昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(269)買い物弱者を救え!

2014-03-31 04:42:11 | なるほどと思う日々
 マネー資本主義の限界を何となく感じている日本人。
 その不安と不満を解消し、豊かさを提供する、生き方の常識を変える<里山資本主義>!
 その一例、<買い物弱者を救え!>をNHKおはよう日本で取り上げていました。
 地域の生鮮食料品店の撤退の動きが止まりません。
 いわゆる買い物弱者は850万人を上回ると言われています。
 藻谷浩介氏は日本の市町村すべてを歩いて、地域から日本を再生するアイデアや工夫を提案されています。
 

 石川県小松市では、生鮮食料品や総菜など350種類を週2回車で売りに来ます。1日におよそ50軒をまわり、5分ずつ販売する。採算は?
 実は移動販売の車を作る会社が事前に調査をしていた。
 
 この地区のおよそ1500世帯すべてを訪問、地域の集会所に行くことも困難な高齢者が数多くいることがわかった。
 
「販売車が来れば必ず買う」というところを回れば、何とか採算が合うと判断。
「値段は気にしない。どうしてもほしいからね」
 
 
 さらに、<60点>を目指す店。
 
 この店には倉庫がない。店頭の商品がすべて。
 
 スーパーでおなじみのチラシもなし。
 安く仕入れた品物を<お買い得品>として売るだけ。
 経費だけ出ればいいかなという感じでやる。
  
 客の半数は高齢者のため配達の希望も多いが配達スタッフはいない。
 団地に住む人にボランティアで配達や集金をお願いする。
 
「私たちもいずれ高齢化して、お世話になる可能性も出てくる」
 配達を通じて、住む人どうしが顔なじみになったことで、毎月開くことになったコンサートでみんなで楽しんでいる。
 


 このブログもアクセスがおかげさまで、1000を超えるようになりました。
 GOOブログの解析によると、人気記事は下記の通り。
 第1位 男の魅力<秋元康>
 第2位 女の魅力<堀北真希>
 第3位 エッセイ<死にかけた日>
 第4位 なるほど!と思う日々<ロシアとオバマの戦略>
 第5位 女の魅力<宮崎あおい>

 こんごともよろしくお願いいたします。

 

有名人(51)男の魅力(20)秋元康

2014-03-29 03:45:23 | 男の魅力
 あのAKB48の秋元康氏が昨日のNHKテレビあさイチに登場した。
 
 もちろん彼はAKB以前に小泉今日子の<なんてたってアイドル>、とんねるずの<雨の西麻布>とか美空ひばりの<川のながれのように>の作詞家として有名だ。
 しかしAKBの成功で、シングルの総売り上げが今まで1位の阿久悠を抜き、作詞家歴代1位となった。

 そもそも彼に言わすと、小学生のころ成績優秀で、東大を目指し大蔵省の官僚となり、天下りまで夢に描いていたのだそうだ。
 ところが開成中学の受験に失敗。
 <半ズボンの挫折>を味わう。
 
 しかし文章を書くことはお得意だったようで高校生ラブレターの名手だった。
 たまたませんだみつおを主人公とした平家物語のパロディを同級生の薦めでニッポン放送へ送ったところプロの目に留まり、放送作家としてアルバイトするきっかけになり、親の収入を超える稼ぎがあった。
 そして今でもお友だちのアルフィの高見沢俊彦
 (ちなみにあの高見沢も母親の勧めで厄除けのお参りをするそうだ)の<言葉にしたくない天気>で作詞家デビューを果たし、<おニャン子クラブ>の楽曲を手がけるなどして爆発的な稼ぎも得るようになる。

 高見沢に言わすと、彼は聞き上手で、存在しているような存在していないようなふわふわした存在なんだそうだ。
 彼自身、悩まないタイプで、人には相談しない、何とかなるさ、世の中にはいっぱいテーマがあるじゃないか、と前を向いて進む。
 三谷幸喜の舞台、是枝監督の映画、工藤官九郎のドラマのように才能のある人の作品に関心を持つ、そして自分の作ったものを見て自分でも楽しめるものを作るのがモットー。

 そんな彼のことはAKBのメンバーに訊いてみるのが一番だ。
 
 
「お友だちだと思ってしゃべちゃう」指原莉乃
 
「AKBの中でいちばん乙女」大島優子
 
「ちょっと強めの女の子が好きそう」高橋みなみ


 そこであさイチは指原登場のハプニングを仕掛けた。
 
「何だよ!」一瞬ひるむ秋元康!

