いであり、ボクの思いでもあるとおもった。
 ・・・講師とのやりとり・・・
 「芥川作家の高樹のぶ子さんとブログの交流をしていたことがあったんですが、演奏会鑑賞の際、魅力的な譜めくりの女性に気を取られてしまったことがありましたが、不謹慎だったでしょうか? と聞いたら、そう言うこともあると思いますよ。気持ちよく寝てしまわれる方もいらっしゃいますが、それも許されるのでは」と言われました。池田先生はいかが思われますか?」というボクの問いに、即、「私の場合も同じようなケースを体験しています。振り袖姿の譜めくりの女性に気を取られたり、プロデュースした演奏会に譜めくりが欠席してあわてて、会場を見回したら知り合いのバイオリニストがいたので、お願いしたら、舞台衣装でないからダメと拒否されてしまいました。譜めくりの方も演奏者の一部なんですね・・」と。

 



 

エッセイ(409)我が永遠の金沢市立高岡町中学校(2)

2018-01-26 05:01:20 | エッセイ
 今回会えるのを楽しみにしていたのはTくんだ。
 
 彼はゴルフでは圧倒的な実力者でかっこいい男だったし、囲碁でも5段?ぐらいの実力者だ。
 ボクは小学校で囲碁を教えているので、時々パンダネットを覗く。
 
 ここで彼の対局を見るのを楽しみにしていたのだ。
 最近彼のハンドルネームにお目にかかれなかったが、今回参加するという。
 楽しみにしていたのだが、急遽手術になり来れなくなったという。

 ということで、シニアが集まるとお定まりの健康問題が話題として取り上げられた。
 Eさんがこのところバネ指で困っているという。
 
 お得意のゴルフにも支障がある。どうしたらいいだろうかと・・・。
  
「ボクのおふくろは手術で簡単に治ったよ」
 ボクの言葉に早速Aくんが反応した。
「ボクは慶応病院で、アメリカ帰りの優秀な若い医師を紹介されてバネ指を手術したらこのありさまだ」と曲がらなくなった指を掲げた。
「多分、若い医師の初めての手術だったんだろうな、どんな優秀な医師も初めてにはリスクが伴う・・・」
 ボクの先輩の心臓手術の事例を紹介した。

「先輩はドックで動脈瘤を発見され、有名な神奈川県の心臓外科病院でアメリカ帰りの医師を紹介された。先輩は75歳だったが元気でゴルフもやっていたが、動脈瘤が破裂して突然死になる恐れがあると脅され手術に踏み切った。若い有望な医師は最高齢患者の手術だ、と張り切った」
 
「手術は成功したのだが血の塊が血管を通って、脊椎に付着し、下半身まひになってしまったんだ」
「・・・」
「患者の立場からすれば、手術するなら経験豊富な医師を選択しなければ・・・」
「・・・」
「念のため付け加えれば、ボクの友人で著名な心臓外科医師によれば、70歳を超えて大手術をするのは避けた方がいいと本音を進言してくれた」

 ゴルフのニアピンの旗を作ってくれたNくんも奥さんの介護で今回参加できなくて残念だった。
 
 みんなこの歳になると何がしかの病に取りつかれている。
  健康がなによりだ。

 金沢といえば「ふるさとは遠きにありて思うもの」で有名な室生犀星だ。
 
 金沢の犀川の畔で貧しい生活しているのをボクの親父も見ていたそうだ。
 その犀星を偲んで俳句の会を主催していたのがEさんのお父さんだ。
 それがお菓子になっている。
 
 みんなで、賞味しながら金沢で過ごしたころを思い出しました。

 


エッセイ(408)わが永遠の金沢市立高岡町中学校

2018-01-25 04:18:30 | エッセイ
昨日、東京駅八重洲・居酒屋「ちゃんぽん」で金沢市立高岡町中学校を出た仲間と新年会を開いた。
 
 わが母校は金沢市のど真ん中、前田利家公を祀った尾山神社の近くにあった。
 
 ところが、今や金沢市文化ホールの中に碑として存在するのみ。
 そんな金沢から上京した連中が同窓会活動「あじさい会」を継続させ、10年前には伊香保温泉に金沢在住の連中も呼び寄せ、第24回あじさい会「古希祝」を開催している。
 
 その中からゴルフ好きの連中をピックアップして「ひまわり会」も結成した。
 
 サイパンにまで遠征したこともある。
 
 そんな活動を支えたのはひとえに幹事力である。
 今回の新年会の呼びかけ人Eくん。あじさい会・ひまわり会の中心的まとめ役Mくん。
 そして、サポート役としてEさん、Yさん。
   
