昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

三鷹通信(50)職業人の話を聴く会・感想文

2012-02-29 04:40:14 | 三鷹通信
 「職業人の話を聴く会」でぼくの話を聴いてくれた中学生(一年生)から感想文が送られてきた。
 前回書いたように、正直考えていたことが十分しゃべれなくて、生徒たちにどう伝わっていたか不安だった。  
 用意していったポイントは五つ。

 ①小さな会社でもいいところがある。
 ②とりあえずトライしてみよう。道は必ず開ける。
 ③今から機会を捉えて社会経験をしよう。
 ④社会へ入った時の武器として英語を鍛えよう。
 ⑤ハンディキャップは克服できる。
  時間が短くて⑤には触れられなかった。

 さて、生徒たちからの反応である。

 <女子生徒>
 
 (1)先日はお話を聞かせていただきありがとうございました。わたしはOさんのようにどんな状態になっても臨機応変に対応できる心構えを作っていきたいと思いました。Oさんがしてくださったお話を今後の進路を決める時に大切なてがかりとしていきたいと思います。

 (2)先日は中学校に来て職業のお話を聴かせて下さりありがとうございました。私はOさんの言っていた言葉で印象に残っていた言葉が一つあります。それは「なんでもやってみる! やってみれば道は開ける!」という言葉です。その言葉を聴いて、これからは何でも挑戦してみようと思いました。これからもお体に気をつけて下さい。

 (3)先日はありがとうございました。そして貴重なお話を聴けてうれしかったです。私がOさんの言葉で印象に残っている言葉は「なんでもやってみる。やってみると必ず道は開ける!」という言葉です。私は初対面の人などとあまり上手くしゃべれません。しかし、この言葉を聞いて、少し引っ込み思案を直そうと思いました。本当にありがとうございました。
 
 女子生徒はいずれも心構えに関心を持ったようです。
 ぼくが初めて海外に出張したとき、しかも社長のお供で、国際見本市が開かれるドイツのハノーバーに行った時、急だったのでハノーバーの宿が取れないまま出かけたという、大変だったエピソードを話したのが印象深かったのでしょう。

 <男子生徒>
 
 (1)本日は職業人の話を聞く会でおせわになりました。Oさんのおかげで機械商社のことがよくわかりました。Oさんの仕事は資格もいらない。ただ外国語を話せればほかの国のものを輸入できるから外国語は今の日本には必要だということがわかりました。おからだに気をつけてお仕事に頑張ってください。今回はありがとうございました。

 (2)先日は僕たちのために忙しい中、来ていただいてありがとうございました。Oさんの話を聞いて仕事についていろいろ学ぶことができました。話を聞いて大企業に呼ばれているのに自分の得意分野が活かせる仕事に就いてすごいと思いました。僕も英語が得意分野の一つなのでこの仕事もいいと思いました。体に気をつけて仕事も頑張ってください。

 (3)僕は最初は「機械器具専門商社マンて何?」と思いましたが、わかりやすい説明等でよく分かりました。自分もいろいろと輸入品に頼っているので、「ありがとうございます」と思っています。「学校の英語は役に立たない」と言っていましたが、個人的には納得しました。貴重な時間をありがとうございました。

 (4)Oさんは機械についての仕事をしているんですね。そんな中、中学生のために説明していただきありがとうございました。輸出入をするとき、外国人としゃべれるなんて良いと思いました。英語が苦手なのでうらやましいと思います。失敗を恐れずチャレンジできるよう頑張ってください。
 
 男子生徒たちはいずれも、商社の内容や英語の必要なことなど、具体的なことに関心を持ったようです。
 (1)くんは日本にとって外国語が必要なことを理解してくれたようです。
 特に(2)くんの大企業より自分の得意を活かせる仕事に就いたことを評価してくれたのは感激です。
 (3)くんは「学校の英語は役に立たない」ことが理解できたと言ってますが、「商品を理解する力がないと英語力だけでは不十分なんだ」ということが分かってくれたのだったらうれしい。
 (4)くんには失敗を恐れずチャレンジしてください、なんて逆には励まされちゃった。

