昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(69)文明の進化路線に逆らえるのか(9)

2011-05-31 07:00:26 | エッセイ
「遅くとも2022年までに現在電力供給の23%を担っている原発から脱却する」
 メルケル首相は「ドイツにとって大きな挑戦だが、未来への巨大なチャンスでもある」と述べ、効率的で環境にも優しい新エネルギー分野での先駆者を目指し、脱原発へ取り込む決意を改めて表明した。

 はたして確たる裏付けはあるのだろうか?

「原子力から可能な限り早く脱却するのはドイツではすでに国民的合意だ。だから私たちも政治の決定を受け入れる」
 産業連盟エネルギー・気候政策委員長、グリューネバルト氏は「ただ、産業界にとっては、安定的な電力供給と国際的な競争力を維持できるエネルギー価格は守らなければならない」と続ける。
 「代替手段を17年までに作り上げるのは現実的に困難だ。脱原発と地球温暖化対策、そして再生可能エネルギーの促進、この3点を同時に追い求めることは、電気料金の上昇などにつながる恐れがあることを指摘。
 新エネルギーを生産するための素材、鉄鋼やアルミニュームの製造には大量のエネルギーが必要となる。
 もし高いエネルギー料金のためにこれらの産業がドイツ国内で成り立たなければ優位性も失われてしまう」
 と懸念している。

 ドイツのお隣り、美しき観光国オーストリアでは憲法に原発建設禁止が明記された。1200億円費やしたツベンテンドルヅ原発は国民投票で1%未満の差で「お蔵入り」となってる。
 同国では約60%を水力、30%を火力、約6%は近隣諸国の原発による電力を輸入している。福島原発事故以来世論の高まりを受けて、自然エネルギーの開発を目指し、2015年までに原発による電力の輸入に全く頼らなくするとの目標を掲げた。また、原発を持たない他の欧州諸国に呼びかけて「反原子力会議」を発足させ、ポルトガル、ギリシャ、アイルランドなど11か国が5月25日ウイーンに集まり、欧州全体の脱原発をめざす<反原子力宣言>を採択した。

 ウクライナを含む中・東欧7か国で稼働する原発は34基、多くが70~80年代に建設された旧ソ連型だ。こうした老朽原発が国境を挟んで数百キロに点在していることも、オーストリアを神経質にさせている。
  
 この地域の原発の多くが活断層の近くに位置し、耐震の安全性が疑わしいとみられ、ほとんどが川沿いにあるところから、地震で上流のダムや堤防が決壊すれば、福島と同じ事態に陥る可能性があるとも言われている。

 こうした旧共産圏の国の多くは今も、ロシアから冷戦時代のパイプライン網で天然ガスなどの供給をうぇている。一方でたびたび供給停止の憂き目にあっており、エネルギーの<脱ロシア化>に原発は欠かせないという事情がある。

 チェルノブイリ事故を体験しながら、現在も15基が稼働するウクライナのアザロフ首相は「金持ちの国だけが、原発閉鎖の可能性を議論できる」と語った。
 
 しかし、ドイツが原発からの脱却を目指すことを決意したのは、おそらく金持ちだからということではなく、<文明をリードする>国民という自負から発したことだろうと思っている。
 このことについてはこれから触れていきたいと思っている。


エッセイ(68)文明の進化路線に逆らえるのか(8)

2011-05-30 05:20:54 | エッセイ
 「海水注入中断はしてなかった」
  官邸の指導で中断したのでは? 中断して被害を増大させたのでは? と言っていたのが一転、現場所長の独断で中断されていなかったことが判明。
 「SPEEDIの被爆データをなぜ公表しなかったのか」
  内閣府、官邸サイドでは「聞いてなかった」SPEEDIを管轄する文科省は「保安院に伝えてあった」
  経産省・保安院は「管轄の文科省が当然伝えているものと思った」と今回の大震災対策本部の意思統一の迷走ぶりを暴露。
「SPEEDIのデータをもっと早くから公表していれば、避難の仕方も変わったろう」
  
