昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(157)朝ドラ<純と愛>終了

2013-03-31 05:11:44 | エッセイ
 <家政婦のミタ>で名を馳せた遊川和彦氏の朝ドラということで期待して観ていた<純と愛>が最終回を迎えた。
 
 正直、ドタバタ展開に振り回されて疲れた。
 最後はどう締めくくるのだろうという期待のみで観ていた。
 
 ようやく目指していた新生サザンアイランドホテル建設に着手できたが、台風でぶち壊されるというどんでん返し。
 大手のホテルで働いていた時の仲間、そして場末のホテルの仲間も集まってきたが、パートナーの愛(いとし)が植物人間になってしまって、ヒロインの純は立ち直ることが出来ない。
 
 
 後、2~3回しかない中でどう結末をつけるのだろう?

 朝ドラとしては終始イライラさせられる展開だった。
 そして昨日の最終回、純は宮古の海を眺めながら決意を語る。
「自然に比べればちっぽけだけど、神には頼らない。奇跡を起こすのは人間なんだから。たとえいとしくん、この世で一番大切な人が一生目覚めなくても、わたしは死ぬまで町田純であり続けると決めた。信じていればきっと伝わる。いつもありがとう」

 なんと悲しい結末ではないか。
 常時<眠り姫>が出ていたのが今納得できた。
 
 愛する人は死んだわけではないが、百年先まで眠り続けるのだ。
 人生はそんなに甘くはない。
 常にハッピーエンドを期待できるわけがない。
 人間は何が起きようとも、結局、自分自身の覚悟とともに生きていくしかないのが現実だと、作者は言いたかったのだろう。 

三鷹通信(74)キリ大の桜

2013-03-24 04:07:50 | 三鷹通信
 今年の桜は例年より1週間から10日早い・・・
 テレビの掛け声に誘われて昨日、天気もいいし花見としゃれた。
 三鷹近辺では、井の頭恩賜公園、小金井公園、神代植物園等々、見どころはいろいろとあるが、ぼくにとっての桜は何と言っても<国際キリスト教大学の桜>だ。
 近いし、今まで見た中でもトップクラスの穴場的桜の名所だ。

 人出の少ない朝、家を出る。
 
 Jマートの園芸品売り場ではもう春真っ盛り。
 
 近所の家の紅白のしだれ梅? がすばらしい。
 10歳ぐらいの女の子がカメラを構えている。
「おじいちゃん、写真撮るから・・・」
「おじいちゃんはいいよ・・・」
「ダメ、そこに立って!」

 
 何という花だろう? 小さな花がカワイイ。

 
道端の桜はすでに超満開だ。

 
 小学校の校庭の大桜はまだ六分咲きぐらいかな?

 さて、目指すキリ大の桜。
 
「まだ、満開ではないね・・・」
 お年寄りのご夫婦がのろのろ歩いている。
 
 レンギョウの黄色との取り合わせがすばらしい。
 
 
 600メートルの道の両側、100本以上の古木が空を覆い壮観だ。
 
 1949年創立の3年後に植えられたというから50歳を超える大木だ。
 
 他の名所は行ったことはないが、ここだけは毎年訪れる。
 

三鷹通信(73)今一番気になる中国

2013-03-23 04:09:37 | 三鷹通信
日本国にとって、今一番気になる国は中国でしょう!
 政治的にも経済的にも、今だけじゃなくて、将来的にも!


 そんな時、今月のFサロンにお招きした慶應義塾大学唐木圀和名誉教授の「中国人の考え方と日中関係」のお話はまさにタイムリーだった。

 *日中間の摩擦・・・反日デモ(日本の常任理事国入り反対、尖閣諸島国有化)
           食の安全、環境問題(冷凍餃子事件、PN2.5の飛来)
           尖閣諸島領海侵犯
 *謝らない中国人と政府・・・
 (個人に関して)1.面子を重んじる社会
        2.謝する時金銭的又は物質的裏づけが必要
        3.中国古来の儒教的徳目が破壊(文化革命の<造反有理>の影響か) 
        4.封建的思惟方法の残存(事大主義。尊大)
 (政府に関して)1.中国共産党による一党独裁による<人治国家>
         2.中華思想に基づく国際秩序(中華民族の偉大な復興を目指す)
         3.日清戦争以後の列強の侵略に対する怨念