 抽象的な話より、エピソードからめた具体的な話し方が生徒たちの興味をひくことを学びました。ただ、まだ目指す方向が決まっていない生徒たちがほとんどの中、自動車整備工とかサッカー選手など具体的に話してくれた生徒たちに、ぼくの商社経験がどれほど参考になったかちょっと心配です。
 いずれにしても丁重な感想文をくれた生徒たち、ありがとう。

エッセイ(114)ああ、わが大学クラス会

2012-02-24 06:56:28 | エッセイ
  先日、大学クラス会の新春懇談会が東京會舘の中華料理<東苑>で、昼間行われた。
 63名の同級生のうち物故者が8名、残り55名の中で33名が参加した。
 
 すでに古希を超えているクラス会にしては他に例を見ない多さだと幹事のMくんが強調していた。
 毎年この新春懇談会の他に、春・秋のゴルフコンペ、そして榛原うなぎのKくんのご厚意により<ウナギを食べる暑気払い>なんてのも開催している。
 
 来年はいよいよ卒業50周年ということで、大学の入学式に招待される。
「25周年で招待されたとき、坂をよぼよぼ歩いている一団がいたので、あれはどういう人たちか聞いたところ、50年招待の先輩たちだと言っていたが、オレたちもついにそのよぼよぼ軍団に仲間入りというわけだ・・・」と誰かがつぶやいていた。

 前回、<ボクシングのリングサイドにもぐりこむ達人、Iくん>のことを書いたが、なかなかユニークな連中が多い。
 今回特筆すべきは、遠方石川県の奥能登から初めて参加したYくんのことだ。
 彼は卒業以来初めてということで幹事に促されて乾杯の挨拶を行った。

「初めて参加させていただきました。卒業して以来東芝で海外営業に従事、土光社長の通訳を務めた後、中途退社。一念発起して日米政経研究所を立ち上げ、<日米セミナー>を学生、社会人、在日外国人のために開催。その後アメリカのロータリークラブの招待で渡米、10数年かけて全50州、500都市を訪問、講演など交流を重ねました。最近の5年間はハーバード大学院での授業に特別参加、著名な教授たちとの交流も行ってきました。アメリカには年に6回ほど出かけ、最近はヨーロッパにも金沢との姉妹都市を呼びかける活動も行ってきました。そして、石川県を国際交流で活性化するため、県知事選や市長選にも出馬しました。
 というわけで、みなさんとも長らくご無沙汰でしたが、昨年、体調のこともありそれらの活動から一切手を引き、奥能登の故郷に引っ込み、家業の酒造業に専念することになりました」

 彼を語るにはもう一つ付け加える必要がある。
 会を終えるに際して、彼はふたたび発言を求めた。
「そういうわけで、顔の広いことを活用して酒の販売に努めよ! という社命に従い、今回我社の地酒、銘酒<宗玄>をお持ちしました。ひとつ皆さまにはこれを機会にお求めいただくようお願いいたします」
 
 日米政経研究所所長から、一転、自家製地酒の販売部長に見事に変身していた。
 (愛すべきYくん、君の積極果敢な手法がアメリカで功を奏したことは敬意を持って認めるが、日本では少し控えめな方が効果があるかも・・・。これからは日本人を研究することをお勧めします)

 「もう、セールスか・・・。たいしたもんだ。でも、撒き餌も必要だと思うんだけどな」 誰かがつぶやいていた。
 

エッセイ(113)名医

2012-02-21 06:41:50 | エッセイ
 天皇陛下が無事心臓のバイパス手術を終えられた。
 
 担当した医師団は東京大学付属病院の医療チームだが、特筆すべきは順天堂大学の天野篤教授が加わったことだ。従来、天皇の医療に関しては国立の大学の医師団(主として東大)が関わってきたが、今回初めて私立大学からの参加があった。

