昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(246)終戦のエンペラー

2013-07-30 02:40:06 | なるほどと思う日々
 サッカー東アジア杯の日韓戦で、日本を非難する巨大横断幕<歴史を忘れた民族に未来はない>が掲げられて問題となっている。
 
 そんな時、映画<終戦のエンペラー>を観た。

 日本が引き起した太平洋戦争が終戦となり、焦土と化した日本にGHQ総司令官として、日本を大改造する野心を秘めて乗り込んできたダグラス・マッカーサー元帥の統治秘話である。
 戦争犯罪人を摘発する中で、天皇を最高責任者として裁けるか否かについて、彼は部下であるフェラーズに調査を命ずる。
 史実に基づいて簡明にまとめられている一方、国と国をつなぐ力となるのは個人の<心>であることを浮き彫りにしている作品だ。

 つまり、フェラーズは捜査の過程で接触した日本人の<心>に触れて、この国を再生するためには、日本の歴史上精神的な象徴的存在である天皇を無視できないことを確信し、マッカーサーに報告する。
 そして最終的にはマッカーサー自身が直接天皇と会見して決断する。
 
 史実の中に、この調査にあたったフェラーズと聡明で凛とした日本人女性アヤとの恋物語というフィクションを挿入することで、この作品はドラマとしての深みを増している。
 

 このドラマを見ながら、天皇に関する二人の外国人女性の言葉を思い出した。
 一人は<菊と刀>を書いたアメリカの女性文化人類学者ベネディクトさん。
 
「天皇が自らラジオの前に立ち、国民に詔勅を告げられると聞き、両目に涙があふれました。・・・敗戦にあたり、あのような気品と高潔さを示した国はなかった」
 (敗戦の日、助手の日系人ロバート・ハシマさんに送ったベネディクトの手紙)

 もう一人は韓国女性の日本評論家、呉善花さん。
 
「韓国の伝統文化に最も欠けているのが無形文化である。・・・李氏朝鮮以来、文化を担うものは、存在感のはっきりとした、目に見える物質・肉体・権力、それ以外にはなかった。物質としての形があってこその文化であり、精神性はあくまでそれに付随する二次的なものでしかなかった。日本では、物質や肉体はあくまで精神を宿らせる、仮の存在とみなされているようだ。たとえば、あの弱々しい天皇がなぜ日本の象徴なのだろうかと、韓国にいる間はずっと疑問に思っていた。それが、目に見える存在としての天皇ではなく、日本人の精神文化に深く根ざしたところに由来をもつ、ある精神性の象徴としての天皇だと知ったのは驚きだった」
 (呉善花<スカートの風>より)
 
 

なるほど!と思う日々(245)知的な肉食系女子

2013-07-27 05:14:02 | なるほどと思う日々
 NHKテレビの<おはよう日本>のキャスター鈴木奈穂子さんの鋭い眼光に魅せられた。
 
 まさに鷹の目だ。パートナーの阿部渉氏の羊のような愛らしい目と比べると対照的だ。
 今流行の言葉で言えば、草食系男子に対する肉食系女子だ。
 NHKにはいわゆるカワイイ女子アナとは一線を引く魅力のある<知的肉食系女子>とも呼べる女子アナが鈴木さんの他に小郷知子さん、井上あさひさんが挙げられる。
 
 
 いずれもニュースキャスターだ。
 男性をターゲットにした肉食系ではなく、知的なターゲットを貪欲に求める目をした女子だ。

 少し前の<ごくせん>の仲間由紀恵さんもそのひとつの典型だ。
 
 戦前の日本には考えられない、平和な時代に表舞台に登場した草食的男子を魅了する積極的な女子のスタイルだ。

 今までの女子にはなかったターゲットを引っ提げて現れたモデルでありながらボクシングにチャレンジする高野人母美さんもひとつの典型だ。
 
 女子のシンボルである顔が損傷してもかまわないとプロとしてボクシングに挑む。

 

エッセイ(167)日本人として期待した一日

2013-07-22 06:06:07 | エッセイ
 昨日は日本人を意識した1日だった。
 先ず、大相撲。
 横綱は二人ともモンゴル人だ。長い間日本人の横綱はおろか、日本人の優勝もない。
 そこで期待をかけたのが稀勢の里。
 今場所の成績如何では横綱昇進もありうると期待したのだが・・・。
 
「何しろ期待外しの稀勢の里だからなあ・・・」
 稀勢の里ファンの友人が言う通りになってしまった。
 前半戦で平幕に三敗。
 今場所、横綱という夢は早々に潰えた。
 ところが後半、勝ちを重ね、両横綱にも勝った。
 また、期待が盛り上がった。
 しかしやはり<期待外しの稀勢の里>である。
 あの盤石白鵬連勝キラーの稀勢の里も、先場所味噌をつけた琴奨菊にまた負けた。
 

 口直しに、東アジア選手権に臨む若手ザックジャパンの対中国戦を観戦。
 FIFAランキング100位の中国に勝って憂さ晴らしをと思ったのだ。
 ところが、早々にPKで1点を失う。
 さすが、テクニックで3点を奪取。一時愁眉を開いたが・・・。
 最後、守備の破たんで2点取り返されて同点にされてしまった。
 
 情けない!

 しかし、全英オープンで松山英樹が頑張った。
 
 前日の遅延ペナルティを課せられたのをものともしないで粘った。
 6位。先の全米オープンの10位に続くメジャー連続ベストテンだ。
 世界の一線で活躍が期待できる日本人選手が現れた。

 そして、参議院議員選挙の結果が出た。
 自民党の圧勝。
 
 ねじれが解消して、安定政権成立。
 しばらくは、国際政治で日本もバカにされない対応ができるかな?
 より先を見通した場合問題山積だけれど・・・。
 
 

なるほど!と思う日々(244)荒くれ男を仕切る!