 今や口を開けば、政府の<隠ぺい体質>に非難ごうごうである。

 
「福島第一原発事故発生以来、要精密検査となる数値の1500cpmの内部被爆をしている人が4956件、そのうち4766件はただ福島に立ち寄ったことがあるだけでした。しかも10000cpmを超えた人が1193人」とみんなの党、柿沢未途氏は衆議院予算委員会で衝撃的な事実を暴露した。

 細野豪志首相補佐官によれば「パニックになるから」という理由で非公開にしていたというが、「すべて明らかにすべきだ」と今やメディア界ではパニック状態である。 
 
 
 チェルノブイリ原発事故現場のウクライナでは年々人口が減り、19年間で5200万人のうち700万人減少、減少率でみると13%になる。(放射線に対する恐怖心が引き起こす心理的要因によるという説もあるが)
 平均寿命も75歳から55歳になる可能性もあるという。またチェルノブイリ周辺では障害を抱えて生まれる子どもが多いという。

 ところが、そのウクライナは国力の疲弊のため、「原発をさらに20基以上新設して、電力を欧州に輸出することを考えている」という。  
 (以上、週刊現代6/4特集号より)

 日本の菅首相は、原発依存からの脱却を目指し、エネルギー政策の転換を決意した。




  
 はたして、人類の<文明進化路線>に逆らうことができるだろうか。
中途半端になって、国力の疲弊を伴うことにならなければいいが。

 

 
 

エッセイ(67)文明の進化路線に逆らえるのか(7)

2011-05-28 06:42:12 | エッセイ
 「原発の安全向上を促す宣言を採択してG8閉幕」
 


 日本の大震災を中心課題として据えた主要国首脳会議は予想通りの結末だった。
 つまり<文明の進化路線>は変更されることがないことが追認された。
 もちろん、この事故によりドイツのようにエネルギー路線を変更する国もなにがしか見られたが、今回のサミット主催国フランスやアメリカ、などの主要国は「最高水準の安全性」を目指すことで脱原発の流れをせき止め、原子力産業を守ることを狙った。
 菅首相の「事故を世界の教訓とするよう、情報公開を徹底する。さらに原子力の安全を図るため、国際原子力機関(IAEA)による安全指針の拡充」などの提案を盛り込み、サルコジ仏大統領は「原発は安全性が何より優先されるべきだという認識で一致した」ことを強調した。
 (アラブ首長国連邦の入札で韓国に敗れたのは安全な分、価格が高くつくことが原因だったという思いがあるようだ)
 
 もちろん、先進国を追う中国、インドなどの大国のみならず、トルコのような後進国もエネルギーの基軸を原発に求める国は多い。
 原発建設計画について日本と交渉を進めているトルコ、「原発の事故後も引き続き、日本への発注を視野に検討を続けていく。日本の技術を信頼している」とビルギチ駐日大使は話した。
 
 一方、菅首相は2020年代のできるだけ早い時期に自然エネルギーを発電電力量の20%超にする目標を表明した。
 目標達成の具体的な道筋は「大きな可能性があればカネも人も集まってくる」と述べるにとどまった。
「国内で1千万戸の屋根に太陽光パネルの設置を目指す」と話した首相の太陽光構想について海江田経産相が「聞いていない」と言っていることをみると、菅首相の思いつきにすぎないかもしれない。

 ある意味、エネルギー路線の舵を切ったとも見えるこの発言だが、問題はこの実現性である。
 日本がもし、コスト的にも原発を上回る自然エネルギーの活用に成果を収めれば、世界のリーダーとしての立場も期待できる。
 (しかし、これは難題である。むしろ日本近海に眠るメタンハイドレードの開発が待たれる)
 
 もう一つ、彼は<省エネ>の提案もしている。





 一時的に、しかも日本国内では可能かもしれないが、これこそ便利を追い求める<文明の進歩路線>の根幹にかかわる思想だけに、言うは易く行うは難しである。

エッセイ(66)誰かがサズを弾いている

2011-05-27 05:25:09 | エッセイ
 最近最も感動した歌がこれだ!
 