 何と言っても手術に一番必要なものは手術テクニックである。
 神の手とも言われる天野氏を東大医師団が敢えてピックアップした所以である。
 天野氏の経歴は公表されているのでここでは触れないが、彼が初めて手術を行った二例目で「先輩を超えることが出来る」と確信を持ったほどの自他ともに許す手術の天才である。

 しかし、そんな天野氏でも、「この手術は成功だったと言えますか?」という記者団の問いかけに「いや、陛下がご公務にとどこおりなく復帰されて初めて成功だったと言えます」と慎重だった。
 
 まさに、手術とはそうした一面を持つ、リスキーな治療手段なのだ。

 ぼくの先輩で、心臓に関わる手術を著名な病院でされた方が二人いる。
 そして手術は成功したと言われながら、ついに病床から復帰できなかった例なのだ。
 つまり、ご両者とも手術滓が血管を通って、ひとりは脊髄に停留し半身不随となり、ひとりは脳に停留して植物人間状態となった。

 ぼくの友人にも日本有数の心臓外科医と称される方がいる。
 会社の同僚が心臓の調子が悪いと言うので彼を紹介した。
 従来掛っていたいた医師の誤診だったようで、幸い手術の必要もなく、そのご順調に平常に復帰した。
 同僚曰く、「いやあ、あの先生はスゴイ。診察するなり、今まで飲んでいた薬は全て捨てなさいって言うんです。たまたま先生に手術してもらったという親戚のおばさんに会ったら、先生の<心臓友の会>に入ってると言うんです。先生に手術してもらった仲間が400人もいて、先生を囲んで旅行に行ったりゴルフをしたりする会なんです」と。

 彼の病院へ突然の発作で担ぎ込まれ手術を受け、好きなゴルフに復帰できたNエッセイストが書いている。「先生が病室へ入ってくると、パッと場が明るくなるんですよね。先生の顔を見ただけで生死を分ける手術に安心して臨めました」と。

 ぼくの妹が地元の市民病院で心臓に孔が開いていることを指摘され、地元の大学病院で手術するよう勧められたが、彼女のたっての依頼で敢えて彼にお願いしたことがある。
 無事手術を終えて彼女を見舞った彼は言った。
「この患者さんはお気持ちが強いので痛み止めはいりません」と。
 アメリカの有名な心臓移植医のもとで研修してきた彼は、当時では異例の一週間後には退院させた。
 彼女が地元の私立病院へ報告に行ったところ、あまりの早い回復にびっくりされたそうだ。
 もう二十年も前のことだ。

 そんな彼がいみじくもつぶやいたことがある。
「手術は、それしかないという時にすべきもので、本来は本人の自然治癒力に期待すべきなんだよね」と。
 

三鷹通信(49)よかった、この本に会えて!

2012-02-19 06:38:51 | 三鷹通信
 <よかった、この本に会えて!>
 現役編集者が主宰する新しいスタイルの読書会に参加した。
 
「あなたが長年、愛読してきた本。面白いのはこれ!」と自信を持って人にお勧めできる、そういう本を1~2冊お持ちください」という編集者の声掛けに、定員一杯の15人が、三鷹の太宰治記念館の近くの会場に集まり開催された。
 三鷹の顔なじみの方々に加えて、遠方からも脚本家を目指す広告会社員、カウンセラー、編集プロダクションの代表、IT事業経営者、電子書籍編集者など多彩な顔ぶれで、現役ベストセラー作家の方も特別参加された。

