昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(228)招き猫

2012-06-28 04:33:38 | なるほどと思う日々
 猫は幸運や商売繁盛のシンボルになっていて、招き猫なんて置物もありますな。
 猫を飼っていると魔除けや疫病払いなるなんて、古くから言い伝えられたりしていて・・・。
 
 これが最近医学的にも証明されたというんですな。
 その不思議な力の源泉はトキソプラズムという原虫にあるんだそうで・・・。
 この原虫は最終寄生先として猫を選ぶんだそうで、そいつが魔の手を操っているんではないかという仮説があるんです。

 例えば、ネズミは猫が大嫌いなんですが、猫の糞を食べて、トキソプラズマに感染すると、ネズミの行動パターンが変わると言うんです。
 
 このトキソプラズマがドパーミンを分泌してネズミが「威勢よく」なっちゃうんですなぁ・・・。
 猫を怖れなくなって、平気で猫の前に現れて哀れ猫の餌食になってしまうという。

 人でも同じ現象が現れるそうですぞ!
 猫好きな方は猫とよくチューをしますな。
 すると、トキソプラズマが人の体内に入る。
 するってえと、ドパーミンによって脳内の化学物質の伝達の一部が変えられて、人の行動や人格が変わるというんです。

 猫が好きな国民はどこだと思います?
 国民の50%近くあるいはそれ以上が猫が好きという国は、第一位がブラジル、そしてアルゼンチン、フランス、スペインと続く。
 お分かりかな?
 いずれもサッカーの強い国じゃないですか。
 トキソプラズマに繰られてドパーミン効果で、戦闘意欲満々になっちゃったんですよ。

 ただ、いいことばかりじゃない。
 妊婦が猫に触ると流産するという説もあるのでご注意を!

 
 

金沢便り(37)潜水艦救難艇ちはや

2012-06-24 11:16:15 | 金沢便り
 金沢の山ちゃんからフォト便りが届いた。

 金沢港に潜水艦救難艇「ちはや」が寄港した。
 遭難潜水艦からの乗員の救出を任務とする特殊艇で、平成12年、二代目として就航。
 「ちはや」の艇名は大阪府金剛山の楠木正成の居城「千早城」に由来している。
  排水量 5,400t
  全長  128M
  乗員  約130名

 潜水艦救難艇の艇底から深海救難艇が海中へ、
 その他無人潜水装置や水中昇降室など特殊な装置を備えている。

 
 ちはや船首
 
 
 救難艇

 
 無人潜水艦

 
 船尾で魚釣り

 (金沢港に寄港

三鷹通信(55)内モンゴル自治区

2012-06-22 05:42:51 | 三鷹通信
 昨日のFサロンは、内モンゴル自治区出身の段瑞聡慶応義塾大学教授をお招きして内モンゴル自治区について語っていただいた。
 御年45歳。日本青年のような爽やかな印象、よどみない日本語は日本人以上である。
 具体的な資料を基に、極めて客観的な講義をしていただいた。

 以下は、あくまでもぼくの勝手な感想である。
 
 
 正直、モンゴルと言うと白鵬に代表される大相撲の力士、それに大草原のイメージしかなかった。 
 

 モンゴルと言っても、モンゴル民族の居住するモンゴル高原のうち、ゴビ砂漠の北に位置する外蒙古と呼ばれる<モンゴル国>が大相撲力士の出身地で、今日話題にするのは内蒙古であって中国領である<内モンゴル自治区>である。
 そんなことすらはっきりとは知らなかった。恥ずかしいかぎりである。

 モンゴ ル国の人口が300万人余りに対して、内モンゴル自治区の人口は2,500万人余り、土地も日本の3倍もある。
 内モンゴル自治区と称しているが住民の80%は、中華人民共和国建国以来移入が増えた漢民族である。モンゴル民族は17%にしか過ぎない。
 中国政府はチベット問題など少数民族問題を抱えているので、対応には特に気をつかっている。

 自治区のトップには少数民族から起用し、党や政府機関の幹部も人口比率からすると少数民族から多く起用するなどの配慮をしている。学校の受験に際しては、少数民族はより低い点数でも受かるなどという配慮もなされている。(そういうのは不公平だという不満を引き起すタネにもなっているが・・・)
 しかし、共産党一党支配の中国にあっては、自治区と言えども党のトップが少数民族から起用されることはない。大元では、しっかりと中央に支配されている。自治区とは名ばかりのようだ。

