スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ジャパンカップ&身体の記憶

2010-11-28 19:08:42 | 中央競馬
 節目の回ということもあり,関係者も努力したのでしょう,今年の第30回ジャパンカップは8頭もの外国馬が招待に応じました。
 ジョシュアツリーとペルーサが出遅れ。ブエナビスタが1コーナーの手前あたりで躓いてしまいひやっとしましたが,大事には至らず。ただ位置取りは後ろから5番手あたりの外とやや悪くなってしまいました。
 逃げたのはシンゲン。最初の1000mは60秒7。逃げ馬ではない馬の先導ですから当然のスロー。馬群はかなり密集してのレースに。先行各馬もわりに早くから動いていくレース。直線はかなりごちゃごちゃしましたが,内を割ったヴィクトワールピサが先頭に立ったところを外からブエナビスタが楽に交わし,そのまま先頭でゴール。ただしその過程で内に切れ込み,ローズキングダムの進路を妨害したために降着。立て直されてからよく伸び,ゴール寸前でヴィクトワールピサを捕えて2着入線のローズキングダムが繰り上がって優勝。ブエナビスタが2着,ヴィクトワールピサが3着で確定。
 優勝したローズキングダムは昨年の朝日杯フューチュリティステークス以来の大レース2勝目。仮に不利がなかったとしたら,ブエナビスタに先着できていたかどうかは大いに疑問が残るところで幸運といえば幸運。スローの決め手勝負というレースになったのも幸いしましたし,諦めずに追われ,ヴィクトワールピサを捕えていたのが優勝につながりました。父はキングカメハメハ,母は重賞2勝のローズバド,祖母も重賞勝ち馬のロゼカラー。叔父には重賞3勝のローゼンクロイツがいて,母の叔父には重賞5勝のロサードと重賞3勝のヴィータローザ
 騎乗した武豊騎手は3日のJBCクラシックに続く大レース制覇。ジャパンカップは1999年のスペシャルウィーク,2006年ディープインパクトで勝っていてこれが3勝目。管理している橋口弘二郎調教師は昨年の朝日杯フューチュリティステークス以来の大レース制覇でジャパンカップ初勝利。
                         
 ブエナビスタは昨年の秋華賞に続いて2度目の降着。クラブ法人とはいえ同馬主相手の降着は微妙な裁定。力は文句なくトップなのですが,運にはあまり恵まれていないような気がします。

 これらの哲学的考察をに当てはめて考えてみます。
 すでに説明したように,母は体育大学を卒業し,その後は中学校の保健体育教師として勤務していました。単純にこのことだけをもってしても,運動していた量というのは,ごく平均的な人間と比べればずっと多かった筈です。もちろん,身体の可塑性という観点から説明したように,人間の身体がなし得る,というか現実的になしている運動の多くは後天的に獲得されるものですから,実在性ないしは完全性という観点からいうなら,だから母の身体というものがごく平均的な身体よりもより完全な身体であったということはできません。これはすでに考察したことでいうなら,たとえば排尿を我慢することをなし得る身体が,それをなし得ない身体よりも完全であるということはできないということと同じです。確かに母の身体は,ごく平均的な身体よりもなし得ること,あるいはなし得ていたことも多かったと思いますが,だから母の身体がそれだけ完全であったというなら,結局のところ完全の意味は何も指示しなくなってしまうからです。
 しかし,運動の確定化という観点から考える限りでは,母の身体が,リハビリを行うことによってその機能を取り戻しやすい身体であったか取り戻しにくい身体であったかといえば,これは間違いなく取り戻しやすい身体であったと僕は思っていました。だから僕は,このことについては母に対して,あるいはもっと限定的にいうなら母の身体に対して,希望を持つことができたのです。僕はこの希望には何の根拠もなかったというわけではないといいましたが,その根拠こそ,スピノザ主義者であらんとする僕自身から,いわば自然発生的に生じたといえるでしょう。
 俗に,身体が覚えているという表現が,慣用句的になされることがあります。しかし,人間の身体の運動に関する限り,その原因は確かにその人間の身体なのであって,その人間の精神はスピノザ哲学でいうところの唯一の原因である起成原因とはなり得ません。つまり,運動に関しては,覚えているのは文字通りに身体なのであって,精神ではないのです。つまりこれは慣用句としてではなく,スピノザ哲学の立場としては文字通りの意味を有します。そして母の身体は,多くの運動を,よく覚えている身体であったと思うのです。
コメント
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