 オーバルテーブルを囲んで、期待に満ちた雰囲気が漂う中、主宰する編集者からこの新しい読書会についての説明から始まった。
 テーブルの上にはあらかじめ皆さんから通知のあった7冊の本が積まれていた。
 この二週間の間に編集者が集めたものだ。中には絶版のものもあるので、インターネット古書販売から得たものもあるという。
 それぞれの本に多数の付箋が挟まっている。編集者がこれらすべてをこの二週間で読破したことを示している。

 参加者の簡単な自己紹介の後、事前に通知された本についてその紹介者が説明する。
 冒頭に取り上げられたのは、ダニエル・タメット「ぼくには数字が風景に見える」だった。
 
 ここでぼくは、早々に衝撃を受ける。
 ダスティ・ホフマン主演の映画「レインマン」で世に知られることになったサヴァン症候群で、さらにアスベルガー症候群にも罹っている青年が語る感動の手記だ。

 幼いころてんかんを患い、<人と違う>ため同級生にいじめられ、孤独と辛い思いをしながらも、特別な才能に目覚めていく過程を淡々と綴っている。
 特殊な才能とは、本のタイトルにもあるように、数字が風景に見える。たとえば誕生日の水曜日は数字の9や諍いの声とおなじようにいつも青い色をしている。どんな計算も視覚化できるので、紙に書かないで簡単に暗算できる。円周率は」22,500桁まで暗唱できる。

 サヴァン症候群の人たちが得意とすることの多い音楽、美術、数字などは、右脳のはたらきがものをいう領域である。いっぽう、かれらの多くは左脳に障害を持つ。この障害を補うべく脳が発達した結果、右脳の眠れる力が目を覚ますという仮説が、いまのところ有力らしい。

 精神科医の方がこの本の最後で述べている。
 自分が好きなものに夢中になることの素晴らしさ、大好きな数学や言葉について語る著者の無邪気さ、純粋さは、わたしたちが大人になるうちに忘れてしまった何かを、もう一度思い起こさせてくれる。その一方で難しい障害を抱えながらも一歩一歩自立の道を歩んでいくタメット少年の成長ぶりに目を見張り、とくに、障害についての知識を持たずに、育てにくい子どもを立派に成人させた両親の存在は、この時代の多くの親たちに希望を与えるのではなかろうか。 
 
 とくにぼくがこの本に関心を持ったのは、実はぼくにもルビンシュタイン・テイビ症候群という重度の障害を持つ孫がいるからだ。
 タメットくんのように特別な才能を見せているわけでもないので、両親の彼女に対する思いはより深刻だと思う。
 しかし愛情をもって、必死に育てている姿を見ると、何とかできないものかと祖父として心が乱れる。
 そこで、気持ちだけでもと、彼女が変身することを夢見て、いま「レロレロ姫}というファンタジーを綴っている。

エッセイ(112)ああ、わが中学校同窓会

2012-02-16 07:12:34 | エッセイ
 金沢の名門T中学校(今は金沢の都市計画のあおりか、中心にあったわが母校は名前すら残っていない)の関東地区同窓会は27年前13名が集まって以来、湯本や熱海など場所を代えて毎年6月に(あじさい会の由来)欠かさず開催されている。
 14年前には還暦祝いを、4年前には古希の祝いを行った。
 古希の祝いには金沢や大阪からも参加者があり30名集まった。
 
 この歳で、しかも地方の中学卒業生がこれだけ集まるのはなかなかないのではなかろうか。

 ぼくは第6回目から参加してほぼ半分ぐらい参加している。最近少ないのはお小遣いが乏しくなっているからだ。
 さらにゴルフ会も始まった。2003年からは春、秋と年2回、参加者は8~12名。金沢から出てくれる人もいる。 第6回大会でひどい雨にたたられ、それ以降名前を<あじさい>から<ひまわり>に変えた。
 これだけの会を長年に亘って継続できているのは、男女幹事に人を得たことだと感謝している。

