小説「レロレロ姫の帰還」(1)神社の森③
「家出? おうちはどこなの? 高校生なのかな?」
宮司は矢継ぎ早に訊いた。
「いえ、中学三年生です」
・・・中学生? それにしてはしっかりしていて、しかも色気まで感じる・・・

(こんな感じかな?)
宮司はオヤジの目になった。
「どこの中学生?」
「言えないんです」
彼女は宮司の目をしっかり見返しながら言った。
「言えない?」
彼の肩に木立からしずくが降りかかった。
「ともかく中に入ろう・・・」
宮司は未成年の彼女を保護する義務があることを感じて、彼女の手をとると社務所に向かった。
彼女は思いのほか素直に彼に従った。
「なぜ家出なんかしたのかな?」

社務所のカギを開けて中に入り、彼女を椅子に座らせた。
そして改めて尋問するように問いかけた。
「したかったから・・・」
「したかったから?」
宮司は真っ白いタオルで彼女の肩に光っている水滴を拭き取りながら、あきれたように彼女の目を見た。
「疲れちゃった。・・・お腹が空いた」
彼女は宮司のタオルから身を離し、目を逸らし、あっけらかんとした調子でつぶやいた。
「そうか、お腹が空いているのか。じゃあ・・・」
小山内は神社に来た本来の目的を簡単に放棄した。
・・・何か訳ありだな・・・
「付いて来なさい」
道端に停めてある車に向かいながら思った。
・・・こんなカワイイ娘(こ)をこのまま放置するわけにはいかない・・・。
─続く─
昨日、熊本を震源とする震度6の地震が発生した

「家出? おうちはどこなの? 高校生なのかな?」
宮司は矢継ぎ早に訊いた。
「いえ、中学三年生です」
・・・中学生? それにしてはしっかりしていて、しかも色気まで感じる・・・

(こんな感じかな?)
宮司はオヤジの目になった。
「どこの中学生?」
「言えないんです」
彼女は宮司の目をしっかり見返しながら言った。
「言えない?」
彼の肩に木立からしずくが降りかかった。
「ともかく中に入ろう・・・」
宮司は未成年の彼女を保護する義務があることを感じて、彼女の手をとると社務所に向かった。
彼女は思いのほか素直に彼に従った。
「なぜ家出なんかしたのかな?」

社務所のカギを開けて中に入り、彼女を椅子に座らせた。
そして改めて尋問するように問いかけた。
「したかったから・・・」
「したかったから?」
宮司は真っ白いタオルで彼女の肩に光っている水滴を拭き取りながら、あきれたように彼女の目を見た。
「疲れちゃった。・・・お腹が空いた」
彼女は宮司のタオルから身を離し、目を逸らし、あっけらかんとした調子でつぶやいた。
「そうか、お腹が空いているのか。じゃあ・・・」
小山内は神社に来た本来の目的を簡単に放棄した。
・・・何か訳ありだな・・・
「付いて来なさい」
道端に停めてある車に向かいながら思った。
・・・こんなカワイイ娘(こ)をこのまま放置するわけにはいかない・・・。
─続く─
昨日、熊本を震源とする震度6の地震が発生した