特に内モンゴル自治区は天然資源にめぐまれていて、石炭の他、レアアースなどの希少鉱石の大半はこの地区で得られるので、そういった観点からもモンゴル族独立運動は徹底的にチェックされるだろう。
 

中国が北朝鮮に肩入れしていることは周知の通りだが、もし、南北朝鮮が統一されることになれば、現在中国が支配し、朝鮮族が多数住んでいる元朝鮮高句麗時代の領土が、領有権問題の火種となりかねないという懸念がある。
 世界的に民族独立の動きがある中、沢山の少数民族を抱える中国にとって、民族問題が一番頭を悩ませるところであろう。

 バブルのころレストランを経営していた友人が言っていたことを思い出した。
 中国人を出入り50人雇った。
 北京、上海、四川、南京、各地の有名大学から来ていて、大半は東大だった。
 みんな頭はよかったが、郷土意識が強く仲が悪かった。
 特に北京、上海の仲の悪さには閉口した。
 上海人はいっさい北京語をしゃべらない。
 土地生まれのグループで行動する。
 その他の大学人は虫けらあつかい。
 まして台湾人はゴミ扱い。


 同じ民族同士でも自意識が強い。
 ましてや多民族に対してはなかなか寛容にならないのでは。
 政府のコントロールが強固になる所以か。
 あらためて、日本人の甘さを実感するとともに、この寛容の精神をいかに伝えるべきかを思った。

 
 
  

三鷹通信(54)作家と落語家の主宰する読書会

2012-06-17 15:37:59 | 三鷹通信
 
 昨日、作家と落語家とで企画した読書会は初めての試みとあって、不手際が重なり思ったほどの参加者が集まらなかった。

 あいにくの雨。しかも小学校のPTA会長でもある落語家師匠の集客力に期待したのだが、当日は父兄授業参観日と重なっていた。
「えっ? 落語家の話が聞けるということで来たんだけど、読書会なの?」なんておっしゃる方も何人かいた。事前PRの仕方に問題があった。
 それに会場が高層マンションの会議室だったが、管理が行き届きすぎていて、時間を外してこられた方が主宰者で住人の作家先生の同道がないとエレベーターにも乗れない。
 
 それでも、童話大賞を受賞され、わざわざ千葉からお出でいただいた方、食と健康に関する社会企業家の女性、革細工手織り職人でありながら、長崎被爆二世で地域活動に従事、今回の東日本大震災で草むしりもされた方、むさしのやせたがやの紙芝居で地域の子どもたちやお年寄りのために活動される方
 など10人の方が参加された。
 
 落語家に関する雑談から始まったが、老人施設で落語を語る場合、痴呆の方はまったく笑わないのには困惑した。やっていくうちにそばを啜るなどの動きや、「トーフー、トーフー」とか「キンギョー、キンギョー」などの物売りの声にはラップみたいに体をゆすって反応することがわかった。子どもを相手にしていると思ってやるとうまく行く、昔の思い出が喚起されるんですね、という話は興味深かった。
 江戸売り声を売り物にして人気の漫談家、宮田章司さんも話題に出た。
 

 紙芝居の実演も行われました。

 作家先生からこの1000年「日本の文学者」人気番付が提示された。
 1位夏目漱石、2位紫式部、3位司馬遼太郎、4位宮沢賢治、5位芥川龍之介、6位松尾芭蕉、7位太宰治。8位松本清張、9位川端康成、10位三島由紀夫、この順位は10年後も変わらないのでは。

 その場に供された本は童話大賞を受賞された方の「総理大臣になった少年」
 
 あまんきみこ「七つのポケット」
 雑誌「歴史のミステリー」
 
 桂文珍「新落語的、学問のすすめ」
 
 
*「総理大臣になった少年」は審査委員長の作家先生が絶賛されていることに作家は大感謝。

*あまんきみこさんは受け取ったお便りにはかならず返事をくださるので有名だ。作家先生も童話大賞受賞者も経験しているという。

*「歴史のミステリー」の中では、<アポロの月面着陸は捏造>が話題となった。
 1.月面から見た宇宙に星が写っていない。
 2.月面に飛行士の足跡が深く残されているのに、着陸船のロケット噴射でクレーターができた様子がない。
 3.大気のないはずの月面で星条旗がはためいている。
 4.同じ写真の着陸船や宇宙飛行士、岩などの影の方向がバラバラになっている。
 5.地球の周囲を覆っている放射線帯を通過する際、宇宙飛行士は耐えられないのではないか。
 ・・・その後、残してきた反射板を利用して計測が行われたのでは・・・
 という、疑惑に対する反論もあった。