 さて、昨日の昼、銀座の和食店で有志11人(男6、女5)が集まったのは恒例の同窓会ではない。
 発起人幹事の一人であるHくんが昨年脳梗塞で倒れ、現在植物人間的な日々を送っているのを気遣って、もうひとりの幹事Mくんが激励のテープを送ったところ、奥様によれば目が反応したというのだ。
 それで、我々の声も届けようではないかということになった。
 中学を卒業してから、久しぶりで企業人となったHくんにあった時、彼はスマートで、まだ中学生の面影さえあった。
 ところが、退職後この同窓会で再開したときは、腹の出たおっさんに変化していた。
 Mくんに言わすと営業部長になってから接待漬けで、酒を飲み過ぎ体形がどんどん変わっていったのだという。
 
 ゴルフ会にも出てきたが、ゴルフするよりアフターのお酒が楽しみだったようだ。
 ゴルフクラブもハーフしか持ってこないし、練習なんてしたことない。本番では一生懸命やっているようだが、ダフリ、トップ、曲がって林に入れたり、池に入れたり、スコアも70を超えることもざら。
 ところが、我々の会では成績によって、ハンディが下がるだけでなく増えることもある。
 ついに、彼のハンディは58までいった。そして5とか、12の連中を抑えて優勝者の一角に名を連ねることになった。

 そんな彼が、今苦境をさまよっているというので、集まったそれぞれが励ましの言葉を吹き込んだ。
 ぼくからの言葉。
「雨の日新沼津GCの大会のこと覚えているかい? キミだけじゃなくほとんどが60以上たたいたんだよな。ハーフで止めて、キミのお勧めの沼津港の高級寿司屋へ行ったっけ。キミのうれしそうな顔が今でも浮かんでくる。寿司がたくさん出そろったところで、キミは目を剥いて言ったんだよね。『おい、大トロが出てないじゃないか!』、店員が出てきて恐る恐る言ったんだよね。『二人前で一万円するんですけど』キミは早速返したね。『いいじゃないか、持ってきてくれ!』・・・社長! カッコイイ!・・・ぼくは心の中で叫んでた。懐具合を気にしながら。Hくん、元気になったらまたあの高級寿司屋へ連れて行ってよ」

 この4月、最後の<ひまわり会>を開くから出てくれと言われた。
 ぼくに気を使ってくれたのか、安い千葉のパブリックコースだという。
 Hくん、取りあえず参加してキミの代わりに60以上たたいてくるよ。
 アフターのお酒でキミの代わりはできないけど・・・。
 みんなの励ましのテープでキミが奇跡の復活をすることを祈っている。 Hくん!
 
 
 
 
 
 

三鷹通信(48)職業人の話を聞く会

2012-02-14 08:32:49 | 三鷹通信
 昨日久しぶりでブログを休んだ。「ねばならない!」と気張る歳でもないだろうというわけだ。
 
 さて、昨日は<ねばならない!>世代、中学校の「職業人の話を聴く会」に出席した。
 開始20分前、すでに大半の講師の方は控室に集まっている。
 地元の何人かの見慣れた名士の方も含めて15人ほど。
 皆さんが集まったところで、コミュニティスクールを基盤とした小・中一貫教育の良さを実現するため、さまざまな活動を通して「確かな学力づくり」「人間力づくり」を実践していることにつき、校長先生からのお話があった。
 
 ・・・我々の時代と異なり、生徒たちにはきめ細かなさまざまな配慮がなされているようだ。

 何と言っても地域とのかかわり合いが挙げられる。
 地域の特性を生かした、アメリカンスクールとの交流、国立天文台を活用した天文部、近隣の農家の支援を得て農業体験など。
 二年生になると社会の職場体験も行う。そして地元のシニアの「職業人の話を聴く会」など至れり尽くせりだ。

 今回の対象は1年生。
 我々講師は各教室に分散して、5~6人の生徒たちを相手にグループで話し合う。
 生徒の自己紹介に続き講師が自己紹介と体験談を話し、それに対して質疑応答がなされる。時間は20分。
 終わると講師は次のグループに移り、同様の手順で3グループに対応する。

