昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(145)文明の進化路線に逆らえるか(43)原発廃絶

2012-11-26 09:10:24 | エッセイ
 <落語談義⑥>
 
 熊さん:台湾の島で原発の放射性廃棄物施設の影
     響で高い放射線量が確認されたってテレ
     ビでやってましたね?
 ご隠居:ああ、台湾のらんしょ島だな。日本の学者が
     調査して分かったらしい。
     
 熊さん:なんで、日本の学者が外国の放射線量を調
     べたんですか?
 ご隠居:日本にも影響があるからだよ。
 熊さん:日本にも?
     
 ご隠居:主に先住民が暮らしている島で、住民に知
     らせないまま廃棄物のドラム缶、約10万
     本を格納する施設を作ったんだ。施設がず
     さんだったこともあって放射能漏れがあっ
     たんだ。
     それと津波の危険がある所で、堤防の高さ
     とか強度にも問題のあることが指摘された
     んだ。
     もし津波に襲われると、放射性物質が黒潮
     に乗って日本にも影響を与えかねないんだ。
 熊さん:っていうことは、原発問題は日本だけでなく
     他人様の国の原発も心配しなきゃってことで
     すかい?
 ご隠居:そうなんだよ。中国で事故が起きれば、黄砂
     みたいに日本に放射能が降りかかってくる
     恐れもあるんだ。
 熊さん:って言うと、原発問題は日本だけでじゃなく、
     台湾や中国にも止めてもらわなきゃ。
 ご隠居:そうなんだけど、現実にはどうかな。
     原発は台湾に6基。中国には30基以上、
     韓国にも20基以上稼働しているし、計画中
     のも入れればその倍以上になるんだ。
     
 
 熊さん:世界的に見たらたいへんなもんですね?
 ご隠居:アメリカを始め世界の大国は原発推進な
     んだ。
 熊さん:でも、ドイツやイタリアは原発ゼロを宣言し
     たんですよね。日本も一緒になって原発ゼロ
     組で世界をリードしていきましょうよ?
 ご隠居:再生可能エネルギーに目途が立つならね。
     現代人が一番大切なのは豊かな生活なん
     だ。
 熊さん:でも、ドイツなんか原発を止めても経済的に
     優位を保てると自信満々みたいじゃない?
 ご隠居:ドイツやイタリアは原発をすぐ止めても、
     フランスから原発エネルギーを買えるから、
     日本みたいに深刻な事態にはならない。
     フランスも原発エネルギー供給国として
     やっていくって言ってるし・・・。
 熊さん:でも、放射性廃棄物処理の問題はどこの国
     も未解決なんでしょう?
     やっぱり原発廃絶ですよ! 
 ご隠居:たしかにそうなんだが、エネルギー資源の
     ない日本が直ちに原発を廃絶して、豊かな
     生活を放棄できるかな?
 熊さん:原発を止めていた間も省エネ努力でみんな
     我慢したじゃないですか?
 ご隠居:一時的にはともかく、ずっととなると我慢
     できるかな? ムリだと思うよ。
     それに日本経済の競争力が弱くなることが
     問題なんだ。 
 熊さん:たしかに我慢できるかどうかは問題だけど
     技術大国日本は再生可能エネルギー開発の
     能力はあるでしょう?
 ご隠居:今の時点では何とも言えないな。
     ともかく現時点で原発ゼロにするのは、
     ある意味<賭け>になる。
     政治は<賭け>で決めるわけにはいかない
     となると、周りを見ながら、徐々にってこ
     とにならざるを得ないのかな?
     人類は<文明進化路線>、言い換えれば
     常に生活を向上させたいという姿勢に、
     逆らえないんじゃないか?
     不幸な結果になるかもしれないけど・・
  

金沢便り(40)兼六園の雪つり

2012-11-23 04:59:34 | 金沢便り
 <金沢の山ちゃんからのフォト便り>

 北の国から雪の便りが来る季節となった。
 山ちゃんから、普通の観光写真とは一味違った<兼六園の雪吊り>の写真が送られてきた。

 <卯辰山から見た雪吊り>
 
 <唐傘山から見た雪吊り>
 

 参考に<観光写真の雪吊り>
 

 今の時期、近江町市場も思いだす。
 ドラエモンの声で有名な、料理研究家でもある大山のぶ代さんが、この時期になると、飛行機でやってきて、近江町市場で蟹を買うという話を・・・。
 