「新落語的、学問のすすめ」は落語家が主宰される読書会ということで、ぼくが持ってきた。
 そして内容からみんなにアピールしそうな部分を抜粋して披露した。

 人間は生きる上で矛盾だらけ。対立があったり、摩擦があったり緊張があったりする。
 そこに笑いがあれば緩和できる。

 あるお嬢さん、免許を取って、お父さんに「車、買って」と要求した。
「そんな金はない。お父さんの車に乗っとき!」
 お父さんの車は軽四のダイハツの車。
「こんな車にピアスをして薄化粧した若い娘が乗れるか!」と思ったが、早く乗りたい気持ちが勝った。
 誰にも見られたくないが、真っ暗になってからでは怖い。
 夕暮れにブルブルと走り始めた。

「あかん!ダメダメ!」お父さんが叫んでる。
「いいって言うたじゃん。何言うてんねん・・・」
 お嬢さんは無視して、うれしいな、いい気分だな、とゆっくり走っていると。
 後ろから外車がやってきた。
 黒いベンツで神戸ナンバーだ。
 これでどういう方が乗っているかが分からないと関西では生きていけない。
 その筋の方が乗っている可能性が高いのだ。
 信号で停まる。そのベンツが横に来て、女の子の車の窓をトントンと叩くんです。
 一瞬、女の子はどう思ったと思います?

 ・・・私がここで拉致されたら、お母さんは私のカワイイ写真をメディアに流してくれるだろうか・・・
 自分をこの緊張から解放したいという気持ちが、こういうふうに彼女に思わせている。

「な、なんです?」 彼女は緊張して言います。
「お嬢ちゃん、この車、犬がつながれているよ・・・」
 お父さんが、ダメ、ダメ!て言うてたわけや。

 よかったですね。彼女が初心者で。暴走族やったら、この犬死んでまっせ!

 
 みなさん、結構笑っていただけました。ぼくはそれだけで満足でした。 

有名人(47)女の魅力(30)堀北真希

2012-06-16 05:08:29 | 女の魅力
<堀北真希>
 
 
 朝ドラ、梅ちゃん先生を毎日見ている。
 先のカーネーションのヒーロー、尾野真千子さんのイメージが強烈だったので、堀北真希さんの梅ちゃんは頼りなくて、大丈夫かな? と見ていたが、その頼りなさが梅ちゃんにぴったりだ。
 最近ではそのドジだけどカワイイ性格は、堀北さんの地そのものなのだろうと思うようになっていた。

 昨日の朝イチのプレミアムトークに出てきて、自己紹介するまではイメージ通りだったが、その後次々とあぶりだされる本人の素顔にびっくり!
 「朝ドラに抜擢されたときの感想は?」
 定番の質問に、今までの俳優のように「感激しました!」なんて言わない。
 むにゃむにゃと、言うなれば、どうってことないというような反応。

 特にびっくりしたのが、厳しいお父さん役の高橋克実氏が彼女について、「堀北先輩と言わせていただきます・・・」とコメントしたこと。
 えっ! 彼女が先輩? まさか。
 つまり、彼を始め、倍賞美津子、南果歩などの大物俳優に囲まれてもご本人はいっさい動じない。
 高橋克実氏が冗談をかましても、彼女は唇に指を添えて「信じちゃダメよ!」って倍賞さんあたりに言うらしい。
 あまりにも泰然自若の態度に、思わず「先輩!」って言いたくなるぐらいというわけだ。

 しかも、ひと目みるなり「なんて肌の白い、透き通るよう!」と有働有美子さんが感嘆の声を上げたほどの、乙女、乙女した彼女が、筋トレが趣味で腹筋が割れているというのには、またまたびっくり。

 料理が好きで、毎日自分で作ったお弁当を持参するなど、何でも自分でやるのが好きだそうだ。洗濯も細かく分けて洗うし、掃除もよくする。
 掃除したところを他人に汚されるのは嫌い。だから結婚願望もないそうだ。
 役柄はドジな梅ちゃんだが、本人はドジどころかしっかりものという周囲の評価。

 <ALWAYS三丁目の夕日>の山崎貴監督に言わすと、見た目はのんびりとした性格に見えるが、ストイックなほど役柄に打ち込む。追いつめれば追いつめるほど本人には無い性格が開花してくるので将来が楽しみだそうだ。
 本人も、他人の困った顔が好きなので、悪女役などもやってみたいと言う。
 