 ぼくは初参加なので、簡潔に話するためポイントを絞って臨んだ。
 <小さな会社は小さいなりにいいところがある>
 <与えられた条件をとりあえず受け止めてトライしてみよう。そうすれば自ずと道は開ける>
 <今のうちからできるだけ機会をとらえて社会体験をしておこう>
 <英語を武器として鍛えよう>
 <ハンディキャップは克服できる>

 ところが中学生といっても1年生はまだ幼い。専門用語でしゃべっても通じない。
 ぼくの場合、商社マンとしての体験談を語るのだが、<商社>というのが分からない。
 先ず、簡単に社会のシステムの解説から始める。
 生徒たちの気を引くにはエピソードを絡めて具体的に話す必要があるが、質疑応答を含めて20分というのはいかにも短い。
 生徒たちになりたい職業があるのか聞いてみるとほとんどは考えていない。
 中には自動車整備の仕事、サッカー選手になりたいという生徒がいたが、はたしてぼくの掲げたポイントがそれらの生徒にどのように伝わったか?
 用意したポイントの何ほども語れなかった。
 上っ面をなぞった平板なつまらないものだったのではなかろうか?
 反省するところ多々である。

 しかし、目をキラキラと輝かして積極的に聞こうとしている生徒も何人かいたのは救いであった。

 生徒の代表が我々に対して挨拶をするとき、あるベテラン講師(教職関係?)の方から「あなた方の代表が挨拶する時は、同じように起立しなさいとは言わないけれど、少なくとも代表と同じように姿勢を正しなさい!」と言う鋭い指摘があった。

 たしかに総じて今の生徒たちは、ゆるやかに包まれて愛情をもって育てられているなという印象は持ったが、将来迎えるべき社会生活に対して、より厳しさを今のうちから体感しておくことの必要性も感じた。


 
 

エッセイ(111)橋本・石原待望論

2012-02-12 05:18:14 | エッセイ
 防衛大臣が一川氏から田中氏に代わったが、日本の脳天気な素人政治状況は変わらない。
 国民はイライラして、橋本大阪市長や石原東京都知事待望論まで出てきている。
 何故か?
 国民は無意識のうちにも日本の政治が浮き世離れしていることを感じているのだ。
 
 <浮き世>はどうなっているか?

 *国連の安全保障委員会で、シリアに反体制派の弾圧をやめるよう迫る決議が、ロシアと中国の拒否権によって否決された。
 ロシアや中国にとってのシリアや、アメリカにとってのイスラエルなど、自分の利害にかかわる問題となると、これら大国は他の理事国全部が賛成しても、拒否権行使をためらわない。

 *イランはペルシャ湾のホルムズ海峡を封鎖すると脅し、イスラエルはイランの核施設を攻撃すると脅している。

 *米原子力規制委員会は9日、南部ジョージア州で計画されている新規原発2基の建設・運転を認可した。
 

 国民は橋本氏や石原氏の方が<浮き世>に沿っていると感じているのだ。

 
 <橋本徹氏の言葉>から。
「交渉において相手を思い通りに動かし、説得していくには、はっきり言って三通りの方法しかない。
<合法的に脅す>、<利益を与える>、<ひたすらお願いする>の三つだ。その中でも最も有効なのが<利益を与える>である。グレーゾーンを残したまま交渉に臨むことは、交渉を長引かせこじらせるもと。交渉においての自分の主張とは、譲歩できるものと、絶対できないものの、二つに一つしかないということだ。人間性も含め、互いに認め合う親しい関係は交渉のあしかせになることが多い。

 急遽追加、今日の朝日新聞の朝刊からぼくなりにまとめました
「今以上を目指す必要はないが、世界では最高レベルの今の日本人の生活を維持したい。そのためには競争に勝たないと得られない。国民にはその覚悟を求めたい」「多様な価値観を認めれば認めるほど決定する仕組みが必要になる。それが<決定できる民主主義>です。有権者が選んだ人間に決定権を与える。それが選挙です」
 