2013-07-18 03:13:35 | なるほどと思う日々
 スゴイね! 60人の漁師たちを仕切る坪内知佳さん。27歳。
 
 

「漁師って、魚を獲ったら終わり! なんですよね。このままでは会社が潰れるわよ!」
 萩市の<萩大島丸船団>の長岡団長に請われて事務を処理することになった彼女は団長に言ったそうだ。
 漁師たちは魚を獲って、市場で捌いたらそれでその日は終わり。
 採算なんてぜんぜん考えていない。
 翌朝また漁に出るの繰り返しだった。
 
 ガソリン代など費用は嵩むし、売り上げは落ちるし、こんな実情を見て彼女は一念発起!
 折角努力して獲った魚に付加価値を付けて、料理店などに直接高く売る方法を考え出した。
 獲った魚を血抜きして鮮度を保ち、鮮魚ボックスにきれいに詰めて宅配便で直販するようになった。
 

「やってられないよな! 疲れてるのに余計な仕事をさせられて! 冗談じゃねえよ、普通ならぶんなぐってるよ! だけどちょっとカワイイんだよな・・・」
 と言いながら荒くれ漁師たちは、20もの顧客を開拓した彼女の努力に敬服、丸め込まれていった。
 今や彼女は60人の漁師を束ねる船団の代表である。
 (昨日の日本テレビから)
 
 これからの仕事は、人とのつながりを重視するチーム力だね。
 誰かが発想し石を投げ波紋を起す、それに反応していろいろな役割の人たちが絡むことで大きな仕事に発展する。

 国民栄誉賞の松井秀喜氏がアメリカのオールスターズで野球解説デビューした。
 でも、語り口が軽くて深みがない。
「ネ、ネ・・・」が多すぎるのだ。
 ぼくの故郷石川県が誇る大スター。頑張れ!
 
 


 

なるほど!と思う日々(243)ものづくり日本

2013-07-14 03:45:21 | なるほどと思う日々
日本の家電メーカーの業績低迷が問題視されている。
 シャープや、日本家電業界のシンボルみたいなパナソニックでさえ、韓国企業に打ち負かされている。
 製造コストが云々されているが、問題はそれだけじゃないんじゃないの?
 韓国にはキムチ用冷蔵庫があるという。
 
 LEDが話題となった当初、ウチでも従来のを代えようと買いに行ったら、フード付きの卓上ライトに合うのがない。ソケットの長さが足りないのだ。
 最近アイリスオーヤマがいろいろな形状のものを出してきて、やっと間に合うのが見つかったが。
 
 
要するにお客のニーズに応える努力が足りなかったのだ。
 積んどくばかりで読んでなかった雑誌を整理していたら、なるほど!という記事が目に飛び込んできた!
 今や<第三の産業革命>の時代に入っているというのだ。

 新素材・3Dプリンター・ロボット・デジタル化により、製造業の工場は大量生産から移行し、多様な個人の需要に応じるカスタム製品の量産を可能にする。近い将来、工場は無人に近くなります。
 そうなると日本のような先進国の製造業の価値源泉は変貌を遂げます。
 工場・機械・設備の価値は相対的に下落し、企業力・開発力・ノウハウの役割が拡大します。 製造業の価値の源泉が物的資源から人的資源へと大きくシフトすることになるのです。

 例えば、アップル製品は中国製ではないか、中国を儲けさせているのではないかという批判が聞かれます。
 ところが価格499ドルのうち製造人件費は33ドルで、残りの大半は企画・製品開発費やデザイン費、あるいはサービスに対する支払いとしてアメリカに落ちている計算になるのです。
 また、太陽光発電が普及しても、太陽光パネルは安価な中国製に席巻されて儲かるのは中国ではという批判もありますが、実際のコストのうち4割近くは、地元企業の工事サービスの代金であり、2割は直交変換装置の日本企業に対する受注生産代金になるのです。

 <スマイルカーブ>という現象があります。
 
 ものづくりのプロセスにおいて収益性が高いのは、川上に位置する商品企画・開発の部分と、川下に位置するメンテナンスや顧客サービスの部分であって、中間に位置する製造工程は、時間の経過とともに収益性が低くなることを示したものです。

 さらに、この論文では、<イノベーションを起す『場』>に触れている。
 持続的にイノベーションを起していくには、個人と個人が集まって、化学反応を起こす『場』が必要です。
 製品開発に限らず、創造的な企画の分野を見ると、1人のひとが生んだものはないと言っていい。ファッションブランド<コム・デ・ギャルソン>の川久保玲氏にしろ、建築家の伊東豊雄氏にしろ、その役割は、最初に石を湖に投げ込んで波紋を起こすことにある。伊東氏は言う。「1人で考えるのではなく、みんなで考える。いかに変わっていくか、その変わっていくプロセスが面白い。コミュニケーションの瞬間に何かヒントをつかんでいく・・・」

 「個人ではやれることに限界がある。何が限界かというと、お金ではなくて人なんです」
 事業を立ち上げ拡張するには、その段階、段階に応じて、必要な人材が発生します。法律、財務、人事とぱっと浮かぶスキルだけではなく、人を引き込むのが得意な人、内部が崩壊しないように糊代をつくるのが得意な人といったように、必要な人材はありとあらゆるレベルに及びます。
 実はこの人材の束、ワンセットの<チーム>が潜在的に社内に存在していることが、日本のものづくり・サービス企業が新たな展開を遂げる上での、財産・強みになるのです。

 (新原浩朗・ものづくり「第三の産業革命」が起こる、より)