箱根ラリック美術館のあとは、バスですぐそばのポーラ美術館に行きました。
最初は家内が行ったことないと言う彫刻の森美術館に行くつもりでしたが、本館とピカソ館が改装中で閉館。箱根のこの寒さで野外のみはちょっとキビしいというので、アクセスの良いポーラへ行くことにしたのです。
特別展は「モダン美人誕生ー岡田三郎助と近代の装い」。
私の苦手な明治以降の洋画でしたが、そこはポーラ! 見せてくれました。
▲上のポスターの絵……はだけた女性の半身像を描いたのは岡田三郎助という、明治、大正、昭和にかけて活躍した画家であります。
名前は聞いたことありますが、本物をまじまじ見るのは初めてです。入口近くに写真が展示されてましたが、いやいや、これはスケベそうなおじさんだぞ。
当時の美人コンテストの審査員もされていたそうで、憶測ですがきっと何か良からぬ……(以下略)。
ほとんど初めて見るのに、何か見覚えのある絵だと思ったら、岡田三郎助さん。
かの黒田清輝大先生の愛弟子なんですね。
明治時代の大画家・黒田清輝に関しては、1年前もここポーラ美術館で「野辺」という絵を見てブログ記事にいたしました。記事をお読み頂ければわかりますが、私は黒田清輝という作家、そんなに好きではありません。
黒田清輝といえば、かの藤田嗣治の芸大時代の絵を酷評し、毛嫌いした画家でもあります。黒田は藤田の才能をおそれていたのか、嫉妬していたのか……?
一方で自分の絵とよく似た岡田三郎助をよく盛り立てていたわけですね。
これはレオナルド・ダ・ヴィンチの師匠ヴェロッキオが、弟子が自分よりはるかに上の才能と知りながら、よく面倒を見ていたのと真逆なケースです。
黒田も岡田も女性の描き方が、完全に男子の都合と妄想をビジュアルにしたような感じで、その点も藤田の女性像とは反対ですね。
ポーラの学芸員は女性が多いはずですから、そんなことは先刻承知だと思いますが、多分黒田清輝作品も岡田三郎助作品も、オーナーが買い集めたものでしょうね。
面白いことに、ポスターになった後ろ向きの女性像を描いた翌年、岡田は奥さんと別居しています。
奥さまを描いた肖像も展示されていたのですが、その表情のコワいこと!
岡田画伯は何度も何度も、モデルを見ては描き直したそうですが、 多分描けば描くほど怖い表情になっていったのでしょう。わたくしの口から言うのも何ですが、自分の女房をあんな顔にさせたくないよなあ(笑)。
さすがはポーラの学芸員。その辺りをそれとなく見る人にわかるようメッセージを送っていたように思えます。
当時の化粧品やブロマイドなども併設されていて、「ポーラの企画にハズレなし」と言いたくなる面白さでした。
印象派のコレクションや、ルドン、ピカソ、マティスの収蔵品も見事。
上野や六本木で行われるゴッホ展やムンク店などには、たいてい1〜2点は「ポーラ美術館収蔵」と銘打たれたものがありますが、さすがにええもんお持ちでんな(ふろむニセ関西人)♪
また、ラリックやガレのコレクションも見事。
▼ガレはグロい作品でなく、中では品の良いものが多いのですが、この可愛くない犬にはびっくり!
たっぷり2時間ほど堪能して、帰路につきました。
それにしても箱根の観光客はずいぶんと多くなった感じですが、金沢がどの店も行列をなしている話を聞くと、箱根のキャパは相当なものですね。
帰りはメトロ箱根90号で滞りなく家まで一本。
良い誕生日祝いと記念日になりました。
次回は温暖な季節に彫刻の森美術館を訪ねてみたいものです。
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