 
 <石原慎太郎氏の発言>から。
 ・・・原発反対の動きについて・・・「代案も出さずに言っている限り、センチメントの域を出ない。挫折があったり、失敗があったり事故もあったけど、それを体験しながら克服することで文明が進歩して今日まで来た。
 ・・・被災地のがれきを東京都が受け入れたことに都民の反対の声があることに対し・・・
「(放射線量などを)測って、なんでもないものを持ってくるんだから<黙れ>と言えばいい。
 ・・・少し古くなるが・・・「日本(国憲法)の九条を礼賛しても、どこの国が日本に続いて自国の戦力を放棄しますか。その国が現れてきたら私は世界を見直すけれど、そんなものはあり得ない。(憲法前文や九条の平和主義について)国民の生命、財産を守るという国家の責任を外国人の好意にゆだねることは、他国の人間が見たら笑う」

 <浮き世>、それが人類にとって望ましい姿かどうかは問題だが、少なくともそれが現実であることは否めない。

金沢便り(32)金澤白蕪

2012-02-11 04:28:22 | 金沢便り

 久しぶりで金沢の山ちゃんから金沢のフォト便りをいただいた。

 金沢のじわもん食材シリーズとして<金澤白蕪>を取り上げている。
 <じわもん>とは地元産の食材のことだ。
 白蕪はほとんど土の上で育っている。
 土の中で伸びている根をはさみで切って、水洗いの後、大小選別の上出荷される。

 
 
 
 
 
 <かぶ>は白かぶ、赤かぶ、大中小、日本全国各地に80もの品種があるそうだ。
 

 <かぶらの漬物>といえば、何と言っても金沢名産<かぶら寿司>だ。
 冬の食卓には必ず並ぶ。
 丸くふくよかな蕪に荒波で育った鰤を挟み米糀、人参、赤唐辛子とともに漬け込み、じっくりと氷温熟成させる。(本来は青かぶを使用するが、最近絶滅の危機にあるとかで白かぶと交配したものや、白かぶも使っているようだ)
 自家製で作ったこともあった。

 中でも有名なのは京都の<千枚漬け> 
 そして家内のふるさと滋賀県の<赤カブの漬け物>もいいですよ。
 
 

なるほど!と思う日々(226)ステークホルダー

2012-02-07 05:17:35 | なるほどと思う日々
 昨年は大地震、大津波、原発事故と日本はまさに沈没するのではというたいへんな年だった。
 しかし、<絆>をキーワードに新しい時代を予兆させる動きも出てきたことに注目すべきだろう。

 先日TBSで、<日本を元気にする儲かるなでしこジャパン>という番組をやっていた。
 大落ち込みの日本に光明をもたらしてくれた女子サッカー<なでしこジャパン>にあやかった女性パワーに焦点を当てた番組だ。
「そんなもの売れるはずないよ!」と部長に一喝された女性だけで開発した<マッサージクッション>が大ヒットした例など。

 ぼくが一番関心を持ったのは<女性だけのタクシー会社>だった。
 
 優しい運転、空気清浄器や人形、キャンディまで置いてある女性らしい配慮に充ちた清潔な車内。
 <子どもの送迎>、<高齢者のためのお買いものサービス>など、地域社会に配慮したものもある。

