昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

有名人()男の魅力(6)

2009-03-26 10:29:43 | 男の魅力
 <男の魅力6>

 WBCで日本は二連覇を達成した。
 最後に決めたのはイチローの二点タイムリーだった。

 正直、今回ずっと観戦してきて、他の一部の評論家と同様、ぼくはイチロー衰えたりと思っていた。
 春先はだいたい調子が悪いし、そのうち上向いてくるよという見方に対し、いや、もう歳だし、ずっと頑張ってきたツケが出てきたのではと悲観的だった。
 しかし、イチローには身体的な面とは別な力を持っていることを今回痛感した。

 イチロー自身、語っている。
「苦しいところから始まってつらさになって、つらさを超えたら痛みがきた。心のね」

 しかし、最後の最後チャンスが巡ってきた場面で彼は思った。
「日本からの目がすごいことになっていると自分の中で実感した。視聴率とか。自分でそんな自分を実況していた。そう思ったら普通結果が出ないんですけどね。ひとつの壁を越えたということか」

 そして勝利インタビューで言った。
「個人的には最後まで足を引っ張り続けた。韓国、キューバのユニホームも着たけれど、最後にジャパンのユニホームを着て、おいしいところだけ頂きました」
 
 なんと素晴らしいコメントだろう。
 彼は野球のセンスだけでなく、言葉遣いの天才だと思った。

 ぼくは昔からの彼のファンだ。
 10年前、彼が電撃結婚宣言をした。
 相手はぼくが好きだった、冷静沈着な福島弓子アナだった。
「価値観が同じで、同じ空間にいて心地いい」
 なんと素晴らしい言葉だろう。

 いろんな人が彼を評している。
 
 劇作家、山崎正和は「イチロー選手は日本では必ずしも快適にプレーしているようには見えなかったが、米国で自分の天地を得たようだ。人情や仲間意識といった日本の風土になじまず、実力で結果を勝ち取れるアメリカという国が合っていたのではないか」と分析している。

 ところが、前回のWBC監督王貞治は「イチローは個人主義者かと思っていたが、チームリーダーだった」と見直ししている。

 そんなイチローを朝日新聞の西村欣也は「イチローは自分を客観視するもう一人のイチローを持っている。だからこそ、自分の置かれた状況を彼は自ら把握できたのだ。
 自分を客観視する能力と自分に入り込む能力。
 このふたつを兼ね備えたアスリートを超一流と呼ぶのだろう。

 最後にイチロー自身が締めている。
「チームにリーダーが必要だという安易な発想があるが、みんなに向上心があれば、今度の場合そんな必要はなかった」
 今度の場合というのは一流選手が集まったチームの場合という意味だろう。
 至言である。
 
 シャンパンファイトのさなか、容赦なく酒を浴びながらイチローは言った。
「この先輩をリスペクトしない態度が世界一の原動力なんです」

 イチローがアメリカに渡ったわけも、日本代表チームの中で活躍できたわけも、この一言がすべて現しているとぼくは思った。
 
 

有名人(20)女の魅力(20)

2009-03-15 06:32:07 | 女の魅力
 <女の魅力20>

 3月11日、金賢姫と田口さん家族との面会が実現した。
 彼女の教育係をしていた田口八重子さんの兄、飯塚繁雄さんと長男耕一郎さんの前に黒いシックなスーツで現れた彼女は、その名の示すように聡明で美しい女性の魅力に満ちていた。

 短髪の黒髪、白い肌、しっかり前を見据えた聡明な目、引き締まった愛らしいくちびる。
 立った耳の前に伸びたもみ上げが清々しい。
 背すじが伸びて全体としてしっかりとした印象でありながら、軽やかな若さがある。

 挨拶を受けた繁雄さんには「私が先に挨拶しなければいけないのに・・・」と年長者に対する謙虚さで対応し、耕一郎さんには「抱かせていただいてよろしいですか・・・」と年長者として慈しむように、涙を浮かべながら彼を優しく抱擁した。

 彼女が1987年大韓航空機爆破事件を実行してから既に22年の歳月が経過している。
 1989年死刑判決。
 1990年韓国政府により特赦される。
 1997年元国家安全企画部員の男性と結婚、男児を出産。
 以後、ソウル市内で普通の主婦として生活していたとされる。

 しかし、本当に北朝鮮の工作員なのか、事件そのものが韓国サイドの謀略によるものではなどという疑惑の目で見られることもあった。
 航空機爆破事件の被害者から恨みを買っていたであろうし、北朝鮮に残されている彼女自身の家族の安否も心配だったろう。

 この22年間は不安な日々を過ごして、心休まることはなかったであろうことは想像に難くない。

 にもかかわらず、今回我々の前に現れた彼女は、予想以上に美しく輝いていた。

 彼女自身が人一倍芯の強いしっかりした女性であることは認めるが、一般的に<地に足をつけて生きる女性の強かさ>こそが女性の魅力の最たるものだということを、彼女から改めて強烈に認識させられた。