昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

三鷹通信(33)三鷹の埋蔵金を掘り出せ!

2011-02-21 06:28:01 | 三鷹通信
 地域のシニア活性化活動で全国的にも大御所の<すこや>さんからお勧めいただいたので法事を終えるなり駆けつけた。
 すでに三鷹産業プラザの7Fの会場は100名近い人たちでいっぱいだった。

 三鷹の課題を探し出せ! 
     ~地域課題解決のプラットホーム~
 地域がまちづくり活動を展開する市民が連携することで多くの異なる課題(問題点)を可視化し解決策を探るキックオフイベントです。


 地域のシニア活性化運動では全国的にも最先端を行く三鷹市がさらに次のステップへと踏み出すという。
 まだまだその点、小学校の<囲碁教室>と<童話教室>のサポートでぼくは足を踏み入れたばかりだ。
 みんなの熱気に圧倒されそう。

 まず、5つのテーマで事例発表が行われる。
     ①放課後の子供をどうするの?
     ②あなたはご近所に頼れますか?
     ③認知症にやさしいまちですか?
     ④地域・食・農をどうつなぐ?
     ⑤地域参加始めの一歩、二歩目はあるか?」

 各自は関心のあるテーマを選び4~5名づつのテーブルに分かれて<ワールドカフェ>という方式で討議する。
 

 最初に登場したのは、なんとシニアではなく29歳の若者だった。
「自分はある人に似てるって言われるんです」
 なかなかインパクトのある導入だ。そして、桜井翔、有吉対照的なタレントの写真を自分のと並べて表示。 ・・・ウン、そう言われれば・・・ 引き込まれる。
 彼は教育、研修などをターゲットに企業などに売り込んでいるIT事業を経営するH社長だ。
 フォーマルな学校教育に対し、インフォーマルな地域教育を!と。
 しかも、技術と責任を持つプロを!と。


 ぼくは当然ながらこのグループに参加した。
 H氏の基調見解に対し、意見が交わされる。
*マンネリ化して子どもたちに退屈な授業にシニアの体験を基にした刺激を!
 *学校の授業の半分はシニアに託すという教育改革を!


 ②のグループにも参加した。
 基調報告を行ったTさんは、<みんなのブックカフェ>で子どもたちに読み聞かせしたり<みたか油田プロジェクト>を立ち上げて家庭から廃油を回収、業者に売却したり、その油を使って<キャンドルナイト>なんてイベントまで行っている。

 

 その他、地元の大学生と連携して<茶道>や<初笑い寄席>を地元で眠っている公民館を活用し、町内を活性化せよ!と。

 *討議では<町内会をぶっとばせ!>なんて過激な意見も飛び出た。
 「町内会って何やってんの? バス旅行のグループ?」
 「でも、公的には緊急時の核の役割があるみたい。行政とつながってるのを活用する価値はあるわね」
 

 ③<認知症>って3割の人が罹っているんだ。
 明日はわが身だ。
 それを治そうというんじゃなくて、その人たちとどう向き合うかという課題があるんだ。いろんなセラピーの対応策が語られた。 

 ④<地域・食・農> 何と言っても食は人間にとって最重要な課題。
 「おいしく食べる」、「地元の農産品を見直そう。道の駅、街中版を」
「地元産品を売りにしたレストランなんかもいいね」

 
 そして締めは<すこや>さんの<二歩目はあるか> 
 <ただならぬ>シニアを目指して、<シニアSOHO普及サロン・三鷹>を全国に先駆けて立ち上げたが、今や75歳の超高齢者が全国で1470万人を数えるという。
 もう重大な<社会問題>化している。
 <ノン・ワーキング・リッチ>お金も知恵もあるのに働かない。
 これら地域の埋蔵金を掘り起こそうというわけだ。
 <生きがい><やりがい><ナイスガイ>で行こう!
 