エッセイ(144)文明の進化路線に逆らえるか(42)鳩山元総理の引退

2012-11-22 05:16:02 | エッセイ
 <落語談義(5)>

 熊さん:鳩山元首相がついに引退とか?
 ご隠居:そのようだな。信条にそぐわない誓約書にサインなんかできないってことらしい。
 熊さん:前にも辞めると言って撤回したり、はっきりしない人だね。
 ご隠居:お坊ちゃんなんだな。その時々の感情に正直というか・・・。
 熊さん:お母さまから5年間に9億円ものお小遣いがいただけるっていうお坊ちゃんだもんな。
 ご隠居:大甘に育てられているから、世の中何だって通用するって思っちゃうんだ。
 熊さん:そんな感覚で政治をやられたんじゃたまんないね。
 ご隠居:沖縄へ行って、普天間基地は少なくとも県外なんて、できもしないことを口走っちゃったりして・・・。

 熊さん:ほんとうはすごくいい人なんじゃない?
 ご隠居:そうなんだよ。総理に就任したとき、「リベラルは愛であり、この愛は友愛である」なんて、近代政治史上稀にみる高邁な理念を掲げたもんね。
 
 熊さん:たしかに理想かもしれないけど、それって現実の厳しい世界には、何それ!?って通用しないんじゃない?
 ご隠居:熊さん言うね! その通りなんだよ。アメリカでは<チキン>なんて言われたし。
 熊さん:<チキン>って?
 ご隠居:アメリカでは臆病者のことを<チキン>て言うんだ。子どもじゃあるまいし、力を競い合う大人の世界では「仲良くしよう」なんてのは逃げているとしか捉えられないんだ。
 熊さん:ふ~ん。

 ご隠居:それで、彼を鳥になぞらえて<謎の百面鳥>なんていう人もいるんだ。
 熊さん:<謎の百面鳥>?
 ご隠居:ヨーロッパでは<アホウドリ>と呼ばれ、中国には<カモ>だし、小沢一郎からみれば<オウム>で、釈明会見では<九官鳥>になり、実際は単なる鵜飼の<ウ>じゃないかと。約束事は<ウソ>で、選挙民からは<サギ>なんて言われ、この鳥は日本の<ガン>じゃないかと。
 熊さん:うまいことを言うもんだね。
 ご隠居:でも、考えようによっては、<友愛>を唱える平和の象徴<ハト>のようなこんないい人を評価しようとしない世界の方がおかしいんじゃないかとも思うね・・・。
 
 熊さん:たしかに・・・。
 

エッセイ(143)文明の進化路線に逆らえるか(41)有人宇宙開発無用論

2012-11-20 05:22:13 | エッセイ
 星出彰彦氏が国際宇宙ステーションで日本人最長の4か月滞在を終えて無事帰還されたことが、明るいニュースとして大きく報道された。
 
 
 そこで、文芸春秋に立花隆氏が「有人宇宙開発無用論」を書いていたことを思いだした。
 わがテーマの<文明の進歩路線に逆らえるか?>にもかかわる興味深いご意見を展開されているので、ここにかいつまんで紹介させていただく。

 立花氏は<ふわっと’92から20周年記念シンポジウム>
「ヒトはなぜ宇宙に行くのか?」に参加された。
 宇宙飛行士、毛利衛さん、向井千秋さん、野口聡一さん、秋山豊寛さんなどが参加されていたそうだ。
    
 シンポジウムの主たる話題は、日本はこれから宇宙で何をやっていくべきか、独自の有人宇宙開発をやるべきか否かだった。
 中国がすでに多数の有人飛行を成功させている。有人月探査や、独自の宇宙ステーション建造、有人火星探査を行う計画もある。
 そういう状況を踏まえ、日本でも、という声が高まっている。

 そんな中で立花氏は反対論をぶつはめになったそうだ。
 反対の理由①日本人は有人宇宙に伴う人の死のリスクに耐えられないだろう。
 ②金がかかり過ぎる。

 ①あの技術大国アメリカですらチャレンジャー事故、コロンビア事故で多数の犠牲者を出している。日本で同じような事故が起きた場合、アメリカ人が毅然と乗りこえたようなことが期待できるだろうか? 
 
