昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(125)絶望なんて贅沢

2012-07-30 05:30:54 | エッセイ
 昨日の朝、NHKテレビ桂文珍のスペシャル対談で山本一力氏が語っていた。
 
「やるしかない人間にとって絶望なんて贅沢だ」
 彼が作家になる前、3億円もの巨額の借金を抱えていたことを始めて知った。
 その借金を解消するには<書くこと>しかないと決意する。
「幸せは自分で作る」「足ることを知る」
 彼のひと言ひと言がぼくの心にずしりと響いた。

 ぼくは彼の本を読んだことがない。彼の作品を求めて図書館に向かう。
 暑い! 行きは歩きだったが、帰りはバスにする。
 コンビニで新聞とアイスを二個買う。
 帰ると空気が通うようにドアが空かしてある。
 家内はベランダへ出ていた。
「泥棒に入られるよ」と声をかけると「だいじょうぶよ」と返される。
 たしかに取られるものなんてない。
「お昼はないわよ。自分で考えて」と突き放される。
「アイス買ってきたからこれでいいや」「アイスなんていらない」とすげない。
 不機嫌だ。自分の分を食って、もう一個は冷蔵庫に入れる。
 借りてきた山本一力氏の<蒼龍>の解説の部分を読む。
 ・・・今度こそは、今度こそは、とこうやって幾度家族そろって原稿を出版社に届けに来たことだろうか・・・
 あれだけ借金を抱えていながら、家族の支えがあったんだ。
 奥さんは彼の才能を信じていたんだ。・・・ウチは? ぼくは何をやっているんだ。
 <のんきな父さん>の評価しかない。
 暑さにくたびれてベッドで仮眠する。
 突然、上でドスンという鈍い音。
 調べてみると頭上の神棚の支えがバカになっている。

 神棚を下ろして直しにかかる。
 神棚の上にホコリが積もっている。
 神さんだって、たまには掃除してくれよ!って怒鳴るわけだよな。
 場合によっては頭に落ちてきて、わが人生一巻の終わりだったかも・・・。

「何やってるの? おにぎり作ってあるから・・・」
 家内から声をかけられた。
 まだまだ<のんきな父さん>で頑張るしかない。
 <絶望>だなんて贅沢は言ってられない。
 山本一力さん、ありがとう!

 耐え忍んで、耐え忍んで、U23日本男子サッカーが、スピードの永井の勝利弾でモロッコに勝利。ベスト8に勝ち進んだ。
 
 起きていてよかった!

 
 
 

三鷹通信(59)暑気払い

2012-07-28 07:55:19 | 三鷹通信
 今年も三鷹三田会の暑気払いが吉祥寺のBOTANで開かれた。
 

 いつものように飲み放題で、ベランダでバーベキューや、オヤジバンドの演奏でハワイアンやフラダンスを楽しんだが、今回の目玉は歌、ダンス、芝居、モデル、イベント活動などを展開するエンターテインメント集団「エスコーツ」のメンバーである三田会会員N君の娘さんの出演だった。
 
 
 お父さんであるN君は音響係として裏方仕事をこなす一方、司会役としても活躍。
「衣裳の支度に手間取っているようですから、その間わたしのアカペラで一曲歌います」と加山雄三の歌を披露。
 ほどなく現れた娘さんの艶姿に「はずかしいなあ・・・」と照れている。
 
  
 娘さんはエスコーツのメンバーだが、今回はその「クロス」というフレッシュメンバーのSAWAKO,MISAのカップルで特別出演。
 
 

 我々シニアに馴染の曲をセレクトして、ザ・ピーナッツの恋のバカンス、ピンクレディの渚のシンドバッドなどを巧みな振りを入れて熱唱。
 
 
 我々シニアを若いエネルギーで圧倒。
 
 アンコールには「暑気払いにちなんで・・・」ということでキャンデーズの暑中お見舞い申し上げますを歌い「熱烈な拍手をありがとうございます。29日の日曜日には原宿のクロコダイルでエスコーツとしてライブを開きますからぜひお出で下さい」と締めくくった。
「行きま~す」
 一番に手を上げたのはなんと、音響係として控えていたお父さんのN君だった。
 ・・・いいぞ、お父さん!
 ・・・ありがとうクロスのおふたり! 芸能界の星と輝け!