 *尖閣諸島問題
 *中国を理解するにあたっての視角
   1.中国共産党一党独裁堅持か民主化か
   2.経済発展か平等か
   3.台湾問題
   4、近代国際法の順守か新国際秩序の形成か   
   5.文明化と近代化
 *日中関係の維持発展のために心掛けること
   1.平和5原則(主権・領土保全の相互尊重、相互不可侵、平等互恵、平和主義の尊重)
   2、日本の国防力充実および同盟国との関係維持
   3.相互理解の上に、普通の国同士の関係として付き合うこと

  いろいろな視点からの有意義な講義であった。
  その中で、ぼくなりに特に印象深かった点を取り上げてみたい。

 *中国共産党は変身している。
  本来中国共産党は、無産階級の政党として階級闘争を党是としていた。
  佐々木更三を代表とする日本社会党が訪中して、過去の日本の戦争について謝罪すると、毛沢東は「何も謝ることはない、日本軍国主義は中国に大きな利益をもたらしてくれた」とまで言った。
 日本軍の侵略のどさくさの中で蒋介石の国民党を排除して、中国人民は政権を奪取したのだ。
 
 ところが、毛沢東の死後、「白い猫でも黒い猫でもネズミを捕る猫は良い猫だ」という小平が復権、<社会主義市場経済>が容認され、マルクス経済学の<搾取>は棚上げされ、さらに江沢民によって<三つの代表論>が提唱され、起業家も<人民>範疇に入ることになり、事実上中国共産党は階級政党から国民政党に脱皮した。

 問題なのは、この中国共産党が何ものも批判できない権威として存在し、しかも古来の中華思想と結びつき、昔の中国の領土は自分のモノと言いだしていることである。
 新しく国家主席となった習近平は「中華民族の偉大な復興という中国の夢」を旗印に掲げている。
 彼の顔からはそれほど無茶なことはしないような気もするが、現代に新しく台頭してきた<妖怪的中国>にはよほど褌を引き締めて対応しなければならないだろう。

 

三鷹通信(72)新公会堂と映画・アントキノイノチ

2013-03-04 06:10:45 | 三鷹通信
 三鷹市公会堂がリニューアルした。
 
 公会堂ホールは「光のホール」と名づけられ、三鷹市芸術文化センターが管理する。
 別館は「さんさん館」と名づけられ、ボランティアなどによる市民参加型のレストラン「C-Cafe]が入っている。
 無添加・地産地消・無農薬にこだわる食を提供している。
 City(街)、Community(コミュニティ)、Collaboration(協働)を創造する市民交流プロジェクトだ。
  

 雑穀米と豚肉、きんぴら、ホウレンソウ、きのこ、卵焼きの定食は、味がとても良くて、ヘルシーだった。

 こけら落としに社会福祉協議会と三鷹市ボランティア連絡協議会の協賛による映画「アントキノイノチ」が開催された。
  

「ぼくは親友を二度殺しました」という衝撃的な言葉で始まる。
 <こけら落とし>には重い内容の映画だ。
 高校生活の中で起こした事件がきっかけで心を閉ざし、うつ病に悩まされる岡田将生演じる永島杏平は、<遺品整理業>という仕事に就く。
 こんな仕事があるとは知らなかったが、人間関係が希薄になり、孤独死が増えるという現代社会ではあり得ると納得。
「いっさい必要ありませんからすべて捨ててください!」
 縁のある人から見捨てられ孤独死した人の放置されていた遺品を、異臭の中、<ご供養>と<不要品>に仕分けしていく作業。
 
「合掌!」で始める作業を真摯な態度で進める原田泰三演じるリーダーのもと、杏平は、てきぱきと事を運ぶ栄倉奈々演じる久保田ゆきと出逢う。
 命が失われた場所で働くうちに彼らは次第に心を通わせていく。
 しかし、腕にリストカットのあるゆきは、衝撃的な過去を彼に告げ姿を消す。
 親友の命を奪った彼、かけがえのない命を守れなかった彼女。
 でも、彼らはふたたび出逢った。
 そして、それでも彼らには残された未来があることを悟る。