「指原が好きみたい」という高橋みなみに、
「指原はいじりがいがあるんだ・・・」
「指原みたいなのが頑張っているから、観ているひとはみんな自分でも頑張れると思う・・・」
「プロデューサーの極意は、指原の0.1を1にすることだ!」と秋元。   
 
 秋元の目指しているのはまさに<脱・予定調和>である。
 AKBのじゃんけん選抜なんて、まさに<脱・予定調和>だ。
 今度、30歳を超える大人のメンバーを募集するという。
 採用する場合、どこに目をつけるか?
「不完全でいい。可能性を見る。今までこんな人みたことない! 目力がある! 面白そうだな!」

 そこでその気になった有働有美子さんに、
「得意技は何かありますか?」と質問。
「30分で一升飲めます!」?

 秋元は文芸春秋(2012.11)に次のように書いている。
「AKB48の中心メンバー高橋みなみは、総選挙のスピーチで宣言した。『努力は必ず報われると人生をもって証明します』と。・・・大人の僕は、努力のすべてが報われるわけではないことを知っている。しかし、彼女たちの”一生懸命さ”を見ていると、心から報われて欲しいと思う。彼女たちの一生懸命さは、実はみんなの励みにもなっている。・・・僕は彼女たちよりずっと上の世代だが、会社で嫌なことがあっても負けていられないと思った。AKB48の一生懸命さを観てあげて欲しい。なぜ多くの人たちに支持されているかがわかるはずだ。そして、大人になってしまった自分が失ったものを見つけるだろう。AKB48とは”可能性”のことである。
 /font>

なるほど!と思う日々(268)ロシアとオバマの戦略

2014-03-28 04:40:45 | なるほどと思う日々
「ロシアのクリミア半島編入という行動に際して、プーチンは明らかにオバマを脅かす行動を次々にとっていた」
 
 

 友人から日高レポートに関する情報を戴いたので紹介する。 
「米海軍の報告によると、プーチン氏はウクライナ侵略への軍事行動と前後して、米国の裏庭・キューバに最新鋭の原子力潜水艦を送り込んだ。搭載している新型ミサイルは、ホワイトハウスを正確に攻撃する能力を持っていることで知られている」
 さらに、
「米軍がアフガン戦争の補給基地としての命綱であるキリギスタンのロシア軍基地の使用を断ることを示唆した。この基地はアフガンのすぐ北側にあり、これが使えないと米軍は、1週間で弾薬が尽きてしまう」

「ロシアへの経済制裁を強化すれば、イランの核兵器開発を阻止する話し合いやシリアの毒ガス破棄計画も頓挫するのは確かだ」
「特にオバマ氏が最も恐れていたのは、戦略核兵器削減交渉の中断だった」 <核兵器のない世界>でノーベル賞を得たオバマ氏にとって、ロシアとの核兵器削減ほど重要な外交課題はない。

 「オランダで開かれている<核安全保障サミット>にプーチン氏に代わりラブロフ外相が出席することになり、また、ロシアに対する経済制裁を発表した日、ロシアの代表が戦略核兵器削減交渉で米国の核兵器基地を訪問した」
 ワシントン・ポストは「核軍縮の枠組みは崩れなかった」と大見出しで伝えた。
 交渉断絶に脅えていたオバマ氏はホッとした様子を見せた。
 
 「結局、オバマ氏の最大の懸念すべきことは、ロシアのウクライナ侵略ではなく、ロシアとの関係悪化で、核兵器削減交渉がとん挫することだ。ある昼食会で、友人の有力なヘッジファンドの社長が私にこう忠告してくれた。『尖閣とかいう、日本の小さな島は大丈夫か。オバマ氏は、他国の国土を守る気など全くないよ』と」

 まさに国際情勢の核心を突いたレポートだ。
 依然として世界は<力の論理>がまかり通っており、その中核にあるのが<核兵器問題>である。
 日本が世界で存在感を示すには、<核兵器削減>に尽力するしかない!
 あの娘はこけなかった!
 