 <いや、いや、人はみかけによらない>
 おしとやかに見えるけど、結構さばさばした男っぽい性格の持ち主でもあるんですね。
 見直しました。

詩歌(7)居なくてもキミは見える

2012-06-11 05:30:01 | 詩歌
 <パーティのキミ>

 

 やはり居た キミは居た
 会えたのにキミを見ない

 
 知らぬ間にキミはそばに居た
 触れ合うばかり近くに

 いつの間にかキミは居なくなった
 パーティーの帰り道

 居なくなったはずのキミが居た
 そっと目を交わす

 共にバスに乗り込む
 そっとキミに触れる

 別れる所に来た
 バイバイ・・・中からキミは手を振っている

 今日、キミはそばに居ない
 でも、ここに居なくてもキミは見える

エッセイ(121)文明の進化路線に逆らえるのか(30)落語「原発談義」

2012-06-09 05:49:12 | エッセイ
「国民の生活を守る」、野田首相はこれを唯一絶対の基軸として、大飯原発3,4号機の再稼働の必要性を訴えた。

 これを聞いていた長屋のご隠居と熊さん。
  

 熊「福島原発事故の恐怖から未だ冷めやらないってのに、またそんなリスクを背負っていいのかね?」
 ご隠居「何百年に一度のリスクより、明日のリスクを恐れたんじゃないの?」
 熊「明日のリスク? 何百年て言いますがね、これからはすぐにでもまた大地震が発生する恐れがあるって、エライ人が 言ってましたぜ」
 ご隠居「そうかも知れねえが、明日のリスクの方がひっ迫してるってわけだ」
 熊「明日のリスク?」
 ご隠居「計画停電で経済活動に即、影響がでるってことよ」
 熊「でも、原発事故のリスクの方がずっとでかいぜ・・・」
 ご隠居「それも賢い日本人ならそのうち克服できるだろうってわけだ」
 熊「そんなことムリじゃねえの?」
 ご隠居「また、想定外なんて自然災害が起きればムリかも」
 熊「じゃあ、やっぱり原発なんて、即止めちまったほうがいいんじゃないの?」
 ご隠居「でもね、<杞憂>って言って、人間の心配性を戒める諺もあるんだ」
 熊「杞憂って?」
 ご隠居「昔、杞という国に、今にも天が落ちてくるんじゃないか、地が崩れるんでは? と心配でいても立ってもいられないって人がいたんだよな」
 熊「それはいくらなんでも心配し過ぎだね」
 ご隠居「自然現象の想定外ってのはそんなものなんだ。気にしたらキリがないんだ。ところが、人間はそんな心配をものともしないで前へ、前へと進んできたんだ。原発のリスクは克服できるって科学者もたくさんいる」
 熊「ていうことは、我々に原発のリスクについては目をつぶれってことかい・・・」  
 ご隠居「少なくとも原発を止めたときのリスクってのも考えないとね」
 熊「原発をやめたときのリスク?」
 ご隠居「だって、現在の電力に頼っている便利、快適な生活が影響を受けることは間違いない」
 熊「でも原発被害の恐怖からすれば、少しの不便など我慢できるんじゃねえの?」
 ご隠居「我慢できる? お前が? ウソつけ! お前んとこのお隣さんの中国さんが、クーラーなどガンガンつけて、便利で快適な生活してるのに、それでも我慢できるのかい?」
 熊「お隣の中国? あいつだけが快適な生活してる? それはイヤダね。我慢するなら長屋全部が参加しなきゃ・・・」
 ご隠居「そううまく行くかな? ともかく原発を止めるリスクについても考えておかなきゃ。原発稼働のリスクに比べれば、止めたときのリスクは100%の確率で、国民に影響してくるから」
 熊「てことは、原発リスクの恐怖から逃れるには、長屋が一致協力して耐乏生活に耐えられるかどうかにかかっているんだ」
 ご隠居「お前、物わかりがいいじゃないか・・・」
 熊「えへへ・・・」


 以上、お粗末な落語<原発談義>でお茶を濁しました。
 失礼のほどお許しください。

エッセイ(120)文明の進化路線に逆らえるのか(29)

2012-06-06 04:17:15 | エッセイ
「大飯原発再稼働の必要性について、政府は責任と覚悟をもって国民に訴えてほしい」
 西川福井県知事は細野原発担当相との会談で強調した。
 臨時的、限定的ということで、橋下大阪市長をはじめとする関西広域連合は再稼働について了承したが、そもそも原発に取り組む姿勢について政府は明確な態度を表明していない。 
 とりあえず、現存する原発は、安全性に配慮しながら活用するという現実主義者的姿勢だ。