 誰かがサズを弾いている
  (クリックして聴いてみてください)

  まあるい月を乗せた船が
  静かに川を西へ行く
  月はどこへ帰るのか
  眠れぬ夜を見つめながら
  誰かがサズを弾いていた

  眠れ眠れ子羊たちよ
  眠れ眠れ瞳を閉じて
  旅から旅の物語
  夢の中で聴かせてあげる

  心を指でたどってゆけば 
  囁くように風が歌うよ 
  (眠れ、眠れ・・・)

  絹の道行くキャラバン
  駱駝の背には宝物
  ルビー サファイア トルコ石
  時に素敵な歌までも

  遥か砂漠のオアシスで
  砂に咲いてる君を見た
  とてもかわいい白い花
  摘んで行こうか行くまいか
  花は小さく首をふる
  遠くへ連れて行かないで

  せめて今夜は愛の歌
  あなたのために歌いましょう

  東の空に朝が見えた
  光の馬車で駆けてくる
  町に祈りの声響く
  明けゆく夜を惜しむように
  誰かがサズを弾いていた


  <NHK みんなの歌>より
  歌: ヤドランカ
  作詞:友利歩未
  作曲:ヤドランカ
  イラストレーター:宇野亜喜良

  世界の歌姫・ヤドランカ
  ボスニア・ヘルツエゴビナの首都サラエボの出身。さまざまな国を旅して現在日本に活動の拠点を置いている。これまで文化の異なるたくさんの人たちと出会い、お互いを理解することで多くの影響を受けたという。
 彼女が歌うのは、民族楽器のエキゾチックな音色に乗せて吟遊詩人さながらのシルクロードの夢を語った子守唄。


 哀調を帯びた歌声は、人類の文明の行先を憂いているかのようだ。
 宝物を追い求めて歩き続ける我々の目にとまった白い花は新鮮で美しい。
 それでも、誰かが弾く悲しげなサズの音を聞きながら歩き続ける。

 <3.11を忘れない!>で書いた「お母さん!どこへ行ったのお母さん!と叫んでいた女の子のことを思い出した。

エッセイ(65)菅降ろし

2011-05-26 06:24:21 | エッセイ
 民主党の小沢一郎元代表(69)と渡部浩三最高顧問(79)の合同誕生会が24日に開かれ、鳩山由紀夫前首相や前原誠司前外相ら同党議員160人が参加、<菅降ろし>がいよいよきな臭くなってきた。
 小沢氏や鳩山氏の菅首相に対する遺恨グループだけでなく、「こんな非常時に政局にするなんてもってのほかだ」と大演説をぶった渡部氏や主流派と目される前原氏まで参加したことに注目が向けられている。

 小沢、渡部両氏とも選挙区が岩手、福島と大震災の被災地であることが、菅首相の被害対策の姿勢に対する関心度において共通点がある。
「一番大切なのは災害対策であって、私の考えとあまりに異なったときには代わってもらうしかない」という渡部氏の言葉に何よりも(国全体のことより)選挙民のことが大切であるという政治家の意識が表れている。
「大同団結が極めて大切だ」と挨拶した前原氏の参加は<菅降ろし>が成功した場合、菅首相に取って代わろうとする彼の思惑が見え隠れしている。

 それにしても<菅降ろし>の大義名分は成立するのだろうか。
 ここへきて問題となっているのは、福島原発事故の<メルトダウン隠し>だ。わかっていたのに隠ぺいしていたのがけしからんというのだ。
 たぶん、事故当初からその推測はあったと思われる。ただ事実は検証できなかったし、単なる憶測を公表することはいたずらに国民をパニックにおとしいれることになりかねないことを懸念したのが真相だと思う。しかし、IAEA調査団がくるということになり、そういう推測もできなかったのかと思われるわけにもいかず、この期に及んでの発表となったのだろう。

「国民は成熟しており、パニックに陥ることはない、むしろ隠ぺい体質が問題だ」という見解が多いが、それは見解の相違であって<菅降ろし>の主因とはなりえない。むしろ、民主党にとっては地方選挙での相次ぐ連敗が問題なのだろう。その責任をとって辞任せよというわけだが、この非常時の問題を解決することが焦眉の急であって、そんなことで世論の賛同は得られない。