 浅田真央さんはフィギュア世界選手権SPで、キム・ヨナがバンクーバー五輪でマークした76.50を上回る78・66の世界歴代最高点をマークした。


三鷹通信(84)春の息吹

2014-03-26 03:42:52 | 三鷹通信
 昨日、一気に春が訪れたようだ。
 暖かい。ジャンパーも脱ぎ捨てて、図書館に向かう。
 家を出ると、生産緑地地区の柵の中にピンクの桜?が満開だ。
  

 にぎやかな色とりどりの花々でいっぱいの花壇。
 

 おっ! 空を仰ぐと青空を背景に白い花。木蓮かな?
  

 桜!?
  
 大写しにしてみると、梅かな?

 これは、また?
 

 道端のかわいい白い花。
 

 黄色いのはレンギョウかな?
 

 新しいお宅にも桜!
 

 こちらの黄色いのはマンサク?
 

 図書館の花壇の春の花々。
 
 

 図書館前の桜並木もつぼみが色づいている・・・。
 
 一気に春めいて、気分も高揚する!

 日米韓首脳会談実現。三国の間に春は訪れるのか

 
  
 

なるほど!と思う日々(267)ユニークな東京の雑居ビル

2014-03-25 05:45:21 | なるほどと思う日々
 東京には必見の価値がある雑居ビルがある。
 先ず、ご存じ秋葉原にある<アメ横センタービル>
 
 この地下街に行けばアジアのエスニック食品などがあふれている。
 

 思いもかけないものが見つかるよ!
 
 そしてサラリーマンの聖地、新橋駅前の<ニュー新橋ビル>
 
 仕事が終わった後の一杯飲み屋はもとより、昼は行列のできるお食事処もいっぱい。
 
 

 ユニークなのは、五反田の<TOCビル・東京卸売センター>だ。
 
 一見、だだっ広くてお客が少ない。
 
 それもそのはず、一般客お断りのお店経営者向けの卸売専門センターだ。
 
 小売店を経営しようという意図のある人は、ここへ来ればどんな商品だってそろっちゃう。
 駐車場も万全だ。
 
 (一昨日、どこかのテレビでやっていた。なるほど!知らなかったと思ったので、見ていなかった人のために・・・) 

なるほど!と思う日々(266)力ずくの世界を日本は正せるか

2014-03-23 06:03:10 | なるほどと思う日々
 4月1日に100周年を迎える宝塚の公演が21日、ピンクのバラ100本をイメージしたラインダンスを披露して始まった。
 
 わが、宇宙からの使者<レロレロ姫>は人間の男どもの興味の関心は「戦争ごっこから女の脚」へと移ったと喝破した。
「AKB48にしてもそうじゃないか!」と。
 
 (たしかに平和な国日本では・・・)

 しかし、現実は異なる。
 ロシアのクリミア半島編入事件のように、依然として<力>による攻防が世を支配している。
 
 (一時人気が落ちたプーチン大統領の国民的人気がこれで大きく持ち直したそうだ)

 我が国における領土問題の解決も展望が見えない。
 
 (最終的決着は<力>によるしかないと見られている)

 前回の<なるほど!と思う日々>でも述べたように「チェンジ、調和による世界へ」と登場したアメリカのオバマ大統領も今や影響力を失っている。

 そんな状況を打開するために、敢えてオバマは今回腰を上げたようだ。
 先ず、覇権的な姿勢を露骨に示す中国をけん制するために、チベットのダライ・ラマと会談をしたり、オランダで開かれる<核セキュリティサミット>へ出席する前に欧州・中東を歴訪して、強硬な同盟関係を再確認、パワーむき出しのロシアに対して包囲網を形成しようとしている。
 
 
 また北朝鮮の<力>による脅威に対抗するため、歴史問題でぎくしゃくする日韓の仲介役も果たし、さらに日米で核テロ防止のための共同声明も用意しているという。
 
 

 このような状況下、日本はどう行動すべきか?
 武力による備えをしながらも、事を<戦争ごっこ>に持ち込まないように、女の脚でも何でもいいから、ただひたすら<ソフトパワー>によって人間どもの頑なな気持ちを懐柔していくしかないのでは?
 