 今、ロンドンオリンピックが開幕した。
 
 開催の鐘が鳴らされてから、英国の歴史を辿る一大ショーが繰り広げられる。
 開催してから二時間後、ようやく日本選手団が入場。
 

 ・・・オリンピックの度にショーが豪華になる。
 ・・・ちょっと、時間がかかりすぎじゃないの? 選手は立ちっぱなしなのかな?
 ・・・見る方も疲れる。

三鷹通信(58)よかった、この本に出会えて

2012-07-22 05:16:45 | 三鷹通信
 昨日、現役編集者の主宰する読書会に参加した。
 第4回目の今回も、電子絵本作家、医療カウンセラー、音楽療法士、元お役人、スペースデザイナー、無農薬農園経営者、編集プロダクション経営者、ウエブ編集者、フリーライター、ヨガのインストラクター、いろいろな分野の方が集まった。
 <提供された推薦図書>
 1、李志綏「毛沢東の私生活」(英雄の信じられぬ日夜を明らかにした)
 
 毛沢東の主治医として22年間死も看取った著者が綴った回顧録。
 毛沢東語録を掲げて<文化大革命>を先導した彼はとかく教条的な原理主義者と見られがちだが、実際は超現実主義者であった。
 当初脆弱だった共産党が勝利を収められたのは、日中戦争を起こした日本のおかげだと言っている。日中国交回復を決断した田中角栄を評価していて、学歴もなく闘争に次ぐ闘争でトップに上り詰めたという点で親近感を抱いていた。
 偉大な歴史的英雄も私生活面では我々と同じく感情の動物であり、政権組織そのものを動かしていたのは人の愛憎であり、恐怖であった。
 英雄の陰に女あり、ご多分に漏れず彼も好色にまみれたローマ皇帝と同じだった。
 彼の死後、前夫人という力を誇示して4人組で政権を奪取しようとして失敗した江青が有名であるが、死を間際にして重要な役割を果たしていたのは、18歳の時専用列車の服務員だったとき見初められおそば付きとなった張玉鳳だった。
 側近たちは死を間際にしてもなお政権を左右する力を有していた毛主席の機嫌を損ねないよう戦々恐々としていたが、張玉鳳だけは主席と口論し彼を人並みに扱った。
 またろれつが回らない主席の言葉を理解できるのは彼女だけだったので、彼女を介さねばことは進まなかった。
 毛主席から後継者として首相指名された華国鋒ですら、彼女が昼寝をしていて2時間も待たされたあげく主席には会えなかった。

 2.三戸祐子「定刻発車」(日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか)
 
 一見、今流行の「鉄女」や「鉄男くん」のデータ本と見がちだが、内容はシステム論であり、さらに日本文化論である。江戸時代の参勤交代の慣習や日本の都市の広がり方に起点があり、正確さは、鉄道員の絶えざる研究や乗客とのコラボレーションに負っているという、まさに日本人論に行きつく。

 3.遠藤周作「心の海を探る」(あなた自身の心の中に豊かに生きるための鍵が眠っている) 
 キリスト教をテーマにした作家として知られる著者が、その個性をもって、活動分野の違う11名の著名人との対話を通して、心の深淵を覗く一冊。
 *愛とはその人の前に立ち止まることだ。(眠れない入院患者に、睡眠薬を与えずに婦長さん「一緒にコーヒーを飲んでおはなししませんか?」)
 *人のことを「人間」と書く。最近の人間は、この間が抜けちゃって自我のみ。
 *植物は撫でると成長する(盆栽、江戸時代の稲の朝露切の例)。音の刺激でホルモンを促し成長・・・人に対しての応用例:ボディソニック療法。
 *人間の理解できるものは自然界のいろいろな物のうち、脳の認識のロジックスに適合するもののみ。