 菅首相を降ろしたい連中の本意は、リーダーとしての菅の資質にあると見ているのだ。
 つまり彼の資質がいかんなくなく発揮されたのは、彼が厚生大臣の時辣腕をふるった<薬害エイズ事件>の時だ。
 彼は役人を罵倒し、真相を暴露した野党的やり口で成果を収めた。役人にとってはまさに<イラ菅>であった。

 ところが彼は今や国を導くリーダーとなって、その手法に苦悩している。役人を罵倒するだけでは上手くいかないのだ。
 日本の政治はまさに<政治村>であって、種々の利害が交錯している。単なる厚生大臣の一物件を取り扱うようなわけにいかない。いろいろな人間を駆使して運営するカリスマ性が求められるが、残念ながら彼にはそれがない。
 かといって、田中角栄や小沢一郎のような議員をひきつける金もない。政治村を率いる親分肌的資質もない。
 現状は<イラ菅>の本質を隠ぺいして耐えるしかない。

 

金沢便り(28)白山市の御仏供杉と金沢香林坊

2011-05-25 06:04:13 | 金沢便り
 <金沢の山ちゃん>から天然記念物<御仏供杉>のフォト便りです。

 日本の名木百選、国指定天然記念物。樹齢は約680年、白山市吉野の山中に祇陀寺を開いた大智禅師がこの地を去る時に杉の小枝をさかさに地面に挿したのが今の御供杉であるといわれ「さかさ杉」ともよばれています。
 
 仏飯を盛ったような形から御仏供杉(おぼくさん)という名がついています。
 樹高 18M 幹周り 9.6M
  
 調査によると根の深さ・長さは樹高には及ばないが、廻りの水路からの水の補給が十分だそうです。
 近くに「二代目杉」もすくすくと育っている。
 
 (石川県白山麓 下吉野)

 <山ちゃん>は高校の同窓生ですが、中学の同窓生が毎月送ってくれる地元月刊誌<アクタス>に懐かしい<金沢・香林坊>の特集がありました。
 
 3月25日に香林坊に完成した<ラモーダ>(イタリア語でファッション)により、新たな賑わいをもたらしているという。
 

 
 <ラモーダ>はもちろん知らないが<香林坊>は少年時代過ごした(塩川町)や学校(高岡町中学)にも近く懐かしい。
 隣町には<武家屋敷>、中学の近くには<尾山神社>の観光スポットが隣接する。

 ところが、<塩川町>や<高岡町中学>は今存在していない。
 時代を感じる。 

エッセイ(64)文明の進化路線に逆らえるのか(6)

2011-05-24 05:59:16 | エッセイ
 <原子力村>について、5/20朝日新聞が立場の異なる三氏の意見を掲載している。
 安斉育郎立命館大名誉教授は1960年にできた東京大学工学科の第一期生だが、原子力政策に批判的な立場に立って以来、東大で研究者だった17年間ずっと助手のままだったという。主任教授は「安斉とは口をきくな」と研究費も回してくれない。東電から派遣された研修生などは「安斉さんが原発で何をやろうとしているのか偵察に来た」と言っていたという。村八分になったことで<原子力村>の存在を強く意識したと述べている。

 元東京電力副社長で1997年参院戦に自民党から立候補して当選した元参議院議員加納時男氏は、原発を推進、エネルギー政策基本法の成立に尽力した。
 二期目の出馬の際に開いた一万人集会には東電社長、東芝会長、日立製作所社長などがねじり鉢巻姿で駆けつけてくれ、経済界の代表として立候補していることを意識したという。
 原子力産業は政治家、官庁、原発メーカー、電力会社さまざまな分野の知見を結集しなければ成り立たない。それを「ムラだ、ムラだ」とおちょくるのはいかがなものか。
 福島第一原発事故について「津波の想定などリスク管理が甘かった」と言われているが、東電や原子力業界だけで勝手に想定したわけでなく、民主的な議論を経て国が安全基準をつくり、それにしたがって原発を建設、運転してきた。
「東電をつぶせ」などの声もあるが、事故は国と東電、業界共同の責任だと思うので、もっと冷静な議論が求められると述べた。