 今年は、「傘寿の祝い」を箱根で行うことを企画しているようだ。

 Eくんは「英語落語」の活動をしている。
 
 今年も3月にはご披露頂けるようだ。
 Mくんは、今回いろいろと問題を起こしている「大相撲」について分析、ユニークな解説をしてくれた。
 「問題は、わが高中の1年先輩、森喜朗元総理、現オリパラ組織委員長が白鵬にかけたひと言から始まった」と。
 
 「オリパラの開会式にぜひ、キミの横綱土俵入りを!」
 
 白鵬は燃えた。あらゆる手を駆使してでも実現させることを。
 彼は、歴史的な名横綱として、モンゴル国籍であっても、日本の「大相撲」のリーダーになれるであろうことを期待して・・・。

 最後にボクから述べるべき肝心な御礼のひと言があったのだ。
「レロレロ姫の警告出版の際には、みなさんの一方ならぬサポートを頂きました。ありがとうございました」
 
 ・・・オレもいよいよ認知症か・・・
 歩きながらボクは天を仰いだ。
    



小説「社長、ちょっと待って下さい!」(216)アメリカ(7)

2018-01-23 03:55:52 | 小説「カナダ旅行」
 ボクらは案内も乞わず、珍品を眺めるように辺りを見回していた。
 奥のカウンターペースから店主だろうか、中年の眉毛の濃い、わし鼻の男が、笑みを浮かべるべきかどうか決めかねている表情で現れた。
「わたしどもは日本の東京で、工作機械関連機器、工具の販売を行っている者です。こちらが社長の渡辺です・・・」
 ボクは英文の名刺を差し出した。
 ・・・貢物を奉る属国から来た使者みたいに・・・

  
「おお、東京! ずいぶん遠くからきたんだ・・・」
 店主はしげしげと名刺を眺め、ボク達に目を移した。
 今までの疑わし気な鋭い目つきが大きく見開かれて、貢物を眺める君主のような笑顔になった。

「商品がとても魅力的に陳列されていますね。こんなニューヨークの街中でお客さんが買いに見えるんですか?」
 疑問に感じていたことが自然と口をついて出た。
「いや、いや、ここはわが社の顏さ。つまりウチのショーウインドーというわけだ」
 ・・・だよな、この辺には町工場なんてなさそうだし・・・

「商売はほとんど電話とかファックス、郵便で受けているんだ。ウチの販売部を見てみるかね?」
 そう言いながら、大柄な店主はもう歩き出していた。
 店主、社長、ボクは大中小のかたまりで階段を上った。
 2階が事務所になっていて、何人かの男女がいたが、我々珍客にちらっと眼をくれただけで忙しそうに、日本ではまだ一般的でないパソコンを操作したり、電話に取りついて大声でしゃべっていた。
 

「これが、わが社の販売員だ!」
 店主がとつぜんボクの目の前に分厚いカタログを突きつけた。
 
 500頁はあるだろうか?          
 黄色い表紙にブルーの文字で「工作機械・機器・工具カタログ」とある。
 手に取るとズシリと重い。
 繊維が入っているような肌触りの丈夫なものだ。

「ジスイズセールスマン?」
 渡辺社長がわし鼻に直接声をかけた。
「そうさ、これをウチのお客さんに予めお届けしてあるんだ。無料でね・・・」
「・・・」
「これを見てお客さんが注文してくるんだ。どうだ、優秀なセールスマンだろうが・・・」
 わし鼻が膨らんだように見えた。

 ─続く─ 





三鷹通信(243)市民大学・哲学コース・自主学習

2018-01-20 03:57:13 | 三鷹通信
 今後の自主学習の予定について、運営委員会から報告があった。
 2月2日(金)はユダヤ人の哲学者ハンナ・アーレントの映画鑑賞
 
 3月2日(金)前回の映画に対する感想を話し合う。
       後半の1時間は小生の講義(今や女性の時代・種々のエピソードを絡めてお話しする予定)
 3月9日(金)合田正人氏を囲んで、お弁当を食べながら懇談の会

 今日の自主学習は5~6人のグループに分かれて、今までの哲学講座に関しての感想を話し合った。
  <我々のグループで話し合われたこと>
   企画委員として携わったIさんは初めての試みとして<哲学>を採り上げた。
   O氏は、銀行員としてイギリスに駐在された時、イギリス人の従業員が<哲学>を勉強していることに衝撃を受けた。
   実務家日本人にはあり得ないことと・・・。
   それで、今回退職を機会に<哲学>を勉強しようと。
   混迷する政治・経済の現状を打開するには物事の本質を探る<哲学>の力が必要なのではという思いで・・・。
   三鷹市にかかる市民大学があることをこれまで知らなかった。
   今回第50回の歴史を誇り、むしろ市民より外部識者に評価されていることを知った。

