昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

小説<手術室から>(11)村上晶先生(3)

2015-08-11 03:31:18 | 小説・手術室から
「下田先生のご紹介ですね・・・」
 村上晶先生は秀三の方にいっさい顔を向けないで、紹介状の内容と検査データに目を向けたままぶっきらぼうに言った。
 
 スピーカーで聞いた明るい声の印象と違って、ちょっと意地悪そうだ。
 思ったより若い。40歳前後だろうか。

 秀三ははるか昔の高校生時代の同級生を思い出した。
 県外からも優秀な生徒を集めた地方の有名校だったので、見るからにシャープで頭の良さそうな華やかな女子生徒も多い中、その小柄な生徒は教室の隅っこでいつも黙々と本を読んでいる目立たない女性だった。
 
 ところが最初の一斉模擬試験で、えっ?彼女が!という優秀な成績でみんなをふり向かせた。
 それ以来彼女は秀三の意識の片隅に棲みついている。

 ─続く─

 <好奇心コーナー>
 

 美智子皇后が心臓に違和感があるということで検査された。
 
 生活習慣病に罹っている人は日ごろの体調に気をつけられた方がいい。
 
 
  
 心筋梗塞になる恐れがある。