 「次の仕事は何?」
 そう言って人生を終える。それしかないか。
 いやはや、刺激的な一日だった。

三鷹通信(32)ふたつの会合

2011-02-18 06:13:01 | 三鷹通信
 昨日はたまたま二つの会合があって、しかもぼくがスピーチする機会を与えられた。
 ひとつは小学校の<童話を書こう教室>、もう一つは<大学のF名誉教授のサロン>だ。

 童話教室は、前回1名しか参加がなくて今回の参加人数が危ぶまれたが、PTA会長Kさんのご努力で20名以上集まった。
 前回の反省から、何とか次回も参加してみようという気になる試みをと考え、<こわい話>をすることになった。

 冒頭に、はやし先生とぼくが関わりを持つようになった経緯を説明した。

 先生の講演を聴いたのがきっかけで、先生に関心を持ったぼくは先生のことをいろいろ調べてみた。
 松本零二氏のマンガで有名な<銀河鉄道999>を小説化してベストセラーになっている。もともとラジオやテレビドラマの台本を書いたことから初めて、<ロビンソンクルーソー>や<エジソン>など子供向けの本も数多く出している。艶笑ものなどもあって巾が広い。
 講演のテーマも<日本の女性が世界を変える>などユニークだ。
 ぼくは大学の同窓会で<アインシュタインの予言─やがて日本が世界をリードする>という講演を依頼したのがはやし先生とのお付き合いのきっかけだった。

 そして先生の、こどもたちに勇気を与えたい、才能を発見したいというご意向を受けて小学校の<囲碁教室>に参加していただき、<童話教室>の発足となったのだ。

 ぼくは先生について簡単に説明した後、子どもたちの興味を引くために、<こわい話>をした。
 だいたいグリム童話などもそうだが、本来童話の中身は<こわい>話が多い。
 赤ずきんに狼が出てきたり、白雪姫が毒を盛られたり。
 まだ子どもたちが見ていない大人たちのこわい現実をお話にしている。

 ぼくは、童話を書く参考にと、陰謀を図る昆虫<トゲアリ>の生態について話した。
(詳細は昭和のマロの考察・経営・ビジネス(4))
 子どもたちは真剣に聞いてくれた。
「トゲアリよりこわい動物って何だ?」「ライオン」「ハチ」いろんな動物が挙げられた。
「実は、人間なんだよ。いちばんずるっこいのは・・・」
 
 その後はやし先生の指導で原稿用紙の書き方の説明があり、「何でもいいから書いてみよう」と生徒たちに原稿が渡された。
 最初しぶっていた子どもたちもやがて集中して、中にはマンガを入れたり何枚も原稿を追加して書く子もいて、1時間の予定時間はあっという間に過ぎていった。
 
 <Fサロン>では、<みなさんの経験していない体験談>と題して話した。参加者は25名。
 ほとんどの方は大企業だが、ぼくが小企業に勤めたために綱渡り的な体験が多かった。
 
 入社早々に担当した輸出タンカーの艤装品の輸入の仕事で、進水式の前に取り付けなくてはいけないエコーサウンダーの到着が遅れ、沖仲仕のストライキで神戸沖に停泊する船から引き取れない。
 当時沖仲仕を仕切っていたのは山口組だった。さて?
 
 ある朝、会社に出勤すると神奈川県警のおまわりさんがいっぱい。
 プラントの輸出違反が摘発されたのだ。
 担当者と、専務が牢屋にぶち込まれた。
 ほんとうはこの担当はぼくがやることになっていたのだ。

 新居浜からクレーンを輸出するのに書類が間に合わない。ぼくは羽田から伊丹、そこから水上飛行機で新居浜まで運んで間に合わせたこともある。
 
 社長と初の海外渡航で、ドイツ・ハノーバーの工作機械国際見本市見学を決定したのが急だったので宿が決まらないまま出発。
 おまけに飛行機のエンジントラブルで4時間も出発が送れ、ロンドンでの乗り継ぎ便も逃す。
 しかし、別なハノーバーへの乗り継ぎ便にたったひとり乗っていた日本人に声をかけ、その人の宿泊する民宿に泊めてもらうことになった。