   哲学コースを主導する合田正人氏の講義は、あまりに該博な知識、語彙に圧倒されるばかり。
   受けとめるのに精いっぱいで、まさにタイトルの示す「海図のない哲学の大洋を漂流してみよう」だった。
   
   もう少し、質問時間を取り入れて質疑応答しながら理解を深めるという演習方式の導入が必要なのでは。今後の課題である。

   ただ、石飛幸三氏、 小松奈美子さん、 池内 了氏などの講義は、我々の生活に密着した視点での<哲学>であり、分かりやすく参考になった。

   現状の政治、経済、社会状況を見るに、人類の課題は存亡の危機段階に入っているのではなかろうか。
   相変わらず、<力の論理>に基く抗争の政治姿勢。
   
   人間の生み出した貨幣をめぐるグローバリゼーション経済の行方は不透明。
   自然を克服すべく<進歩>一辺倒で生み出した科学技術は自然を破壊し、処理できない廃棄物を生み出した。
   
   
   今こそ、<哲学>の真価が問われるときである。

   終わった後、次に三鷹市立第一小学校のスマイルクラブの囲碁指導まで、時間がある。
 
   お誘いに応じて、同じ小学校のアート指導を受け持っているKさんの喫茶店へA氏とともに行った。
   
   美味しい、コーヒーとホッとサンドを食べながら、地域情報に詳しい、A氏のお話に盛り上がる。
   三鷹にはキムタクのお父さんの植木屋さんがあるとか、嵐の大野君の実家は三鷹市深大寺だとか、布施明は第二中学校の卒業だとか・・・。  
   新しい仲間との楽しい交流のひと時だった。

   





三鷹通信(242)広告のエキスパート升野龍男氏のお話

2018-01-19 08:57:01 | 三鷹通信
 昨日は慶應義塾大学ご出身、博報堂でご活躍され、慶應義塾大学メディアコミュニケーション研究部、立教大学、熊本大学などの講師を歴任された、升野龍男氏を藤森サロンにお招きして、「伝えたいことが伝わらないのは何故か」というタイトルでお話していただいた。

 1.そのために必要なコンテンツ
  (1)「他人事情報を」を「自分事情報」に仕立て直す。
     
     <京都>は我々にとって、皆が修学旅行へ行ったことのある場所だから、「そうだ!」が生きるんですね。
  (2)生活価値情報の発見。
     「吉野の千本桜を観に行こう」という場合、
     
     「今、見逃すともう一年待たなければなりません」という生活価値情報を付け加える。
     「道路の違法駐車」を指摘する場合、「一番高い駐車料ですよ!」など、生活実感を与える表現をする。
  (3)製品を商品に。つまりProductsをGoodsに。(Badsにしない)
  (4)ニーズデザイン(欲望にカタチを与える行為)
  (5)目撃→ 観察→ 洞察→ 発見の重要性
  (6)共感の同心円の発見と、落差(心地よい裏切り=例示)の組み合わせ。
    

 2.まずWhat to say. ありきで次にHow to say.を考えた方がいいのか。
   ①うまい言い回しを考えようとするから受信者のハートを射抜けない。
   ②発想力とか表現力だっていうのはまったく関係ない物をくっ付ける作業
   ③新鮮な関係価値の作り方
    単に部品という位置づけで、<摩耗>を重視する表現から、
    <タイヤは安全の主役> <家族は大切な人を乗せる>という視点に!
    そして、「タイヤは命を乗せている」という名キャッチコピーが生まれた。
    

    コーヒーは単に物理的な<贈り物>ではない。
    喫茶店での会話を思い出させる媒体=手紙だ。
    そこで「コーヒーは香りの手紙です」というコンセプトが生まれた。
    
    送り手と貰い手には<共通の場>があったのだ。その思い出に。   
  
 *表現では限界があると感じた時には、<ニューデザイン>(超広告)作業を行う。
  「熊本城の<一口城主>の例から」
  
   手形も発行して、熊本地区での利用に便宜を与える。(物を買うとき値引きするとか、公共施設入場はタダとか)
   

  その他にもエッセイの書き方についてもポイントをご教授頂きました。
  <好き>という言葉を使わないで書いたラブレターの秀作とか・・・。
  ここでお示しできないのは残念ですが・・・。

  昨日は朝起きたら霧が立ち込めていました。
  
  急に温かくなったせいでしょう。
  三鷹駅近くでの麻雀が早く終わったので、会場までの2キロ余りを歩いたら汗ばむほどでした。