 参加者からもこれらの内容に応じていろいろな体験が語られた。
 例えば、この日朝取りのトマトを差し入れていただいた農園経営者から、青枯れのトマトに語りかけることで立ち直らせた話など。また稲の朝露切りとは、畑の端から端まで糸を張ってピーンとはじくと朝露が飛び散る。
 声や音が植物の成長になんらかの影響を与えるのだろうか。

 4.塩沼亮潤「人生生涯小僧のこころ」(大峯千日回修行者が超人的修行の末につかんだ世界) 
 筆者は吉野・金剛寺1300年の歴史で2人目となる大峯千日回修行満行を果たす。高低差1300メートルの山道を1日で上り下りする日々を約3か月半もの間、それを9年間続けるという凄まじい修行。また、いったん行に入ったら途中で止めることが出来ない掟があり、行者は常に短刀と紐を携帯している。
 この修行の中で得たものは何か。
 生まれたときは無邪気だったものが、だんだんと欲望が芽生えいろいろな殻を付けていく。とんでもない方向に進んでいる自分に気づかなくなる。苦行を重ねることで、人の命のはかなさを知り、「人はひとりでは生きていけない」「みんな助け合って生きていかなければならない」ことに気づく。

 5.加治将一「幕末維新の暗号」(群像写真はなぜ撮られ、そして抹殺されたのか)
 
 通称「フルベッキ写真」と呼ばれる幕末志士集合写真がある。
 この中には坂本龍馬、西郷隆盛、勝海舟、高杉晋作、岩倉具視、大久保利通、伊藤博文、大隈重信など明治維新の主役が勢ぞろいしている。
 しかし、その中にフルベッキ親子という外国人が混じっている。
 この謎めいた一枚の写真から幕末ミステリーの幕が切って落とされる。
 フリーメーソンが幕末を裏で操っていたのでは? あたかもダ・ヴィンチコードの日本版だ。

 最後に時間が残り少なくなったが、主宰者から、電子書籍について、「電子で読むのが紙より良い点は?」「電子書籍が主流になると思いますか?」という問題提起がなされた。

 この読書会の魅力は、今まで目にしたことのないような本が提供され、それをめぐっていろいろな分野の人が知識を披露して語り合うことである。
 
 

金沢便り(39)新緑の山中温泉鶴仙渓(白鷺の湯)

2012-07-21 04:36:29 | 金沢便り
 金沢の山ちゃんからのフォト便り

 山中温泉は行基が発見し開湯1300年と伝えられるから、その年毎に春夏秋冬が繰り返されてきた。

 元禄2年には松尾芭蕉が「奥の細道」の道中に逗留し、「山中や 菊は手折らじ 湯の匂い」と詠み、草津・有馬と並んで「扶桑3名湯」と称えたとおり今でも湯の薫りと風光明媚は変わらない。

 露天風呂の湯面に映える深緑とともに鶴仙渓には川底が開かれ、赤い笠がせせらぎとよく似合う光景を演出してくれる。
 

 

 

 (石川県加賀市山中温泉鶴仙渓にて)

 追記(資料より)
 鎌倉武士、長谷部信連は傷を負った”白鶴”が傷を癒しているところから発見し、あらためて掘ってみたところ温泉が湧き出た言われる。この開湯伝説は後に名古屋駅・米原駅発着の北陸本線エル特急や北陸鉄道6010系電車の愛称の由来のひとつともなっている。


 19日の石川県内は高気圧に覆われて青空が広がり、加賀市栢野で33度、金沢で32.4度と8地点で「真夏日」を観測した。
 
 加賀市山中温泉の景勝地「鶴仙渓」の川床では連日、暑さをしのごうと大勢の観光客が訪れている。大聖寺川沿いの6か所に設置された川床で、観光客らが清流のせせらぎと森林浴を楽しみながら涼を感じ取った。(北國新聞より)

 石川県といえばトランポリンが日本一盛んだ。
 県内にトランポリン場が80もある。
 今回のロンドンオリンピックにも二人の選手が石川県から出場する。
 
(伊藤正樹選手)
 
(岸綾乃選手)
 メダルも期待できる。注目しよう!