 

エッセイ(199)英語落語にかぶれた日

2014-03-22 03:29:16 | エッセイ
 昨日は朝からそわそわしてたね。
 何しろ中学校の同窓生のEくんが英語落語のお披露目をするってんで、ご招待に与ったんだ。
 1時間も早くお披露目会場のある両国駅に着いちゃった。
 まあいいか。国技館や大江戸博物館などもあるし、ちい散歩の気分で時間をつぶすか。
 両国ってえと何十年か前に、隅田川の花火見物で来たことがあったっけ。
 しかし駅も随分変わっちまったね。
 改札を出たら、横綱白鵬の優勝掲額がで~んと飾ってあってその下には力士の手形が飾ってある。
 双葉山や大鵬のものまである。
 子ども連れのオヤジが自分の手を合わせていた。気持ち分かるな。
 
 国技館の前では力士たちに会えるかな? なんて思っていたが、オレってバカじゃないの、今は大阪場所じゃん。
 
 それでも何人かいた観光客とともに写真をぱちり。
 さて、総武線をくぐって、目指す<お江戸両国亭>に向かう。
 おっ! モンゴル料理屋があるぜ。
 
 なんたって、今や大相撲は横綱白鵬、日馬富士を始めとするモンゴル勢に蹂躙されてるからな。今場所も横綱を目指して大関鶴竜が活躍してるし。
 
 京葉道路にともかく出るんだな。地図を見ながらゆっくり歩いていたが、それらしき建物が見つからない。
 地図には本所署のとなりみたいだが、そんな警察署は見当たらない。あとで確認したら今再建工事中なんだそうだ。
 それでもあった、あった、お江戸両国亭ののぼり旗が。
 
 彼の出演する第2幕にまだ30分前だったが入場する。
 やってる、やってる、インターネットで見た創始者の鹿鳴家英楽師匠だ。
 
 スマートだね。

 さて、いよいよわが鹿鳴家沙夢くんの出番だ。
 おなじみの白髪が輝いている。
 
 ちょっと緊張しているかな? と思ったが、持ち前の声量が会場を充たす。
 お題は<からぬけ> 与太郎がなぞなぞで賭けを仕掛けられて、結局おちょくられる話だ。
 分かりやすい。
「英語の台本があるの?」後で訊いたら、あるんだが自分なりに味付けをしているんだそうだ。
 何しろ、彼は大企業に勤め、イギリスの子会社の社長も経験して英語はばっちり。
 参考に、彼は退職後、ジャイカから派遣されてベトナムに企業経営の指導に行っている。
 (その際のことは左欄のカテゴリー<ベトナム通信>でご覧ください)
 声がいいし、いい趣味を見つけたもんだ。

 このキャナリー英語落語会を立ち上げた英楽師匠に少しお話を伺ったが、この会を初めて8年余り、現在では小学生から80近いお年寄りまで40名以上の会員がいるそうだ。
 今回もこの三連休で38名が出演する。
 この会の活躍ぶりは、左欄ブックマークに<日経電子版>を転載いたしましたので、ぜひご覧ください。Eくんもインタビューを受けています。
 かつて桂枝雀師匠が英語落語で名を馳せたが、この会のさらなる隆盛を期待したいね。
 
 





なるほど!と思う日々(265)オバマ政権の弱体化

2014-03-20 03:50:43 | なるほどと思う日々
 ロシアが編入したクリミア半島で、親露派の自営部隊が9日、ウクライナの黒海海軍基地を相次いで制圧した。
 ロシア側はクリミア半島に残留する1万5000人規模のウクライナ軍を排除することで編入を既成事実化する作業を始めた。
 

 「プーチン大統領が他国にむき出しの武力侵略を行った。
 
 その後もあらゆる力を行使してオバマ大統領やケリー国務長官を翻弄している。
 断固とした決意を持って行動しているプーチン氏に対し、オバマ氏は何もできないでいる。オバマ氏は世界戦略を全く知らないからだ。更に先週フロリダ州の補欠選で、オバマ氏が推す著名な政治家が共和党の無名の候補に敗れた。
 これはオバマ氏に対する米国民の強い不信感の現れで、秋に行われる中間選挙で、民主党が大敗し、共和党が上下両院で多数を制するのは明らかだ」(3/20日高レポート)

 我が日本は当然のことながら、「力を背景とする現状変更は認められない」という欧米サイドに追従している。

 ここで、小生はスターリンの言葉を思い出した。
 
「外交の基本は何か。言葉と行動の峻別である。良い言葉は悪い言葉の隠れ蓑だ。誠実な外交など乾いた水、木でできた鉄と同様ありえない」

なるほど!と思う日々(264)過疎の島こそ21世紀のフロンティア

2014-03-18 05:53:57 | なるほどと思う日々
 今や大企業を見限って過疎の地域へ飛び込む若者が増えている。
 そんな町の1つが、瀬戸内海に浮かぶ周防大島だ。
 