 最近、日本でも未来のステークホルダーを目指せという動きがある。
 
 本来ステークホルダーというのは競馬の馬主の集まりを意味していたが、現在、広く<利害関係者>を表わす言葉として用いられるようになった。
 つまり、営利団体である企業の活動は社会的責任(財・サービスの提供・雇用の創出・納税など)だけでは企業のもたらす負の結果(地球温暖化、環境破壊、地域コミュニティの破壊)をカバーしきれなくなってきた。
 そうした状況を打開し、持続的発展を確保すべく考えられたのが、ステークホルダーとアカウンタビリティ(説明責任)という概念を取り入れたCSR(企業の社会的責任、Corporate Social Responsibility)である。
 女性だけのタクシー会社が、子どもたちや高齢者の生活にまで利害関係者とみなし活動を広げているのもその一例であろう。

 また、<フューチャーセンター>という多様な人が集まり、協力的・創造的な話合いをする場を提供する活動も始まった。
 そこで参加型の街づくりが始まり、組織の壁や企業の壁を超えたイノベーションが生まれる。

 先日、フューチャーセンターではないが、コーチングカウンセラーを中心に毎月開かれるミニミニ講座に参加した。
 友だちが友だちを呼ぶという形で、今回も新しい分野からの参加があった。
 テレビ、出版、IT,大学、保険、農園経営など、さまざまな分野の20代から70代までの幅広い層の人たちの生の体験談が語られた。
 2時間の予定が3時間になるというたいへん刺激的なひと時でした。
 ぼくのような老人でもこれから何か起こさねばと思ったくらいですから、それぞれ自身の中で何かが生まれる予感がしたのでは・・・。
 
 ある調査によれば長生きの秘訣は出来るだけ多くの人に会うことだそうだ。
 少なくともその効果はあったのでは・・・。
 

エッセイ(110)文明の進化路線に逆らえるか(25)

2012-02-01 05:08:20 | エッセイ
 「おや、地震かな?・・・今日の揺れは震度5弱で、東京は震度3という。昨年の大震災でこのくらいの揺れには感覚がマヒしてしまい、また地震か・・・と落ち着いている。先日の新聞によれば、4年以内に東京直下型の地震の発生確率は70%だという。本当に来るのだろうか。・・・ちょっとばかり気になる。でも言い換えれば、発生しない確率30%もある。こっちに期待しよう。そしてまた、今年はない。だって2012年は素数ではない。昨年の3.11は、年月日のすべてが素数であった。と、勝手に理由づけをしてみる」
 

 お友だちのブログからの引用である。
 「素数でないから安心だ」なんて、さすが大手企業の技術系の要職にあった理系の方の納得の仕方だ。   自然の猛威は予測しがたいし防ぎがたい。
 富士山が噴火するのではとか、明日にも来るのでは、などと世間は大騒ぎしているが、あまり不安を助長するとその方の影響が心配だ・・・。

 不安を助長する最たるものは原発による<風評被害>だろう。
 原発で、死傷したりという直接的な実害より、まだ因果関係が確たるものでない段階で思い悩む被害、つまり風評被害の方が止まることがない。
 生活に直接的な被害を受けている現実的な問題となっている。

 個々の人間にとって一番大切なことは、日々不安のないより豊かな生活を享受できることのように思える。
 特に科学者はそのために日夜努力して文明を栄えさせてきた。
 枯渇する恐れのある化石燃料の代わりにと、<悪魔のエネルギー>とも言われる原子力にも手を染めた。
 その根底にある思想は「最大幸福のためには若干の不幸せは厭わない」という発想だ。
 そのため、水質汚染とか温暖化とか放射能汚染など、自然界に弊害を与えることにもなっている。

 ところが、これら文明の発達によって吐き出された汚物の処理が問題化している。
 民主的な手法では処理しきれない。
 個々の利害が対立して、話し合いはどうどうめぐりして未解決、先送りになっている。
 中国のように強権で、陳情したら「秩序を乱す」<犯罪嫌疑人>としてさらし者にして解決しようとする国もあるが・・・。

 人間は現在の最大幸福を求めて<文明の進化路線>を歩み続けるのか、岐路に立たされている。
 それでも自信過剰の人間は自然をコントロールすることは可能だと、先へ先へと歩み続けるであろう。