 <原発推進派>でも意見の食い違いが生ずる。

 3月末、原子力専門家16人と連名で福島第一原発事故についての緊急提言を出した前原子力委員長代理の田中俊一氏は、状況はまったく改善されていないように見える。その背景には<原子力村>の縦割り構造があると指摘する。
 今主流となっている軽水炉による発電事業は経産省の管轄なので、文科省傘下の研究機関は軽水炉よりも<高速増殖炉や核融合を主に研究していたため<軽水炉>に対する研究がおろそかになった。東電は<軽水炉>はもはや完成された技術で、安全研究など必要ないという態度で、それが今回の最悪の事態を招いたという。
 <原子力村>の一番よくないのは、考え方が固定化していることだ。例えば、<高速増殖炉>は難しい、もっと足元を固めて研究したらどうかと書いたらものすごい攻撃を受けた。まさに<原子力村>で異論は許されない。

 日本では原子力への異論が「すぐに原発を全廃」という極端な意見になりがちだ。そのため原子力関係者が失敗を認めにくい状況になっていると述べた。

エッセイ(63)文明の進化路線に逆らえるのか(5)

2011-05-23 06:44:17 | エッセイ
「神様の仕業としか説明できない」
 福島第一原発事故について与謝野薫経済財政担当相
は述べた。同原発の津波対策に関しても「人間としては最高の知恵を働かせてたと思っている」と語った。
 原発推進を担う組織<原子力村>の本音であろう。

 原発に関するわが国の対応を組織的に分析すると、先ず<原発推進派><反原発派>に分かれる。
 現状は<原発推進派>が国策を牛耳り、<原子力村>を形成している。

 <原子力村>は、三つの管理部門と実行部門から成る。
 (1)内閣府の原子力委員会(原子力政策の基本方針を定める)と原子力安全委員会(原発の安全調査、保安員のお目付け役)
 (2)経済産業省の資源エネルギー庁(原発を推進)と原子力安全保安院(原発の安全チェック)
 (3)文部科学省の日本原子力開発機構(原子力の研究)
 そして実行部門としての業界(電力会社やメーカー)

 <原発>は人間社会を破滅に導きかねな<禁断のエネルギー>を扱っているだけに、反対する勢力も強力である。
 大前研一氏によれば、原発推進の講演に赴くと石をぶつけられるそうだ。
 そのため<原発推進派>は、政・官・業が手を携えて<原子力村>を形成し、反対派はしらみつぶしに、ことごとく<村八分>にする。
 
 ─続く─

エッセイ(62)文明の進化路線に逆らえるのか(4)

2011-05-22 06:01:51 | エッセイ
「二人の首脳が被災の現場とか避難所とかに来てくださって、本当にあたたかい気持ちが伝わりました。本当に来て頂いて良かったと思います」 
 昨日来日した中国の温家宝首相、韓国の李明博大統領と福島市内の避難所で一緒になった菅首相は久しぶりで満面の笑顔を見せた。
 これでG8サミット前の菅降ろしは取り敢えず無くなった。

 さて、菅首相はサミットにおいて、わが国のエネルギー政策に対する姿勢をどう表明するのだろうか。
 ドイツのように、原発依存を脱却して自然エネルギーによるエコ社会重視の姿勢へと方向転換するのか、それともフランスのように、あくまでも原発に依存しながら成長経済重視の姿勢を貫くのか。

 ドイツのメルケル政権は、福島原発事故後にエネルギー政策を180度転換した。
 原子力発電から「できるだけ早く」脱却することはすでに国民的合意。議論の焦点は「いつまでに可能か」に移っている。
 ドイツでは地震や津波に対する想定は考慮しないでいいが、飛行機墜落やテロに対する防御が不十分と指摘されている。
 問題は23%を占める原発を止めて安定的な電力が供給できるのか。
 風力など再生可能エネルギーへの転換には巨額の投資が必要。
 ここ数年値上がりが続いている電気料金のさらなる値上げが必至となり、ドイツ産業界の競争力を損ないかねない。
 当面はガスや石炭への依存度を高めることになり、環境への問題もある。
 問題は簡単ではない。