エッセイ(124)文明の進化路線に逆らえるか(31)野田首相と橋下市長)

2012-07-17 08:52:45 | エッセイ
「確実に決める政治をされている。野田首相はスゴイ」
 と野田首相に対する評価を最近一転した橋下大阪市長に対し、野田首相は昨日フジテレビの番組で「切磋琢磨できる印象だ。本質をすぱっと分かりやすい言葉で話し、素晴らしい資質を持っている」と応じた。
 
 

 これにより「民主党が前回の選挙で国民から受け入れられた<国民のための生活>という理念を放棄したと批判し離党した小沢新党が、期待していた橋下氏から袖にされたことが明白となった。

 <増税反対><脱原発>など、国民に迎合して選挙に勝利することこそ最優先の課題であると主張してきた点では小沢氏と同じ立ち位置にあったはずの橋下氏がなぜここへきて姿勢を一転させたのか?

 野田首相が選挙の際のマニフェストを無視したのは、政権の座に就いて<理想>だけではいかないという<現実>に直面したからだ。
 今や日本の国民生活も、グローバルな政治、経済にグリップされている。
 国際的な影響力を無視して、鎖国的な<理想論>に身を委ねるわけにはいかない<現実>がある。
 国民生活もグローバルな国際経済競争に晒されている。

 <原発問題>も否応なく関わってくる。
 <脱原発>は人類の大きな課題として世界に問いかけていかなければならないが、現状は経済的な<国民の生活>重視に足を引っ張られているという<現実>がある。

 「橋下氏は野田首相の政策に賛成したのではなく、党を分裂させるという小沢氏の脅しを押し切って増税に踏み切った実行力に共感したのだろう。大阪市の労働組合との闘いを続けている橋下氏の直面する課題は、野田氏と同じで、日本の根強いタコツボ構造による過剰なコンセンサスを断ち切ることにある」(経済学者、池田信夫氏)
 という見方もあるが、橋下氏は評論家的な<理想主義者>ではなく、政治家としての<現実主義者>の本質を備えているという点で野田氏と共感するのであろう。

エッセイ(123)チャップリンの映画を始めて観る

2012-07-15 06:36:56 | エッセイ
 たまたま三鷹市芸術文化センターで開催されている「もう一度、スクリーンで見たい、チャップリン」のチケットをいただいたので行ってみた。
 
 彼の映画は断片的には見ているが、ちゃんとした映画としては見たことがない。
 三本立てだ。最初の二本は「犬の生活」と「のらくら」いずれも30分ほどの短編で予想通りのドタバタ喜劇だ。
 
 
 仕事探しで職安に出かけるも、同じ連中との競争に敗けて今日も仕事にあぶれ、同じように他の犬から追い立てれれている負け犬との共同生活を描く「犬の生活」。
 
 
 折から好景気でゴルフ真っ盛りの上流階級の連中のゴルフ場に紛れ込んで引き起すドタバタ喜劇の「のらくら」。
 いずれも、彼曰く。
「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇である」

 30分の食事休憩時間を挟んで、「殺人狂時代」が予定されているが、2時間以上の大作だ。
 ・・・今まで見た二本は、けっこうみんな笑っていたが、単純なドタバタ喜劇だ。二時間も持つかな?・・・
 正直、見ないで帰ろうかなと思ったが、パンフレットを見ると、チャップリン自身が自らの最高傑作と言っているとある。
 チャップリンの映画を見に来て最高傑作を見ないで帰ったんではチケットをくれた人にも申し訳ない。

 見だすと、ドタバタはなく、むしろシリアスでサスペンス映画の趣もある。才能にあふれる主人公は障害のある妻と子供のために、金持ちの女をた何人もたぶらかして殺し、金を奪う生活を繰り返す。
 
 
 チャップリンの名言からセレクトすると、
「死と同じように避けられないものがある。それは生きることだ」
「人生ってのは欲望さ。意味を考えてみたって始まらない」

 そして彼は警察に捕まり、ギロチン刑に処せられる。
 
「大量殺人者としては、私などアマチュアだ」
「殺人はビジネス、小さい規模では上手くいかない」
「一人を殺せば殺人者だが、百万人を殺せば英雄だ。殺人者だって神聖化させられる」
 などの言葉を残して処刑場に連行されていく。
 