 JAXAに対するものすごいバッシングで、二度と立ち直れないだろう。
 ②有人ということになれば安全係数をもう一ケタあげなければならない。日本にはそんな余裕はない。

 有人技術開発の重要性として、経済的に大きな利益を生むだろうというのがある。地上では絶対できないような付加価値の高い物質(合金、結晶など)を生み出す宇宙工場がじゃんじゃん出来る、と。
 しかし、この二十年で成果は挙がっていない。

 立花氏に対し宇宙飛行士から反論の火の手が上がった。
「宇宙は本質的に費用対効果ではかれるものではない」
「こどもたちに夢を与え、知見を広められるようなことには金を惜しむべきではない」
「宇宙がもたらしてくれるいちばん大きな恩恵は、物質的なものではない。精神的な副産物が大切だ」

 それに対し、立花氏は「独自の有人に意味があるとすれば、国威発揚ぐらいだろう。そんなことは国威発揚が何より大切な中国に任せておけばいい。・・・国際チームの一員として、日本の独自性を発揮できる得意技術分野で勝負すべきだ。
 
 ・・・完全自律ロボット<はやぶさ>で実績を示したように、サンプルリターンで、月も火星、土星、木星と征服し、有人の国威発揚にこだわる中国人など「遅れれてるー」と笑ってやればよい、と。

 
 

エッセイ(143)健康診断が怖い

2012-11-16 09:21:41 | エッセイ
 このところ友人の間で、健康診断でガンを疑われて手術を受けられる方が多い。
 無事手術を成功し退院された方、これから手術を受けられる方、ガンが不治の病として内密にされ、本人にも告知すべきかどうかが問題になった時代もあったが、今やかなり大ぴらである。
 そうは言っても「あなたはガンです」と言われれば心穏やかとはいかないだろう。
 そう思うと気の弱いぼくなどは、うかつに健康診断など受けられない、と思ってしまう。

 実際退職してから12年あまりになるが、一度も健康診断を受けたことがない。子どもの頃から病弱だったので、もう病院はけっこうだという思いが強く、また新たな病巣をほじくり出されたくないと思っているのだ。
 会社を辞める前に一泊ドックを受けたのが最後だった。
 その時元軍医だったという老医師がぼくの肺のレントゲン写真を見ながら、「ここに石灰化した病巣跡があるが、これは今は問題ない。人間には自然治癒力があって、いったん病気になっても自力で治す力があるんだよ。かえってほじくり返してダメにしてしまうケースがあるんだ」と言われた言葉が耳に沁みついている。

 最近、専門家の方からも健康診断に疑義を訴える方がいる。
 慶應義塾大学の近藤誠講師は、がん治療に関し、
 *抗がん剤治療は90%無意味
 *手術はほとんど役に立たない
 *がん検診は百害あって一利なし
 とまで言っている。

 免疫療法の権威、新潟大学の安保徹教授は次のように言っている。
 「ガンは不治の病ではなく、告知されてもあわてなくて大丈夫、転移はむしろ治る前兆であり、自然退縮するのは奇跡ではない」と言っている。
 そして、ガンにならないための六箇条を挙げている。
 1.働き過ぎをやめ充分な睡眠をとる。
 2.心の悩みを抱えない。
 3.腸の働きを高める。
 4.血行をよくする。
 5.薬漬けから逃れる。
 6.がん検診は受けない。

  「取りあえず免疫的な理解として、自律神経がバランスよく働いているときは白血球の働きもよく、病気に負けない免疫力を保つことができるが、ストレスによって自律神経の働きが乱れると白血球のバランスもおかしくなり、免疫力が低下してガンを呼び込む体質になるという概念をもっていただければけっこうです」と言っている。

 痛いとか苦しいとか、身体の不都合が生じた場合はともかく、単にガンが発見されたというだけで、自覚症状のないからだを傷つけて、ガンは取り除いたけれど他が具合悪くなったでは元も子もない。
 もっとも、最先端医療でからだに負担をかけない手術方法もあるようだが・・・。
 ともかく、この歳になると、ガンとともに生きるぐらいの割り切りが必要だと覚悟している。

 

 

エッセイ(143)落語談義(5)赤い色を生み出す農場

2012-11-10 04:41:09 | エッセイ
 <落語談義(5)>

 熊さん:このたらこはうまいですな。だけどいやに赤いですな。まさか、合成着色じゃないんでしょうね?
 ご隠居:バカいっちゃいけねえ。今どき合成着色料なんか使っていないよ。
 熊さん:じゃあ、なんで色づけしてるんですか?
 ご隠居:これはサボテン農場で生産されてるんだ。
 
 熊さん:サボテンから? 
 ご隠居:いや、サボテンじゃなくて、サボテンにこびりついているカイガラムシから抽出される物質でコチニールという自然着色料なんだ。
 ほら、そこのサンドイッチのラップにも成分表示にも載ってるだろう?
 