 フランスは70年代の石油危機に乗じ、「エネルギーの独自確保」を掲げ、原発建設を急ピッチで進め、現在では電力の8割近くを原発に依存している。一部は隣国のイタリアやドイツへ輸出もしている。
 党派を超え、原子力を「国家独立」の礎とみなしていきた。
 サミットでも原発の安全を確保し上で推進すべきだという立場を表明する。

 デンマークでは電力生産の3割を占める風力などの自然エネルギーを20年までには6割強にまで増やす目標を立てている。

 スエーデンではエネルギーの大量消費時代の終焉をにらんで、<省エネ型エコタウン>作りを各地で進めている。

 現在70億人の世界人口は2050年には90億人を越える。エネルギー消費は向こう4半世紀の間に3割以上増える見込みだ。
 厳しさを増す条件下でどのように生き残るかエネルギー戦略は人類にとって岐路に立っている。

 

エッセイ(61)退陣要求

2011-05-21 05:49:49 | エッセイ
 このところパソコンの動きが鈍い。
 立ち上がりに2~30分かかる。
 電器屋に言わすと、XPが出だしの頃に買ったからもう8年以上使っているから寿命だと言う。ここまで使い込めばいい方だそうだ。
 いらいらして何度もマウスをクリックすると、老朽化したパソコンは対応できなくてトラブルとなり、固まってしまう。仕方がないので一度シャットダウンして再起動するという繰り返しになる。

 これまで2時間あまりで完成したブログが半日でも完成しない始末だ。おまけにプリンターまでキイキイ悲鳴を上げだした。これも寿命のようだ。
 かといってブログ制作を止めるわけにはいかない。こんな面白味のないものでも、毎日200人近い人が見てくださると思うと、今やわが生きがいとなっている。
 我が身もそろそろ寿命だが、代えるわけにいかない。せめて支えてくれるこれら機器だけでも退陣させて新しくしてやらなくてはならないのか。

 というわけで、昨日、<カンニング>のテーマでF先生のお話をうかがった後触れるはずの雑談が今日になってしまった。
 本来ならテーマに沿った内容で雑談も盛り上がるのだが、やはり話題は<大震災>特に<福島原発>がらみの政府の対応についてということになる。

 中には「最近仙台へ向かう人が多いね。復興に向けて動き出したみたいだ」など前向きの意見もあったが、大半は菅政権への批判だった。
 このところG8サミットが間近になって、菅降ろしの動きが活発化してきた。
 極めつけは西岡参議院議長の「菅首相は即刻辞任を」発言である。
 サミットに国家観、政治哲学を欠いた首相を出席させるわけにはいかないということのようだ。
 
 いったいこの人は三権の一翼を担う重要な立場をどう考えているんだろう。
 だいたいそんな要求が実現するとでも思って発言しているのだろうか。
 それとも単に事を起こすことに意義ありとでも思っているのだろうか。
 首相のどこに問題があるのかという問いに「全部だ」と答えた。
 菅首相への遺恨が言わしめているかのようだ。
 つまり、彼の地元長崎県の諫早湾干拓事業への首相の対応が根にあるとも言われている。
 良識の府であるはずの最高の権限を持つ責任者の言葉とも思えない。
 情けない!
 まさにこの人にこそ退陣願わねばならないだろう。

 朝日テレビに、原口元総務大臣が出演してやはり「菅首相は退陣すべきだ」と発言した。理由については「事実を隠蔽していることだ」と言った。
 そして、「自分なら事実を総てあからさまにした対応をする。いくら最悪の事態でも賢明な国民はパニックにはならない」と自分が首相として立つ意志があることを表明した。
 
 なんでもオープンにすればいいというものではない。
 そこには政治家としてのプロフェッショナルな対応がなければならない。
 いずれも首相の不手際に不満を持つ国民に迎合して「菅首相退陣」との一言で済まそうという姿勢には政策面での内容が見えてこない。
 「言葉が軽い」といわざるを得ない。

 今日はスムースに行った。パソコンは気まぐれ?