 この映画は2011年第35回モントリオール世界映画祭で、革新的な質の高い作品に与えられる「イノベーションアワード」を受賞している。
 監督は瀬々敬久である。

 実はこの日の午前中、地域の人たちと雑談をしていた。
 すでに何人かの身内を見送った人たちだ。
 見送り方が果たして適切であったか、残り少ない我々の今後の生き方はいかにあるべきか、そして若い人たちに何を伝えなければならないのかということまで話は発展した。
 そんな気持ちを引きずって見たこの映画はかなり重いものだった。
 特に、最後ゆきが道路に飛び出してきた子どもを助けるために自らの命を失う。
 それはそれなりに意味ある結末かもしれないが、それはないぜ!と思った。
  
 
 

エッセイ(156)他人を思いやる日本人の心は失せていない

2013-03-03 06:02:15 | エッセイ
 昨日街で見かけた<うれしかったこと>3景

 (1)<スーパーのレジで>
 
 スーパーで買い物をしてレジを済ませたが、一つ買い忘れに気づき買って再度レジの行列に付く。
 自分の前のおばさんが大量の買い物をカウンターに上げたが、ぼくに気づき「あなた、それだけですか? わたし多いからお先にどうぞ」と順番を譲ってくれた。
 
 (2)<バスの中で>
 
 若い夫婦が3歳ぐらいの女の子とバギーに乗った赤ちゃんを連れて乗り込んできた。
「わたしは次で降りるからどうぞ・・・」
 シルバーシートのおばあさんが席を譲ってくれた。
「すいません、いいんですか?」若いお母さんは子どもと赤ちゃんを座らせる。
「どうもありがとう!」
 女の子が元気にお礼を言う。
「まあ、しっかりしたお子さんですね。じょうずにお礼が言えておりこうさん!」
 席を譲ったおばあさんもうれしそう。
「行ってらっしゃい!」
 次の駅で手を振って降りて行ったおばあさんに、女の子はしっかり声をかけていた。

 (3)<電車の中で>
 
 気がついたら中年の大柄な男が二人分の座席を占拠して正体もなく寝込んでいる。
 隣の女性は気にすることなく携帯に見入っている。
 次の駅で携帯の女性は席を立ち、何事もなかったように降りて行った。
 続いてたくさんの乗客が降りた。
 最後に下りようとしたスマートな若い女性が、男に手を掛けて、だいじょうぶですか、というようにゆすっていたが、ドアが閉まりそうになってあわてて降りて行ったが、他の多くの人たちが知らんぷりする中、姿ばかりでなく格好いい女性だと思った。
 そのうち元警察官みたいなトレンチコートの男が、男に起きるように促し始めた。
 近づいてきた若い男に、「耳が赤いから大丈夫だとは思うが、身じろぎもしないのはちょっと心配だな。車掌に言ってやったら?」
 若い男は元警察官?の指示に従って後ろの車両へと走って行った。
「一応伝えておきました」
 戻ってきた若い男が報告したが、「次は・・・」と場内アナウンスしている車掌はやってくる気配はない。
 次の駅で外へ出た若い男は「車掌さん、ここです!」と叫んだが、さらに二つ駅が過ぎたが車掌さんの対応はない。
 依然として全く動かない男を前に憮然としている男二人。
 三つ目の大きな駅について、ドアの外に駅員が現れ、乗り込んできた。
 駅員が揺さぶったり声をかけるが微動だにしない。
 二人の男の力を借りて駅員はその男をプラットフォームにかかえて下ろした。
 壁の所に寄りかかって座ったから、取りあえずその男は緊急事態ではないようだ。
 単なる酔っ払いかもしれない。
 その後が気になったが、電車は介助した二人の男を残して何もなかったかのように出発した。

 テレビで日本人の親切度は世界で何番目?という番組を思い出した。
 
 子どもが木に引っかけた風船に何人が気づき、助けてやるだろうか?という実験で、今回はオーストラリアに続いて2番目だった。前回はトップだったそうだが。
 
 他人を思いやる心はまだまだ日本人の心の中に生きている。