 一方で今回の福島原発事故は、原発の存続自体に警告が突きつけられたと捉えるべきで、即刻、脱原発に向かうべきだという理想主義的姿勢がある。
 
 従来から<脱原発>の立場で「新しい文明の創設」を訴え続けている元スイス大使、村田光平氏によれば、福島原発事故はなんら終息していない。
 
 特に4号機の燃料プールは緊急の対応を必要としており、余震の規模如何では、1535本の燃料棒が大気中で燃え、果てしない放射能の放出、世界の究極の破局にいたる引き金を引きかねないと、危機感があまりにも稀薄であることについて警告している。

 1980年、フランスのラ・アーグ再処理工場で発生した「シェルブール停電事件」は1万キロ圏内のすべての住民の死をもたらし、欧州を全滅しかねない恐れがあったという。 

 当時のフランス大統領ジスカールデスタンが完全な報道管制を敷いたため、その事実を知る人は少ない。
 幸いに幸運が重なってそういう事態にはならなかったが、日本の六ヶ所村再処理工場にも起こりうることだという。

 村田光平氏は、「経済重視から生命重視」へと世界政治の舵を切るべき時だと、この福島原発事故を契機に世界に脱原発を働きかけるべき、と主張しているのは傾聴に値する。
 
 しかし、アメリカ、フランス、中国、インドなどは現実の経済を重視し、しかも科学にはリスクが伴うものだが克服できるはずだと、原発に依存する姿勢を変えていない。
 日本だけが先行して、現行の経済で不利を被る政治判断をすることができないのが悩ましいところである。
 脱原発を宣言したドイツ、イタリアに倣うべきだという意見があるかもしれないが、彼らはフランスなど他国から原発電力を買うことで当面を凌ぐことが出来るが、日本はそれが出来ない。
 世界が一致して脱原発に向かうことができるのだろうか。
  
 

エッセイ(119)文明の進化路線に逆らえるのか(28)

2012-06-04 07:08:51 | エッセイ
 橋下大阪市長、大飯原発の再稼働を容認。
「うわべや建前論ばっかり言ってもしょうがない。事実上の容認です」とあれほど強硬に反対していた大飯原発再稼働の<安全重視論>から<危険回避論>に転換した。
 

 つまり本質的に理想主義者でなく、現実主義者の彼は、仮に計画停電などの事態になったとき、特に大阪地区の経済を支える中小企業から「どうしてくれるんだ!」と言われるのを政治家として恐れたのだ。
 原発の安全性が損なわれるのは、福島の大津波のように想定外の、それこそ杞憂と言われるほどの確率でしか起こらないが、計画停電による被害は100%目の前に突き付けられる。
 政治家としてこちらの方を怖れたのだ。

 3.11の大災害以来、政治家と民衆の信頼関係が決定的に損なわれた。未曾有の、それこそ何百年に一度の自然現象の猛威に、政治家はなすすべもなく、オタオタしてしまった。

 では、その時政治家として国民にどう呼びかけるべきだったのか。
「これは未曾有の自然の猛威です。普段自然の恵みに浴している我々が、受けざるをえない試練です。実際に被害を受けた方々には深い哀悼を捧げるとともにその苦難を受けられた方々を残された我々が懸命にお支えしなければなりません。そしてこれまで歴史が示してきたように、我々は一致結束して、新たなステップに踏み出すよう頑張りましょう」
 
 言い訳を連ねるより、政治家は先ずシンプルに事実を述べることから始めればよかったのだ。実際この震災による被害は、浅はかな我々には、まさに想定外の自然現象だった。
 ここで我々は被害を厳粛に受け止め、いかなる落ち度があったのか? 対処方法はあるのかを検証し学び、さらに新たな進歩に向かうというのが現在の人類文明のありかたなのだ。

 確かに、この震災を契機に、我々の生き方、つまり文明に取り組む姿勢を問い直すチャンスだ。日本がその新しいモデルケースを生み出すべきだという考え方もある。
 日本は古来、自然と共生し、その脅威を受け止めながらもその恩恵に寄り添ってきた。
 ところが、現代文明の主役はむしろ自然をコントロールしようとする西洋科学文明に支配されている。原発もその落とし子だ。
 そして我々はその科学のもたらしたリスクは伴うが、<便利>という恩恵に浴している。
 これがなかなかのもので、我々はその魅力から脱することができない。
 現実主義者、橋下氏はその辺を実感して決断したのであろう。