 The Endの文字が出ると、思わず会場から拍手が起きた。

 今日から小説「雪舞う日」を連載すると予告していましたが、推敲の必要があり後回しにいたします。スイマセン。 

エッセイ(122)東京スカイツリーに上って来ました。

2012-07-11 05:40:20 | エッセイ
「東京スカイツリーに行くんだから、行き方だとか調べておいて」なんて何日か前、家内から言われていたので、何時に家を出て、どの経路で、というくらいは調べておいた。
 たまたまインターネット予約したら当たったのだ。
 ところが、前日になって、つまり昨晩、急に足が動かなくなった。
 痛くて痛くてトイレに行くのも難儀するぐらい痛い。
 20年ほど前、骨折した部分をボルト留してあるステンレス板の具合がついに支障をきたしたのか? と思うぐらい痛い。

 しかし、そういった違和感はないし、熱ももっていない。
 単なる筋肉痛かもしれない。しかし、駅までの2キロをいつものように歩いたが、他に筋肉痛を起こすようなことをした覚えはない。
 歳のせいで回復力が弱くなっているのかもしれない。とりあえず早く床に就く。
 しかし、足の置き場がないくらい痛い。
 明日は家内に一人で行ってもらわなければならないかもしれないと覚悟しながら寝つく。

 4時に目を覚ますと改善している。トイレにはなんとか行ける。
 スカイツリーにも行けるかもしれない。
「どうも筋肉痛で・・・」と弁解しながらのろのろと家内の後を歩く。
 8時にバスに乗る。最近こんなに朝早くバスに乗ることはない。ちょうどラッシュにかかっていて満員だ。
 いつものジジババばかりでスカスカの車内と違って、ワイシャツ姿の、玄葉外務大臣みたいに恰幅のいい若者達が立ち並んでいて圧迫されそう。
 総武線は始発だから座れると思ったのだが、とんでもなく混んでいる。しかも鈍行だから錦糸町まで1時間近くもかかった。筋肉痛がぶり返してきた。

 地下鉄半蔵門線に乗り換えて押上駅で降りる。
 表示板に従って何とか迷わず到着。
 いきなり豪快な東京スカイツリーが、梅雨の晴れ間の青空に夏雲を背景にしてすっこーんと突っ立っている。
 
 たくさん配置されたスタッフに誘導され、チケットを購入、20人ぐらいの単位でエレベーターに乗り込む。
 

 昔、まだ現役時代、カナダのスカイロンタワー(232M)に上った時のことを思い出す。160Mの展望台にデブスペクターに似た係り員に「だいじょうぶ」と言われながら40人も詰め込まれて上ったっけ・・・。
 同じ52秒ほどで350Mの展望台に到着。まったく揺れは感じなかったが耳がすこしビーンとなる。
 展望デッキはすでに多くの人がいたが、スムースに外を見れる。
 
 壮大な東京が眼下に拡がる。
 
 スカイツリーの外観もすごいが、この風景を見渡すことの出来るスカイツリーの偉大さに感動。高さの効用なのだろう。
 ひとり1000円を払ってさらに高い450Mの展望回廊へ上る。最高到達点までひと巡り。
 足元に眼下の街並みを望むガラス板の上にも立った。
 
「いやあ、ふるえる! ぞくぞくする!」との声もあったが、ぼくはすでに冷めていた。

 展望デッキまで戻って、押し合いへし合いの売店で、家内は孫のためにお土産物を物色する。
 そらマチで水族館を観るつもりだったが、料金が高いし、家を出てからここまで3時間半も立ちっぱなしで、筋肉痛も収まったわけではない。
 疲れを感じたので<nana's green tea>という洒落たレストランで、<めんたいことシラスどんぶり>、<まぐろとおくらどんぶり>を食べる。味噌汁と葛餅、冷たい緑茶がセットになっている。
 女性客が多い。

