<男の魅力6>
WBCで日本は二連覇を達成した。
最後に決めたのはイチローの二点タイムリーだった。
正直、今回ずっと観戦してきて、他の一部の評論家と同様、ぼくはイチロー衰えたりと思っていた。
春先はだいたい調子が悪いし、そのうち上向いてくるよという見方に対し、いや、もう歳だし、ずっと頑張ってきたツケが出てきたのではと悲観的だった。
しかし、イチローには身体的な面とは別な力を持っていることを今回痛感した。
イチロー自身、語っている。
「苦しいところから始まってつらさになって、つらさを超えたら痛みがきた。心のね」
しかし、最後の最後チャンスが巡ってきた場面で彼は思った。
「日本からの目がすごいことになっていると自分の中で実感した。視聴率とか。自分でそんな自分を実況していた。そう思ったら普通結果が出ないんですけどね。ひとつの壁を越えたということか」
そして勝利インタビューで言った。
「個人的には最後まで足を引っ張り続けた。韓国、キューバのユニホームも着たけれど、最後にジャパンのユニホームを着て、おいしいところだけ頂きました」
なんと素晴らしいコメントだろう。
彼は野球のセンスだけでなく、言葉遣いの天才だと思った。
ぼくは昔からの彼のファンだ。
10年前、彼が電撃結婚宣言をした。
相手はぼくが好きだった、冷静沈着な福島弓子アナだった。
「価値観が同じで、同じ空間にいて心地いい」
なんと素晴らしい言葉だろう。
いろんな人が彼を評している。
劇作家、山崎正和は「イチロー選手は日本では必ずしも快適にプレーしているようには見えなかったが、米国で自分の天地を得たようだ。人情や仲間意識といった日本の風土になじまず、実力で結果を勝ち取れるアメリカという国が合っていたのではないか」と分析している。
ところが、前回のWBC監督王貞治は「イチローは個人主義者かと思っていたが、チームリーダーだった」と見直ししている。
そんなイチローを朝日新聞の西村欣也は「イチローは自分を客観視するもう一人のイチローを持っている。だからこそ、自分の置かれた状況を彼は自ら把握できたのだ。
自分を客観視する能力と自分に入り込む能力。
このふたつを兼ね備えたアスリートを超一流と呼ぶのだろう。
最後にイチロー自身が締めている。
「チームにリーダーが必要だという安易な発想があるが、みんなに向上心があれば、今度の場合そんな必要はなかった」
今度の場合というのは一流選手が集まったチームの場合という意味だろう。
至言である。
シャンパンファイトのさなか、容赦なく酒を浴びながらイチローは言った。
「この先輩をリスペクトしない態度が世界一の原動力なんです」
イチローがアメリカに渡ったわけも、日本代表チームの中で活躍できたわけも、この一言がすべて現しているとぼくは思った。
WBCで日本は二連覇を達成した。
最後に決めたのはイチローの二点タイムリーだった。
正直、今回ずっと観戦してきて、他の一部の評論家と同様、ぼくはイチロー衰えたりと思っていた。
春先はだいたい調子が悪いし、そのうち上向いてくるよという見方に対し、いや、もう歳だし、ずっと頑張ってきたツケが出てきたのではと悲観的だった。
しかし、イチローには身体的な面とは別な力を持っていることを今回痛感した。
イチロー自身、語っている。
「苦しいところから始まってつらさになって、つらさを超えたら痛みがきた。心のね」
しかし、最後の最後チャンスが巡ってきた場面で彼は思った。
「日本からの目がすごいことになっていると自分の中で実感した。視聴率とか。自分でそんな自分を実況していた。そう思ったら普通結果が出ないんですけどね。ひとつの壁を越えたということか」
そして勝利インタビューで言った。
「個人的には最後まで足を引っ張り続けた。韓国、キューバのユニホームも着たけれど、最後にジャパンのユニホームを着て、おいしいところだけ頂きました」
なんと素晴らしいコメントだろう。
彼は野球のセンスだけでなく、言葉遣いの天才だと思った。
ぼくは昔からの彼のファンだ。
10年前、彼が電撃結婚宣言をした。
相手はぼくが好きだった、冷静沈着な福島弓子アナだった。
「価値観が同じで、同じ空間にいて心地いい」
なんと素晴らしい言葉だろう。
いろんな人が彼を評している。
劇作家、山崎正和は「イチロー選手は日本では必ずしも快適にプレーしているようには見えなかったが、米国で自分の天地を得たようだ。人情や仲間意識といった日本の風土になじまず、実力で結果を勝ち取れるアメリカという国が合っていたのではないか」と分析している。
ところが、前回のWBC監督王貞治は「イチローは個人主義者かと思っていたが、チームリーダーだった」と見直ししている。
そんなイチローを朝日新聞の西村欣也は「イチローは自分を客観視するもう一人のイチローを持っている。だからこそ、自分の置かれた状況を彼は自ら把握できたのだ。
自分を客観視する能力と自分に入り込む能力。
このふたつを兼ね備えたアスリートを超一流と呼ぶのだろう。
最後にイチロー自身が締めている。
「チームにリーダーが必要だという安易な発想があるが、みんなに向上心があれば、今度の場合そんな必要はなかった」
今度の場合というのは一流選手が集まったチームの場合という意味だろう。
至言である。
シャンパンファイトのさなか、容赦なく酒を浴びながらイチローは言った。
「この先輩をリスペクトしない態度が世界一の原動力なんです」
イチローがアメリカに渡ったわけも、日本代表チームの中で活躍できたわけも、この一言がすべて現しているとぼくは思った。