 振り返ってみると綱渡りを乗り越えられたのは「運が良かった」のだろう。
 あえて、大企業に決まっていたのを振って小企業に入ったのだが、それなりに楽しい社会経験だった、というようなことをしゃべった。

 F教授のお話は、日本で最もユニークな創造的経営者<小林一三>だった。
 鉄道敷設に合わせて沿線の住宅開発、宝塚歌劇場を核とする一大遊園地、ターミナルデパートなど、様々な関連企業を集結させた事業は、その後、東急電鉄、今日のJRにまで影響を与えている。
 何といっても、消費者ニーズを先ず考えるという点で従来の経営者的発想に比べると今日的であるという、なるほど!納得のお話であった。

 ちなみに、はやしたかし先生もどうしてもとおっしゃるのでサロンに参加していただいた。
 ぼくにとっては忙しいながらも、充実した一日だった。
 

エッセイ(44)ネット囲碁

2011-02-05 05:35:26 | エッセイ
 商業ネット囲碁組織と提携したことで、会員を紹介すると1割のマージンが入るという特典もあった。

 つまり、個人的に入会して月2500円払うと毎日何局でも打てる。その紹介者であるシニアSOHOに月々250円の仲介料が入るという仕組みができたのだ。
 10人紹介すれば、年に3万円、100人なら30万円が自動的に入金される。

 そもそもこのグループは、シニアSOHOのH副代表が「遊びのサークルがあってもいいのではないか。囲碁ならシニアの頭の活性化にもなるし、ネット囲碁をやることでパソコンに慣れるということも期待できる」という提案を受けて立ち上げられた。
 講座を立ち上げ、参加者も10人、20人と増えていった。


 大型スクリーンを見ながらプロ棋士と、我々が交互に一手づつ対応し対局したこともある。
 最後プロが「これでは地がたりませんね」とチャットしてきて、我々はプロに勝ったと快哉を叫んだこともあった。
 
 それが単なる遊びではなく、ビジネスになるのではという期待も膨らみ、また地方の同じようなグループと交流、さらには世界の囲碁仲間との交流もと夢は膨らんでいった。
 インタビューを受けて、<幸福な定年後>という本にも載った。

 しかし、想いは果てしなかったが、身体を張ってまで実行しようということにはならなかった。
 そのうちこのグループは囲碁をそっちのけにして、雑談会へと変質していった。
 メンバーは現役時代経済界で活躍した連中だったので、話題は経済界の現況、そして身近な健康の問題、あるいは政治へと広がっていった。
 
 ぼくはこれを機に、<なるほど!>と思う事柄を見聞きすることに関心を傾斜していく。
 つまり、実社会を引退したシニアの典型的な行動のひとつだと思うが、空(くう)をさまよう、行動なき日々へと埋没していったのだ。
 

エッセイ(43)シニアSOHO普及サロン・三鷹

2011-02-04 05:00:05 | エッセイ
 20世紀も押し詰まった1999年12月、大学の先輩に勧められてその年に立ち上がったシニアのグループに参加した。
 40年あまり勤めた会社を早めに切り上げて、これからは思い通りの希望に満ちた人生が始まると意気込んでいたが、それをどう具体化すべきか壁にぶつかっていたところだった。
 初めて参加した交流会の模様を読売新聞の<あなたの街、あなたが記者>という欄にぼくは投稿している。