 ほっと一息ついて帰途につく。
 押上駅から錦糸町でJRに乗り換え、お茶の水で特急に乗れたので思いのほか早く家に着いた。
 サロンパスを貼ったのが功を奏したか、今日起きてみるとすっかり筋肉痛は消えていた。
 

三鷹通信(57)武蔵野公園でバーベキュー(2)

2012-07-03 04:10:55 | 三鷹通信
「ぼくは一度お巡りさんに捕まったことがあるんだ!」
 とつぜん作家先生が叫んだ。
 ぼくはビールよりこっちが・・・と言っていた先生は日本酒久保田を飲んでいたが、小笠原の青島の35度の芋焼酎、青酎にも「香りが独特だね」と関心を示してさらに飲み進めていた。

「高校時代に敦ちゃんというかわいい子がいてね、ぼくは彼女の家まで行ってみたんだ。
 玄関のベルを押そうとするが押せないんだ。そしたら挙動不審でお巡りさんにつかまっちゃって・・・」
「・・・」
「結局、敦っちゃんがお母さんと一緒に迎えに来てくれて・・・ぼくの初恋だよ。みんなも初恋を披露しようや!」
 

 そんな作家先生がとつぜん転調した。
「75歳にもなると、あの世を考えるね・・・」
「いや、ぼくは先生より少し年上だと思うけど、まったくそんなこと考えない」
 ぼくが口を挟んだ。
「シニアデビューしてから、引っ込み思案のぼくはできるだけこういった若い人のグループに参加している。魅力的な女性に会えることを期待してね・・・」
 ・・・人前で話すことが苦手なのでそれを克服しようという目的もあるんだが・・・

「コスモスって歌いいよね」赤シャツくんが言って、話題は歌謡曲に移った。
「詩がいいんだよね」
「最近イケメングループなどが歌っている歌詞は新鮮味がない」
「阿久悠なんか最高だね。津軽海峡冬景色からペッパー警部だぜ」
「彼は天才だね・・・」
「中島みゆきの<地上の星>もいいね。NHKのプロジェクトXの主題歌だろ?」
 

 風の中のすばる 砂の中の銀河 みんな何処へ行った 見送られることもなく
 草原のペガサス みんな何処へ行った 見守られることもなく

 理想でなく、人間の厳しい生き方を歌っている。

 そのうち鉄板奉行の赤シャツくんが締めの焼きそばを焼きだした。
 そして奥さんから電話が入る。
「お会いできなくて残念・・・。お仕事? 研修ですか?」
「キャベツなどの野菜を用意してくれたそうでありがとう・・・」
 電話が廻され、みんなが奥さんと言葉を交わす。

「いや、呼んでもらってありがとう。最近にない最高のパーティだった」
「なんとか天気も持ったわね。暑くもなく最高の日よりじゃない」
「自然の中で食べるって格別だね」
「日本は自然に恵まれているのよ。感謝しなければ・・・」
 始まってから4時間余り。
 予報通り雨がポツポツ来たのでお開きとする。

 ご機嫌の作家先生と派手お姉さんとぼくはバス。
 他はみんな自転車だ。
 大沢交差点でぼくは降りた。
 老犬を自転車の前かごに載せたまじめくんが雨に濡れながら横切って行った。


 

 

三鷹通信(56)武蔵野公園でバーベーキュー

2012-07-02 04:09:51 | 三鷹通信
 今月のミニミニサロンは屋外に出て、三鷹市の武蔵野公園でバーベキューだった。
 いつもの常連参加者の女性陣は参加しないようだし、雲行きも怪しい。
 しかし、誘った作家先生がその気になっているので重い腰を上げる。

 予め、ソーセージを持参しますと宣言していたので、三鷹駅前の大関で買う算段をしたのだが、30分に一本のバスが10時5分発なのに10時開店だという。
 開店と同時に、作家先生といっしょにあたふたと買い求める。
 朝のテレビで、もやしの効能を述べていたので、もやしと目についたトウモロコシとサツマイモも買い求める。

