たかはしけいのにっき

理系研究者の日記。

何が人を自殺まで追い込むのか? -STAP細胞の報道について-

2014-08-06 01:16:30 | 自然科学の研究
 今日の理研CDBの笹井芳樹氏自殺のニュースを初めて見た時、冗談かと思ったのが正直な感想だ。
 そうか、なかなか事態が悪くなる一方だなっと思う。

 メディアの報道の仕方が悪い、誰か一人が彼を自殺まで追い込んだのだ、などの意見は的外れだ。(そういう部分も確かにあるのかもしれないが根本は)そうではなく、自然科学の研究世界の暗黙のルールが、一人の人間を自殺にまで追い込んだのだと俺は思う。研究を相互評価しあうことで生じてしまう政治力学が、何よりも問題だ。

 冷静になって考えてみれば、この国での年間自殺者は約3万人。なんでもかんでも「心不全です」の一言で済む死因不明社会である日本は、リアルな数字で自殺者は年間10万人を優に超えるとも言われている。そのなかで、俺は、研究に従事したために死んでいる若手・学生の数は、結構多いんじゃないかと思っている(実際に俺が知ってる数を考えてみても)。むしろ、こういう世間に知られていない、ひっそりと(自殺だけでなく)消えていってる優秀な若い世代のほうが、考慮すべきかもしれない。

 笹井先生は、自身が若いことでのツラさは無かったわけだし。
 ただ、やっぱり、こういう形で死ぬってのは、後味が悪いもんだよね。

 特に、これから生命系を目指す人、今現在、生命の分野に身を置いているや生命をフォーカスしている研究者や学生に、はっきり言っておきたいのだが、『生命現象を扱っているのだから、決して自殺するな!』
 生命系を志す人は、少なからず自分の研究が医療にも関連があることを自覚してもらいたい。だから、自身の生命に対して「自殺する」という物理現象を選ぶことは生命をまったく理解するだけの基礎ができていない、ということになっちまうし、医系の心からしてもまったく違うじゃないか?何で自分は数ある分野から生命を選んだのか?それを想い出してもらいたいのだ。

 とにかく、これからの俺らの若い世代で、研究の世界を絶対に変える!そうしなければならない!!

 追記2014/8/7
 なんか多くの理系がメディアを叩くことで納得しようとしている感じがするんですが、そんなんでいいのかなぁ。もちろん、メディアの報道の仕方が悪い部分は大きいんだけど、それと同等に研究世界がオカシイと思うんだけど、誰も、自分たちはこうしよう!みたいなのが出ないのが、ちょっと残念です。
 一部、本当にごく一部、ちゃんと意見を言ってくれてる理系はいるんですが、なかなか難しいもんですね。
コメント
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