 大半を山地が占めているが、温暖な気候に恵まれ柑橘類の栽培が盛んだった。
 しかし、高度経済成長期、日本はこうした島々の活かし方を間違え、大量生産・大量消費のシステムに組み込もうとしてきた。
 国は1961年、農業生産の増大・合理化を目指して<農業基本法>を策定。
 みかんをお金になる作物として大規模化を推奨した。
 この島で長く続いていた少量多種品種による自給自足的な農業から、誰もがみかんを栽培するようになった。

 しかし、みかんの需要は国が期待したほど伸びず、オレンジやグレープフルーツの輸入自由化もあって、生産過剰となりジュースや缶詰などの加工用に振り向けざるをえなくなった。しかし加工用のみかんは生食用の10分の1以下に買いたたかれ、みかん農家の多くの経営が成り立たず、若者たちは次々と島を後にし、段々畑は荒地へと変わっていった。

 しかし、今、瀬戸内の島が若者たちにとってフロンティアとして生まれ変わろうとしている。
 松嶋匡史さんが周防大島で挑戦している、カフェを併設したジャム屋さん、<瀬戸内ジャムズガーデン>は先進的な成功事例だ。
 
 そこに座れば大きな窓から瀬戸内海に浮かぶ島々を楽しむことができる。
 しかも多数訪れる観光客のお目当ては四季折々の手作りジャム。
 春はいちごにサクランボ。夏はブルーベリー。秋はいちじく。そして冬はみかんやりんご。
 風味付けもバニラ、シナモン、ラム、紅茶、チョコレートなどなど、100種類以上。

 もともと京都出身の松嶋さん。2006年、勤めていた電力会社を辞めてIターン、東京から周防大島にやってきて店を開いた。
 きっかけは2001年、新婚旅行で訪れたパリのジャム屋さんだった。
 色とりどりの瓶入りジャムが並んでいた。
 奥さんがお土産用に買った30個ほどのジャムを帰国後、ほとんど開封し自分で食べ比べしてしまった。
 それで完全に火が付いて「ジャム屋」をやりたいとなったのだ。
 奥さんは夫の妄想に過ぎないと夫の説得を3か月スルーしていたのだが。

「まさしく妄想ですね。でもそういうところから革命は起こるんです」と夫。
 ジャムの作り方を1から独学する傍ら、当初はおしゃれな店を京都にと考えていた。
 ところが、話を聞きつけた奥さんの父親で周防大島で寺の住職をしている白鳥文明さんから周防大島で店を開いてもらえないかと言われたのだ。
 
 地元の柑橘農家から新しいジャムのアイデアをもらい、東和金時というサツマイモをジャムにし、<焼きジャム>という新たなジャンルを開発したりした。
 そして、なんと「原料を高く買う」「人出をかける」という発想で成功したのだ。
 その辺の詳細は「課題先進国を救うモデル、その最先端は”里山”にあった!!」と謳う、藻谷浩介・NHK広島取材班<里山資本主義>をご覧ください。

三鷹通信(83)読書ミーティング(6)

2014-03-17 09:46:10 | 三鷹通信
  現役編集者が主宰する今年2回目の読書ミーティングに参加した。
 今回、「こんな本に出会えてよかった」と最初に推薦されたのは、乗り物大好きの女性からの<大砲とスタンプ>。
 
 作者、速水螺旋人によるこの会初めてのコミックだった。
 共和国(トルコがモデル?)と交戦中の大公国(ロシアがモデル?)には、陸海空の三軍の他に、補給・輸送を任務とする兵站軍がある。
 そこの将兵は、命の危険が少なく、デスクワークが多いことから<紙の兵隊>と蔑まれていた。
 そこに赴任した女の子の少尉が活躍する物語だ。
 几帳面な性格で、各種文書を重視し、ことあるごとに「責任問題」を口にする。
 気が動転したときは報告書を作ることで落ち着くという女の子だ。
 推薦者によると、ミリタリーメカに長じた細かな絵に魅かれたというが、主人公が懐中汁粉が大好きだったり、<イタチもどき・スタンプ>というペットがいたりと、軍隊なのに血なまぐさい場面ではない、組織内の人間関係描写に、女の子でも魅かれるのかもしれない。