 目指す武蔵野公園はぼくの住んでいるマンションが面している東八道路沿いで、国際基督教大学の裏手、野川公園に隣接していると聞いていたが、知らなかった。
 
 思ったより広い。
 こんな天気だというのに駐車場は列を成している。
 噴水もあって、家族連れがたくさん来ている。奥にバーベキュー場があって、すでに10組近くのバーベキューが始まっていた。
 我々のグループはどこだろう。
 老犬を連れて行きますと言っていた仲間がいたのをたよりに探す。
 いた!。赤いシャツくんが手を振っている。

 馴染の仲間五人と初めてお目見えする女性がひとり、計6人プラス1犬で始まった。
 
すでに野菜を炒めている。「お、待望の肉、ソーセージだ」と言われたが肉気が足りない。
 赤シャツくんが自転車で買いに出かけたが30分しても帰ってこない。
 そのうち作家先生がおしっこに園内のトイレに出かけたが、これもなかなか帰ってこない。
 サツマイモとトウモロコシの処理のため、ひとり参加女性のおねえさんもいなくなった。
「ひとり、またひとりといなくなって、そのうちワンちゃんだけしかいなくなった・・・」
「アガサクリスティの世界だね」と言っていたら、サツマイモとトウモロコシをきれいにカットしておねえさんが帰ってきた。
「スイマセン、面倒なものを持ってきてしまって・・・」
 そのうち赤シャツくんが帰ってきた。
「肉を売っているのはこのへんにはなくて、小金井駅前まで行ってきました・・・」
 迎えに行った作家先生はトイレから帰る途中で見知らぬ美人としゃべっていたのだと言う。 
 
 「赤シャツくんの買ってきた肉も、奥さんが用意してくれたキャベツ美味しい」
「このサツマイモ美味しいね。とうもろこしも。もやしも正解だな・・・」
「青島の35度の焼酎もいいね。日本酒、久保田もうまいし・・・」
 盛り上がってきたところで、派手!が三つほど付く、金髪、五色のカーディガン、ブルーのタイツすがたのおねえさんが到着。
「朝早く起きて、太極拳やって、カトリックの教会で賛美歌歌ってきたの・・・。美味しいお酒を持ち込むって聞いていたから盛り上がっていて、まだ間に合うかな? と思って。いえいえ、わたしはお酒は飲まないの、あんまり食べない人だし・・・」
 これで、本格的に盛り上がってきた。

 「スイマセン。このワンちゃん触っていいでしょうか?」
 高校生だろうか? 若者がふたり16歳のすこぶるおとなしい老犬(柴犬?)を撫でている。
「近頃の若者は意外とやさしいんだ・・・」
「この頃の若者はちゃんとあいさつする子が多いのよ」
「だいたい、日本人は優しいんだよ。力の論理をもてあそぶ西洋人に比べれば」

 ─続く─


 
 

金沢便り(38)氷室開き

2012-07-01 04:13:01 | 金沢便り
 金沢の山ちゃんからフォト便りが届いた。

 6月30日・・・氷室開き
 7月1日は氷室の日・・・「氷室饅頭」と「ちくわ」を食べると無病息災で過ごせると言う。当地の風物詩。

 湯涌(ゆわく)温泉

 718年(養老2年)に紙漉き職人が泉で一羽の白鷺が身を浸しているのを見て近づいてみると、湯が涌き出しているのを発見したのが由来とされています。
 江戸時代には加賀藩主をはじめ、一族が常用しました。
 大正初期にドイツで行われた万国博覧会では、当時の内務省より日本の名泉として推薦され、出展した。

 大正時代には竹久夢二が笠井彦乃と至福の日々を過ごした。
 観光行事として「氷室」の行事が有名で1月末氷室仕込み、6月30日氷室開きが行われます。
 江戸時代には氷(雪)は加賀藩から徳川家に献上された。

 湯涌温泉・氷室
 

 源泉臼
 

 足湯
 

 竹下夢二像
 


 氷室饅頭は薄皮でひんやりした食感が懐かしい。
 
 竹下夢二の笠井彦乃。