 「地域の知的ビジネスが参加する情報横丁」という三鷹市のシニア・ベンチャー交流会の1回目が12月2日に開かれました。<シニアSOHO普及サロン・三鷹>の活動の一つですが、私も誘われて初めて参加してみました。
 この新しい時代を予感される集いの噂を聞きつけて、遠くは千葉からも、シニア(55歳以上)やサポーターの若者50人以上が参加し、狭い会場は熱気に包まれていました。 今後、三鷹市では毎年1万人以上のシニアが退職して企業から地域に「帰ってくる」見込みで、全人口の半分以上が55歳以上という時代が目前です。
 サロンのH代表の言葉を借りれば、いまや、「お年寄りを大切に」、などと頼っているわけにはいきません。
 シニアも現役としての意識を持ち、自立しなければならないのです。
 参加されたシニアの自己紹介では、「オンラインで株式投資」、「性格診断テストをネットで事業化したい」とそれぞれの抱負が続きました。
 こうした気概に触れてみると、そのうち自分のやることが見えてくるような気がする刺激的な交流会でした。
 サロンでは会員の自立のための<PCアドバイザー認定研修>を開いたり、第2回交流会を1月20日に開催するとのことです。
 そんな私のようなシニアのみなさん、ぜひサロンを覗いてみてください。
 


 ぼくはこの会に何かをやろうと具体的な意図をもって入会したわけではなかった。
 退職後ぶらぶらしている姿を見かねた妻に後押しされ、たまたま先輩に誘われてこのサロンに入会、囲碁に関心のある仲間とともに<ネット囲碁クラブ・三鷹>を立ち上げた。
 パソコンはどうも、というシニアが多いので、シニアが好きな囲碁でパソコンに馴染んでもらおうという戦略を立てた。

 たまたま三鷹市がIT関連専用ビルとして建設した三鷹市産業プラザのアイカフェに設置されたパソコンを利用してネット囲碁を楽しみながらパソコンに慣れてもらうという講座を開設したり、世界最大級の商用囲碁ネット組織と提携し、このアイカフェのパソコンで利用者に世界の囲碁愛好者とネット囲碁できる仕掛けも作った。
 当時ITを重要な施策と位置づけた森首相も視察に見えるなど一定の成果を上げた。

エッセイ(42)映画・ソーシャル・ネットワーク

2011-02-03 05:46:46 | エッセイ
 プロデューサOさんとすこやさんのブログで取り上げられていたことに刺激されて、早くも本年度No.1の呼び声高いという<ソーシャル・ネットワーク>を見に行った。
 冒頭、舞台はハーバード大学構内の食堂。
 世界最大のソーシャル・ネットワーク・サービス<フェイスブック>を立ち上げたといわれる19歳のマーク・ザッカーバーグが、憧れる美しい女子大生エリカにバカにされている。

 夕闇迫る構内を寮に向かって走るマーク。
 自室に戻るや否やパソコンに取りつく。
 見くびられた彼女に見返さなければという衝動から、大学の寮に住む女子大生たちを片っ端からピックアップ、彼女たちを品定めするという興味本位のサイトを立ち上げることから<フェイスブック>は始まった。

 <フェイスブック>はたちまち学内を越えてアイビーリーグ、シリコンバレー、そして全世界へと広まる。
 その過程で天才と持ち上げられ、裏切り者と誹られ、危ない奴と言われた男が世界で何億という友だちを創り、最も若い億万長者へと変身していく。

 そして最後のシーン。

 功績を示す数々の数字が流れる字幕を前にして、マークはただひとりパソコンに向かい、エリカのフェイスブックをじっと見続ける。

 「今世紀を代表する1本が遂に出た!」
     「最先端カルチャーをみごとに描き出した傑作」
     「フィンチャーが再び送り出した、こころに残るエンターテインメント」
   パンフレットに賞賛の言葉が並ぶ。

 ぼくは、なぜか<トゲアリ>のことを思い出していた。

 昭和のマロの考察(102)ビジネス・経営(4)で詳しく触れたが、自らの利益のため、信じられない策略を立て、他のアリの巣を乗っ取る<トゲアリ>の生態がダブったのだ。     
 人類が政治、法律、宗教など叡智を駆使して創り上げた文明社会の、陰謀、策略、裏切りが渦巻く現実は、<トゲアリ>の社会となんら違いがないではないか、何にも進歩していないではないか・・・。と。