 
 熊さん:なるほど・・。
 ご隠居:隣の花ちゃんが持ってるクロコダイルの素晴らしい財布の赤もコチニールで染めたんだぜ。
 
 熊さん:そうなんですか? スゴイですねコチニールってのは。またそのための農場をつくるなんて発想がすばらしいじゃないですか!

 ご隠居:ジャン・ジャック・ルソーは、人類が柵を作り出したときから文明が始まったといってるんだ。
 熊さん: ?
 ご隠居:小賢しい人類は柵を作って牧場で食料を確保し、人種を区別し、便利という文明は発達したけど、利権争を引き起して戦争が絶えないんだ。
 熊さん:なるほど、文明が発達するてことはいいことばかりじゃないよってことですかい?
 ご隠居:そのへんのことは、<レロレロ姫の警告>って小説を書くから読んでくれ。
 熊さん:?

 日本の国の借金が9月末現在で983兆円を超えた。国民ひとりあたり、771万円の借金を背負っている計算になる。
 
 ギリシャどころか、アメリカでも膨大な負債を抱えているし、ユーロも含めて世界経済は問題先送りで小賢しい人間にも解決の目途は立っていない。
  

なるほど!と思う日々(231)凍死とは

2012-11-08 06:00:14 | なるほどと思う日々
 <万里の長城で遭難>との報に接したとき、「ええっ?」と思った。
 
 このツアーを企画した旅行社は、3年前にも夏の北海道トムラウシ山での遭難を引き起している。
 
 いずれも遭難など起こりそうもない、場所であり季節であった。
 しかし、旅行社は判断が甘いと厳しく非難された。
 

 凍死した原因を生物学的に分析すると以下のようになる。
 いずれも、予想外の異常気象で、寒さにより体温が奪われた。
 凍死に至るもっとも直接的な原因は低体温による心臓の機能低下だ。
 心臓の筋肉(心筋)はたえず弛緩収縮を繰り返し、血液を全身に循環させている。

 このリズムを刻むのは細胞内のカルシウムイオンの濃度変化だ。
 心筋の細胞膜にはカルシウムチャネルという微小な穴が多数存在し、これが開閉を繰り返してカルシウムイオンの濃度の波を作り出す。
 
 細胞膜は脂質の薄い層で作られている。
 ヒトのような恒温動物の細胞膜は37度でちょうど活動しやすい流動性を持った組成に調整されている。

 ところが、体温が急に低下すると細胞膜の脂質が固まりだして不都合が起きる。
 その影響の最たるものがカルシウムチャネルだ。
 固まった脂質の中ではうまく開閉運動ができず、カルシウムの出入りが滞ってしまう。  
 その結果、心不全を起し、これが凍死の原因となる。

 たとえば、大腸菌などは常温から低温に移すと、ほぼ瞬時に飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に変換して、細胞膜の健全性を保つ能力を有している。
 外気に応じて体温が変わる変温動物も、細胞膜の調整を行っていると考えられる。
 ヒトだけが、いつでも温かい体温を享受しているうちに、細胞膜をすばやく調整する俊敏さと柔軟性を失ってしまったのだ。
 ・・・文明の発展が成せる技か?・・・

 オバマ大統領が再選された。
 
 民族問題で世界の平和が乱されている中で、民族混在の大国アメリカの象徴として彼が再選されたことは喜ぶべきだろう。
 しかも、世界をリードする大国の大統領として<力>よりも<調和>を、と訴える彼は世界平和の象徴でもある。
 彼がそれなりの実力を発揮されることを願いたい。
 
 こんな人たちも彼の再選を歓迎している。

 「チェンジ!」で売り出したノッチ。
 

 同名にあやかろうという小浜温泉。