 *10万部も売れているそうだ。ともかく最近のマンガにはとんとうとい小生も読んでみたくなった。

 続いて小生の推薦による、開高健の<夏の闇>。
 
 なにしろ、田辺聖子が戦後日本文学の三筆(安岡章太郎、井伏鱒二)と評価し、かの司馬遼太郎が画期的な戦後日本文学の金字塔と評した開高健の代表作である。
 彼の芥川受賞作<裸の王様>にはインパクトを覚えなかった小生も、ベトナム戦争における体験を生々しく描いた<輝ける闇>と、ベトナムから帰った後、自己を見失った彼が、ただひたすら眠り、貪欲に食い、10年ぶりに会った女と繰り返し性に溺れる日々を描いた<夏の闇>の饒舌な表現力にはただただ括目するのみだった。
 下記にその一幕を。
 ふいに女が体をひいた。腹と腕から何かを剥がれたようだった。私は軽くなり、シーツのなかに空洞ができた。ふりかえると小さな灯りのなかでたちあがる広い腰と白い臀が見え、女はゆくりとした足どりで闇のなかに入っていった。どこかでかすかな金属の軋る音がし、爽やかな微風が騒音といっしょに流れこんできて、あちらこちらにあざやかな縞をつくった。しかし、女が体をひいた瞬間に発生したざわめく林のようなものは見る見る部屋いっぱいにひろがり、風に消されなかった。女はそのなかを酒瓶をさげてゆっくりとよこぎってくると、私のよこにたたずみ、からっぽのグラスにぶどう酒をついだ。
「またあそこへいくつもりね」
「・・・・・」
「私から逃げたいことがひとつね」
「・・・・・」
「いきいきしてたわ」
「・・・・・」
 ひっそりとつぶやいたが、えぐりたてるような痛烈さがあった。

 
 次の推薦本は、お役人を経験した方から東京電力福島原子力発電所事故調査委員会による<国会事故調報告書>。
 
 異色である。
 原発事故後、憲政史上初めて、国会に、政府からも事業者からも独立した民間人による事故調査委員会が設置された。2012年7月5日に衆参両院議長に提出された事故調査報告書の本編をノーカットで刊行。
 事故の根源的原因を3.11以前の東電や規制当局の不作為による「人災」と断定。
 事実の積み重ねによって、規制する側が規制される側の虜になっていたことを明らかになるなど、国内外に強い衝撃をもたらした歴史に残る調査報告書。

 *原発は人災、マスコミ発表はザル、利益と安全は天秤に掛けられた。
 *国会のやりとりは役人が台本を作る(質問する野党も、答える与党も)
 *随所に過激な表現がある。
 *ちなみに外国人が大量に買って行ったという。

 続いて、講師から<ロングセラー>と<ベストセラー>について。
 前回の夏目漱石<こころ>に次いでロングセラーの新潮文庫歴代累計第2位は太宰治の<人間失格>。現在650万部、20世紀までは1位だったそうだ。
 
 女へのもてぶりがすごい主人公、太宰自身の人生を色濃く反映していると言われる。
 最近版の表紙を見ると、何故売れるかが分かるような気がする。
 未熟な若者にとって、先ずタイトルが魅惑的だ。
 ちなみに、三鷹市には彼が入水自殺した玉川上水があり、桜桃忌で有名な彼のお墓のある禅林寺がある。
  

 <ベストセラー>として渡辺和子<置かれた場所で咲きなさい>が紹介された。
 
 「謙虚に日々を大切に」
 「自分が他人にやって欲しいことを自分からやりなさい」
 「自分からほほえみかけなさい」
 「心の余裕をもちなさい」
  という内容が読む人に訴えるのは、
  2.26事件で父が殺されるところを目の当たりにし、洗礼、苦学、留学、36歳の若さ で学長就任の苦労、うつ病というキャリアが説得力となっているのでは。
 
 2013年販売ランキング総合10位、現在も売れ続け、100万部超の86歳のシスターが得生き方指南本。

 いずれも、戦争、震災にかかわる本でした。
 現在小生がもっとも関心を思っていることは、これからの日本、これからの世界についてです。
 今、ひとから紹介いただいて手もとにあるのは<里山資本主義>、そして<永続敗戦論>です。
  
 他にもご紹介いただければ幸いです。